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― 3年前:魔境 ―
[3年前魔境に赴いたのは、ソマリアランの誘いであったからだ。
道中は騎士団の者だけではなく、村の子も交えて進められた。
村の子──と思っていた──ヤコブには、
だからこの時は別段突っかかりなどはしていない。
ただ特別愛想良くしたわけでもないから、そう親しみやすい印象もなかっただろうが]
[貧乏籤。ソマリの歌>>307を聴いての端的な感想だ。
英雄神の賛歌などではない。晴れやかさも華麗さもない。
変な歌だと口にしたヤコブの感想が、妙に腑に落ちた。
それでもこの歌が古の事実を伝えているなら]
…他に手がなかった。ということかな。
[これは役割を果たした男の姿を伝える歌なのだろう。
或いは彼へと向けた、哀悼歌なのではなかろうか。
シェットラントは、そう解釈をした]
門の向こう側は異界だ。
そう容易く人の立ち入れる場所ではないということだろう。
[ヤコブが唇を尖らせる>>328
それへ、やや呆れたような声を投げかけた。
彼の睨みが返ってこようと涼しい顔だ。
魔術の学び舎でも幾度となくあったことである。
それよりも思う。
本当に英雄の戦友が門の向こうに残されたのかは分からない。
伝承がどこまで真なのかも分かりはしない。
ただ、いま少し分かったことは]
ソマリアラン。貴方は、その情報を集めてらしたのですか?
[不思議だったのだ。
彼が吟遊詩人の格好をしては外を渡り歩いていることが。
なれど門の異変となれば、何より騎士団の──人間の一大事だ。
その為に身をやつしていたのであれば、納得もいく。そう思った]
[続いて語られる事情に、ウィンクひとつ>>311
それに、「ああ」ともうひとつの物を思う。
何故父が、反対らしい反対もなく送り出してくれたのか。
思えば不思議なことだったのではなかろうか。
何せシンクレア家は古風な家柄である。剣と盾の家柄だ。
騎士が魔術を学ぶなど、異例といっても良いことなのに]
…。
[黙って微笑みを返して、小さく頭を下げた。
その想いに応えてみせようと思う。心を眼差しに込めた]
[けど]
────、え。
[ヤコブを騎士にと誘った時>>313だけは、思わず短い声が出た。
本気か。と、当のヤコブとソマリアランを双方見遣る。
これまでの短い道中、ヤコブの腕は確かに見た。
稀に見るほどの才能だとは思う。
けれど騎士に相応しいだろうか。なれるのだろうか。果たして彼が?
浮かべた疑問は、きっとありありと顔に出ていたろうが。
そのまま良く分からないままに話が纏まる様子>>330に、
本当に大丈夫なのかと、疑うまなざしがじとりと向けられた]
/*
これはあれか。
良く分からないけどラスボスへの最終兵器はお前だ!と、ラスボスが言っていた()のを、見た。という流れになるのかどうか、そうか。
認識していたとなると多少の組み直しが必要だなwwwオーライ
[ヤコブの騎士宣言に不安を覚えたのは、自分だけではないようだった。
同じく心配の声を上げた者がいる>>359
ローズマリー・ティール。
最近騎士団にやってきた、歌魔術の遣い手だ。
音律に乗せた魔術を扱う者は、そう多くない。
発動に時間を要するなどの弱点があるとはいえ、
時には一軍をカバーするほどの力を見せる歌魔術の遣い手は、
騎士団にとっても貴重な人材であった。
ヤコブと同じく、ティレルの村の出身と聞いているが]
そうだね。騎士団に力を貸してくれるのは有難いが…
[ヤコブへと向け、口を開きかける]
[───けど。穏かな時はそこまでだった。
最初に異変に気付いたのは、ヤコブだ>>331
辺りを見渡す彼に、何ごとかとその場にある者たちの視線が集まる。
シェットラントも同じようにヤコブを見、
息をつきかけたところで、不意に動きを止めた。
ぞくり、と。
背筋があわ立つ不気味さはあの時に───
ベリアンが残していった死霊魔術の名残に触れた時の気分に良く似ている]
[変化は急激にして一瞬だった。
矢が、今までヤコブが立っていた地面に突き刺さる>>335
誰かが鋭く息を呑む音。剣を引き抜く音。
シェットラントも身構えて、襲撃者へと目を向ける。
一騎だけだった。
それでも、それが恐るべき力を備えた一騎とは目に見え知れる。
敵はまっすぐにヤコブに狙いを定め斬り掛かって来た。
瞬間、重く地面に体が転がる音。そして金属の打ちあう音。
ソマリアランが間一髪でヤコブを救ったのだと、
この目に見て取れたのも、時が過ぎ去ったあとだった。
───技量が、違いすぎるのだ]
[ソマリアランと黒衣の敵が剣を打ちあう。
そこへ無謀にも一人の見習い騎士が、敵へ飛びかかった>>342
恐怖に耐え入れなかったのかも知れない。
視線もくれぬ一閃で、年若い騎士は物言わぬ骸へ変じた]
…っ!
[敵と打ちあうソマリアランを助けたくとも、
迂闊に手を出せないのはシェットラントとて同じことだ。
水晶の指輪を嵌めた指を握りこむ。
魔術とて同じだ。迂闊な一撃では斬り返される。
もっと…もっと、一瞬で決められる手を選ばなくては]
、おい!
[脇から飛び出そうとする者が居た。咄嗟に腕を掴む>>343
他にも多分、掴んだ者がいた。
それで、ヤコブが跳びだして行くのは防がれた]
馬鹿やろう!!
[遠慮なく怒鳴りつける。シェットラントにも、余裕がなかった。
血の匂いが、強く辺りに立ち込めている。戦場の匂いだ。
これまで感じたことのない、恐怖と緊張。
けれど辺りを見渡す。───冷静に。考えなくては]
ローズマリー、
[呼びかける]
何か、歌はないか。
あの敵の気を散らすことがかなうような歌術は。
弱くてもいい。増幅の術は俺が行う。
…奴の気を逸らせることが出来れば、アラン兄さんがやってくれる。
どうだ、出来るか?
[出来なければ、この手で試みてみるだけのことだ。
勝算は低くなろうが、やむを得まい。
問いを置いて、戦いの恐怖に竦むだろう娘の瞳を覗きこんだ]
― 3年前・魔境 ―
構わない。
[時間が掛かる。というローズマリーの言葉には、即座に頷いた。
どちらにせよ、構いようがないのだ。
このまま手を拱いていようとも、いずれ時は尽きる。
ならば打てる手を、打てるだけの力を持って打つだけのことだ。
そうして、彼女の紡ぐ歌を待ち”時”を待った。
細い指先が、風を炎を水を大地をタクトの先に描き出す。
紡がれるのは静かで穏かな変化、奇跡だ。
だからシェットラントは彼女を頼った。
己の術は発動が早く変化は急で…その分、相手の気を引きやすい。
けれど、これならば。彼女の紡ぎ上げる呪歌ならば]
万物の根源、万能なる
[合図>>385と共に、水晶の指輪を前に掲げる。
タクトが持ち上げられると共に、魔力が奔る。
シェットラントの魔術は、敵ではなくその力へと向けられた]
見えざる波を揺らせ。音を高らかに響かせよ。
この場に満ちるは、至高の音色のみ!!
[術を紡ぎ、水晶の指輪を焦点にして増幅の術を打ち放つ。
これもまた、ごく初歩的な術だ。
なれど異なる術を重ね合わされば、威力は飛躍的に伸びるはずだ。
重ね合わされた術が、黒衣の敵へと降り注ぐ。
未来に道は開けるか。───切り開かんと、兄と呼んだ人の背へ
祈るような気持ちで目を*向けた*]
― 三年前・魔境にて ―
[ローズマリーの旋律に、強化の呪言を乗せる。
正確に手早く編み上げた呪は、ごく初歩的なもの。
故に、余裕があった。
呪を向けられた相手を観察しておくだけの余裕が。
魔法への防御を持っていない。あれは───人、だ>>401]
[目を細め、敵の様子をしかと目に収める。
ソマリアランは良く対しているが、
魔法を受けてなお、かの敵の様子は強大だ。
と、彼が何かに気を取られたように見えた>>404
馬首を巡らせたのは彼の意思だ。
自分達の救いとなる何かが起きたのだろうと察せられた]
( … 門 )
[警告>>406を心の裡に反芻する。
それは即ち、門で何かが起きているという事実の裏づけであり、
先のソマリアランの危惧が正しいことを示していると思われた]
[敵が去り、暫し。ソマリアランががくりと地に膝を突く>>407
同じく、ローズマリーも力を失って崩れたと見えた。
…いや、こちらはへたり込んでしまったか]
ローズマリー、
[ソマリからの礼を受け、僅かに首を横に振って娘へと目を向ける。
先の功労者は彼女だと思っていた。
恐怖に負けて、震えて縮こまっていても不思議はなかったのに]
良く、やってくれた。
[首傾けて歌い手の娘へと送るのは、感謝。
そうして息をつくソマリアランへと歩み寄った。
支えるように手を添えて近く、顔を覗きこむようにして]
ソマリアラン、
[呼びかけは常のように。
先ほどはうっかり、昔の呼び名を呼んでしまったけれども]
…。門が開くのは早まるのかも知れない。
今のが警告であるなら、恐らく。
[自分たちが襲撃されたのはそのためだろうと。
よもや敵がヤコブを狙ったのだとは知らずに、推論を口にした]
[年若い騎士の弔いは、簡易な形になった。
彼も見知らぬ顔ではない。
ただ、戦いの最中に果てるとはこういうことなのだと思った。
だから沈痛な顔はすれども、涙を落とすことはなかった。
いつか自分も、こうして地に横たわる日が来るのだろう。
死者の手を組ませて、聖印を切る。
安らかな眠りを願う祈りを、黙って捧げた。
遠い日の思い出である。
遠く───何かの始まりであったかも知れない日のこと*]
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