情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
[ユベールは、こちらの名はヴァンスでいいかと訊いてきた。
構わない、と頷く。
兄だけが使う親密な呼び方。
その名で呼ぶならば、背徳ものの展開だろうか。掠れた声で呼ばせたい。]
他に、ギィについて知っておくべきことは?
[空けられた以上の距離を詰めながら、対話を続けた。*]
[行動方針についても了解した。
この状況の原因を突き止めるか、本来、いるべき場所に戻りたいと。
後者でいこう。
ユベールの居場所は、わたしの隣に決まっている。]
翼については、痛みがなければ心配せずともよいでしょう。
[自身を顧みて告げた。
痛むというなら、もちろん、付け根まで丹念に調べるし、姫抱きに運びもしよう。*]
公弟 ヴィンセントは、公弟 ヴィンセント を投票先に選びました。
[鋭い視線を向けられて、心躍った。]
勘に触りましたか。
[髪に潜り込んだ手が、謝罪するような手つきで耳の後ろへと回り込んでから離れる。
おそらく一般的ではないボディランゲージだけれど。]
[まずは、他の者を見つける、という明確な方針に微笑する。]
御意。
[つまりは狩りということだ。
貢ぎ物で食事を済ませることの多い自分と異なり、兄は領地を逍遥して出会いを楽しむたちである。
時に、獲物を飼いならそうとすることもあるけれど、そんな場合は嫉妬を隠して、共に愛でるように務めてきた。]
[並んで空を移動しながら、ユベールとはどんな人物なのか、と”ギィ”が問う。
よろしい、たまには当人に聞かせよう。]
その眼差しは波紋のごとく、悪戯に、また神秘に煌めいて、
鼻梁は天駆ける彗星の妙なる道筋 ──
[詠うように、睦言のように、物語った。*]
[讃辞に託した想いを、ユベールは真摯に聞いてくれた。
今度はボディランゲージで、と思ったところへ男女の二人連れがやってくる。
眷属ではなそさうだが、その背には翼がある。
もしかして、天使か精霊だったりするのだろうか、と様子を伺っていれば、兄は「アーヘンバッハ夫人」と呼びかけた。
既婚者ならば天使の線は薄そうだ。
かの夫人に対し、兄は敬語である。
貴族然とした優美な振る舞いを、うっとりと見つめつつ、狩るなら男の方かと算段していた。
それなりに鍛えていそうだし、美味しかろう。*]
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新