情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新
― 玉座の間 ―
…… あ に、うえ ……?
[広間が、しんと静まり返ってる。
呆気にとられたような人々の中、最も驚いていたのはウェルシュだった。兄の哄笑。>>22
それに続く言葉が──…その意味が、分からない。]
な、 に を……
[ウェルシュが最も衝撃を受けたのは、兄の瞳に宿る憎悪だ。
緑の瞳に宿るその激しさに、ウェルシュは呆然とした。
不安がまるでなかったとは言わない。
このところ、時折感じたどこか余所余所しい空気。視線。
けれどそれも、王位を巡るこの数日のことだろうと思っていた。
第一王子であり、優秀な武人でもある兄にとって、王位継承権を弟に取られるなど屈辱であるには違いなく、その所為で機嫌が悪いのだと───それでも、いずれはまた元に戻ると、信じていたのに。]
[一人の軍人が、広間へと駆け込んでくる。
北の要塞ゾネスが襲撃を受けている。その報に広間が騒めいた。
それらを打ち消すかのように、兄の哄笑が響く。>>23
兄へ信じられないものを見るかの目を向ける者は、文官のみならず軍人の中にもあっただろう。その中に、先の騒動の折に王宮を守った大将>>3:182がある。
生真面目な軍人である彼の顔も青ざめて、凝然と第一王子を見つめている。だが、その表情がゾネス急襲の報に動いた。指揮権を求めて彷徨った視線が、第二王子のそれと交わった。]
……急ぎ、軍を整えゾネスの守りを。行けるか?
[兄を通じず、大将へと直接に声を掛ける。
軍の最上位は第一王子、であれば本来、第二王子にすぎないウェルシュが彼に命を下す謂れはない。だが僅かな沈黙ののちに、大将は敬礼を返してみせた。
そのまま、軍人らしく踵を返して広間を出て行く。]
────、兄上、
[その間にも、兄の嗤い声は響いていただろうか。
それとも、弟の勝手を咎めただろうか。
身体の奥が微かに震え続けている。
それは、どうしようもない怒りのようで哀しみのようで。]
おやめ下さい、あにうえ!!!!
[叫び声が、悲鳴のように高い天井へと空しく*響いた*]
[北へ向け、軍勢が行く。
その様子>>49を目にして動揺したのは、市井の民ばかりではなかった。
鷹匠の捜索を命じられた者ども、彼らの間にもまた動揺が走る。
無理もない、彼らには何も知らせが来てはいないのだ。すぐに連絡が交わされて、ある者は王宮へと向かった。浮足立った彼らの注意は逸れ、鷹匠を捜索する手は緩んだ。
時は同じく、彼らのうちの一人が王宮に至ると、そこもまた常ならず落ち着かない様子である。門番のうちの一人が口早に語ったところによると、北の国が攻めてきたとか既にゾネス要塞が落とされたとか。
不安げに交わされる話は、このところの不穏な噂話同様に、尾ひれをつけながら広まってゆく。噂は程なく城下にも伝わるか。
若い門番は、不安げに空を見上げた。
騒動以来掲げられているラメールの旗が、常には心強さと誇らしさで胸を一杯にしてくれるはずの旗が、風に揺らぐが何故だかひどく心細く思えた*]
― ある暖かい春の日 ―
[母の膝の上で、幼子がうとうとと微睡んでいる。>>45
幼子は母に良く似た髪の色、瞳をあければいっそう母に似ると言われるだろう。
母子揃った微睡みに、幼い瞳が不意に開いた。未だ夢から醒めきらぬ様子で、小さな頭がぼんやりと辺りの様子を見回す。
そこに見えたのは、眠りにつく母の顔と傍らに眠る兄の顔。>>50
大好きな顔が二つ見えたのが嬉しくて、幼子はぽふりとその間に顔を再び埋めた。微笑み浮かべた顔で瞼閉ざせば、また穏やかな夢へと誘われる。
夢うつつに見たのは、母と兄、父も交えた幸せな夢。
暖かな日。遠い日の春の記憶だ。*]
― 王の間 ―
兄上、
…────、何故、
[憎悪湛える翠の瞳、そのまなざしを受け止めて一度瞳を閉ざす。
問いは、止めようがなく音として唇を滑り落ちた。何故、と。聞いてしまえば、恐らくもう戻れないけど。]
やめろ、ヘルムート。
…… やめてくれ ………
[痛烈な弾劾>>48が、シュナウザーの口から放たれる。
それに同意する者も多くあったのだろう、場は彼を咎めるではなく同調する響きで騒めいた。
その騒めきを耳にしながら、願う音は脆く小さな響きで。それは臣下の無礼を咎める言葉ではなく、ただ深い哀しみををのみ乗せた願いごと。]
兄上。今からでも良いのです。
叶うならば、通じた者についてお教えください。
兄上が為されたこと、それらをどうか。
私たちにはこの国の民を守る義務がある。
皆から学んだことを生かして、国の為に尽くす責務がある。
…─── そう、だったはずでしょう?
[一か月前、兄と二人きりで語り合った日に。
数日前、再び兄と幼馴染の死を悼んだ日に。
繰り返し、繰り返し。誓いのように交わした言葉は幻か。
兄が水を飲み降す>>53
その光景を、ウェルシュはどこか劇を眺めるかのように目に映した。
スローモーションのように、兄の喉が動く様子が瞼に焼き付く。]
──────…、兄上。
御身拘束させて頂きます。
同時に、軍司令の任を解かせて頂く。
[発した音は静かなまま、けれど言葉は異様なまでにはっきりと広間に響いた。
しん。とした中でウェルシュは軍人を顧みて、決定的な命を下す。]
フェリクス・フォン・ラメールを拘束せよ。
[躊躇うような一瞬の間、けれどウェルシュへと敬礼返した軍人は大将>>31と同じ判断を下したのだろう。あくまでも丁重に、だが一度判断を下せば動きには躊躇いもなく、軍人らは兄の周りを囲みゆく。
その様子を奥歯噛み締め、微かな震えを押し殺しながら、ウェルシュはずっと見ていた。握りしめた拳は白く、知らず肌に爪が食い込んでいた。*]
/*
兄上は寝てる??のかな???
多分、そんなに強い毒ちっくな見た目じゃ……ない…んだろう、か。どうなんだ。どこまで騒いでいいんだ。
南の国ぃ!!!って情報はまだないから、北だけだな!?あーーにうえが、両方に情報を流してたって情報は………(ない)
ないな。北だけだな。
ろーーーれるが裏切ってる情報も、南が来る情報もないしなあ。ない!!!!えええんw
― 王の間 ―
[兄へ向けられる罵倒の声は次第に高くなっていく。>>64
止めろと叫んでしまいたかった。やめてくれ、と。
兄はそんな人じゃない、幼い頃からの憧れの人だった。
いつだって兄は強く優しく眩しくて、]
……っ、─────…
[違う、そんなんじゃない。
叫び出したくなる衝動を必死に押し殺した。
今、必要なのは甘えた第二王子じゃない。
今必要とされているのは、
…………、あに うえ、
[それでも猶、兄に問いを向けた己を甘いと人は言うだろうか。無駄なことをと詰るだろうか。
兄の裏切りは明白で、それでもまだ、……まだ悔いる様子を見せてくれたなら。己の問いに答えてくれたなら。
助けられるのではないかと、そんな淡い希望に縋ってしまった自分を。]
…………、
[諭すかの如き低い応え。>>65
兄は何を思って、そのようなことを言うのだろう。……自分は兄のことなど、何も知らなかったのだ。もしかしたら、何一つとして知らなかったのかも知れない。
知っている。と思いこんでいたのは傲慢だったか増長か。
兄を慕い、兄を追いかけていたはずだった。
いつからそれは、幻想でしかなくなってしまっていたのか。]
[兄を囲んだ軍人らが慌てた様子を示す。
それに気付いた者から、ざわりと騒ぎが広がり始めた。
兄の身体が不自然にぐらりと傾ぐ。>>66
それへウェルシュは目を見張った。咄嗟に兄へ向け足を踏み出す。]
──── あにうえ!!!?
[踏み出した足は、兄に駆け寄るより前に人の手に止められた。
警戒せよ。ということだろう。
もどかし気に一度振り返り、再び兄へと視線を戻す。ぐたりとした身体は両脇から抱えられ、立つこともままならぬ様にも見える。]
急ぎ医者を呼べ!
…何をしている?
行け、兄上を死なせる気か!!!!
[戸惑ったように此方を見たのは下級の文官、それへ怒鳴りつければ、彼は慌てて広間を飛び出して行く。
それを見届けることもなく、ヘーゼルは再び兄の元へと戻された。苦し気な様子は演技ではなく思える。であれば、彼は一体どうしたのか。
彼もまた、何者かによって害されたというのだろうか。
父と同じように、幼馴染らと同じように。…兄までもが。]
[その時。王宮の人々は───、いや。
王宮近くにある街の民たちも皆、一様にその音>>71を聞いただろう。重く、厳かに鳴り響く鐘の音を。
あれはなに? と、かつて聞いた少女がいた。>>69
目を丸くした友だちに、あれは鐘の塔だよと少年は教えてあげた。
お祝いや弔いや、大事な時に鳴らす鐘なんだ。
いいなあと、憧れのように落ちる声。
どんな時もさびしくないね、と。
それを聞いた少年は少女の手を握った。
今度お祝いの鐘を一緒に聞こう?
そしたらさびしくないよと無邪気に笑った───…
その鐘が、時ならぬ音を響かせる。
その異様に、人々は不安げに騒めいた。これは何の鐘だ、誰の葬送の鐘だろう。どよめきは不安に不安を呼んで次第に大きくなり、]
……静まれ。
…──── 静まれ!!
[ぴしりと、広間にウェルシュの声が響く。
それへ、不安げにどよめいていた人々の視線が集まった。
一様に不安げな眼差しを受け、ウェルシュは表情を引き締める。]
近衛兵。
[呼べば、短く応えが返る。
それへ顔を向けて、言葉を継いだ。]
鐘の塔の警備状況を調べよ。
鐘を鳴らした者が何であれ、悪戯に人心を騒がせることはならぬ。
再びこのような悪戯が為されぬよう、警備を改めよ。
[は!と、短い敬礼の後に数名の近衛が出て行く。
言葉の半ば以上はその場の人々に聞かせるが為のもの、鐘が事実タチの悪い悪戯なのか、はたまた何ごとかの企みかは知らねども、今はこの場を落ち着かせる必要がある。
ウェルシュは群臣を顧みて、穏やかな口調で言葉を継いだ。]
案ずるな。鐘は鐘だ。
貴方たちが動じては、民はいっそう戸惑おう。
それでどうして、国難に対することが出来ようか?
この国とこの国の民を守るため、貴方たちの力が必要なのだ。
今は落ち着いて、その力を私に貸してくれ。…頼む。
[ウェルシュが述べれば、一先ずその場は落ち着くかのようだった。少なくとも表面上、不安の声は一旦は消えたようである。それがあくまでも表面上でしかないことなど、痛いほどに分かってはいたけれども。]
[兄を看ていた医師たちは、兄を彼の自室へと運ぼうとする。それへウェルシュは承諾を与えた。
果たして兄の意識はまだあったか。一先ずは睡眠薬を盛られたかの症状>>66であったから、危機感はやや薄く。それが命取りになるとは、思わぬままに。
解散を命じれば、人々は再び広間より散り行くだろう。
その最中に、ウェルシュは傍らの監査局長を振り返った。]
こんな形になるとは思わなかったけど、
[ウェルシュは王と呼ばれるようになるだろう。
混乱と陰謀と死の果てに。兄の裏切りの後に。]
……今は、感傷に浸る暇もないな。
[北より隣国が押し寄せて来る。
今はそれを乗り切らねば、明日はないのだ。
時同じくして寄せ来る南の隣国、その脅威を未だ知ることはなく。]
民と国とを守るために、あらゆる力を尽くさねばならぬ。
ヘルムート、頼りにしている。
[今や、最も信を置く臣下へと。
声を掛けると、ほろ苦い笑みが淡く頬を*過った。*]
/*
ローレルのイメージソングにくそふいた。
二曲目にめっちゃわろたと残しておくwww
wwwwwwww
wwwwwwwwwww
あー、うん。wwww
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 エピローグ 終了 / 最新