情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[シェイから送られてくる思念の中に、自分の見知った者の後姿が視える。
彼がどうして堕天したのか、詳しいことは知らなかったけれど。
それでもあの時確かに、彼の翼を美しいと思った。
人は、神が手を伸ばさずとも生きていく強さがある。
その事実に、本当はずっと前から気が付いていた。
同時に、ならば自分達に救えるものは何なのだろうかと不安に駆られる日々があった。
淡い気配に抱きしめられたような気がして、ふわりとその頬を綻ばせ。
――どうしようもなく涙が溢れそうだと、また苦笑を浮かべてしまう。]
[威厳のある普段の彼とはかけ離れた、か細い声>>23。
その問いかけはまるで嘆きに近いような、そんな雰囲気を伴っていた。
黒い翼を一度だけ揺らし、少しだけ彼に近付いて]
……貴方にそんな様子で話されると、調子が狂ってしまいますわ。
[普段と変わらない態度のまま、そんなことを呟く。]
…ごめんなさい、ジークムント。
でも私はもう、神を愛し敬うことはできませんの。
……神は万能ではなくて、救える存在に限りがあると思ってしまったのです。
[きっと自分は、彼が思っていたほど真っ直ぐではなかった。
目を少し向ければもう堕ちてしまう、そんな瀬戸際にずっとずっと、立っていた。]
/*
ユーリエがかっこいいですの。
エレオノーレやウェルシュとも絡みたいなとぼんやり思いましたけど、時間があるかどうか。
[自分の代わりに天使長になる者は、今度はもっとしっかりした者を。
神を敬えて、決して自分のように堕天をしないような。
そんな天使を彼は選ぶだろうと思っていた。
天使長の義務を大事にする彼がこれ以上何かを言うなんて予想だにしていなくて。]
…………え?
貴方、何を言って―――
[学びなおすだとか、無事に戻れたらだとか。
そんなこと、自分にはもう出来ない。彼はそんなことくらい分かっているはずなのだ。
呆気に取られていると、此方側に飛んで来た彼に気付けば抱き上げられていた。
―それも、所謂姫抱きの状態で。]
――ジークムント……っ!?
[自分を庇うような態勢で境界を越えようとするジークムントの名前を、驚いたように呼ぶ。
この先は堕天した者を受け入れない。自分の保身などというものよりも、彼への心配しか頭には浮かばずに。
こんなことをしてしまえば、天使長であっても決して許されない。]
駄目、やめなさいジークムント!
…貴方が消えるなんて、そんなの……!
[最悪の展開を想像し、慌てたような声で半ば叫ぶように静止の言葉を投げる。]
[彼の翼の端が焼けて落ちる>>33のを視界に捉え、深い青の瞳に涙の膜が張る。
自分に天界に踏み入る意思がないからか、それともジークムントが庇ってくれているおかげなのか肌を刺すような痛みくらいしかないけれど。
生半可な痛みではないはずなのに。
止めなければならないと思うのに――]
……っ!
[そんな思いに反して、彼に縋るかのように手には力が入る。
天界の清浄な気はやはり自分の意思に関係せずこの身には毒になり、浅く息を吐いて。]
…ゲル、ト……?
[どこか遠くに聞こえる声>>35の持ち主の名前を小さく呼ぶけれど、きっと彼女の耳には届かなかっただろう]
/*
動物はもふもふしたかった…!
でもシルキーはたくさん動物がいるとビビるので出来るかが微妙なところ。
[ゲルトがここにいても平気だったのは、前もって神に許可を得ていたからだったか。
ぺたりと座り込んで、倒れてしまったジークムントに目を見開き]
ジークムント…っ!
だ、誰か……誰かいませんの…!?
[彼の白いままの翼は三枚を残し焼け落ちて、肌も痛々しい火傷が見えて焦ったように周囲を見渡す。
今の自分では、癒しの力を使うことはできない。
探しに行くのも手だが、こんな状態の彼を置いていくなんて駄目だ。
誰かいないかと、必死に探し続ける。]
/*
ゲルトに全部罪が被ったらシルキーが猛抗議しに行きますのよ、きっと。
ジークムントの傷を見てるので地上に帰る!とまでは言えなくなってますけれど。
[エレオノーレ撫でながら]
/*
そういえば最初はウェルシュのことをウェルシュお兄様って呼ぼうかと思ったのですけど、あざとすぎると思って没にした記憶。
延長ありがとうございます、お疲れ様ですの!
………あ、あの……?
[落ち着いたところで今度は唐突に恥ずかしさに襲われ、顔を真っ赤にして何かを言いかけ言葉に詰まる。
羞恥こそあれど少しの抵抗もしないのは、彼女の気持ちの表れなのだろう。]
――……!?
[ようやく落ち着いた彼女は、予想だにしていなかった言葉>>60を聞き一瞬ぴしりと固まった。
また頭がぐるぐると混乱しそうになるのを必死に抑え、彼の顔が赤いことに気付く。
正直、好かれていないと思っていたのだ。
会議では常に衝突していたし、天使長になりたての頃は癖が抜けず、お世辞にもおしとやかなんて言えないことばかりして怒られていた記憶があるから。]
……っぁ、…ぅ…。
[何か言わなければならないと思うのに、色んな感情が混ざって声はまともな言葉にならない。
耳まで赤くなりながら、数度。深く息を吸う。
そして、唐突に。
彼の腕を引き、耳元で小さく小さく囁いた。]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新