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― 少し前/屋台にて ―
[ 別れ際、ダーフィトから託された伝言に>>41青年はぱちりと瞬く。 ]
ああ、ミヒャエル・トロムリッツか、そういえば同じ同好会だっけ?
[ 成績優秀だった先輩騎竜師の弟であると同時に、同じ王国騎竜師団を目指して熱心にローランドの指導を受けている後輩として、その存在は青年も知っている。 ]
お前がそんな真面目なアドバイスするなんて、珍しいな。
分かった、可愛い後輩に、ちゃんと伝えてやるよ。
[ しっかり頷いて請け負えば、「いや、アドバイスってほどのもんじゃ、別に...」とか、もごもご言っていたが、にっこり笑顔でスルーしておいた。* ]
― 中庭・本部近辺 ―
俺もまさか、覚えて頂けてるとは思いませんでした。光栄です。
[ シエルと遊ぶ騎竜は他にも居るし、自分が目立つ程、優秀な学生ではないという自覚もある。だから、合っていて良かったと安堵の色を見せる教官には、本気で嬉しそうに、そう答えた。>>66 ]
ええ、剣術同好会の屋台で。騎竜用のもノアが気に入ってました。
[ 流れで鈴カステラの販売元の話が出れば頷いて返し ]
はい、そうします...けど
[ 続けられた仔竜の話と、迷子の送り届けについては>>67頷いてから、軽く首を傾げた。 ]
え、と、シエルがあそこで遊んでるのって...教官の結界だから、安心して、じゃれついてるんだと思うんですけど。
[ 鏡の精霊の結界は、色々なものを跳ね返すから竜が好んで近付くようなものではない。でもきっと仔竜は、それが決して自分を傷つけないものだと分かっているのだろう、と、青年には思えていたので。
届かない、という言葉への違和感のまま、そう口にした。 ]
[ 不意に響いた、ピー、という小さな鳴き声に振り返ると、騎竜の背でお腹がいっぱいになった少年がうとうとし始めたようで、落とすまいと、ノアがうねうねしながら苦心しているのが見えた。 ]
わわ...!ノア!今行くから、もう少し頑張れ。
それじゃ、失礼します!
[ 慌てて教官に一礼して、青年は相棒の元へと駆け戻ると、ずり落ちそうになっていた少年を抱きかかえて、騎乗し直した。 ]
あ、そうだ!これ、ノアの食べ残しで悪いんですけど、後でシエルにもあげてください。
[ ふと、思いついて、するすると、地表をそのまま移動しながら、教官の側へと、一度戻り、半分ほど残った騎竜用の鈴カステラの袋を差し出す。 ]
遊び疲れたら、シエルもお腹空かせて戻ってくるでしょうから。
[ 受け取ってもらえたらなら、今度こそ本部へと向かうつもりだ。* ]
― 中庭・本部近辺 ―
え、ほんとですか?
[ ノトカーが褒めていた、という内緒話を聞けば>>105思わず聞き返してしまう。 ]
あ、いえ、それも光栄、です。
[ 疑ったわけではないのだ、と、慌てて一礼するが、脳内がちょっとしたパニックなのは、それが本当に珍しい話だからだ。
見ていて貰えたのかという嬉しさと、見られていたのかという怖さが、正直五分五分だった。 ]
[ 騎竜用の鈴カステラを受け取るのを遠慮するようなアルビンの言葉には>>107ノアも、大丈夫、と伝えるように、胸を張ってピピっと鳴いた。 ]
仔竜の面倒を見るのは大人の役目って、ノアも思ってるみたいですから、ご遠慮なく。
[ とにかく大人ぶりたいお年頃なのだ、という意は伝わっただろうか。 ]
(そらは遠い...)
[ アルビンがそう言った時>>106咄嗟に返事は出来なかった。
彼がどんな想いで、それを口にしたのかを汲み取ることは、やはり青年には出来なかったし、浮かんだ記憶が声を奪ったからだ。
小鳥のように小さなノアの鳴き声を必死で聞き取ろうとしていた頃...自力では飛ぶどころか、歩くこともできなかった幼竜を抱いて、見上げた空の色 ]
(教官とシエルには...)
[ あの日、飛べない仔竜と少年が見上げた空と、彼らが見るそらは違うのだろうか? ]
シエルが、戻って来る場所は、教官のとこだけ、だと思いますよ。
[ 結局、別れ際、苦笑めいた表情を浮かべた人に言えたのは、ただそれだけだった。* ]
― 本部 ―
[ アルビンと別れて、本部までは地上を進んで行った。 ]
迷子の届け、出てませんか?中庭の剣術同好会の屋台辺りではぐれた子みたいなんですけど。
[ 魔法生物や菓子を預けに来る学生が徐々に集まり、大分賑やかになっている本部に到着すると、まず、眠ってしまった少年を抱きかかえたまま迷子係に連れて行く。
幸い、少し前に届けがあったらしく、すぐに両親が引き取りに来た。
結局目覚める事なく別れになったが、鈴カステラの袋はしっかり握りしめていたから、騎竜に乗ったのが夢ではないとは覚えているだろう。 ]
この子猿もよろしくお願いします。おとなしいですけど。
[ 続いて魔法生物を引き渡しに向かった先では、数名の見知った顔に出会った。 ]
やあ、みんな頑張ってるんだね。
俺は、この一匹しか捕まえられなかったけど。
[ 示した先には、引き渡される間も呑気に眠っている羽つき子猿の姿。 ]
やっぱり鬼ごっこのつもりとかなのかな。
[ ぽそり、と呟いたのは、ほぼ無意識のうち。** ]
やあ、バルタザール。
うん、そうだね、逃げるのを楽しんでるみたいに思えるから、鬼ごっこ気分なのかなって。
[ バルタザールの言葉に応じた頃に>>139空では本格的に鬼ごっこが始まっていた。>>141 ]
...シエルの居場所はヒッツェシュライアー教官も気付いていたから、大丈夫じゃないかな。
あの子もまだ遊び足りないみたいだし。もう少し遊ばせてあげるつもりなのかも。
[ シエルの保護を、と、本部に伝えるバルタザールの横で、そう口にしたのは、ただ彼らを会わせるだけでは、何かが足りない気がしたから。
アルビンには、ローランドを始め、騎竜師の同僚も居る。ただ近付くだけなら元々方法はあるのだ。 ]
ところでバルタザール、君の方が入学が遅かったとは言え、同じ年だし、君は精霊と盟約した一人前の精霊師なんだから、立場は一緒だよ。
先輩なんて呼ばれると、なんだかくすぐったい。
[ ついでに気になっていたことをバルタザールに伝える事にする。 ]
合同授業くらいでしか会えないから正式には名乗った事なかったかな。クリフ・バルトだ、改めてよろしく。
[ 言ってしまってから、こちらが一方的に知って居るだけかも、と、今更ながら気付いて、遅ればせながらの自己紹介となった。* ]
― 本部 ―
[ かけられた声に振り向けば、先刻エールを贈りあった後輩だった。>>155 ]
やあ、こちらこそ、さっきは激励をありがとう。
二個もあのお菓子を捕まえるなんて、君の方が凄いよ。俺は、一度捕まえかけたのに、まんまと逃げられちゃったから。
[ 笑顔でそう返してから、続けられた言葉に頷く。 ]
うん、シエルはまだ仔竜だしね、せっかくのお祭りなんだから楽しませてあげたいなって...俺達、騎竜師だから、そう思っちゃうのかな。
[ リーゼロッテの転科の経緯などは、青年は知らない。だが、彼女が大事に抱えている籠に竜の卵が眠って居る事は相棒から伝わっていたから、そんな風に口にした。 ]
リーゼロッテくんか、うん、どうぞよろしくお願いします。
[ 慌てた様子の名乗りには>>164くすくす笑いながら、少しふざけた調子で、胸に手を当て、一礼を返した。* ]
― 本部 ―
うん、君の言うことも尤もだけどね。
[ 返される言葉には>>169否定する事なく頷く。
その考え方も無理はないと思うから、本部への申し出自体は静観したのだ。
バルタザールの慎重さは、騎竜に思い入れてしまう自分たちとは逆に、精霊力過剰なお菓子や魔法生物の事が良く感じ取れるであろう、精霊師ならではの事かもしれないと、ふと思ったが... ]
あはは、ありがとう。
[ 何やらぐるりと一周した感じで名前で呼ぶと宣言する様子を見れば ]
(単に性格かも)
[ と、思い直した。* ]
[ 魔法生物の引き取り確認を終えると、空を見上げるヴェルザンディの姿に>>157釣られるように青年は視線を上げた。 ]
ミヒャエルとイシュケか。前に見た時より随分、動きが良くなってるなあ。
[ 通行の邪魔にならない場所で待っているノアが、ピィピィと鳴いているのは、楽しげな鬼ごっこに混ざりたいという訴えらしい。 ]
あの鬼ごっこに混ざりたいのかあ...
[ しかし風に流されるような砂紋竜の飛び方では、イシュケや、素早い魔法生物に追いつけるような速さは望めない。 ]
(混ざっても置いてけぼりになると思うけどなあ)
[ それでも、シエルと遊ぶというのは約束だ。さて、どうしたものか?と、考えていると、ヴェルザンディの応援するしか、という言葉が聞こえて>>177 ]
ハンナくんの歌なら、応援になるかもな。
[ 思わず呟いた声は、彼女の耳には届いたろうか。 ]
[ 落ちて来たのは、半透明の包みに入った握りこぶし大の、虹色巨大マシュマロ。
青年が手を伸ばす前に、頭の上でぽよんと弾んで、遠くへ飛んで行った。 ]
......なんだろう、すごく馬鹿にされた気がする。
[ ちょっと切なくなった。 ]
よし、ノア!シエルと遊びに行くぞ。
[ 切なくなった反動...というわけでもないが、やっぱりシエルの様子は見たい、と思い直し ]
ヴァルタザール、リーゼロッテくん、ハンナくん、また後で!
[ 本部で顔を合わせた三人に手を振って、相棒の元へと駆け寄る。 ]
[ ふわりと、地を離れた竜は、銀の砂紋をうねらせて、ゆっくりと旋回しながら上空へと向かう。 ]
ミヒャエル!
[ 先に近付いたのは、後輩騎竜師の方へだ。 ]
シエルは、まだ帰りたくなさそうか?
[ 彼の性格から言って、先に会話を試みているだろう、と予測して問いかける。
遊んでやるために鬼ごっこをしていると教えられれば、ルールを聞いて ]
じゃあ、俺とノアも混ぜてもらうか。
あ、そうだ。ダーフィトから伝言。
『別に失敗したっていい。自分の正しいって思った事をやれ』
だ、そうだ。
[ 今は、逃げる側らしい、と、別方向へ離れる前に、預かった伝言を忘れず告げて ]
失敗慣れしてる奴ならではのアドバイスだよな。
[ いつもはお調子者の学友を貶すような言葉は、優しい声音と笑顔で残された。** ]
― 上空 ―
じゃあ、お互い健闘を!
[ ダーフィトからの伝言を正しく受け取った様子のミヒャエルに>>216片手を挙げて、青年は、囁くような口笛を鳴らす。
応じてゆっくりと旋回を始めた騎竜の背から、シエルの方へと視線を向ける。 ]
空の力を集める、か。精霊力だと思うけど。
[ ミヒャエルが言っていたシエルの言葉を反芻したものの、集めた後にどうしようとしているのかは、判りようもない。 ]
これ以上精霊力が過剰になるのも面倒な気がするけど..やっぱり悪意はなさそうだしなあ。
[ 微妙に悩む騎竜師を他所に、砂紋竜は楽しげにうねうねと空を泳いでいる。
旋回しながらゆるやかに魔法生物達の間をすり抜ける度、ごく細い銀色の砂の軌跡が、虹色の光を反射して煌めいた。* ]
/*
一度、鬼に捕まっといて、ミヒャエルにタッチして鬼役交代、とかも、考えたんだけど、イベント発動してるから、ミヒャエルに任せた方が良いかも?
/*
そしてネタバレが来ていた。
うむ、動機は大体思った通りだけど、ローランド教官がいれば、問題なさそう。
[ 教官、こっちこないかなー?という目で見ている。 ]
― 上空 ―
[ ノアが飛びながら撒いている銀砂は、魔法生物達への誘いかけであると同時に、事態が動いた時のための探査の網の役目も持っている。
...と、いうのは、鬼ごっこを楽しんでいる騎竜自身は、意識してもいないのだが。 ]
ん、動いたか?
[ ミヒャエルとイシュケが高度を上げたのに気付いて>>243青年はノアに口笛の合図を送る。 ]
[ シエルに近づこうとしたらしいミヒャエル達は、どうやら途中で断念したようだった。>>253
ノアの方は、合図に従い、銀砂を撒いた周囲をぐるぐると旋回している。
煌めく砂は、シエルを中心として魔法生物達の周りに細く緩やかな渦を巻き、集まる精霊力を僅かながら均していた。 ]
ミヒャエル、イシュケは大丈夫かい?
[ シエルと距離を取ったミヒャエル達に、再び近づき、青年は無事を問う。 ]
ちゃんと引き返したのは、いい判断だったと思うよ。
無理をしないこと、させないことっていうのは、騎竜との信頼を築くためにも大事だから。
[ ローランド教官の受け売りだけどね、と、笑って告げた。* ]
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