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…それは、勿論嫌よ。
でも、私だってシュテルンがそうなるのは嫌だわ…。
[しょんぼりした声でそう呟く。
嫌だと言っても、きっと指名が変わることはない。
きっと恋人を作るしか、シュテルンが逃げる術はなく。
同じように選ばれたというハーランという人もそうに違いないのだろう。]
…でも、私より先にシュテルンが連れて行かれるんだもの。
自分の相手を先に、……うぅ。
[特殊な立場なのだろうシュテルンが相手を見つけるのは、難しいはずだ。
言いかけてそれに気づき、項垂れた。]
―中庭―
[何やら、あの人外魔境へのお見舞いがあるようで。
すぐに帰れなかった理由はこれかと、一度小さく溜息をついた。同時に知り合いが指名されたことも知って、どうにかならないものかと考える。]
…ここでいいのよね?
[来ようと思ってはいたが結局足を運んでいなかった中庭に、少しだけ不安そうに視線を巡らせる。
一人でこういったところにきた経験が少なく、もしまだ彼がいなければどうしようかと。
やがて目的の人物の姿を見つければ、少しほっとしたように近付いていくだろうか。]
そんなの分からないじゃない、あいつは男でも女でも女装してても構わないようなやつよ…?
[自分ではきっと、サポートも出来ないのだろう。
同時にシュテルンに何もできないのだと感じて、泣きそうな声になり。]
気になる人、とか……いないの…?
私嫌よ、シュテルンがそんな目に合うなんて。
[ウェルシュの名前が出てきたことと分からない単語を聞き返しそうになるも、とりあえず今はそんな場合ではないと。]
[何かを言おうとして、けれど、シュテルンの言葉を聞いてしまえばもうできなくて。]
……シュテルン…
[そう、呟くしかできなかった。
全然自分は役に立てない。
それなのに気遣って貰っているということに、なんだか悲しくなりながら。]
/*
う、ねむ……!
一度おやすみしてから来ようと思うけど前に一度それやって夜中の3時に起きたから怖い
[近付いたはいいものの、煙草を吸っている姿に声をかけていいものかと戸惑ってしまう。
そうしているうちに小さく手を振られたのに気付き、少し考えた後走り寄って。]
待たせてしまったかしら、ごめんなさい。
[申し訳なさそうに謝った後、少し興味ありげにウェルシュが煙草を吸う姿を見て。]
煙草、好きなの?
[煙草は体に悪いものだと教えられたからか、声は少し心配そうだった。]
もう、本当に調子がいいわね。
[にこりと笑う姿は、見慣れた彼の姿で。
けれどもどこか感じる違和感は、煙草のせいだろうか。]
…そう、色々大変そうね。
でも吸いすぎないでね、体に悪いって聞くから。
[余計なこと。きっと彼にも、色々あって。
それに自分が不用意に触れるのもいけないと、それだけを返す。
おいしいものには見えないなんて事もぼんやりと考えながら]
…そういえば、あの人外魔境へのお見舞いがあるらしいわ。
[ぽつりと、先ほどまで悩んでいたことを呟くように。]
……ああ、確かに想像出来ないわ。
[数秒考えて頷き。
もっと近くに寄り添えば、想像出来るようになるのだろうかなんて思って。]
……体がないと、思い出せるものも思い出せないわよ。
それに、もし体を悪くしたら、私は悲しいもの。
[おどけたような返しに、少し怒ったように。
けれど強く言えないのは、彼の気楽な時間を奪ってしまわないようにという配慮からか、それとも他のなにかか。]
…好き勝手って、何をするつもり?
[訝しむような声で、苦笑しながら尋ねる。]
[急に灰皿に投げ入れられた煙草と、何故かテーブルに置かれていた煙草の箱が捨てられて。
きょとんとしながらその光景を眺め、やがて少し呆然としたような声で]
箱ごと捨てちゃっていいの…?
それを吸ってるときは気楽、なんでしょう?
[そう言って、首を少し傾げて。]
……面白そうだけど、病院の人たちに止められたりしないかしら。
[むしろざまあみろと放置されることもあるだろうか。
銃弾でも撃ち込む人がいそうだなんて、そんなことを考えた。]
[フレデリカの言葉を聞き、シュテルンの返事にやはり何も言えないまま。
嘘がいけないわけではない。
けれど、諦めてしまうのは、なんだか悲しい気がした]
……シュテルン、……気を付けて、ね。
[何かを言おうとして、間が空いて。
結局出てきたのはそれだけだった。]
…そうね、大丈夫よね。
[ようやく少し笑い、そう言って。
これ以上は何も言わないで、いつものように接しようと決めた。]
私の隣?
……それくらいで埋められるものなの?
[なぜか自分の名前を呼ぶ時だけ、微妙に淀んだのに気付き目を瞬かせ。
自分の隣にいることで埋められる何かなんて、あるのだろうかと不思議そうにした。
本人は無自覚だが、隣にいても構わないと言っているようなものである。]
…バレないように持ち運べれば、いけるのかしら。
銃とかナイフならバレなさそうだけど、ロケットランチャーはどうかしら……。
[護身用だと言えば、見逃してくれそうでもあるが。]
[ウェルシュが自分の隣をてしてしと叩いたのを見て、小さく頷きそこに近寄って。]
…嫌じゃないけど、なんだか恥ずかしいのよね…。
[こんな風に、周りに人がいない状況で誰かの隣に座ったことなんて父とシルキー以外なくて。
異性の隣だから、なおさらなのだろうか。
少し顔が赤くなった気がして、少し俯きながら。]
[距離の近さと、目を輝かせにこりと笑いかけてくるウェルシュに言葉に詰まって。]
……な、なんでもないわ…っ。
[ぷいと顔を逸らすが、それが逆効果であり頬の赤さを見せてしまっているなど気付くことはなく。]
…どうしてそんなに余裕なの……
[悔しそうに、小さな声で呟いた。]
[急に今までの様子が消えて、真面目な顔でぽつりと言葉を放ったウェルシュの顔を、思わず見つめて。
一瞬距離が気にならなくなったのは、驚きのせいなのか何なのか。]
……しんどくない、の?
気楽だって信じて、そういうこと全部、隠したりするの。
[その瞳に自分が映るのが、どこか居心地悪くて。
それでも瞳を見つめながら、そう小さく問いかけた。]
私は、そういうの……事情とかは、分からないけど。
………寂しいって思うの。
[本当に思っていることや態度を、知ることが出来ないのは寂しいと。]
[ぽつりと一言だけ、つらいと。
それが今までと全然違っていて、何故だかとても危うく見えて。]
……ウェルシュ、さん。
[名前を呟いて、一度伸ばしかけた手は、触れていいのか分からなくて宙を掴んで終わった。]
………私、すごく無神経なことを、聞いてしまうかもしれないわ。
…もしかしたら、今の質問が既にそうかもしれないけれど。
[彼の手に、恐る恐る軽く触れる自分の手は少しだけ震えていたかもしれない。
踏み込んで嫌われたくないけれど、彼の抱えているものが知りたくて。彼を、分かりたくて。]
……どうして、つらいのに、そうしているの?
[もう片方の手は無意識に、自分の服をぎゅうっと掴んでいた。]
[彼の言葉を、ただ黙って聞いていた。
生き延びる、方法。何もしなくたって平然と生きていけるような生活を当たり前のように受け入れていた自分は、彼の苦悩を、理解しようなんておこがましい立場にいるのかもしれない。]
……私、は…
[彼の一人称が変わっていたことに、気付いてはいたけれど、今は気にする余裕がなくて。
生きる為に彼がしてきたことは、お世辞にも良いことだなんて言えないことだけど。]
……っ…
[今までそんな苦しみをほとんど経験しなかった自分が何を言っていいのか分からない。
聞いたくせに何も返せなくて、情けなくて――目の前がぼんやり霞んだ。]
[今まで近くにいたのに、体が離れて。
悪くないと、間違ってないと言う彼の顔は笑っていた]
…それは、いや。いやだわ。
[ゆるゆると首を横に振って、嫌だという。
まるでなにか、駄々をこねる子供のような動作で。]
だって、本当にろくでもないなら、私は今ウェルシュと一緒にいたいなんてきっと、思ってないもの。
[涙がこぼれそうになるのを耐えながら、そう言って、ウェルシュの瞳を見つめた。]
[頭を撫でられて、今まで少し高かった目線が同じ高さになる。]
…錯覚でもないし、後悔だってしないわ。
[さっきのような笑顔ではない、別の笑顔が彼の顔に浮かんで。
初めて彼の本当の笑顔が見れたような、気がして。]
……喋り方、…それが本当のウェルシュ?
[少し笑いながら、本当の彼が見れたのかとどこか嬉しそうな声で。]
[手を引き寄せられて、少し驚きながら]
……ばかじゃないし、可愛くもないわ。
警戒心だって、ちゃんと持ってるし……。
[ばかと言われたのは二回目だ。
嫌でもなんでもないけれど、少し拗ねたふりをしようと。]
─私も、いつの間にか、好きになってたみたいだわ。
……そういわれると、定義が難しいわね。
[偽りのないこと、が一般認知だろうか。
けらけら笑う様子につられるように、くすりと笑ってじっと見つめる。]
…どっちでも、私は好きだわ。
[なんて呟いて]
……記憶が戻ったら、どうなるのでしょうね。
小説では、無くしてる間のことを忘れたりするけど……私のこと、忘れちゃうのかしら。
[記憶について彼がいえば、そう寂しそうに零した。
もしそうなったら自分はどうなるだろうか。きっと毎日泣きそうだなんて考える。]
[ばかの方がまだ照れずに済んでましだったかもしれない。
嬉しいけれど恥ずかしさや何やらで、顔が真っ赤に染まるのが自分でも良く分かる。]
……私も、どんなウェルシュでも好きだわ。
誰よりも、かっこいいと、思うの。
[精一杯の勇気を振り絞ってそう本心を告げ、ウェルシュに抱きつくような体勢になって顔を隠した。]
[ゆっくり首が振られて、忘れないという言葉が聞こえ。
無性に安心して、こちらも頷いた。]
隣にいるわ、きっと。
……体を壊すのはダメ、私が悲しいもの。
[良くないというように首をふるふると横に振った。
笑顔ではなく真顔で返される言葉に、ふわっと安心したような笑みをようやく見せた。]
……私も、もう一度好きになって貰えるように頑張るわ。
[もう寂しそうな様子はどこにもなかった。]
[恥ずかしがっているせいか、警戒心がないという言葉は聞こえなかったようで。]
……どうする、かしら。
[押し倒されても逃げられるだろうとアイリは思っているのだが、男女の力の差を甘く見すぎだった。
言葉にはしないが、そう思っているからか声色はあまり悩んだ様子ではない。]
……しないって、信じてるもの。
[ちらっと上目遣いになりながら微笑みそう言って、またすぐに俯くのだった。
まだ顔は赤いらしい。]
[少しむくれた様子で肩をすくめたウェルシュに、ちょっとだけ慌てたかもしれない。]
必ず、ね。
じゃあ、一日中そばにいようかしら。
[冗談めかしていうと、次に聞こえた言葉に一瞬ぽかんとウェルシュを見つめた。
やがて嬉しそうに笑って]
私が恥ずかしさと照れで、死んじゃいそうね。
[本心混じりのそんな言葉を言った。]
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