情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
公弟 ヴィンセントは、野茨公 ギィ を投票先に選びました。
公弟 ヴィンセントは、修道騎士 バルタザール を能力(襲う)の対象に選びました。
[振り向き様に飛び退り、腱を断たれるを回避した
待っていた、とでもいうような。
そんな懸念を裏付けるように、「おまえにようやく」と投げられた言葉。
バルコニーでは直接、見かけなかった顔だが、使徒たちの仲間であることに間違いはあるまい。
ただ、ソマリやユーリエとはだいぶ印象の異なる相手ではあった。
吸血鬼を倒すという目的は同じでも──]
──っ、は!
[鎌首をもたげた蛇のごとく斜めから斬り下ろしてくる重い攻撃を広い刃で受け流し、前へと踏み込む。
間近に覗き込む猛々しい双眸。
男が零した血の匂いが記憶の底を瞬かせるも、やはり、知らない相手だと思った。
委細構わず、ショルダータックルを仕掛ける。
さきほどアレクシスが無差別に打ち込んだ弾の傷が軋んだが、着替えた服の下のこと。
外見からはわからないだろうと思う。
この男はギィへの手土産にする。
ゆえに殺すつもりはなかったが、手足くらいは切り落としても問題ないし、そう宣言してやるつもりもなかった。]
[ビリヤードのボールと違って身体は相手だけを弾き飛ばしはしないから、ヴィンセントはオズワルドにタックルを仕掛けた体勢のままで壁にぶつかってゆく。
その勢いで、相手が肋を折るなりして失神してくれれば狩りは完了だった。
だが、息は詰まらせたものの、教会の使徒は頽れることなく短剣を抜き放つ。
彼もまた強化人間か。
背を向けている側だ、打ち払えない。
そのまま圧し潰そうと足を踏みしめたが、男の筋肉は強靭で、気合い一閃、抵抗を貫いて刃が背後から左の脇腹を突き刺す。]
ぐ…──
[肉に滑り込む金属の質量に呻いた。
そのまま、刺された位置へと手を回して、短剣を握る男の手を掴む。
刺されたまま男の腕関節を巻き込むようにして床に倒さんと上体を捻った。
寝技に持ち込む心づもりだ。**]
[オズワルドの手首を握ってもろともに倒れこめば、背後から脇腹に突き立てられた刃がなおも傷を広げる。
その傷口から零れる血は脈打たず、静かにオズワルドの衣服を湿らせた。
人間ならば致命傷にもなるだろう深手でありながら、吸血鬼は指を緩めない。
金属音を響かせて放棄された大剣の傍ら、押さえ込まんとする力と抗う力が拮抗して、もつれあった身体は二転三転する。せわしく天地が入れ替わる。]
[オズワルドが怨嗟と追求の声を発したのは、オズワルドをなんとか下に組み敷いた時。
この男を駆り立てていたものはそれか、と理解した瞬間、わずかに力が逸れた。
オズワルドの指が鉄灰色の髪を指間に捕らえ、ヴセィンセントの顔を傾がせる。]
――名は。
[男の息遣いを耳に感じながら、問うた。
男と、その妹の名。
食らった人間の顔も性格も覚えていない。
人が、夕食のチキンに個性を見出さないのと同様。
だが、すべての心臓には名を刻んで集めていた。自分ひとりの
[想いの籠められた声で告げられた名に爆発的なまでに引き絞られた強靭な力が、ヴィンセントの腹を襲い、後方へと跳ね上げる。
それは、刃の傷よりも深くダメージを残した。
それでも、見た目には優雅さを失わない受け身をとって立ち上がる。
腹から脇にかけ右腕を添えて、オズワルドを見据えた。]
第8架13列の5。
[殿堂におけるユリアの心臓の位置を示すその数字はオズワルドには意味がわからなかったかもしれないが、続けて口にした10年前の日時には覚えがあろう。]
[すべて自分が手を下した、と告白するにも等しい言葉を投げてから、ヴィンセントは廊下の奥へと視線を流した。]
…見えるか? あの
君の妹もあの中にいる。
[オズワルドの問いには、是、と頷く。]
彼女を蘇らせることはできない。
だが、君をこちら側に連れてくることならできる。
私なりの責任の負い方、誠意のつもりだ。
[脇腹から零れた血を凍らせて、掌サイズのナイフを精製する。]
この刃で、君の、人としての生を終えるがいい。
[求めたのは「自殺」という創造主への裏切り行為。
信じぬのならそれまでだと、言葉にせずとも眼差しに託した。]
[こちらに向けられたオズワルドの眼差しの奥にある不屈が閃く。]
それが君の選択ならば。
[見守っていた。
だから、対応はできる。
接触間際の
それでも、ほとんど真正面からオズワルドの力を受け止めた。
押しつけられる激しさは、どこか心地よくさえあり。
同時に、両腕で相手を捕えて逃がすまいとする。
密着状態にしてその首の血脈を啜らんと、牙を剥いた。
それこそが吸血鬼の最大の攻撃であり、相手に己が血肉となる価値を認める行為ゆえに。]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新