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[ ぜぃ、息が濁る。
彼に自らの過去を話したからか。
「じゃあそのまま生かし続けたら
面白そうだなあ?」
>>4:324
そう言ったときと、同じような瞳だと思った。
ずきり、しくり、胸の裡が悲鳴を上げた。
誰にも殺されずに、見ているだけ。
…………見ていることしか出来ず。
それが裏切者の末路であると、復讐であると、
思われているとは知らず。>>154
ああけれど、
それが復讐だというのであれば、成功だろう。
永遠とも思える生を、償いのために生きろというのなら
そう、することしか、出来ないのだから。
その道がどれほどの地獄でも、
ただ、生きろと、言われることが
死ぬことよりも、辛くとも─── ]
[ 駆けた勢いのままに、飛び掛かる。
ナイフを握ったままに、腹から滴る血をそのままに。
振り上げられた爪は、そのまま。
ナネッテの肩口へと当たり、食いこみながら。
身体の前面を斜めに舐めるように、爪痕を残す。 ]
っぐ、ぅ…………
[ ぼたぼたと、血が落ち舞った。
それでも、その足を止めずに。
その爪ごと、身体を抱きしめる。 ]
[ 全身を血に塗れさせたままに、
ナイフを握ったままに。
ぎゅうっと、渾身の力で、その毛に頬を擦り付ける。
嫌がり身を捩ろうとも、離しはしない。
それは、子供の頃に、やったこと、
再会したときにやったこと。
まだ熱いほどの体温が、心地よく。
ぱたぱたと抱きしめながら、彼も自分も、赤が溢れる。 ]
……ゲオルグ、
ごめんね、ありがとう、
[ ぜぃ、ぜぃと濁る息の中で。
ぽつり、涙の味のする声色を落として。
もしかしたら、もう、その意識はとうになく。
死体に縋る滑稽な女になっていたのかもしれないが。
かまわない、
命の音が聞けたなら、そのまま。
ナイフをそっと、滑らせる。 ]
[その刃先は、たとえ、彼に拒絶されたとしても。
彼が願い下げだと言ったとしても。
──きっと、赦すためのものだ。
人を殺した罰を、喰らった罪を。
赦されることはないと思っていても。
死してなお、解放されることもなく業を背負い続ける覚悟でも。
死は皆に平等だ。
その死が訪れたなら、自分を赦してやってもいいのではないだろうか。
赦せないものに、償う資格などない、から。 ]
[ そのナイフが振るえても、振るえなくとも。
赦せなくてごめんなさい、と
謝っていそうな子供に、そう問いかける。
ごめんなさいには、ありがとう、を。 ]
泣き虫、……ゲオルグ、
おやすみなさい、
[ 守りたかったのは、フェンリルでも、スルトでもなくて。
ただただ泣き虫で、きらきらと夢を語る
ゲオルグ ]**
[ そして、ガートルードの様子を確認する。
首元を噛みちぎられて、だくだくと流れるであろう赤。
そこに、まだ息があったなら。
止血し、救命を試みようとするだろう。
けれど、もう、助からないと
そう、確信するほどの傷ならば、───きっと。 ]
無茶しすぎです、
ガートルード、
[ 呆れたような、心配したような声色で告げる。
何でもないように。いつもみたいに。
獣の姿に驚いた。
けれど、その行動は、"守る"ためのもので。 ]
[ “あの人”が守ったこの船を、私も守ります。
貴方を―――…守ります。
と、自らを犠牲にしても、成し遂げようとしたこと。
本当は、その”無茶”を叱らなければ、ならないのに。 ]
…………よく頑張りましたね、
[ そう言って、その"太陽"を撫で、
ふ、と笑みを零す。
いつも撫でてくれるように、目元へも指を這わせて。
仕方ないなと、妹を甘やかすように。
褒められることではなく、そしてその相手は排除の対象。
この船を"守る"には、そうしなければならないことも分かっている。
それでも。
最期くらい、いいでしょう?と笑うのだ。 ]*
── 少し未来の話 ──
[ そして、ふ、と思い出した。
あのとき、Nルームでミーネが言った言葉。
いい目をしていた。>>63
痛くない筈がないのに、手で庇いつつも、こちらを睨む目。
闘志を揺らめかせ、先を見据える目だ。
負ける気はしなかったけれど成長すれば、分からないと思った。
去る背中に、かけられた言葉。>>65
それは、"また" があることを信じる強き言葉で。 ]
…………っふ、
[ 思い出し、口角を吊り上げたものの。
身体中から力が抜けてゆくようだった。
だくだくと、血だまりが、自らの周囲を広げ。
最早、痛い、ということが分からなくなる程。
体温が下がる。
酷く眠い────、でも。 ]
──────……すのう、
ミーネを、よんで?
もう、おわったから、って……
[ 弔いか、嘆きか。
何にせよ、やりたいことがあるかもしれないと思った。
そして、一つの賭けだった。
放っておけば、そのまま。
冷たくなって死にゆくだろう、けれど。
ミーネがナネッテを"生かす"ならば。
"また" が訪れるのであれば。
そのときに、答えを返そうか。
肯定の、返事を。 ]**
操縦士 ナネッテは、【銀羊】副艦長 ガートルード を投票先に選びました。
操縦士 ナネッテは、特攻隊長 ゲオルグ を投票先に選びました。
[ 彼女の髪や、その目元は、ほんのりと温かいのに。
その温度がゆっくりと失われてゆくことが、怖くて仕方ない。
抱きとめた兄も、だんだんと冷たくなったから。
それを誤魔化そうと。
軽口を叩いたのに、バレていない、筈なのに。
それは、本心からであったけれど……
ふ、と僅かに微笑む口元に……
─── 堪らなくなった。 ]
[ いかないで、とみっともない子供のわがままが、零れそうになる。
本当は殺したくなんてなかった。
それでも、"ココロ"を喪って、壊れるよりは、と。
エゴのかたまり。
望んでいたかなんて、分からないのに。
ゲオルグも、ジョエルも……
揺れる視線に、気付いたのだろうか。
じぃ、とぼんやりと揺れる翡翠が、藍玉を覗き込んだ気がして。>> 178 ]
っ、まったく、
こんなときまで、……
[ ナネッテが何をしたのか、どんな心境か。
分かっていながら、そんなことを言うのだ。
その我儘は、酷く優しく、そして甘い。
赦されない、赦されてはいけない……と、雁字搦めに縛られた枷。
魔法の紐を緩めるのは、彼女だったのか。
息ができた。ココロがふわ、と僅かに解れた。
だから。
少し、ほんの少しだけ、自分を"赦して"あげてもいいだろうか。 ]
…………ジョエルに、
兄に、会ったら……
"もう少ししてからいく"と
……そう、伝えて。
[ 懸命に目元へと伸ばす指先。
救い上げ、両手で包み。
望むように、てのひらを誘導して。
その手が目元に触れたなら。
潤み、湿っていることに、
気付かれたかもしれないな。 ]
おやすみなさい、
ガートルード……
[ 私の可愛い妹。
その"太陽"に、小さな子供を寝かしつけるように。
ひとつ、口づけを落として。
しばらくは……
ゆっくりと、髪の毛を撫でていただろう。 ]**
──── ────
[ 瞳を閉じれば、真っ暗闇が訪れる。
その瞼の裏側に、ちかり、ちかり、と輝く星々。
星の意味を、もう、知ることはないけれど。
きっと、その星々に込められた意味は、
皆、それぞれで。 ]
[ 海賊船の中。
そこら中に夥しい量の血液が散っていた。
ナイフを手にした少女は泣いたのだ。
生きていたことを、絶望して。
殺してしまった十字架を背負って。
生きていなければならない、と
ナネッテに枷を掛けた。
透明な鎖で繋ぎ、泥濘つもる暗闇の中で
一筋の光だけしか見えないように、目隠しをして。 ]
[ ずっと、ずっと泣いていた。
兄の瞳を奪ってしまったことが哀しくて。
ひとりぼっちが、寂しくて。
生きていることが辛くて。
赦されるためだけに生きる人生は。
どれ程くすみ、灰色の味であっただろうか。
それなのに、あまつさえ
ほんの少しの"幸せ"を手放すこともできずに。 ]
[ 怒りと憎しみの矛先を、海賊へとすり替えて。
自分が赦せない、憎い!ということは沈めて沈めて。
死ぬためだけの人生に……
償いもせず、赦されるのを待つだけの人生に……
意味なんてなかったのかもしれない。
けれど。 ]
[ 今は、少しだけ思うのだ。
もしかしたら、
この日のために、
生きていたのかもしれない、と。
裏切った、そして知った。
自らの愚かさも、醜さも、未熟さも、全部を。
残っていた"ココロ"が
痛い痛い、と悲鳴をあげた。
貴方を "赦す" ために……
貴方に "赦される" ために……… ]
[ 償いも、贖罪も、十字架も。
その全部が、消えることはないけれど。
獣の瞳を、ゆっくり閉じた。
ただ、束の間の、休息を……。
その暗闇の中で、ナネッテはひとつ、呟く。
── ごめんなさい、
ありがとう……
もう、泣き声は聞こえない。]**
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