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―…。…?
[ふと、声が聞こえた気がした。まるで、赤子の泣き声のような。
そう思えば青年は迷うこともなく立ち上がる。声を頼りに本棚と本棚の間をすり抜け歩み、時々立ち止まっては耳をすませる]
まさか、こんなところに…
[辺りはなお闇に包まれて、こんなところに赤子が置き去りにされれば間もなく死んでしまう。自分も心配されているなどと>>56欠片も思わず、それどころか今自分がいる場所がどんな危険な場所なのかも把握していないのだが]
―…。
[一瞬歩みが緩む。自分が赤子を拾って、助けられると思うのか。けれど]
ここに、置き去りにされたら。確実に、死んでしまいます、よね…
[ならばまだ自分の傍の方が。再び歩きだした先に、小さな薄汚れた塊が目に入った]
[最初は、おくりみかと思ったのだ。だから近付いて…まもなく薄汚れた麻袋だと知った]
―…?
[泣き声はやはりその袋から聞こえてくる。もそもそと小さく袋が動いているのも見える。けれど、なぜ赤子を袋になど詰めるのだ]
(ひとさらい?)
[そのような、ものが。いることは、書物で読んだことがある。小さな子供や女性たちを売り買いするのだと。
だから、疑うこともなく袋に近寄ると、袋の口を開け放った]
―??!!
[袋の口を開けた瞬間。黒い小さな影が、青年を突き飛ばすような勢いで飛び出した。少しも構えてなどいなかった青年は、袋を持ったままで後ろに尻餅をついてしまう。
呆然と視線を向ける先にいるのは]
な、に?
[断じて赤子などではない。赤子はこんな俊敏に跳ね回らないし、鋭い爪も赤い目も、尖った牙も持ってはいない。
警戒したような唸り声をあげ、青年からじりじりと距離を取ろうとする小さな黒い生き物は。犬のようにもみえるが―ただの犬ではないのを示すよう、首から上が、並んでふたつ。双頭犬であったのだ]
―…。
[本来なら、警戒しなければいけないのはこちらだろう。なにせ自分には身を守る術がない。
それに、あれは明らかに魔物の仔だ。神の教えに背く存在だ。
けれど]
―…。おいで?
[座り込んだまま、小さな双頭犬よりも低い位置から手を伸ばす。
魔物の仔であるのは明らかだけれど。今、怯えているのはこの仔の方だ。
警戒するよう唸る声は威嚇のもの。けれど尻尾が垂れて後ろ足の間に隠れているし。相手は魔物とはいえ、体格でいうなら自分の方がはるかに大きい。勿論闘う力など持ち合わせてはいないが、相手からすれば自分は恐ろしいのだろう]
餌でも、あげられればいいんでしょうが。生憎持ち合わせていません。
/*
イヌ科の生き物ってことで、ケルベロスは最初から出したかった。護衛にって考えてたけど、趣味に走ったらこうなった。ケルベロス仔犬バージョン。
ポチって名前つけたい。ダメか。
*/
■第1イベント発生時(1d開始直後に投下)のあなたの状態について
以下のいずれかを選択してください。両方のミックスでもOKです。
1) あなたは、意識or記憶が、混乱しor操られており、相方の「救出者」を敵だと認識する。
2) あなたは、幽体離脱状態にあり、肉体は魔界のどこか(任意)にあって、相方の「救出者」と会うのは精神体である。
アレンジはご自由にどうぞ。
この状況になった原因も好きに決めていいです。(事故にあった、自分の魔法でそうした等)
もし、考えていた設定と齟齬が生じて困るなら、通常状態のままでも差し支えありません。
1d開始後、相方の「救出者」と会った後の好きなタイミングで正常に戻ってOKです。
また、正常に戻るのに必要な条件も好きに決めてくださってOKです
/*
お疲れ様です、参加させていただいてありがとうございます。
質問ですが1を少しアレンジといいますか、元の世界に帰るのを拒否するために救出者から逃げようとする、というのではダメですか?
*/
/*
問題は、救出者の顔をしらないということなんだけどね!
相手もわたしの顔を知らないんだけど。困ったペアだな!
*/
/*
うん、決めた。一人称「わたし」でいこう。敬語とため口が混ざる感じ。相手が目上だと思うと敬語。でもふらっとため口が混ざる。
*/
― 記憶の書庫 ―
[腕に小さな黒い犬を抱えて、本棚の間を歩く]
こっちでいいんですか?
[腕の中の双頭犬に聞けば、犬は元気に わん!と答えてくれた。
本ばかりの部屋はあまり危険そうでもなかったが、ここにいても事態が変わる気配はない。とりあえず外に出ようと思ったけれど、当初の問題、どっちへ向かえばいいのか分からない、というのに躓きかけたところで犬が案内をしてくれる気配をみせたのだ。自分には分からないけれど、鼻やなにかが発達しているのかもしれない。
――抱えずに先を歩いてもらえばというのは置いておいて。仔犬は抱えられて上機嫌にしっぽを振っているし、柔らかな頭に顎を乗せるとふかりと暖かいし。片方の頭を撫でてやれば、もう片方の頭が自分も自分もと頭を寄せてくる]
にしても、ここはどこなんでしょうね?この子がいるんだから、天界とは違うんでしょうし。
[現在おかれている状況を思えば些か呑気なことを呟きながら歩いていれば、やがて大きくて立派な扉が見えてきた。
本来なら罠や物音に警戒するべきなのだろうが、その手の知識はない。それでも恐る恐る扉を開けば、そこは。]
― 現在地・1(10x1) ―
/*
1 塔の街 ひとけのない街並みが広がっています。引き出しの中にアイテムがあったりするかも。
…やっぱりそこまで危険そうじゃないな。人のいるとこへ行けないし。困ったな。
― 塔の街 ―
[本棚ばかりの部屋を抜けて外へ出れば、石造りの町並みが広がる。農家ばかりで貧しかった生まれ育った地とは違う趣]
…ここ、なら。誰か、いるかも。
[人がいれば、ここがどこなのか。自分の置かれている状況が分かるかもしれない。そう期待したものの、困ったように下を向く]
この仔…見られたら、きっと、驚かれますよね…
[いくらおとなしくて害がないとはいえ、魔物の仔である。出会ったのが普通の人であれば、下手をしたら殺されてしまうかもしれない]
(置いていく、べきなんでしょうね…)
[腕の中の紅い目を見れば、すっかり懐いてしまった仔犬は嬉しそうに頬を舐めてくる]
―…。
[置いていけない。この仔の親が見つかるまでは。
結局抱えたまま、大通りを避けて脇道へと逸れた*]
[どこかそう離れてもいない距離、声が聞こえた。
修道士、探し人。そんな途切れ途切れの言葉]
(――大通り?)
[あまり人と会いたい訳ではないが、会話からここがどこかの手がかりでも掴めればとそろり近付いてみる。腕には魔物の仔を抱えたまま、人差し指をくちびるに当て、しー、とジェスチャー。勿論意味が分かった筈もない、仔犬はわん!と元気に答える]
ちょ、ダメですって。静かにしないと。
[慌てて抱えなおし、そっと声の方を伺ってみる。気付かれただろうか。気付かれていないようなら、そろりとそちらに向かって足音を忍ばせてみるつもり]
あ。
[もう一人、という言葉がさっきよりも明確に聞こえた。もしかしたら、聞かせようとしたのかもしれない。
逃げるべきだろうか。危険でさえなければ、話は聞きたいのだが。迷って、逃げるでもなく仔犬を抱えたまま警戒するよう後退り―]
……。
[身を硬くして小さな魔物の仔をぎゅうっと抱えて待つが、二人ともが自分にも腕の中の小さな魔物にも興味を示さず。驚きすらされなかったことに逆に驚いた。
一人は修道士と名乗った青年、もう一人は足が悪いのか、淡く光を放つ杖をついている。
興味を持たれないのであれば、むしろ幸い。警戒は解ききらないまま距離は縮めずに]
――あの。すいません。お聞きしたいのです…ここは、どこなのでしょうか。
魔界、と、聞こえたように、思うのですが…
[困ったような声。魔界であれば、魔物の仔がいるのも頷けるのだが]
……。
[聞いた時から、答えは分かってはいたのだが。あっさりと肯定を返されるとさすがに絶句した。
あまり詳しいわけではない。教会にある書物では魔物が跋扈する危険で恐ろしいところという記述しかなかった。だから男の幸いという言葉を、きちんと理解できた訳ではない。なにせ神々のおわす世界から、一瞬でここに飛ばされたのだから。
けれど]
――え?
[尋ねても、という言葉に不思議そうに首を傾げる。質問の意味がよく理解できない。ただ、無関心そうだった男がこちらに興味を持ったことに気付けば]
………。
[腕の中の存在を守るよう、心持ち背中に隠し後ろに下がる]
…わたし、は。
(たぶん。神に、見放されたのだろう。それともこれは試練なのだろうか)
…人間、です。
[青年のいた村は、貧しかった。
飢える家族がいた。
親を亡くした子がいた。
世界は平等などではないと知った。
けれど、そんな村の中にあって教会で暮らす青年の家族は、生活に困ることはなかった]
[生活に困り、明日の食べ物にも事欠く生活。
それなのに、神のためにと差し出される食事。
神とは、いったい何なのか。それすらも試練なのだろうか]
――…。
[腕の中から小さな仔犬を下ろし、慣れた動作で両手を組み、祈りを捧げる]
神はあなたに祝福を与えます。
禍犯したる雑雑の罪を祓い許し
神は凡てを見守り賜います―
(ほんとう、に?)
[信じきることもできぬまま]
[祈りの詞に重ねるように、声が聞こえた>>378
攫われた、という詞に剣呑なものを感じ、首を傾げるけれど。彼もまた人を探しているのだと分かれば杖の青年と同じく、誰か大切な人を探しに来たのだろう、と]
あなたと、あなたの大切なひとが、出会えますように。
[そんなことばを返し、小さな仔犬を再び抱き上げる。犬が何故か、どこか心配するような顔で青年の指先を舐めれば頭を小さく撫でてやり]
ええ。わたしは…どこへ、いくかも。決まっては、いないので。
もう少し、この辺りを、見て回ってみようかと思います。
[なにせ、いつまでここにいなければならないのかも分からないのだ。せめて寝る場所と、食べ物の確保と…やることは、意外とある]
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