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― 天に牙剥く時 ―
[きっちり一週間で、マチスは「行ける」と言ってきた。>>7
疲れている様子ながらも、何かを為し終えたという気力が内側から滲み出ている。]
どうせ見てもわからん。
技術屋が行けるというなら、それで十分だ。
[彼の祖父に対するのとまったく同じ言葉で見に行くことは断る。
代わりに、宣言を聞けばにやりと笑う。]
結構。
ならばやつらに目にもの見せてやるがいい。
───して。
拙速と鈍重、
小僧はどっちが好みだ?
[初手から相手の喉元に切り札を突きつける電撃戦と、
相手の戦力を漸減しながら機を窺う持久戦。
どちらを選ぶかと、問う目は現役時代を思わせる鋭いものだった。]*
臨時元帥 クレメンスが「時間を進める」を選択しました
[鈍重を、というマチスの選択>>22に、ふむ、と頷いたあと、底意地の悪い笑みを浮かべた。]
良し。
ならばゲリラ戦だな。
くかかかか。
国軍まるごと、国土全部を使ってゲリラ戦とはな。
くふふ。昔を思い出すわ。
連中が泣きついて来るくらいの地獄をみせてやらねばなあ。
[嬉々として、
それはもう嬉々として言う。]
小僧。
ご自慢の玩具をどう使うかは自分で考ええ。
壊されるなよ……と言いたいところだが、
一、二度落ちたところで、どうせまた飛ばすだろう?
[荒い言葉の裏には信頼がある。
技術力と、なにより根性を信じている。]
欲しけりゃ戦車隊でも飛行部隊でも、好きなだけ動かすがいいさ。
話は儂がつけておいてやる。
……ゲオルグの奴めはなあ。
あれで相当の戦巧者だったからなあ。悔しいことに。
はは。なあに、儂にはちいとばかり及ばんがな。
[くはは、と大笑いして、マチスの肩をどやしつける。]
― 反撃の烽火 ―
いいかあ、貴様等。
儂らはこれより、地獄へ出撃する。
天の加護も、今回ばかりは打ち止めだ。
[呼び寄せた各隊指揮官へ、いつもの笑みで語り掛ける。]
だが戦場なんざ、いつだって地獄だ。
お綺麗な天国しか知らない天使共を、
地獄に叩き落としてやろうじゃないか。
[危険で狡猾な獣の笑み。]
天の加護なんざあなくとも、
儂らには英雄がおる。
天使が何千匹と寄ってたかって殺そうとして、
殺せやしなかった阿保みたいな強運の持ち主だ。
そいつがまだ
懲りずにまた飛ぼうとしてやがる。
儂らが遅れを取るわけにはいかんよな。
若造が飛び立つのを、せいぜい派手に見送ってやろうじゃないか。
それじゃ、行こうかね。
[応、の声が上がり、指揮官たちが起立する。
翼を支えるための戦いを始めるのだ。]*
[空駆ける翼たる第一部隊、
魔法と機構の力を操る第二部隊。
それらを援護し、あるいは攻撃を引きつける形で、第三部隊たる機甲師団がある。
六脚の太い脚と大口径の火砲を備えた多脚戦車大隊は、天使たちの一群が巡回している場所に現れては、長射程の時限炸裂式榴弾───上空で炸裂して広範囲を鉛玉で撃ち抜く、本来は航空機撃破用の兵装だ───を以て攻撃し、一定の戦果を挙げたところで離れていく。
オートマタ技術を流用した自律式二足移動軽機関砲、通称"駝鳥"を中心とする自走砲大隊は、野山に潜み、軽快な移動性能を生かして遊撃を行った。
回転銃身の砲を備えたこの鋼の駝鳥は、軽快に飛びあがり上空に向けて銃弾をばらまくことができる。
小規模で行動している天使の群れを見つければこれを襲撃し、すぐさま撤収する機動力を擁していた。]
[実のところ、これら機甲兵団の兵器のほとんどは、ゲオルグ・プロッツェの設計によるものである。
彼の手によるものは未だ残されているのだが、]
地中潜航型戦車だの輸送車だのは設計が中途半端のままか。あやつめ、後の連中に仕事を押し付けおったな。
列車砲はどうした。
あれもまだ調整中だと?
[未だ世に出ていない兵器も、多数存在する。*]
[
また湖の上に信義の帆が広げられた頃。
老いたる将の姿は、多脚戦車に付き従う指揮車の中にある。]
まだまだ若造には負けんよ。
[上部ハッチから半分ほど身を乗り出し、双眼鏡を片手にくかかと笑っていた。*]
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