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[ドワーフたちが打ち鳴らす石突きのリズムは心音のようで高揚を誘う。
唯一、その鼓動と無関係そうな、”Zの瞳”に、ディークは視線を向けた。]
見届け人、
あんたも、ロー・シェンに負けてみるか?
[ある意味、ロー・シェンは崇敬していた”兄”の前で、その勇姿を披露できたのだ、と一抹の感慨が過る。]
ああ、話し合いはこの後に、双方の納得の行くまで。
ただ、この前に魔軍を押し返さないと、食卓にもつけないぞ。
[崖の上で、何か異変が起きている。>>103>>104
そして、最後尾でもまた、巨大な災厄が動き出そうとしていた。>>159**]
[ロー・シェンの視線とコエを受け、屈託ない笑みを浮かべた。>>*34]
それぞれのなすべきことを果たした結果だ。
ああ、おまえに感謝されると嬉しいな。
俺は、少し調子に乗ってるくらいの方が、いい動きができるようだぞ。
[残念ながら、ゆっくりと再会に浸っている余裕はない。けれど、]
一騎打ちに負けて、ロー・シェンにその身を委ねてみれば、ロー・シェンがおまえに望むものが聞けると思わないか?
[ヒトガタの笑みに、いっそ甘やかに返した。>>173]
ん? えっと、俺を招待?
[不意に、こちらに話の矛先が向いて、目を瞬く。]
[ツィーア。意志もつ魔法呪具。究極の破壊兵器。好奇心の先にあるもの。]
俺も、まさにそれを考えていたところだ。
相性ピッタリか。
[そう笑う目は、自軍を支えんとする軍師のそれ。
あの城の動きを止めるために、魔導炉を破壊しにゆくつもりであった。]
お受けしよう。
というわけで、俺ちょっとまた、向こう行ってくるわ。
[さらっと言ってのけた。
緊急後方移送用に、ロー・シェンの近衛に瞬間移動術の使い手くらいいるだろうから、それ利用するつもりではあったが、別の方法で招待してもらえるのかな?]
というわけで、アイリ、
あの崖の上のヤバそうな騎士たちは、おまえに頼む。
あの連中、おそらくは、魔力ある武器でしか倒せない。
[アイリが自分のことをはぐれ魔族だと打ち明けた時、ディークはあるがままに事実を飲み込んだ。>>4:283
それ以降も付き合い方を改めることもなく、「普通じゃない怪力娘」として、敬して揶揄うといった調子であった。]
魔界のものだろうが、女の子だろうが、
この際、使えるものは使わせてもらう。
[託す声に、悲壮感はない。]
ロー・シェン、おまえは──
[ヒトガタの相手を、と考えていた。
が、空を翳らせて黒竜と魔王が来襲する。>>175
無理だ、と即座に諦めた。]
[ロー・シェンといえども、魔王と黒竜と両方をあしらうのは難しいかもしれない。
ヨセフがいれば──、と思いはするものの、無い袖は振れなかった。]
殿下、今どこだ?
峡谷はまだ持ちこたえている。
鉄底族と同盟を結んだ。
だが、黒竜に騎乗した魔王が、ロー・シェンに目をつけて、狩りにくる気だ。
[こちらに来られるか、とは問わない。
ヨセフにも抱えている戦場がある。
せめて、ロー・シェンにコエを届けて、力を与えてやってほしい、と希む。]
[黒い鎧をつけたディークの手を、いかつい指がつかんで引く。
次の手を察してもらえているというより、むしろ急かすようなその合図に、素早く頷いた。]
ええ、もちろん。
ゴルバ殿、貴殿らはツィーアの瞳を塞いでもらいたい。
[ロー・シェンの代わりを託す。]
[重武装で足の遅い彼らを崖の上まで送るのは難しい。
ましてや、彼らがこの場の敵に背を向けるのを承知すまい。
ならば、ここでヒトガタを抑えてもらう。
接近したディークの前に入り口を開いたような城であるから、感覚器は瞳ひとつではあるまいが、視線を釘付けにしておけるならば、間違いなく利となろう。
味方でありながら城に蹂躙された記憶も新しい鉄底族には、その前途に身を置くことがどれほど危険か充分に身にしみている。普通ならば、拒否されてもおかしくはないところ。
だが、恐怖に潰される者たちではないと、わかっていた。*]
/*
魔導炉突入やるかー、と思ってたら、向こうからお誘いが来てて、以心伝心〜☆ って楽し過ぎた。
いっそ合体し…(
[ヨセフは、シラーの近くにいると伝えてきた。>>*38
遠い。
シラーとアルテスの間にポータルは生きているのか。
それがあってもなお、魔王とロー・シェンの距離に比べれば、絶望的に離れている。]
いいえ、目の前の戦場に集中を。
そこに、殿下を求めている者たちがいます。
[陽動を提案する声には、短くそう告げておく。>>*39]
[肩に触れるロー・シェンの手。>>*42
その温もりは、魔窟に飛び込まんとするディークに力を与えてくれた。]
はは、ロー・シェンの手料理か。
それは楽しみな約束だな。
そうそう、鉄底族にローグ風の肉料理を振る舞ったんだが、とても好評だった。
俺も、軍学校の頃を思い出したよ。
ドワーフの歌もたくさん覚えた。
今度、披露してやるよ。
[快闊なコエは、ユーリエからの品を託されるに及び、すっと静かで落ち着いたものになる。]
あのひとらしい伝言だ。
いつでも、物事のいい方を見て、前向きだった。
おまえに、とてもよく似ていた。
[ロー・シェンは、苦笑でディークの放埒を許した。>>193
後悔先に立たずだが、最初からすべてロー・シェンに話しておけば、長い間、彼を苦しめることもなかったはずだ、と胸が痛い。]
俺は、勝手な男だよ。
[この想いもあわせて、そうだ。]
今度は、長くは待たせないさ。
[ロー・シェンから受け取ったものは、しっかりと胸の内に収めておいた。]
[どこからともなくカードを一枚、取り出して、ロー・シェンに差し出す。]
これ、お守りに持っててくれ。
[ある意味、ディークの身体の一部である。
それを知るロー・シェンに、残してゆく。]
助けが欲しくなったら、俺に呼びかけろ。
遠隔操作で閃光炸裂させる。
目くらまし程度だろうが、その一瞬の隙があれば、おまえなら活路を見出せると期待してる。*
転移術、一回分、使わせてもらうぞ。
[ロー・シェンに許諾をとり、しかるべき者に施術を頼む。
ヒトガタ同伴のチャンスをふいにしたかもしれないなんて、そんな残念なことは知らぬが仏。>>186
「どこまで飛ばせばいいんですか」と問う術者に、吼え猛る城を指さして絶句された。
儀式の準備が整うまで、野の花でミニブーケを作り、杖代わりになりそうな枝を一本、調達しておく。]
お招きいただいて、手ぶらというわけにもいかないさ。
[術者は黙って首を横に振り、かくして、魔導炉への瞬間移動の術が執り行われる。*]
― Z ―
[空間転移して出現したディークを、城は顎を開いて呑み込み迎える。
魔王の作り上げた破滅の装置。
唸るような振動に、肌がビリビリ震えた。
誘う光の先、魔導炉の上で、ディークは壁の装飾の間にひっかけた杖に片手でぶら下がる。]
ディークだ。
この度は、お誘い、感謝する。
こうしているのも疲れるんで、休める場所を用意してくれるとありがたいな。
あと、花瓶ある?
[手にした花を振ってみせた。]
[城の速度が遅くなったのは、地形のせいか、ディークに関心が向いているからか。
壁から触手が生えてくるのを見て、怖いと思いつつも、好奇心を掻き立てられる。
さすがにあそこに座れというわけじゃないよな?]
いや、食用ではないんだが…見えないなら、触ってみるといい。
おまえへの贈り物だ。 綺麗なものだよ。
[淡く光る舌のような部分に、ブーケを放った。]
礼儀正しいな。
それも魔王の薫陶か?
[意志をもつ大きなものと過ごすのは、楽しい。
けれど、これは、ここにあってはならぬものだ。
人間の都合によれば、そうなる。
何故、自分を求めたか聞こうとした矢先──Zの方で確認の言葉を投げてきた。]
ああ、んん。
命がけの遊びだな。
俺が来たのは、おまえを止めるためだって──言っとくな。
これ以上、動かれると、みんな無くなってしまう。
俺を裂くなら、おまえも壊れる覚悟でよろしく。
[カードで敵う相手ではないのは先刻承知の上だ。
ここには、知られて困る人目もない。
ディークは額のバンダナを捨てた。]
《
[閃光の中で、天界人としての姿を発現する。*]
[もはや、身体を支える杖は不要だった。
背に負う二枚の眩い翼がその身を宙に浮かべる。
伸びやかな鞭が迫るのを、目を細めて見た。
「すべてを無くすためだけに私は生まれた」と音を生む波動に包まれる。]
これから別の夢、奏でてみないか。
[光はなおも白熱し、ほとんど天青石の色をした焔となって、翼の起こす風に乗せて吹き荒れた。
出し惜しむ気はない。全力である。]
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