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[体表がどれほど硬かろうと関節部は弱いものだ。
狙い通りにダーツが節目を穿ったのを見て、効いたか、と思ったのだが]
…は?
[すぅ、と霧の中に消えていったのを見て、呆気に取られた]
……何だったんだ、今の。
[確かに実体はあった。
弾き飛ばされたダーツが地に落ちているのがその証拠だ。
だが、あの巨体がまるで夢のように消えてしまったのも事実]
…まぁいいや。
手応えがある相手なら負けるつもりないし。
[問題は話が通じる相手に遭えない限りは今の繰り返しになるだけだろうと想像がつく所だが。
それをここで考えた所でどうしようもないと、地に落ちたままのダーツを拾い上げて息を一つおとした**]
[今の戦いはダーツの投擲だけで済んだお陰で無傷。
だが、気のせいか先程よりも身体が重く感じる。
此処に居ること自体が負担となっているのかもしれないと、思い当たる推測に厄介だな、と微か眉を顰めた所で近付く気配を察し]
まーたお客さんか?
さーて、次は鬼が出るか蛇が出るか…
[ぴり、とした空気を感じ、さりげなく腰のベルトに手を添えながら霧の中から気配の主が出てくるのを待った]
おんや、そういうそちらはカップルさんで?
[霧の中から現れたのは二人の男女。
声をかけてきた男>>*0に軽口を叩きながら、人の良さそうな笑みを浮かべ不躾にならぬ程度の視線を向ける。
こちらを刺激せぬようさりげなく警戒を怠らぬ男と、傍目にも仕立ての良いと解るドレスに身を包む女という組み合わせにどこぞの令嬢と護衛あたりだろうかと推測するもそれは口にせず]
迷い込んだっていうか、気がついたら此処に居たんだよねぇ。
兄さん、悪いんだけど何か知ってたら教えてくんない?
[笑みは変えぬまま、相手に疑問を投げかけた**]
『夢の世界』、ねぇ。
[霧の中で遭遇した男からの説明>>*2は普通なら信じ難いものだったが、フェリクスにそれを疑う色は無い。
己の浮かべる笑みは、相手の性質を簡易的に見抜く術。
見目通りに受け取るような単純な相手ならあしらいも容易だし、無駄に警戒を強めて敵意を返す相手は大体直情的でこれまた扱いやすい。
今眼前にいる男のように警戒しながらも態度を崩さない相手は大抵こちらの意図を見抜いているか深読みしているかのどちらかだが、恐らくこの男は前者だろう。
何気ない身のこなし、背後の女を自然に護る立ち位置、それが出来る男がつまらん深読みなんぞするとは思えない。
ついでにこちらの面倒さも察しているもいるだろうから、嘘偽りで惑わすなんてこともしないはずだ。
ただのはったりでしかなかった少年の頃から続く経験則は、男の思考の十分な裏打ちになっている]
…確かに転寝した覚えはあるけど。
要は眠りが切欠で精神が此処に入り込んだとか、そんな感じか?
[この世界の成り立ちや此処に居る意味自体は眼前の男も解らないようだが、己の認識の確認の為にも声に出す。
これが正しいなら此処にいる自分が戻らない限り近くに気配どころかどんな物音や衝撃があろうと現実の自分は目を醒ませない。
文字通り吊るし上げられるかもなどと思いながら、ふと今対話している男女の服装の意匠が不揃いなことに気付いたがそれは口にせず]
そーねぇ。
状況が少しでも解ってるヤツと一緒の方がこっちとしても有り難いし。
ご一緒してもらえると…っ!?
[男からの同行の誘いに是を返そうとしたその瞬間、唐突に濃い霧が視界を埋めた]
っ、おい、居るか!?
迷いかねねぇから、無理に動くなよ!
[名も知らぬ男女の姿を見失うも、動きさえしなければ逸れる事は無い。
だが霧に隔てられ距離を掴めぬ先から聞こえる声>>*32>>+15に、内心舌打ちしながら声をあげ。
まるで意思を持つかのように集い留まる霧に、上着を脱いでばさりと扇ぎ散らす。
霧が薄れるその刹那、まず目に差し込んだのは強い光>>+15]
───っ!?
[光遮る霧の中に慣れてきていた瞳は、突然の光に耐えられず目を閉じる。
それでも、数瞬の後には多少眩みは残したまま取り戻した視界に映ったのは]
っ、
[地に伏した男>>*33の姿を見て、先に遭遇した大百足が脳裏に過ぎる。
霧に乗じて襲われたかと、男と彼に呼びかける女>>+17の傍に向かいこちらも様子を見ようとしたのだが]
…………は?
[先程までの様子と違いどこか幼さすら感じる男の物言い>>*44に、目を丸くした後]
何言ってんだ、あんた。
俺にここの説明してくれたの、あんたじゃねーか。
[男にしては珍しく、素の物言いで言葉を返した**]
[首を傾げる男>>*47に、何がなんだかはこっちの台詞だと思ったが、続く様子に言うのは憚られた。
己の姿を不思議がる様子、幼さを感じる物言い。
何よりカムナと呼びかける女性とのやり取り>>+29>>*55を聞けば、記憶の混濁、もしくは消失が起きているらしいと知れて]
…残念だけど、知らないねぇ。
なんせ俺、今初めて顔合わせたばっかだし。
[助けを求めるようにこちらに向けられた女の視線に、悪いがお手上げだと返す。
シンシャはともかくユウレンには良くも悪くも縁があり、要人の顔もある程度抑えてはあるがこの男の顔に見覚えは無いしそもそも着ている軍服が違う。
先程の説明でどうやら時間の乱れもあるらしいから同じ時代の人間かはともかく、現在この男がユウレンに属している訳ではないだろうという推測は、男自身の言葉>>*61>>*64で肯定された]
(確かにあそこは騎竜師の修行にゃうってつけだもんな)
[恐らく少年の頃に騎竜師修行の為ユウレンへ赴き、またシンシャに戻り軍に属したという所か。
近くに騎竜がいない事を考えると夢破れたか─だがシンシャとユウレンの関係が安定してきたのはまだここ数年のはず。
微妙な関係を保つ他国へと修行に行って、成果を出せずまた自国に戻るなど出来そうな男には見えない。
流石に夢の世界まで騎竜がついてくることは出来なかった、と考えるが自然だろうか。
何とか記憶を戻そうと努める女性>>+32に男を任せ、自分は今得た少ない情報から男の素性を探っていたのだが]
っ…
[>>*64男に差し出された短剣が仄かに光る、それ自体には別に驚く要素など無かった。
剣に何らかの術でも施されているのだろう程度で気に留めることなどないはずだった。
だが、その光から響く歌。その歌が自身の瞳に微かな動揺を齎したが、それもほんの一瞬程度]
[男が小さく何言か紡いだ>>*65後沈黙し、顔を覆い声をあげる>>*66。
その様子に、どうやら元に戻ったな、と肩を竦めて]
なんてーか…災難だったねぇ、兄さん。
ま、下手に知り合いの前でならなかっただけ良かったんじゃない?
[良かったと安堵の息を零す女>>+37に続けて、揶揄い混じりに笑いかける。
何とか気を取り直した男からの説明>>*69を聞くと、内心で確かに戦うより面倒だと思いつつ表には出さず。
休憩を勧めるファミーユ>>+38に先を急ぐと返す>>*79のを聞けば、じゃあ行こうかね、と足を進めかけた所で男から呼び止められて名を問われ]
んー、俺?
フェリクス・クーパー。
フェリクスで良いよ。
[常ならば偽名を用いる所を、自身の名を名乗ったのはほんの気紛れ…というよりも。
剣から響いたあの歌が、聞き覚えのあるそれに似ていたから、だろう**]
ん、よろしく。
そっちのお嬢さんもね。
[ディーク>>*104とファミーユ>>+61からの自己紹介に返す笑みは軽いまま。
二人が内心何を思ってるかは何となく読めるから多少苦笑を零したくはあるが、わざわざ否定するのも馬鹿げているし円滑に進むならそれに越した事は無い。
此処で会ったのがあいつじゃなくて良かったなんて腐れ縁な金髪の海蛇男を思い浮かべつつ]
しっかし兄さん、二股なんて意外だねぇ?
[先程聞こえた何言かが誰かの名前だったのを持ち出して、下世話な軽口を叩いておく。
最も本心ではそう思っていないのは丸判りの表情ではあったがディークの反応はどうだったか。
冷静さを欠いていなければ、悪戯めいた笑みに細まる男の翠色の瞳が彼の想い人と良く似ていると解ったかもしれない。
どちらにせよ、人影が見えたというディークの言葉で状況は動くのだが]
ま、此処で別れる理由も無いし。
襲われてたりする可能性もあるんだったら、人手は多い方がいいでしょ。
[人影の方へ向かうという誘い>>*105にファミーユ>>+62と同じくこちらも同行を告げ。
ディークの先導に付いて霧の中をどれ程進んだ所でか、成る程確かに人影が幾つか見えてきた>>*128。
どうやらディークの逢いたい相手では無かったようだが、合流すべき相手ではあったようだ。
彼が呼びかけた一方、ゲルトという名には聞き覚えがあって微か眉を寄せたが、それ以上の行動は起こさなかった。
というよりは、何やらお邪魔をしてはいけない様子の再会>>+73>>+77に空気を読んだという方が多分正しい。
ディークに呼びかけられた男もお互い無事を確認出来たことに安堵している様子>>*131だし、水を差す真似をせずとも良かろう。
最も相手から売られてくるなら受けて立つけどと視線を向けると、首を傾げて名を問われた事でこれは人違いかな、と思いかけた所でその変化は起きた]
[突然吹き上げた風は強く、為す術なく身を曝し目を瞑る。
近く聞こえるはずの声>>*136>>*138が何故か遠く聞こえ、それすら認識する間に風に掻き消され]
…今度は何処だよ、ったく…
と、ありゃ…鏡、か?
[風が消え、戻った静寂に開いた瞳に映る光景はまた毛色の違うものだった。
先刻まで包まれていた霧は微かも見えず、代わりにあるのは青白い光に照らされる大きな鏡。
周囲を見回すも人影はなく、ひとまず目立つ異物を調べるかと近付き覗き込んだ鏡に映ったのは己の姿、ではなかった]
……… え …?
[鏡の中に居たのは、最期を人伝にしか聞くことの出来なかった]
団、長?
[前団長、その人だった。
ありえない、もうどれだけ時が過ぎたと思ってる、幻覚に決まってる。
脳裏に混乱と理性が駆け巡り何も言えない男を他所に、鏡の中からの声が届く]
『そんな間抜け面して何しに来やがった。
てめぇにゃまだ早い、とっとと帰れくそ坊主』
…言うに事欠いてそれかよ、おっさん。
[あぁ、間違いなく本人だと思いながら、もっと言うことあるだろうと呆れ顔を返してみせた]
『なんだ、でっかくなったなとか何か言って欲しかったのか』
そういう訳じゃーねぇ、けどさ。
[まるであの頃に帰ったみたいに、言葉が出てこない。
考えてみれば、腕っ節は当然だけど口もこの人に勝てたことなんか無かった]
『なら良いじゃねぇか。
納得したならとっとと帰れ。
泣いてくれる女の一人もいねぇ内に来る場所じゃねぇ』
…流石、むさい野郎にしか泣いてもらえなかった男は言う事が違うねぇ。
『うるせぇ馬鹿、そりゃてめぇらが知らねぇだけだ』
[嬉しいのか、苦しいのか、良く解らない感情のまま軽口を叩く。
返る言葉も変わらない、だからこそこの会話を止めたくは無かったけれど]
…あぁ、そうだな。
さしあたってジェフのガキ達とチャンバラ付き合う約束延ばしちまってるし。
シメオンにも、待ってるって約束したんだ。
とっとと帰んなきゃな。
『やっと解ったか。
なら、もう良いだろ』
[鏡の中の声がそう言った瞬間、不意に青白い光が揺らいだ。
今度は何が、と思った瞬間、]
っ!?
[突然強い閃光が目を刺し、反射に目を瞑った耳に届いた言葉]
『…ちっとはましになったみてぇだな、くそ坊主。』
[それを最後に、すぐ側にあったはずの鏡を見失った]
[青白い光も消え、残されたのは自分だけ。
今の一連の出来事が何だったのかは解らない。
でも、もう二度と会えないと思っていた人に会えた。
ただそれだけ、けれど気付いた]
少しは、安心したかったのかもな。
[自分だけじゃなく、前団長自身。
自分の死に悔いなど残しはしない人だと、そう思っていたかった。
それでも、後に遺したもの全てを置いて平気で居られる人だったか、未練は無かったか。
その未練に自分やジェフ、団員達がなってはいなかったか。
そんな疑問を切り捨てることが、きっと出来ていなかった。
だからこそ、今の自分はこんなにも]
…早く、帰んねぇとなぁ。
[護ると決めたもの達の元に、戻りたくて仕方ないのだろう。
そうして、迷い無い足取りで見えぬ路を歩き出した**]
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