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―メレディスの自室へ―
つまんなくても聞いておかなきゃいかんでしょ。
何も知らないのに契約とか出来る訳ないじゃんか。
[ところでどれ位休憩して良いの?と訊ねつつ、
促されるままに彼の部屋へと入って行く。
厳密に自分だけの領域を持たない人魚にとって、
それは少しばかり不思議な体験。
面白そうに部屋中を見回している。]
悪いんだけど、説教の前にちょっと脱ぐの手伝ってくれる?
[積み上がった魔術書や、それを実践するための素材なんかが
所狭しと並んでる部屋へ、カスパルを通す。
広くはない部屋に溢れるものは、きっと、カスパルにとっては
珍しものばかりだろう。
カスパルに手伝ってもらいつつ、先に上着を脱いで、先ほどの戦いで
ダメージを受けたらしき、左腕の様子を確かめようと]
[本の類はその厚さや豪奢な表紙のつくりから、相当高価な
ものなのだろうと値踏みなどして。
素材はパッと見では意味の解らないものばかりなので
視界に入れるだけに留めておいたが、触れる機会があるなら
それはもう弄り倒してみたくはある。]
脱ぐって、良いけど……。
その、平気なの?
[作り物の手足を曝け出すのは慣れているのだろうか、
あまり気分の良いものではないのではと、若干引き気味ながら
脱衣の補助を行った。]
いいって、……隠してもしょーがないだろ?
平気かどうかは、見てみないとわかんないな……。
[脱ぐのも、患部を見せるのも、そういうものだと諦めてしまえば、
べつにどうと言うことは無い。
相手がネイバーなら、尚更だ。
カスパルの手を借りて、制服とシャツを脱ぎ去ると、
マネキンのように滑らかな手先と、手首から肩にかけて金属が
剥き出しの義手があらわになる。]
ああ……、やっぱり色変わってるな……。
[赤く痛みを伴う、義手と皮膚の境目を見て顔をしかめる。
引き出しから、火傷用に調合した軟膏入りの瓶を取り出すと、
手の届く肩までは自分で塗る。]
やる事はやったから、時間は心配しなくていい。
それより、これを肩の後ろに塗ってくれないか?
[さすがに自分では肩甲骨の辺りまでは、手が届かないので。
カスパルに変色した境目を塗ってもらおうと]
それで……何から話せばいい?
それともお説教が先かな?
[ベッドに腰掛けたまま、カスパルに問いを向ける。]
そういう意味の平気じゃないんだけどな。
ま、いいや。
[制服とシャツは適当な所に放り投げ、作り物の腕が
どのように繋がっているのかを見たくて凝視した。
生身と無機質の境目は赤く変色し、痛みが軽度ではないとは
明らかである。]
なあ、これ良くあるのか。
酷いってもんじゃないだろ。
[今の今まで何度も何度も繰り返して来たのだろうか。
1人で、こうして薬を塗って耐えていたのかと思うと
自然に薬の塗られていない部分に指を触れさせていた。]
[人魚の体温は非常に低い。
患部にもそれなりの冷たさは伝わるだろう。]
ああ、これ塗るのね。はいはい……。
でももしメレディスと契約したら、毎回こうなんのかなあ。
[薬を塗り込めながら、先の事を考える。
そう思う事自体、既にメレディスを切るという思考は
頭から省かれているのだとはまだ気付いていない。]
そうねえ、メレディスの事から聞きたいな。
なんでこうなったのか、なんでそんなになってまで
召喚師やってんのかとか……全部聞かせて。
[薬を塗り終えればベッドに転がって、一応の話を聞く体勢。]
ん…? まあ…それなりにかな?
今回は炎の熱が金属を伝って、こんな風になったけど。
全力疾走とか、無茶しなきゃ平気平気♪
[痛むことはあるが、カスパルが思うより頻度は
少ないんじゃないかと思う。
とは言え、両親が大金をかけて義手と義足は、
直接組み込まれた肉体に自信と負荷を持たらしてくれるのは、間違いない。]
[カスパルが海の者だからか、ひんやりとした指の感触が、
とても心地いい。
こうして誰かの手が触れる事自体、久しく。
幼い頃に看病してくれた母親の手を、思い起こさせる。]
いいな……、誰かの手が傍にあるって
[単にこういう時便利だとか、そういう感情ではなく。
それ以上の他意を含まぬまま、声が漏れた。]
■訓練生への課題
ネイバーと契約する条件について、人間同士(共鳴窓)で話し合ってみること。
主従関係にするのか、報酬を支払うのかなど
(第1イベント終了後、数日が過ぎている感じです。緑窓は、その間のどこかという感じを想定しています)
※参加しなくても卒業に問題はありません。
※全員で一度に集まらなくてもいいし、コアズレの場合は相談帳みたいな感じでも可
※つまり無理のない範疇でどうぞ
……変な奴。
[薬を塗り終えても、出来るだけ冷やしておこうと
熱を持つ部分から手を離さなかった。
誰かの存在を受け入れている、その言葉に
何故だかとても悲しい気分になる。]
普段は誰も居ないのか?
いつも1人でこうしてるとか……。
[話が終わったら、今度は説教のターンだと思っていたのに
これでは出来そうにもない。]
もちろん1人だよ。ここは1人部屋だしな。
そうだな……なんでこうなったかと言えば、俺のミスなんだけどさ。
[そもそもの事の起こり。
1年前の失敗を口にすれば、彼はくだらないと一蹴するだろうか。]
俺の家系は代々、召喚師を輩出してきた家柄でね。
だから当然、いつか俺もそうなるんだと信じて育ってきたし。
そのつもりで、ひたすら腕を磨いてきたつもりだった。
[そして兄達ヘの競争心も]
けど、名家と言っても三男坊なんて、誰も気にかけること無くてさ。
悔しいから一発、デカイことして親や教師達の鼻を明かしてやりたいって思ってね。
[昨年、まことしやか囁かれた噂を思い出す。]
去年の試験で――ジンを――風の王を呼び出したんだ。
……で、純粋な風の精霊を制御できなくて、
そのまま、向うに引きずり込まれそうになって、
慌てて魔法を遮断した……その代償がこのざまさ。
[と、肩を竦める。
彼にウケルかわからないが、事情と言えばそんなもの。]
父親の背を見て、俺もいつかは召喚師になるんだって思ってきた。
その時は誰よりも強い召喚師になるんだって、兄たちを見て決めた。
だから俺には『召喚師』としての、生き方しか知らない。
とまあ、俺の事情はそんなもんだ。
カスパルは?
次はカスパルの事を、教えて?
[彼に家族は? 恋人は? 友人は?
自由に泳ぎ回っていただろう処を呼び出されて、今どんな思いでいるのだろうか。
なんでも、彼の事を知りたいと思う。**]
[メレディスの身体に関する出来事、そして彼自身の今までを
少しでも知りたくて話に耳を傾けた。
……しかしこれがまたとんでもない大馬鹿者だった。]
バァッッッッッカじゃねーーーーーーーの!?
うわー聞いて損した、なんだよ結局自分の意地拗らせて
そんな神にも相当する奴喚んで自滅とか!!
お前ねー、精霊って意味解ってる?
自然、其処に起こる現象そのものよ?それをたかが人間一匹が
支配出来ると思ったか!?
いやまあ思ったから挑戦したんだろうけどさ。
[言いたい放題である。]
家族が偉い人だから後を追い掛けたくなる気持ちは
解らないワケじゃないけどさ……もうちょっとゆっくりやれよ。
お前の父さんだって、不定形生物から始めたかもよ?
でも、なんでそこでまた俺というか水の魔を召喚しようと
思ったのかも気になるっちゃー気になるけど。
[自分達のような人魚族、まして男性のマーマンはマーメイドに
比べてあまり価値というか位は決して高い方ではない。
だとするなら、このメレディスの身体だ。
目的は、やはり?]
もしかして、東の国の伝承とか信じてたり?
[人魚の肉を食らえば不老不死。
そんな都合の良い伝承が語られている所があるのだとか。]
で、俺の事だっけ。
[まあ自分を呼んだ理由は置いておこうか、と手をひらり。]
俺は別に大した事はないなー。
集落で普通ーに暮らしてる、人間で言う所の平民ってやつ。
家族は父さん、母さん、そんで妹。当然皆人魚な?
[特に話す事はないんだけどな、と前置きして]
毎日深くまで潜って海草を取ったり、
魚と競争して遠くまで行ったり……そんな事してたよ。
[それくらい?と話を切る。
まだ何かしらを腹の中に収めたままのように見えるが……。**]
うん、言うと思った……。
[反応は予想通り。
しかし、もう少し声量を抑えてくれるとありがたいなと思えど。
彼がそんなことを気にする性質じゃないだろう事は、ここまでの短時間で理解できていた。]
俺もそう思うよ。
……馬鹿だったんだ、若気の至りって言う奴だよ。所詮はさ。
[カスパルの言い分はもっともだ。
だから彼の言葉に反論はしなかった。
けど、彼が口にした東の伝承に関しては、違うと首を振る。]
人魚の肉や血を口にした者は、不老不死になる――とか?
違う。俺はそんな噂話を期待して君を呼んだんじゃない。
あの海には個人的な思い入れがあってね……。
昔、亡くなった祖母の別荘の傍にある海岸で、人魚と出会ったんだ。
大人には内緒の友達さ。
たった一日だけの友達になっちゃったけど……。
[もう記憶が遠過ぎて、はっきりとは覚えていないが。
幼い頃、訪れた海の記憶は、そこで出会った人魚との
邂逅を呼び寄せる。
今となっては、あの人魚がマーメイドだったのか、マーマンだったのか。
中性的な外見と、あの頃の年齢故に定かではないだけれど。
それでも『また、会おう』と約束した事だけは、今でもはっきりと覚えていた。]
もし、その時の人魚に出会えたら。
『約束』をはたせるかなと思って、
それでその海の水を手に入れて、召喚を試みたんだ。
そこで現れたのが君だった――って、わけ。
[結局、その約束は果たせないまま。]
でも、呼び出す俺自身でさえ記憶がぼやけてるんだから。
どんな奴が来るかなんて、予測付くわけないんだ。
言葉が通じない手合いだったら、どうしようかと思ってたけど、
ちゃんと人魚族を召喚出来てよかったよ。
[少なくとも意図しない種族を呼ぶことは無かったんだから、成功だ。]
――そういや、髪の色もなんか似てる気がするな?
まあ、俺の事はこんなもんで良いや。
それで――ご両親と妹さんがいて、カスパルは海藻を獲るのが
得意なのか。
やっぱり、お友達だから魚は獲って食べない?
[興味深い、彼の家族や日常の話に耳を傾ける。
ひょっとしたら、あの時出会った幼い人魚は、彼の妹なのかもしれないと思えど。
人間とは寿命も成長過程も異なる彼らの関係性を考えれば、可能性の海は広く深すぎて、形はつかめそうにない。]
じゃあ今度、呼び出した時には、その辺を考慮した料理を作ってみるよ。
[こちらでの栄養補給をどうするかの話題には、そんな風に答えたのだった。*]
―数日前 ―
ちょ……カスパル?
え、お前何やってんだよ!?
[厨房での戦闘のあと、自室に招いて時間の許す限りを、
互いの理解のために充てようと試みて。
そして、いよいよ元の世界へ還す頃合いを迎えた頃、
それは起こった。]
これ……て、っ…はげてるじゃんここ!
何でこんなこと……、痛いだろ?
[突然の事に驚いて、思わずカスパルをお前呼ばわりしたこと
にも気づかず。つい叫んでしまった。]
大馬鹿野郎はどっちだっつーの!
ちゃんと帰ったら手当しろよ……、傷から病原菌に感染したら、
大変なことになるんだからな。
[こんな思いをして差し出されたものを、受け取らないなんて選択、
出来るはずがない。
慌てて大きな鱗を受け取り、代わりに軟膏を鱗の禿げた所に
塗ってやる。
気がつけば、額に冷や汗をかいていた。]
……それと、『これ』ありがとうな。
[我に返って、改めて感謝を述べる。
ひんやりとした手のひらに収まる鱗は、遠い海と同じ色をして。
透き通ったその身に光を受けて、きらりと輝いた。*]
―数日前の―
違うの。
欲しいって言えばやらない事も……
[彼は人魚の肉の話を思って召喚した訳ではないと言う。
だとするなら一体何が彼をあの大海へと向けさせたのか、
余計知りたくなった。
ただ、途中で飲み込んでしまったが
彼が肉を求めるなら、考えなくもないと思ってしまったのは
何故なのか。自分でも少し理解出来ない。]
あの海、って。
あれ?
[メレディスはあの海に来た事があるらしい?]
まさか、そんな。
[此方と向こう側は世界の線が隔てられている筈、人間が容易に
足を踏み入れられるものでは無い。
いや、しかし。彼は召喚師の家に生まれたと言っていた。
とするなら魔法の素養はある。何かの拍子で世界の線を越える事は
十二分に有り得る。]
[また、彼の話に記憶の奥で何かが引っ掛かり始めた。]
へぇ……すげえじゃん、召喚以外で人間が人魚に遭遇するなんて
普通有り得ないんだぜ。
[適当に話を合わせておいたが、人魚の頭の中は玩具箱を
引っくり返したかのように散らかっていた。
無理も無い、幼い頃に好奇心で岸まで近付いてみれば
人間の子が居て……一日を共に過ごした記憶が
彼の話と一致していたのだから。]
[あまりにも遠い過去の出来事であるから、その人間の子の
顔がどうであったかは全く覚えて居ない。
潮騒の中で一人寂しく泣いたのが、その思い出の締め括り。
人間とは、それから長い年月を経て召喚されるまで会う事無く。]
……ま、まあいいんじゃねえ!?
もしかしたらどっかでまたその人魚に会う事もあるだろうし。
諦めずに召喚とか頑張ったら良いさ。
[おぼろげな記憶の一欠片。
約束の証だと、土産に持たせた小さな小さな鱗。
幼い人魚のものだから、水の気配も何も持たないただの鱗だが。]
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