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― リオレ島拠点内 ―
あははっ、そうなんだ。
いつか、シュテルン少尉が操縦している飛行機に乗ってみたいな。
[>>5:+35 気が緩み、見せた表情は幼いもの。
こうして見やると、年齢相応に映って、なんだか微笑ましい。
思わずウェルシュは微笑む。
そして彼とともに、用意された小型艦へと乗り込んだ。
港を振り返ると、まだ人々は慌ただしく動き回っていただろうか。*]
― リオレ島→東方海域へ ―
[>>5:+46 程なくして小型艦は出発し、リオレ島を離れていく。未だに空は暗いままで、窓に小雨の雫が細かくつく。
暫く離れていく島を眺めていた頃だろうか、シュテルン少尉に話しかけられる。]
あのひと?
[自分が不思議そうにそう尋ね返すと。
どうやらタクマの養い子というのが、目の前の彼なようだ。
不思議な縁である。]
……タクマさんか。
そっかぁ、貴方だったんだね。
[そして質問の答えには、暫く視線を彷徨わせて、]
えぇ…… やらかした?
うーん。ちょっと思いつかないんだけれど…
[何かタクマは重大なミスをしたっけ。あゝ、もしかして。]
えぇ、と。
もしかして、僕を連れてきたってこと、かなぁ……
[最前線にウェルシュを連れてきたこと。
もしかして今頃、タクマはゲオルグおじさんにこっぴどく叱られているかもしれないが。
しかし、それは自分がタクマに我儘を言ったことなのだ。]
………僕の所為だからね。それは。
だから、あまりタクマさんを責めて欲しくないな。
ごめんね。
[眉尻を下げて、ウェルシュに謝った。]
― 東方海域へ ―
ははっ、そうだね。
……タクマさんは優しいよね。
[>>+13 呆れたような口調で「甘いから」というシュテルン。
でもその萌黄色の双眸は、どこか優しみを帯びていて。
タクマのことを信頼していることが窺い知れる。]
うん、そうして貰えると助かるよ。
[にぱっと笑って責める気はないと聞くと胸を撫で下ろす。]
そう言えば、このまま真っ直ぐストンプに戻るのかな?
それとも、カルボナードへ先に行くのかな。
[会話の区切りが付いた頃、ウェルシュは彼に尋ねた。//]
― 東方海域 ―
……ん、分かった。
[>>+24 ストンプに戻るという言葉には一度頷いて。
本当は直ぐにでもカルボナードに行きたかったけれども、我儘はこれ以上は言えなかった。]
そうだね……
シュテルン少尉の怪我も、一緒に看て貰おうか。
[自分を気遣うような言葉に、小さく頷いて。
そして彼もまた万全とは言えないのだから、ストンプに戻ったら医者を呼ぶと伝えた。
然し怪我を負ってもなお、努めて明るく振る舞おうとする彼に、]
ありがとう。
[控えめに御礼を告げた。
さて、ストンプまで、まだまだ遠い航路になりそうだ。*]
―ストンプ港へ―
[シュテルンと他愛のない話をしたり、微睡んでいるうちに懐かしい景色が眼前に広がる。少しの間だけ離れていただけなのに、随分と懐かしい気がする。]
そう言えばシュテルン少尉はストンプには来た事ある?
[海兵ならば戦艦のメンテナンスなどで訪れることはあるだろうけれども。
彼はパイロットだ。あまり来る事はないかもしれない。
それでもストンプは大きい町だから、何かの用事で訪れたことはあっただろうか。]
もうすぐ着くね。
[ベンチから立ち、窓の外を見る。
この辺りは雨は降っていないようだ。
出立のときとそう変わらない、青空が広がっている。]
僕は着いたら、医者を呼んでくるつもりだけれど。
シュテルン少尉も一緒に行きましょうか?
[そう言って彼を誘ったけれども、果たして。//]
― ストンプ港へ ―
そっか。なら楽しんでいってね。
……って言っても観光に来た訳じゃないんだしね。
あまりゆっくりはできないかもしれないけれど。
[>>+37 本当はウルケル随一の造船所に連れていったり。
海洋博物館に連れていって、船をたくさん紹介したいけれど。
(シュテルンはもしかしたら船の話に飽き飽きしてしまうかもしれないが)
そういう訳にもいかないだろう。先ずは病院か。]
ん?あはは、プライベートと呼べるものもあまりないけれどね。
……うん、宜しくね。
[ほどなくして小型艦はストンプの港へと着く。
ストンプの街の人々は領主の帰還に胸を撫で下ろしつつも、怪我に驚いたことだろう。]
ただいま。
ルシエルナガに医者を手配するよう、伝えて。
……看て欲しいひとが居るんだ。
[やがて、ウェルシュとシュテルンは医者に診てもらい、簡単な治療が施されたか。
それがひと段落ついた頃、]
さてと。
僕は屋敷へと戻ろうと思うけれど。
……シュテルン少尉も来るかい?
[屋敷へ戻って、ヴィクトリアから預かった姉との手紙を仕舞いたい。
そして、屋敷のものに姉の死を伝えなければならないだろう。
―――探したいものも、あった。//]
― ストンプ港へ ―
あ、いや、……
ちょっと探し物があるだけだし。
シュテルン少尉だって、疲れているでしょう?
今日はゆっくり寝て、明日に備えたらどうかな。
今夜は僕の家に泊まりなよ。
[>>+45 席を外すと気を遣う彼に対しては、その必要は無いと伝えて。もし良ければ、今夜はうちで泊まると良い旨も伝えた。
そして、躊躇いがちに申し出たことに対しては、]
え。そうなんだ……
じゃあ、
シュテルンさん…… かな?
[口に出してみて、うーん、と首を捻ってみて。]
いや、
―――……シュテルン君、かな。
[ちょっと馴れ馴れし過ぎるだろうか。
少し照れたような表情になって、目の前の少尉を見つめた。]
―ストンプ:ウェルシュの屋敷―
[屋敷に戻ったあと、一先ず夕食を取ることにした。]
海じゃなかなか肉や野菜は採れないでしょ。
だからこういうのがやっぱり良いんじゃないかな。
お酒は飲めるかい?
[そう言ってシュテルンに差し出したのは、チーズフォンデュ。
ラム肉をメインに、カボチャやニンジン、パンやブロッコリーなど色とりどりの食材がテーブルに並べられている。
更に、地元で採れた葡萄を使ったワインも入れてやる。
もしお酒が飲めないならば、他のものを差しだしてやったか。]
えぇ、と。
護衛ありがとう。ようこそストンプへ。
……乾杯っ。
[何に乾杯?一瞬、言葉を躊躇った。
シュテルンが応じるならば、カチン、と小気味良い音が広いダイニングに響いただろう。]
[さて、目の前の彼とは何を話しただろうか。
最初は他愛もない世間話。
そしていつものように船の話。
ストンプの話や、タクマの話など。]
シュテルン君はどうして飛行機に乗ろうと思ったの?
やっぱり兵士になろうと思ったのは、タクマさんの影響かな。
[とある話の折。そんな風に尋ねてみた。]
― ストンプ ―
あはは、遠慮しないで食べて。
[>>+53 シュテルンは意外にもよく飲めるほうで、話は弾んだ。
ちなみにウェルシュは見た目通り(?)、あまり飲めない。
付き合い程度には飲めるけれども、飲み過ぎると直ぐ眠くなってしまうのだ。だからワインはゆっくりと時間をかけて、飲む。
>>+55 シュテルンは真っ直ぐ萌黄色の双眸を此方に向けて、答える。その表情はどこか遠くを見つめていて、]
そっか。……友達、か。
[口調は軽いものと努めているけれども、その表情は僅かに憂いを帯びていて。その変化を指摘しようと口を開きかけたけれども、自重して、噤んだ。]
良いね。
僕はそこまで言える程の友達は、居なくてね。
[グラスに残ったワインを飲み干し、目を閉じた。
領主として可愛がられ、街の人から敬われて育ったけれども。
友達と呼べる関係の者は、実はあまり多くない。]
―――……大切にすると良いよ。
[実はその友達がもう居ないだなんて、ウェルシュは知らないけれども。
例え居ないとしても、大切なものには変わりはないのだから。*]
―眠りに就く前:ストンプ―
[さてその後、シュテルンとの食事はどんなものだっただろうか。
食事を終えたあとは、彼に湯を浴びるよう勧め、客室を宛がった。]
明日、午後一番にストンプを離れるよ。
カルボナードに向かおうと思う。
今夜はゆっくり休んでね、おやすみ。
[寝る前、彼にそう伝えて、部屋の扉を閉じた。
少し息をついて、ウェルシュはある部屋を訪れた。
―――母の寝室だ。
母は父が亡くなって以降、急に身体を拗らせてしまった。
まるで父を追うかのように衰弱していく母。
今は病院のほうで療養しているけれども、もしかしたらそう長くはないのかもしれない。
そんな母の寝室を勝手に入るのは憚られたが、]
……ごめんなさい。
[小さく母に謝ると、そっとその部屋に入る。
豪奢な造りのベッド、赤いカーペット、クローゼット。
周りを見渡しながら、鏡台の引き出しや、小物入れなど怪しいところは開けてみた。
今まで反抗期もなく、育ったような青年だ。
このような事をするのは、生まれて初めてだった。]
あっ、
[やがて鏡台の引き出しの一番奥、それは見つけた。
色褪せ、ところどころ皺になっていたり破れたりしているけれども。]
………あった。
[流石に、捨てるのは憚られたのかもしれない。
けれども息子に易々と見せるのも癪と思ったのかもしれない。
そうやって宙ぶらりんになった手紙は、こうして奥底に仕舞われてしまったのだ。
震える手でそれを開く。]
姉さん、
[>>5:+38>>5:+40>>5:+42 三通の手紙。
弟からの返事をずっと待っていたであろう、手紙。]
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