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11人目、雷華の族長 ガートルート が参加しました。
雷華の族長 ガートルートは、従狼 を希望しました(他の人には見えません)。
─外界・石の並ぶ庭園─
[薄い雲の合間から落ちる陽光が、打ち捨てられた冷たい石に注ぐ。
その上に腰掛けた男は、天を仰いでゆらゆらと無為に足を揺らした。
ひゅるりと忍び込むように吹き込んだ風が、石に掛かるその赤灼の髪を煽ることはない。
同じ色をした燃えるような赤い花だけが、足元で風に揺られていた。
何度巡ったかも分からない季節。
途方も無い時を生きる身に、花の名残りを惜しむ情緒なんてものは、余程退屈が過ぎる時の暇潰しだ。
そうして今まさに、男は暇潰しに興じていた最中で。
しかし待ち人よりも先に、どうやら迎えが来たようだ。逆巻いて吹いた風にゆるり首を巡らすと、慣れ親しんだ声が己を呼んでいる。]
『 ガ ァ ト、 かえ ろ 』
『 かえ ろ 』
[ざわり、木々に騒めきに似た音に、男はひとつ伸びをした。]
また、会えなかったなァ。
[言葉の意味とは裏腹に、残念がる響きは無かった。
組んだ指を解いて、爪先を地面へ下ろすとのんびりと笑う。
会う約束もない、己を知りもしない待ち人は、けれど必ずここを訪れるだろう。
ならばせめて、言伝を。
さくり、草を踏みしめた一歩ごと、その足跡に芽吹く鮮やかな緋色。
咲きひしめき合う
弧を引いた唇から、鋭い犬歯が覗く。]
────……、
[誰に向けたものか。
呟きは空気に溶けて、代わりのようにパリ、と乾いた音が大気を裂く。
雷の疾る音と、何処か遠くで哭く獣の遠吠えだけを残して、男の姿は掻き消えた。]*
─雷華の領域・本陣─
────────……
[ぺしゃ、と。濡れた感触が顔を撫で回す。
腹の上にのし掛かる重みと、ハッハッと耳のそばで聞こえる獣じみた短い
再度、べろ、と口の周りや鼻を濡らされ、アッコレ舐め回されてる、とやっと気付いた。
重い瞼をこじ開ける。
ぼやけた視界を覗き込む、アイスブルーとエメラルドの二対の瞳。]
────…ンぁ。
[拍子抜けしそうな声を上げて、男はくぁ、と欠伸をした。
腹に前足を乗せた二匹のハイイロオオカミが、忙しなく冷たい鼻を擦り付けてくる。]
『 ガァト、おきた 』
『 おきた、おかえり 』
[両手を持ち上げ、二匹の頭をがしがしと撫でてやる。やがてのっそりと上体を起こして、男は不遜に笑った。]
よぉ兄弟。お迎え御苦労な。
──はて、"今"はいったい"いつ"だ?祭りはどうなってる?
[古来より、髪とは力の象徴される。
気怠げに掻き上げた赤灼色の髪は寝床に緋色の波を作るほど長く、毛先に行くほど金色を帯びて稲妻のように纏い付く。
どれ程の力を溜め込んでいるというのか。
戦乱の民であればひと目で畏怖する緋の波。そして、雷華の長たるその象徴──側頭部から長く後ろへ伸びる、羚羊の角。
前髪の奥、嵌め込まれたふたつの琥珀は、酷く楽しげに細められ。]
どれ、兄弟。
確かめに行こう。
[来てるんなら、いの一番に迎えに行かなきゃならん。
言って立ち上がった男──雷華が族長、雷華・ガートルート・ミョルニルは、二匹の獣を連れて歩き出す。向かうは『戦舞台』──異界門のある場所へ。]
─戦舞台・異界門から少し離れた森─
ああぁぁああ、もぉォォおお!!!
[鬱蒼とした森に苛ついた声が響き渡る。
軍服に帯刀、白地に群れ為す緋色の雷花をあしらった陣羽織。
2m近いであろう長身に、赤灼と金糸の髪と羚羊の角。その威風堂々たる出で立ちは、強者のひしめくこの譲葉でも名の知れた神か魔人かと、ひと目で知れたものだろう。
しかし、男の力の象徴たる髪と角は、物の見事に藪に引っ掛かっていた。
取れない。
絡まってすごく取れない。]
だぁかぁらぁ厭なんだよ俺は──…
ズルズル伸ばしたってさー、見栄えの問題だろコレ…髪切ったくらいで衰えるかよクソがぁあ…
[ぐちぐちと呪詛めいた調子で枝から髪を引き離す。
長い髪は一族の所謂ステイタスでもある。
切ると周囲が煩いのだ。兎に角煩い。煩わしくて昼寝が捗る。]
もうヤダ帰って寝たい…超寝たい…
あーーあーーでもなァ、来てるもんなぁ多分、絶対
[誰に聞こえる訳でもない(筈の)泣き言を零しつつ、又ぶちぶちと髪を枝ごと引き千切った。
いの一番に、己の従者を迎えに行くつもりだったのに。
寝坊のうえ、最初の敵が藪と木の枝だ。面倒がるなという方が無理である。
しかし、異界から人間を態々巻き込んでおいて、下らぬ理由──主に面倒とかそんな──で引き下がりも出来まい。
ガートルートは、諦めたように木の幹に背を預けた。]
ウル、シヴ。
[呼べば、足元で丸まっていた二匹のハイイロオオカミが聡い目でこちらを見上げてくる。]
門まで先に行って、誘導してきてくれ。
匂いでわかるだろ?
他の連中とは事を構えるなよ、ルール違反になっちまうからさ。
[狼たちは首肯して、鼻を高く上げる。
目的の匂いを見付けたのか、小径の奥へと走り出して──二匹は振り返った。]
『 ガァト、もどるまでに、かっこわるいのなんとかしなよ 』
『 しなよ だいぶかっこわるいから 』
[言われた当人は、顰め面でシッシと片手を振る。全くもって心外だ。]
心配ない。
俺の格好良さは木に引っかかったくらいでは全く目減りしないからな。
早よ行け。
[言い切った琥珀色の瞳には、己が発言に対する一切の迷いも謙遜も無かった。]*
……容易く手折れてしまう枝は、花も儚きもの。
そのような『
故に、飽きる。
おお、
健勝そうだな、何よりだ。
[近付く気配>>126に、藪に引っかかった緋色の獣はひらひらと手を振る。
毟った髪はパリパリと音を鳴らし小さな雷が空に散った。
どうにか角は枝から外れたらしい。]
見た通り木々にも愛されるものでな。
離してくれんのだ。
[モテる男はどうにもつらいな。真顔で言い放って肩を竦める。引き摺るほどの長さが鬱陶しくて、枝から枝を乗り移って移動してきた。
ここらで良いかと下に飛び降りてみたら、まあこの様だった。]
ついさっきようやく上の枝が身を引いてくれたところだったがな。
なんの事はない、御主が来たからか。
[どうやらこの美女は、御主の方が好みらしい。
言って豪胆に笑う男の頭上には、今は葉のみが生い茂るが、春には満開の薄桃色を咲かせる枝。
角の一振りで手折れたであろうその枝を、男が敢えて傷付けようとしなかった理由に、目の前の魔神は気付いたかどうか。]
ん。桜の。
従華はどうした。始まってもいないのに、また飽きただのとほざくつもりじゃないだろうな?
[蒼月の周囲に他の気配が無いのを見遣り、呆れ顔で首を捻る。
けれどもすん、と鼻を鳴らしてみれば、大気に混じった異界の者の匂いは、確かに四つ。『来て』居るのは明白だ。
長い永い生を過ごす桜の魔神が、且つて水面に花弁を落とすように、そっとその心の内を零した事がある。>>124
あの時の己には、よく分からなかった。飽きたと繰り返すその心境も、望む答えも。
否定も肯定も浮かばず、そうか、と短く応じて、それきり黙って欠けた月を仰いだのは、もう随分と遠い記憶。
だが。]
頭を使い過ぎだ、寂しん坊め。
[フン、と小さく漏れた息と言葉。
蒼月にそれが聞こえたかは分からないが、緋色の獣は、にんまりと笑った。]
退屈嫌いの御主に朗報がある。
此度の選には、──
[ドヤ顔で言い放つ。
雷華が四君子として『王華の選』へと挑むのは、先代が退いて以降初めての事だ。
ガートルートは、受けて立つのみの戦を好まない。喚び出した人間を己の牙とし、争わせ勝敗を決めるこの譲葉のシステムは、彼にとっては嫌悪すら抱くものであった。
そして何より、栄華にも名声にも、さして魅力は無い。
彼は昼寝が好きで、戦が好きで、放浪が好きで、そしてそれは王などと言う面倒なものに成らずとも手に入るのだ。]
ゆえにな。心配せずとも、御主『の』千年紀は来ん。
だからまあ、なんだ。安心して──楽しめ。
[暗に己が勝つのが当然だと言わんばかりの挑発。藪に引っかかったままの男の言とは思えぬ程に、その声には迷いも淀みも無い。
無論、楽しめと言ったその言葉にも。ひと欠片の嘘も、無かった。]*
[枝を手折らぬ理由が知れたか。流石、と返る言葉>>157にも、思いのほか楽しげな様子>>158にも、満足げにひとつ頷く。
他人が笑う様は好い。辛気臭いのは生まれ持った性に合わないのだ。
蒼月の唇から滑り落ちた本気を出す、互いに楽しめれば、という言葉>>159に、ガートルートはからりと破顔した。]
応!
それは楽しみだ、────お、?
[と。
不意に、良く知った獣の息と足音が草を鳴らして。]
シヴ。お迎えご苦労な。
[足元に纏わり付いたハイイロオオカミが、頭をもたげて咥えた軍帽を差し出してくる。>>147
労うように頭を撫でた。そうして、少し遅れて木々の合間から現れたもう一匹と──もう一人に、視線を向けた。]
『 …私を“呼び出した”のは、貴方でしょうか。』
[こちらを確かに捉えた、銀色に輝く蒼に。向かい合う琥珀が、ゆっくりと細められる。
また、後にな。傍の魔神が寄越す挨拶>>160への返事もそぞろに、緋色の獣はゆるりと一歩、足を踏み出した。]
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