情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 エピローグ 終了 / 最新
[その彼が、今、こうして自分の手をとってくれるとあれば。
ずっと胸に抱いていた不安や孤独が、晴れていくのを感じて。]
――――しあわせに、してください。
[一緒にいれなかった間の分も。
それまでの孤独を、埋め尽くすかのように、彼を求めた。]
………………先輩……
愛して、います――――……。
[抱きしめられ、唇が触れれば、甘えるようにその身を委ねる。
さらなる温もりを求めるかのように。
指先で、ぎゅっと彼の服を握りしめた。]
[彼の言葉>>+136と、優しい瞳に、表情が綻ぶ。
一度は適わぬと思った恋が、こうして実を結んでいる。
それだけで、身も心も蕩けてしまいそうだった。
トールの手に身を委ね、寝台へと倒れ込めば。
少しだけ、恥ずかしそうに視線を彷徨わせた。]
[だが、トールの問い>>+137を聞けば、僅かに頬を膨らませる。]
…………むぅ。
一番痛かったのは、貴方に振られたと思った時、です。
[拗ねたように呟きながらも、彼の背に両手をまわし、ぎゅっと抱きつく。]
恋に落ちたのなんて、
この部屋で一緒に暮らしていた頃からなんだから――…。
[恋に落ちたのがいつか、なんて。
もう、わからないほどに。
気付けば、彼ばかり見ていて。
彼のことが、自分の中心となっていた。
――――本当は。
初めて出会ったあの時に、もう、射貫かれていたのかもしれない――。]
…………もう、あんな想いはすることはないって、
わかってます、けど、ね。
[自分に言い聞かせるように、そう、呟きながら。
それまでふて腐れていた顔に、笑みを浮かべ。
そっと、トールの頬に自らの唇を押し当てた。]
――――俺が、先輩を好きなのと、同じくらいだけ。
先輩も、俺を好きでいてくれてるって――…
わかっている、から――……。
[浮かぶ笑みは、嬉しさ半分、恥ずかしさ半分。]
――最初の年の、トールの誕生日――
[やはり、すぐに意図は伝わってしまったらしい。
……普段は少し鈍感なところもあるのに。
こんな時は鋭くて、少し、悔しい。]
……別に、そういうつもりでは。
たまたま、自分が食べたくなっただけです。
[意外そうに言われると>>+147
むすっとした顔で応えてしまう。]
[……別に、彼のことが嫌いな訳ではないのに。
どうして、こんな態度を取ってしまうのだろう。
嬉しそうにしてくれれば、こちらも少し嬉しく思うのに。
それでも、やはり。
そんなところを見せるのは、少し悔しくて……
――――そして、怖かった。]
[もう、敗北のショックはかなり薄らいでいた。
それでも。
あれだけくってかかった手前、すぐに態度を緩和することも出来ず。
いい人だな、って思うのに。
…………それを認めることは、
自分が敗北を認めたように受け取られてしまう気がして。]
別に、無理して今日全部食べなくても……。
それに、無理していただかなくていいんです。
…………自分用ですから。
[トールの言葉>>+145に、そう返しながらも。
トールの幸せそうな表情>>+150を見れば、不思議と顔が赤らむのだった。]
……………………勿論、です。
[と、口ではそんなことを言いながらも。]
[…………どうして、だろう。
彼といると、ほんのり温かな気持ちになってしまうのは。
他人なんて、信じたらいけないと。
ずっと、そう思っていたのに。
血を分けた肉親でさえ、殺し合うような醜い世の中なのだ。
自分と養父母以外、誰も信用出来る者などいないと――…
そう、思っていた、はずが。]
・・・・・・・・・・・・・・・。
[屈託のないトールの笑顔を眺めながら。
どうしてだろう、自然と苦しげな息が零れるのだった。]
――その年の誕生日――
[入学に際して、必要な書類に記載はしたものの。
自分の誕生日についてなど、誰に対しても明かすつもりはなかった。
そんな必要すら感じなかったし、
そもそも誰に聞かれることもなかった。
――――だからこそ。]
[そして、シフォンケーキと箱を差し出されれば。
数度、琥珀色を瞬かせる。]
え――――……。
これを、俺に……?
[シフォンケーキの形は、少し崩れていて。
見ただけで、慣れない者が作ったということがうかがい知れる。
思わず、まじまじとトールの顔を見つめてしまった。]
………………なんで。
なんで、俺の為に、そんなことを……?
[誕生日を、教えてもいない。
そもそも、あれだけ盛大に食ってかかった相手だというのに。
なぜ、こんな風にしてくれるのだろう。
その優しさを、温もりを、感じれば感じるほどに。
――――戸惑いばかりが、浮かぶ。]
………………とりあえず。
いただき、ます。
[微かに苦笑いを浮かべながら、シフォンケーキを口へと運ぶ。
――――甘くて、柔らかくて、優しい、味わい。
まるで彼の人柄のように、じんわりと染みてきて。]
…………ありがとう、ございます……。
[小さく肩を震わせながら紡いだ声は、ごく、小さかったけど。
それでも、素直に言えた自分に、少し、驚いた。]
……たまには、こういうのも悪くないかなって、思います。
[嫌ではない、というのを伝えたくて。>>+154
そう、言葉を選んだけれど。]
――西寮:自室――
[トールの言葉>>+202を聞けば、ゆっくりと首を振る。]
……それでも。
貴方と共に死んで、そしてここで再び出会えたのだから……。
[こちらからもそっと手を伸ばし、トールの髪を梳く。
触れる指も。自らに触れる彼の温もりも、どちらもじん……と身を焦がし。
自然と、切なげに息が零れるのだった。]
…………俺、も。
先輩がいないとダメなんだって。
それを強く感じた五年間でした……。
貴方がいる生活を、知ってしまったから――…。
[ずっと、自分からは言えずにいた想い。]
[長い間、恋い焦がれ続けていた。
でも、それを告げることは、なかなか出来なくて。
彼は人柄もよく、皆から愛されているから。
自分の性格も、よく知っていたから。
想いを告げられても、迷惑になるのでは、と――…
――――ずっと、自分の胸に封じていた。]
[でも、もう今は――――…。]
…………先輩。愛して、ます。
[想いを隠すこともなく。
また、互いの立場を慮ることもなく。
ただ、胸にこみ上げる想いを、正直に伝えた――。]
[暫し時が経てば、幾分酔いも収まり、彼の腕に甘えるようにしながら。]
………………伝言?
[トールの言葉>>+214に、小さく首を傾げる。
が、続く言葉には、僅かに目を見開き。
やがて、ふんわりと表情を綻ばせた。]
…………そう、ですか。
ディーク先輩がそう言ってくれるなら、心強い。
[そう応え。
そっと、トールの胸に身を寄せた。]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 エピローグ 終了 / 最新