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― 平原 ―
[合流すると決めて戻った本隊は、若干位置を変えていた。
最初に出会ったのが、引き止め損ねた盾兵と対峙している騎兵隊だった。
ただ戦闘そのものは激しかったけれどなんとなく停滞している感じだったのは、騎兵の方が防御を優先していたからだろう。]
フェリクス隊長は?
[隊長がいれば、もっと攻撃に出てるんじゃないか、と思って見渡せば、北の森の方角にいるのが見えた。
しかも、さっきまで戦っていたヤツが隊長の目の前にいる。]
あっ。あいつ!
[隊長、それはオレの獲物ですよ!と叫びたかったけれど、暇なら手を貸せと他の小隊長に言われて、西側での戦線維持に加わった。
でもついちらちらと様子を見てしまうから、やや危なっかしい。*]
― 平原 ―
だめだ!やっぱり行ってくる!
[しばらくは西側で戦っていたけれど、結局は我慢できなくて北側へと馬を走らせた。
戦線は膠着していたし、仲間たちも他の隊長らも「見てると危なっかしいから行ってこい」と、むしろ追い出す勢いだった。
そんなこんなでやってきたのは、まさに一騎打ちが行われているところ。
双方の兵が作る壁の隙間からひょいと顔を出した。]
うわ。すげ。
[大声を出しそうになって慌てて口を押える。
ふたりの将、フェリクス隊長とセルウィンと名乗ったあいつの戦いは、声を上げるのもためらうくらいに白熱していた。]
アイツ、やっぱすげぇいい動きしてる。
[なんてったって、あのフェリクス隊長を相手に互角にやりあってる。
双方の槍の軌跡が乱れ交わって、演武みたいだ。
アイツの槍に、まさかの隊長の手が弾かれて、]
あっ…
[危ないと出かかった声も、飛び出そうとした身体も押さえこんで、アイツが繰り出した槍の穂先を息を止めて見つめた。*]
― 平原 ―
おおおー…
[傍目に見ても鋭いアイツの突きを隊長は紙一重で躱し……たわけじゃなくて、腕で受けていた。>>84
その判断力と速さに感動したけれど、ゼファーじゃそこまで珍しいことでもない。
最終的に勝てばいいって誰かが言ってた。
けれど、アイツのところじゃそうでもなかったらしく、驚いた顔がここからでも見えた。>>89
武器持つ手を捻られて、体勢崩されて、]
あー。決まったかなこれ。
[隊長が繰り出した一撃に思わず呟く。>>96
アイツと再戦できないと思うと、ちょっと残念だ。]
― 平原 ―
[隊長の槍が一度、そして二度振るわれる。
何度も耳にした、命を絶つ音がした。
もうアイツは立つことはない。
あの身ごなしを見せることもない。
敵であれ、勇敢に戦って死ぬ者は讃えていいはずだ。]
冥王の門がオマエを迎え入れますように。
[死者を送る言葉を呟いて、アイツの最期の言葉に耳を澄ます。
なんとか聞き取れた名前は、胸の中にしまっておいた。*]
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