情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
[……と、目に止まるのはブティックの前にとどまる人影だ>>65
恰好こそ少年のようだが、どこか違和感を感じさせるその立ち振る舞いに、静寂は束の間目を細めた]
『昨今は、あのような恰好がはやりなのかえ? 妾にはよくわからぬ趣向じゃの』
[ブティックの洋服を黄色い瞳でじっと見据え、“蛇”がそう口にする]
はは、貴女のセンスはそりゃ古そうですからねぇ。
でも、あれも私は少々行きすぎかと……、おぉっと。
[思わず実声で応じてしまい、静寂は慌てて口元を押さえた。
一人で見えない何かとお喋りする姿は、世間的に見れば頭の残念な人以外のなにものでもない]
(一般的には、もうちょっとカジュアルな格好が主流ですよ。
あれはあの洋服店の傾向でしょうね。そういうブランドなんです)
[そう声に出さずに説明を加えたが、“蛇”はますます不思議そうに瞬いただけだった。
おそらく、カジュアルとかブランドとか、そういうカタカナ語に馴染みがないのだ]
(えっと、仕立てた職人の傾向みたいなものです)
『ふむ、なるほど』
[彼女にもわかるように説明を正すと、ようやく得心いったような声が返ってきた。
いったい何の時代から生きているのだろうかという素朴な疑問がわいたものの、一応口を噤んでおく。
女性に年齢を尋ねるのはタブーだ。
相手が得体の知れない蛇の容姿をしていたとしても、女性は女性。
わざわざ地雷を踏む趣味は、今の静寂にはない]
[そうこうしている内に、先ほどの少年とも少女ともつかない人影はブティックの前から消えていた。
気が付けば、ぼんやり道の真ん中で立ち止まっていた状態だ]
うぅ、朝食を食べ損ねてしまったせいでお腹が空きました。
コンビニで何か買っていきましょう……。
[いかにも情けない声音でそう嘯いて、静寂は空腹を示すようにお腹を押さえる。
“蛇”のため息が耳を付いたが、聞こえないふりをしてスルーした**]
/*
さて、遅ればせつつご挨拶を。
MissLiedと申します、GMG本家への参加は2回、外伝はこちらがお初です。
至らないところも多いかと思いますが、楽しい村にできるように頑張りたいと思います。
皆さん、どうぞよろしくお願いいたします……!
/*
今回は表面上は情けない男を演じつつ、裏では人狼に率先して協力するような腹黒い狂人をやっていきたいのですが、果たしてうまく行くでしょうかねぇ……。
舞台を引っ掻き回せるよう、狂人として頑張って立ち回りたいところです。
――公園――
[コンビニでの買い物を済ませると、ビニール袋片手に向かったのは公園だ。
“蛇”は『朝食くらい旅館に戻って食べれば良かろう』と言うものの、さすがにコンビニの袋を下げての帰還はあてつけがましいだろう。
入り口そばのベンチに腰かけて、ビニール袋から惣菜パンとコーヒーを取り出す。
パンを一口齧ってから、見るともなしに公園の内部を眺めた]
……昔は、嫌な事があるとここに逃げ込んだものでした。
[唐突にぽつりと溢すのは、誰に聞かせるでもない呟きだ。
傍らでとぐろを巻いた“蛇”は少しだけこちらの横顔を眺めたが、さして興味がある話題でもなかったのだろう、すぐに頭を下ろして目を瞑った]
叔母も亡くなって、もう既に実家は残っていませんが、近所の家に住んでいた上級生が相談に乗ってくれたりしてね。
あの人は今もまだ村にいるのでしょうかね。
……それとも、もう都会に出て行ったのかな。
[構わずにそう続けながら、目を向けるのは公園脇の花壇である。
祭りの時期だけあって、大ぶりの秋バラが夏のバラとは異なる深い色味で数輪、美しく咲き誇っていた]
秋バラの美しさを湛えて一曲奏上、なんてしたら、また怒られてしまいますかね?
[ヴァイオリンケースに手を添えて、ちらと通路を挟んだ向こう側の旅館を見遣る。
“蛇”は返事を寄越す気配もないが、『当然じゃ、愚か者』と言わんばかりの気配だけは感じ取れた]
では、そうしましょう。
[しれっと言うと、“蛇”が黄色い目を剥いてぎょっとこちらを見上げてくる。
してやったりと悪戯っぽく微笑んでから、ヴァイオリンケースを開き、弓を取り出した。
弓の毛を丁寧に張ってから、松脂を塗ってヴァイオリンを取り出す]
それではお聞き下さい。
エルンスト、“夏の名残のバラ”
[歌うように曲名を口にして、弓を構えた。
元はアイルランド民謡だが、日本にも『庭の千草』として知れている曲だ。
最も、こちらは和訳されるに至って、バラが白菊になってしまったのでこの場にはふさわしくなかろう。
“夏の名残のバラ 一人さみしく咲いている”という原曲の歌詞を思い浮かべながら、弓を引いて最初の音色を奏でた**]
[演奏を始めてどれくらい経った頃だろうか。
曲が終盤に差し掛かったころに、公園の外に人影を見つけた>>116
一瞬、おやと片眉を上げたのは、印象深い赤毛が記憶のどこかに引っかかったような気がするからだ。
しかし、すぐにはピンと閃くものもなく、どうせあと数分の事だから、とヴァイオリンを弾く事に意識を集中させた。
野外で奏でるヴァイオリンの音色は、反射音がないため屋内のそれよりも劣って聞こえる。
それだけに、手を抜くとすぐさま音にそれが反映され、聞くに堪えない凡庸な音色に変わってしまうのである。
隅々まで神経を張り詰めてヴァイオリンを歌わせて、最後の一音を弾ききったのは数分後。
ふぅと短く息を吐いて、先ほどの人影の方へと改めて視線を向けた]
拙い演奏をご清聴いただき、有難う御座います。
[まるでステージの上に立っているかのように、丁寧で大仰な一礼を。
その芝居がかった仕草のあとで、緩く柔らかに表情を笑み崩した]
この公園に何か御用ですか?
[まさか、遊びに来たというわけではないだろう。そんな年頃には見えない。
公園を斜めに横切ってショートカットしたかったのか、それとも待ち合わせか何かか。
そんな推測をしながら青年を見つめて、こみ上げる既視感に少しだけ首を傾ける]
[狭い村だ。顔見知りという可能性は十分にある。
帰還したのは数年ぶりなので、知人でも記憶の中と面影が変わっている場合だってあるだろう。
しばし頭を悩ませてから、唐突に泡がはじけるようにぱちんと、ひとつの記憶が爆ぜた。
嘘吐きと噂されていた赤毛の下級生。
いつも、赤いマフラーを首元に巻いていた]
……あぁ、思い出しました。
宮田くん、ですよね。
[そう呼びかけて、公園の中を振り返る。
そういえばさっき、ブランコのところに赤いマフラーを見たような気がする]
[ヴァイオリンをケースに戻し、ブランコの方へと踏み出した。
遠目に見ても、赤いマフラーは鮮やかだ。
一目見れば、そこにあるのが確認できる。
ゆっくりとそれを拾い上げ、赤毛の青年へと微笑みかけた]
きっと、目的はこれでしょう?
[彼の方へと掲げて見せて、すぐさま元来た道を引き返す。
公園の入り口まで歩いていってから、どうぞとばかりに差し出した]
『大した偽善者ぶりではないか』
[足元の“蛇”の、いけ好かなさそうな言葉は笑顔のまま聞き流す。
つまらない偽善である事は、他の誰よりも自分自身が一番知っている]
いえ、知ってるんじゃないですか……!?
[今、夜霧さんって言いましたよね!?
初めましての挨拶>>145に、思わず条件反射でそう声を荒げた。
本当に知らない相手なら、名前も呼べないはずである。
……あるいは、あえて名前を呼ぶ事で、遠回しに“久しぶり”と言いたいのかもしれないが]
あれ、貴方そういうキャラでしたっけ……?
[昔から“嘘吐き”とは呼ばれていたが、こうして真逆の事を言うほどではなかったはずだ。
額に手をあて、あっれぇ、と苦悩した。
傍から見ると滑稽な光景だが、これは演技ではなく素である]
[とはいえ、マフラーを手渡せば、素直な感謝の言葉が返ってくるわけで>>146]
(……えと、これは素直なお礼と受け取ってよいのですよね?)
『なぜ妾に問うのじゃ、お前の古馴染みであろう』
(ですよねー、おっしゃる通り!)
[一瞬、これも逆さま言葉だったらどうしようと疑ったものの、彼の表情から本心だと判断して、ほっと胸を撫で下ろした。
撫で下ろしてから、何ほっとしてるんですかと自分で自分にツッコミを入れる。
彼にマフラーを届けたのは、あくまでイメージ稼ぎであり、善意ではないのである。
そのはずなのに、妙にペースを崩される。
思わず、ごくりと生唾を飲み込んだ。
宮田くん、恐ろしい子!!
頭の中で雷鳴が轟き、背景にベタフラッシュが走る。
これで小指も立てれば、演出としては完璧である]
貴方が喜んで下さるなら良かったです。
[調子を崩されっぱなしなのもどうかと思うので、話を切り替えるようにコホンと咳払い。
作った笑顔の眉尻が情けなく下がったのは、怪我の功名とはいえいかにも以前までの夜霧 静寂らしい]
僕は今、駆け出しのヴァイオリニストとして活動中なんです。
ここに戻ってきたのも、イベントの一環として曲を奏でるためでして。
[近況報告のように言葉を連ね、ベンチに置いてきたヴァイオリンにちらりと視線を投じた。
それから、目の前の宮田へと再び視線を引き戻す]
貴方は今、何をなさっているのですか?
[まだこの村にいるという事は、進学したわけではないだろう。
問いかけてから、彼が進学できる境遇ではない事を思い出して、はたと口元を押さえた]
……その、祭りのお手伝いとか?
[取り繕うよう、言葉を足す]
……そうですか、聞きたくない。
[彼の言わんとする事はなんとなく伝わるが、微妙に心にグサッと突き刺さる言葉である>>165
少しだけ項垂れてから、頭の中で「聞きたい、聞きたいです!」と訂正を]
『ふむ、これはなかなか手ごわい相手じゃの。
じゃが、自身を偽るお主と、自身の本心に反する事を話す者。
見物する分には、実に面白い取り合わせじゃぞ』
[“蛇”は高みの見物を決め込んでそう嘯いている。
彼女が人間であったのなら、十二単でも着込んで扇を開き、口元に浮かんだ笑みを隠していた所だろう。
こめかみが微かに引きつったが、反論する事は必死に堪えた。
この状況では負け犬の遠吠えにしかならない]
[それにしても、彼は何故ここまで変貌してしまったのだろうか、と探る色が瞳の底を過る。
今もまさに、彼は楽しげな表情で「つまんないよー」と告げている。
つまり、とても楽しいという事だろう。
――不意に、不吉な染みのようにじわりと、仄暗い感情が鎌首をもたげた。
ぎゅっと胸元の衣服を握って、胸の奥底に蟠るその感情を押し潰す]
それは良かった、きっと貴方の日々は充実しているのでしょうね。
[束の間、顔を伏せた後に浮かべるのは、顔なじみの青年の幸福を喜ぶようなへにゃりとした微笑。
更に数秒、間をおいて、そうだとばかりに手を叩いた]
それでは、せっかくなので私にも少し手伝わせて下さい。
久しぶりに帰ってきた故郷ですし、打ち合わせまで時間がありますから。
お祭りは、前準備の段階から楽しいものですしね。
[足元で、“蛇”がまた偽善をと呆れる気配。
それに、手伝いでもした方が村の内情が覗けますから、と念じて応じる]
でも、その前に、少しやる事があるかもしれませんね。
[視線を移したその先で、どこか困った様子で歩く女性の姿>>143を見つけた。
村では見た事がない容姿だから、観光客だろうかと思案する。
道に迷っているようなら、道案内でも努めようか。
そんな事を考えながら、ベンチの上のヴァイオリンケースを回収し、宮田を誘って女性の元へ向かうのである]
――すみません、何かお困りですか?**
/*
一人称が「私」と「僕」で入り混じっている事実に項垂れる……ッ。
「僕」で統一したいのですが、気を抜くと「私」が混じりますね……。
「僕」が地、自身を偽る時が「私」、で使い分けできるように頑張りましょうか……。
そうですか、喜んでもらえるのならば私も嬉しいです。
[宮田の物言い>>253はまた微妙に複雑ではあるけれど、今度は先ほどよりスムーズに意図するところを理解できた。
彼の笑顔には邪気がなくて、その事実が静寂の表情を和ませるのと同時に、胸の奥深くをちくりと刺す。
ちりちりと焦げ付くような衝動を飲み下して、女性の元へと足を進めた。
――彼の言葉は、真意から目を背け、上辺だけを拾い上げればとても正しい。
きっと、祭りの手伝いは静寂にはつまらない。
喜んでもらえる事が嬉しかったのなんて、もうずっと前の事のようだ]
[そんな思案をしている内に、余所者と思しき女性の元へと辿り着く>>297
言葉を発するのを躊躇うように、静寂の後ろに身を隠した宮田に少しだけ口元を綻ばせながら、彼女へと声を掛けた>>213]
えぇ、初めましてで間違いないと思います。
[頷きながらも意外に思うのは、彼女の目的が観光ではなく、祭りの手伝いだという事である。
尤も、村としては“はらしたまつり”は村興しを兼ねた大プロジェクトだ。
世間知らずな静寂が知らなかっただけで、今までもそんな事はあったのかもしれない]
旅館なら、この道を行けばすぐですよ。
私たちは向こうの公園から来たのですが、その隣ですから。
[田舎の道というのは、狭いようで入り組んでいて、部外者にはわかりにくいものだ。
とはいえ、そこに住まう人間からしてみれば、住み慣れた場所だけあって単純なもの。
村の地図を上から覗き込み、宮田が指差し示すルートに、そうそうと頷いた。
少し間をおいて、向けられた問い>>312には愛想のよい笑みを返す]
一応、関係者といったところでしょうね。
今は他所に移り住んでいますが、この村の出身者ですから。
彼の方は、今もこの村に住んでいるんですよ。
[どこか緊張した様子の宮田>>315に首をひねるのは、言葉を口にした少しあと。
あれ、今本当の事を答えて良かったのでしょうか、とぱちぱち目を瞬かせる]
そう、それに私たちも丁度、祭りの手伝いをするところなんです。
もしよろしければ、担当者の名前を教えていただければご案内できるかもしれませんよ。
[とはいえ、一度口にしてしまった以上、訂正は効くまい。
続けてそう言葉を連ね、宮田にそっと微笑みかけた]
私は何年も帰郷していなかったので少々心もとないですが、彼ならきっと詳しいはずです。
彼は少し個性的ですが、とても良い子ですよ。
[宮田の“嘘吐き”の癖を個性的と称して、彼が言葉を話しやすいよう橋渡しを。
誤解が生じそうだったらフォローしますよ、と片目を瞑って言外に宮田へと伝える]
――はらしたまつり メイン会場付近――
[そんな調子で、少し言葉を交わした後で宮田と共に祭りの手伝いへと赴いた。
もし女性が依頼主のいる場所への案内を望むようなら、道中は彼女も一緒だった事だろう。
いずれにせよ、彼女には彼女の依頼があるから、依頼主を見つけた後に分かれただろうとは思うけれど]
いやぁ、やっぱり祭りの準備は賑やかですねー!
[ぐるりと辺りを見回して、口にするのはそんなおのぼりさんみたいな言葉。
既に半分は屋台が組み立てられて、商品を陳列したり下準備に取り掛かったりしているようだ。
都会のそれに比べれば見劣りする規模ではあるものの、個性という点ではこちらも負けていない。
人込みを掻き分けて悠々と闊歩してゆくのは、今年の村のゆるキャラだろうか]
えっと、可愛いですね、あれ。
[ヴァイオリン一筋で生きてきた静寂にはいまいちご当地ゆるキャラの魅力はわからないけれど、宮田の手前、ブームにのっとって一応ほめた]
『お主、誤魔化し切れておらぬぞ』
[微妙に棒読みの台詞に、すかさず首にゆるく巻きついた“蛇”の指摘が飛ぶ。
なお、静寂の好みはせん○くんとかふ○っしーのような、一般的にキモ可愛いと呼ばれる残念な部類である]
……あ、えと。
そうです、ね。
[かわいいという宮田>>368に目を白黒させたのは、本音か嘘か判断ができなかったから。
少し固まる彼と同様、静寂もまた微妙に硬直した。
気まずい空気の停滞を払うよう、こほんと咳払い]
屋台の組み立てはきっとそれぞれの屋台の方がやるのでしょうし、私たちはステージの方を手伝った方がよいのでしょうかね?
[今人手が必要そうな場所と言えば、ゆるキャラRPのための特設ステージだろう。
そちらの方を指差して宮田に訪ねつつ、見上げるのは空の様子。
少し傾き始めた太陽は、日没が近づき始めた事を示している。
“蛇”の言う試練の時はもう間近だ。
少しだけ口を噤んで、ふと真剣な眼差しで宮田を見つめた]
宮田くん、貴方には自分の望みを叶えるために、他者を踏み躙る覚悟はありますか?
[問い掛けは、あまりに唐突で要領を得ないものだろう。
彼がどんな反応をしようと構わずに、すっと双眸を細めた。
瞳の奥で踊るのは、微かに面白がるような愉悦の色。
かつての静寂なら、決して浮かべることはなかったような]
私は――
[開いた口が、言葉を連ねる。
けれど、その最中にぱぁんと花火がなって、静寂はぽかんと口を開いて硬直した。
数秒おいて、肩を震わせ笑い出す]
す、すみません、あまりのタイミングの悪さに、我ながら間抜けで……っ。
[可笑しそうな様子には、先ほど覗いた悪意めいた影は微塵もない。
それでも、壊れてしまったおもちゃのような、歪な何かがその底に沈殿していた]
本当に、すみません。あまり気にしないで。
さぁ、手伝いに戻りましょう?
[柔らかでありながら有無を言わさぬ口調で言うと、静寂はそれっきり話は終わりとばかりにステージへと向かうだろう。
手伝いは、日没の少し前、ヴァイオリンの打ち合わせの時間がはじまるまで続くのである**]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新