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― 夜明前・厩舎 ―
[いよいよ死者の数の方が多くなってしまったか。
指折り数えようとして、すぐに終わってしまった、
宿屋の住人達の顔を思い浮かべる。]
[食堂での出来事を目を逸らさず見ていた。
昨日も、その前も、
アルビンには決してできなかったことを。
殺し合いと呼ぶにはなにか足りず、
それよりも殊更大仰に感じた。
アルビンにはアルビンの思いがあるように、
村人それぞれにも抱えているものがある。
すべてかみ砕くのは難しく、不可能だろう。
だけど考えなくてはならない、その先を。]
[シーツに包まれ、死に化粧を施された自分を見る。
いつか戦地で野垂死んでいただろう未来を思えば、
過ぎた扱いのようでこそばゆかったけれど、ありがたかった。
ジムゾンはシーツのない寝床で風邪を引いていないだろうか。
そうでなくても、たまにくしゃみの音が聞こえてきたような気がするから、心配だった。
風邪だって意外と馬鹿にならないのだ。
フリーデルは、占い師としての自分を好きになれただろうか。
直接聞いたわけではないけれど、
なんとなく、気がかりであったことだ。
彼女を信じていたけれど、自身に出された結果は、
死ぬまで信じきることができなかった。
それを申し訳なく思っている。]
[福音を理解できない自分はきっと地獄に落ちるだろう。
それでもよかった。
そこで両親が待っていてくれるなら、それで十二分に過ぎる。
だけど、もし、天国へ導かれることがあったなら、
次の生を受ける資格が与えられるなら。
人でなく――獣になって緑の中を駆け巡ってみたかった。
だって、きっととても楽しいだろうから。**]
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