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もう、いいんだな?
[待ってろ、と言われた先のコエではまだ、ロー・シェンは無理をしているように感じられた。>>*32
だが、今、届いたコエは、吹っ切れたような──いや、しっかりと天命を受け止めた英雄の、揺るぎないものになっていた。>>*43
アイリの死から立ち直るための支えがあったのだろう、思い浮かぶのはヨセフの顔だ。]
[カップを置いて、立ち上がった。]
外で遊ぶぞ、Z
[回復には遠いまでも、人ならざる身体は、あれ以上の喪失がない程度には保てている。
むろん飛ぶことはできず、かろうじて付け根に残った羽根──切り札も3枚を数えるのみ。]
…──、
[否、もう一度《覚醒》を強制発動させれば、奇跡は起こせる。
だが、その時には、ディークの人間としての肉体は失われ、この世界に留まることはできなくなるだろう。
それは──できない。選べない。
唇を噛む。
それでも、]
すぐに、よく見えるところに出る。
[動けないような身体ではないと、知らせるべくコエをおくった。
もっとも、幽閉されていたとしても、脱獄してやるつもりだが。]
見つけてくれ。
[ドワーフ様式の厨房の外は、意匠めいた複雑な回路の脈搏つダンジョンだった。
最初に潜入したときも、確かこんなだった。
回し車だとか、飛び出してくるブラシ(猫じゃらし?)だとか。
魔王のやり方を見るに、「壊す」の基準はだいぶ酷そうだが、甘んじて受ける謂れもない。]
行こう、か!
[ベルトポーチに収めた、チリンと鳴る珠を、ぽん、と叩いて先へ進む。
瞬時の選択を積み重ね、幸運を祈り、諦めることなく──ロー・シェンの元へと向うのだ。]
― 回想 ―
[その珠は、ミニチュア Z を要望したディークに、Z が作ってくれたものだ。>>180>>181
「いーっ」と言いそうなエルフの双子と、顰め面が地顔のドワーフの造詣を経て、象られた真球。
それが、核のコピーとは知らないままに受け取り、触手の先の灯に翳してみたりした。]
城の外観とは異なるけど──そうか、これがおまえの自己認識か。
…惹き込まれそうになる。 すごいな。
[再現してみた技術と、本来の造詣の美しさとを、ともに讃えた。]
ありがたく、いただいておく。
ああ、すまない。
おまえたちの絆に対して、不躾だった。
[魔王と引き離される話になると、とたんに、つまらなそうにする Z に謝る。
しかし、手に取るように機嫌がわかりやすい機械とは、一体。
好ましい想いで、彼の振動に応えるのだった。]
精霊界は俺も水鏡でしか覗いたことはないが、綺麗で楽しそうなところだったぞ。
宙に浮かぶシャボン玉みたいな虹色の球の中に魚が泳いでいたり、樹木がゆさゆさ歩いていたりするそんな光景が当たり前みたいな。
[とうてい口では説明しきれなかったが、嘘のない声の色は伝わったろうか。]
[お茶を注いだカップが消え、ヒトガタを観察していた Z から感想がもたらされる。
1%の
確かにクセは強いな。
石みたいなドワーフ謹製クッキーと一緒に食べると実にあうんだ。
[そんなデータを付け加えておく。
ちなみに、ディークはフレーバーティー好きなので、この味に文句はなかった。
双子の飴はこの比ではなかったって。*]
― Z 体内回廊 ―
…あ!
[回想から不意に思い至って声を上げた。
Z が、ヒトガタの視覚情報からこねくり回した細工物──]
ヒトガタは、双子と知り合いなのか?
[それはなんか、とてもヤバい情報では。*]
[力強いロー・シェンのコエが届いた。
魔王の玉座の真上だ、と。 ああ、近い。]
グリフォンだな。
殿下も間に合ったとは、ありがたい。
シラー解放、おめでとう。
これで魔軍の補給路はほぼ断てたな。
[二人へと投げ返す状況判断は今も的確なものだ。]
上へ向う。
見せ場には、間に合うさ。 構わず全力でいけ。
[すぐに戦いを開始するのだろう二人へ、エールを送る。]
[天井を仰ぐ。
その先にあるものを見るように。]
双子が嘘つきでライバルで魔王に懐いてた?!
[それ、どんだけ蜜月だというんだ。>>193
ヨセフの家族とも仲がいいと言っていたが、もはや、偶然とは言い難い。
Z からの情報に、と唇を噛んで、胸の小さな痼りに触れる。]
[天井を仰ぐ。
その先にあるものを見るように。]
双子が嘘つきでライバルで魔王に懐いてた?!
[それ、どんだけ蜜月だというんだ。>>193
ヨセフの家族とも仲がいいと言っていたが、もはや、偶然とは言い難い。
Z からの情報に唇を噛んで、胸の小さな痼りに触れる。]
ロー・シェン、 殿下。
こんな時だが、あの後、エルフの双子の動向は確認しているか。
魔王にまとわりついても逆鱗に触れないらしいって証言を得た。
飛び出してきても油断するなよ。
[ゴロゴロ…という遠雷のような音に振り返ると、巨大な球体が迫ってきていた。>>193
お持ち帰り用ではない、多分。
脇道に避けて躱すのが常道、と思われたが、行く手を塞がれるのも面倒だった。]
逃げ回るのは、遊びじゃないしな。
[天井から垂れる触手を掴んで身体を引き上げ、球体の上へ。
バランス感覚!と念じながら、着地し、そのまま球を転がす。
軍学校時代、プールに浮かべた丸太の上に、どっちが長く留まっていられるかという勝負を、ロー・シェンたちとやったものだ。 なんて、懐かしがってる場合じゃないが。*]
[エルフの双子はすでに害を為すことはないと、二人から知らされる。]
そうか…
ロー・シェンの手にかかったなら、苦しまなかったろう。
[魔王の子飼だった双子。
ユーリエを殺させたのもその線か──と思索し、すぐに否定した。
魔王は、自分の手で造ったもの、改造したものにしか関心を抱かないタチだ。]
[ロー・シェンを暗殺しようとした双子に同情することはできないけれど、]
この石から花が咲く日が来たら──また遊んでやる。
それまで、ふたりで仲良くしてろ。
[届かぬ追悼をコエに乗せた。]
…っと!
[なんとか、落ちずに玉乗りを制することができたらしい。>>217
目の前に迫った壁を蹴って、バク宙で着地する。]
冤罪だ。 慰謝料を要求するぞ。
[蹴りはしたが、と Z に言い返す。]
まだ遠い、か?
[天眼に集中し、己の位置を俯瞰する。
ロー・シェンの待つ玉座の間に行かねばならぬ。
だが、何かが急ぐ心を押しとどめた。]
ここ──、 何がある?
[壁の向こう。
それは、少年のとらわれた空間であった。>>226>>227]
[Zの触手がツンツンと触れて来る。>>223
内壁全体に感覚器があるワケではないらしい。
ならば、やりようによっては、”消えて”しまうこともできるだろうか。
奥にあるのは、玩具の素体だろうと、隠す様子もなく Z は答えた。
みっしりと棘を生やした壁から反射的に離れる。
だが、直感が告げていた。
何もしなければ、手遅れになる、と。]
俺も魔王の素材らしいぞ。
入る資格はあるだろ。
[嘯き、三つの目で進入路を探った。]
[殺意をさやがせて、壁が鳴る。>>246
まだ秘密兵器があるのなら使われないようにしなければ、と考える一方で、ロー・シェンの元へ急ぎたいのも確かである。
そして、Z の言葉に含まれたものが、ディークの状況判断を改めさせた。]
…ならば、ここを諦める代わりに、玉座の間へ行かせてくれるか。
[どっちも拒否するならば、魔王が Z に禁じたこと──零しすぎることになる、との覚悟を示して交渉した。]
ああ、 今、笑ってるだろう、おまえ。
[見えなくてもわかる。
だから、俺も笑って送り出そう。]
おまえにしか、できない。 任せたぞ。
[壁を覆っていた茨が音もなく消える。>>263
壁自体が、カードのエッジで切り裂けるほどに薄い。
昔話のようだ。
ティークは、魔王を想う Z の選んだ方──封じられた実験室に足を踏み入れる。
そこにあるのは、無理を押し通せば死ぬ玩具で、かつ死ねばディークが悔いるような何かだと、予測と覚悟はしていたものの、]
…っ なに、
[まだ幼い子供と、二種の魔獣が、赤い管で繋がれていた。
嫌悪に目を細めながら、そっと手を伸ばす。
子供の肌は柔らかく温かで、胸はかすかに上下していた。
そして、その顔には、ある男の血筋が伺えた。]
男の子だ、 あんたの息子だろう。
生きている。 ただ──、
[Z が暗示したとおりだ。手を出すのが躊躇われる状態である。]
来られるか。
[戦いはどうなっている、と気配を探りながら。]
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