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― 嵐の前/「蛟」 ―
『キューィ』
[ 乗艦となる「蛟」の姿を…というか、その見張り台に居た艦長代理の姿>>0:136を先に見つけて、声を上げたのは騎竜の方だった。向こうでもこちらを見つけたのだろう、笑顔で手を振る姿にディークも手を振り返す ]
遅れてすまーん!...てか、ヤクモ、落ち着け!見張り台に居る人間にじゃれついたらあぶねーから!
[ しったぱったと長い尾を振って、ガートルードに擦り寄っていかんばかりの相棒を宥めつつ、甲板へと降り立つ。
陽竜とも呼ばれる名の通りに、明るく人なつこい気質のヤクモは、「蛟」の本来の艦長にも懐いていたが、その娘の方も殊の外お気に入りで、姿を見るだけではしゃいでしまうので、毎度こうして宥めるのも既に慣例となっていた ]
いまんとこ問題なさそうか?
[ 艦長代理の人柄に合わせて、普段は敬語を使わずにいるディークは、見張り台から降りたガートルードに常の如く艦の様子を確認したが、その脇で、なにやら毛布っぽいものから手足が生えているのを発見して、思わず一瞬固まった ]
な、なんだ?て、ウルズ?
[ ガートルードのかけた言葉>>0:138からそれが彼女の友人でもある精霊師だと知って、思わずヤクモと顔を見合わせた ]
『キュィ?』(このひと、大丈夫かな?)
…だいじょーぶには見えねーな。
『キュキュ』(見えないよね)
[ こそこそと小声と竜の鳴き声で交わされた「会話」は、余人には意味のとりにくいものだったろうが、誰の事を言っているのかは、状況から判ったかもしれない。
しかし、そんなやりとりも、統制室からの通信の内容>>0:132によって、中断する ]
了解!
[ 確認を指示するガートルードに>>0:152応答した時には、ディークは既に騎竜の背に戻っていた ]
一旦、先行する!光が見えなくなったら減速してくれ!
[ 光竜が身に帯びる輝きは、灯台の光のように船を導く。ディークが水軍の所属となった理由の一つがその騎竜の特性にある。
偵察の際も、艦艇と速度を合わせて先行するが、その光が見えなくなる時は突発事態が起きて速度を上げたか、天候のせいで視界不良となっているかのどちらかだから、減速或いは停船するのが常道だった ]
[ 間もなく「蛟」を飛び立った騎竜は、しかし、いくらも艦から離れぬうちに、進路の先に乱気流の気配を感じとる ]
『キューィ!』
判った、無理はしねえって。
[ それでも先行できるぎりぎりまで飛行して、嵐の規模を見極めようとしたが ]
…ち!これ、やべえ、かも。
[ 感知してから嵐の中心に遭遇するまでの時間が短かすぎる。これは回避不能だと判断せざるをえなかった ]
ヤクモ!
『キュー!』
[ 名を呼ぶだけで意図を察した騎竜が大きく旋回して「蛟」へと帰投する進路をとる。騎竜が着艦したと同時に、ガートルードによる精霊術が船を水の膜に包み込み>>0:168、船団全体が嵐のただ中に突っ込んでいった ]
― 嵐の後 ―
[ ヤクモを竜舎に入れた後は、嵐の中で出来る事は、他の乗員と大差なく、精霊術の加護もあって、どうにか無事に風雨を抜けた、その先で… ]
うっわ、まじかよ?
[ 船団が分断されただけでも冗談ごとではなかったが、続いて現れた私掠艦隊と、為された宣戦布告に等しい通告に、思わずげんなりした顔になったのは仕方ないだろう ]
休む間もねーって?しゃーねえなあ…
[ それでも戦闘準備の号が発せられれば>>30、敬礼ひとつ ]
出るぜ。戻るまで、沈まないでくれよ?
[ 騎竜師として、敵にあたる、と、告げる声音は平時のままだったが、一瞬、視線はまっすぐにガートルードを見つめ、やがて、光の竜と騎竜師は、輝きながら空へと向かう ]
― 交戦開始時/「蛟」 ―
さっすが姐御。頼りにしてるぜ。
ウルズも、サンキュー!
[ 言わずもがなの、ディークの言葉に、当たり前とばかりに応じたガートルード>>59に、騎竜の上から笑いかけ、飛んできた光の球>>69を認めるとウルズの方へも軽く手を振って、そのまま一気に上空へと翔け上る。
年下の艦長代理を時折、「姐御」呼ばわりするのは、ディークにとっては信頼の証だ。ちなみに、彼女の父親に対する呼称は「親父さん」となる。
実の父親とは顔を合わせれば「石頭」「馬鹿息子」の応酬になることを思えば皮肉といえば皮肉だが、その親子喧嘩にしても、艦長親子…ひいては、この艦の乗員にも、ちょっと過激なスキンシップ程度に認識されているぽい、というのは余談 ]
よっしゃ、来たな。
[ 輝く竜は、船団と敵艦隊、両方を見下ろせる高度まで昇り詰める。その位置まで昇れば、弓矢は勿論、余程力の強い精霊師でなければ、直接術での攻撃を仕掛けるのも難しい筈だ。
それでも二つ目の太陽のように輝く騎竜を、敵が見逃すはずもなく、精霊師の命を受けた風や炎、雷といった精霊達が、後を追ってくる ]
いくぜ、ヤクモ!
『キューィ!』
[ 精霊達の放つ炎や水を避けながら、光竜は輝く皮膜翼を大きく広げ、降り注ぐ日の光を集めるように羽ばたく。翼の表面に集まった陽光は、精霊達の放った力まで、その輝きの中に飲み込んで ]
放て!
[ 光の嵐は、さらにその先でいくつもの光球に別れて、精霊を放った術師に向かって飛んでいく。
精霊力が拮抗していれば、光球は、ただの眩しい光になるが、相手の力が低ければそれなりのダメージを与えるはずだ ]
[ そしてダメージ以前に、その光の行く先は、精霊師達の配置を味方に教えるはずだった ]
[ 光に照らされた海上では、八幡、シュタイフェ・ブリーゼ、蛟、水夜といった各艦がそれぞれに交戦を始めた様子が見える。接舷を避ける艦が多いのは、嵐での損傷を考えて、だろうが、砲撃も若干控えめに見えるのは… ]
なんかこう…似た者同士の集まり、みたいな?
[ ガートルードは言うに及ばず、恐らく、他にも艦長級が、敵船に直接乗り込んでいったのだろうと、うっかり予測がついてしまって苦笑が漏れる ]
[ そして、旗艦八幡を護るように飛ぶ雷龍の姿も、視界に捉えて ]
おっさんばかりに働かせるわけにゃ、いかねーってか?!
『キュキュ!』
[ それはちょっと失礼だよ、と言いたげなヤクモの鳴き声に、ディークは笑う ]
八幡はシロウ殿に任せれば問題ねえ。俺らは、出来るだけ撹乱するぜ、いいな?
『キュー!』
[ 了承の鳴き声と共に、昇った時とは逆に、一気に上空から敵艦隊の正面めがけて光竜は急降下を敢行する。まるで中央突破を狙うかのような竜の襲来に、慌てて攻撃がかけられるが、それにはかまわず、ディークは腰に差した刀を騎竜の上で抜き放った ]
右!あの船の後甲板!
[ ヤクモに指示するのは、上空で目星をつけた精霊師の中でも強い力を持つ者達が固まっていると思われる場所 ]
[ 当然のごとく術での防御を試みる相手に、ウルズから預けられた光精を刀身に纏わせ ]
いっけー!
[ 一気に離脱してから、戦果を確かめるように上空を旋回する。追撃が来ないところを見ると、ほとんどの精霊師が行動不能に陥ったようだ ]
よし、次行くぜ、ヤクモ。
[ 休む間などない、と刀を納めもせぬまま周囲を見渡すと ]
『キュキュー!』
[ 少しだけ心配そうな声をあげたヤクモに、小さく笑って、鬣を軽く撫でた ]
心配すんな、師匠との約束だ。命は大事にするって。
/*
ふうやれやれ、あ、今更ですが遅刻常習犯ふかふかでっす!
ちょっと昨日は体調不良で死んでたんですごめんなさい。
多分今日からはがんばれる、はず。
しかし悉くヤクモの攻撃の出目の方が大きいあたりwwさすがラ神というべきかwww
[ 光と翼と刀を駆使して、ヤクモとディークは、敵艦隊の間を飛び回り、ある時は囮役となり、ある時は先制のきっかけを作って一撃離脱を繰り返した ]
そーろそろ、落ち着いてきたか。
[ 元々あまり統制の取れた動きをしていなかった私掠艦隊が、明らかに迷走し始めたように見える ]
誰かが頭を叩いたかね?
[ 文字通り叩かれている>>150ことは知る由もなかったが、そろそろ引き際だと直感が告げていた ]
よしよし「蛟」は、無事、と...?
[ 一度上空へ高度を上げ、乗艦と友軍の安否を確認しようとしていた時、ウルズから送られていた光球が、ちかちかと何か言いたげに瞬いた。
精霊師ではないディークには、具体的な言葉としては聞こえなかったのだが ]
『キュィ!キューキュー』
ああ?ガートルードが、海に?
[ そこは同じ属性の強みか、ヤクモの通訳を受けて、光精がガートルードの居場所を教えようとしているのだと判る ]
戦闘海域を泳いで帰るってかあ?
親父さん譲りにしたって、ワイルドすぎるぜ、たく...!
[ 水の精霊の護りがあればこそとは判っていても、敵にも精霊師もいれば、海中には精霊では防げない危険がある可能性もある。
呆れたような物言いとは裏腹に、心配を表情に滲ませて]
『キュキュー』
大丈夫だ、無事じゃなきゃウルズからもなんか言ってくる筈だからな。
迎えに行くぜ。
[ こちらは声にも心配そうな響きが顕われるヤクモを、宥めるように撫で、光精の先導に従って進路を変える ]
[ やがて「蛟」を目指すガートルードの姿を見つければ、彼女を拾い上げて一旦、艦へと引き返すことになる。
「八幡」から、カナンの指示>>157が伝えられたのは、艦へ帰り着いた後だったろうか? ]
[ いずれにせよ、燃え上がる敵船のマストが>>158戦線離脱のタイミングである事を、はっきりと知らせていた** ]
[ 光精を頼りに姿を見つけ出してみれば、あまりにもいつも通りのガートルードの様子>>179に、肩をすくめ ]
時間が惜しいってのは...まあいいや、急げばいいんだな?
[ しかし、彼女の言葉の中に、常とは違う意志を感じて、すぐにガートルードを自分の後ろに引き上げる ]
ヤクモ!
『キュー!』
[ 名を呼べば、心得たとばかりに応じた騎竜は、海上に光の軌跡を残しながら、最速で「蛟」目指して飛ぶ ]
― 「蛟」艦上 ―
[ そして、戻った艦ではウルズも待ちわびていたろうが、艦長代理としてのガートルードの言葉に>>180乗員達の動きは一変する ]
こーゆーとこも親父さん譲りだよなあ。
[ 養子であることは知っている、けれど、彼女の言動の端々に、そう感じずには居られない...と、ぼそり呟いた ]
[ こうなると、ディーク自身は口を差し挟む権限も必要も無い。一体となって動く「蛟」の乗員の一人として、艦長の指示に従うだけなのだが ]
そういや、さっきからあちらさんの動きが急におかしくなってんだよな。
もしかすると、どっかに隠れてた「頭」を叩いた奴がいるんじゃねーかと思ったんだが。
[ 自分の目で見た事の報告は必要と判断して、それだけは告げておいた ]
[ 間もなく「八幡」からカナンの通信が全軍へと届き、それに従って船団あげて全力での離脱が試みられ...>>182 ]
うーん
[ 戦闘海域を離れたと判断できた所で、小さく唸って頭を掻いた ]
なんつーかこう...今度は簡単にいきすぎっつーか。
[ まさか、これも罠とか言わないよな?と、少し心配になったのだが...異変はその時、既に始まっていた>>188 ]
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