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― 地下ホール ―
[獲物が取った行動に些か虚をつかれた。
首の前に翳された魔剣を前に、逡巡の間は刹那ほども無い。
伸ばした大蛇の口を刃が切り裂く。それに構わず押し込んだ。
牙を首の筋に食い込ませ、力を加えて押し倒す。
勢いのまま身体ごとぶつかり、あたかも抱擁しあうような形となった。
獲物の腕が、自分の背に回る。
彼の口がこちらの首筋に近づき、鋭い牙の先端が肌にあたる。
あと鼓動一拍ほどもあれば噛み裂けていただろう。
毒は、その一拍のうちに、完全に彼の身体を侵していた。]
[からりと落ちた魔剣をそのままに、腕を元に戻す。
戻っても、掌に傷は深く刻まれていた。]
実に楽しかった。
君は素晴らしい獲物だ。
[惜しみない賛辞を投げかけながら、血に染まった両腕で彼の身体を抱き上げる。
澱んでいるだろう熱を掻き立てるように背筋に指を這わせながら、首筋へ改めて牙を埋めた。
狩りの当然の結末として、その血を存分に堪能する。]
[失血のうちに、彼の血を巡る毒は薄まりゆく。
手足のしびれは、程遠くないうちに収まるだろう。
だが身体を侵す熱は、耐えがたい疼きとなって留まり続ける。]
ごちそうさま。実に美味しかったよ。
戦いに熱くなった君の血は、刺激的だ。
その血を甘くしてみたくもなるな。
[彼の身体を再び横たえながら唇を拭う。
両手の傷は既に癒えていたが、流れた血の雫を彼の口元に垂らした。]
───もし、"欲しく"なったら、私のところに来るといい。
私を呼んでくれても構わないよ。
もちろん、他の誰かに遊んでもらっても構わない。
好きなようにするといい。
"視ている"よ。リエヴル・コウ。
[なにか含む笑みひとつ残し、魔剣を携え、
部屋の霧ももろともに薄れて、その場から姿を消した。*]
[闇が青銀の娘を運んだのは、同じような小さな部屋。
佇む白は、愉悦の気配を纏う。]
あんな毒を受けてしまうなんて、失態だな。
わかるだろう?
罰は、受けなくてはいけないよ。
[嘯きながら、彼女の姿を検分する。
戦いに乱れたその姿を。]
…とても、佳い姿だ。
[ちら、と赤い舌が覗いた。]
/*
倒錯して執着しまくる鴉も、
傷つきやすい自分を見ないふりしてる狐も、
そもそも存在自体が可愛い兔も、
箱入り娘がだんだん覚醒してきてる金糸雀も、
みんな可愛い。
ジェフロイは面白い。
彼、なにに変身するんだろう。
/*
そういや、言おう言おうと思ってだいたい灰に埋める余裕がないんだけど、梟さんの性別がいまだに確信できません…!
女性形………なのか……? というレベル。
確信できてたら、やわやわふくふくのお胸にかぷするんだけど。
小部屋
[闇がいざなった娘の言葉と態度に、低く忍び笑いを漏らす。]
おや。落ちこんでいるのかな?
そう卑下するものでもないよ。
ただ、そう。
少し、求めに届かなかった。
それだけのことだ。
[気に掛ける風を装いながら、
その実、彼女が抱える鬱屈を楽しんでいる。]
殊勝なのはよい心がけだ。
君の刑期が早く済んだのも、そのおかげだろうね。
[素直に晒された首筋に指を置き、爪で小さな傷をつける。
滲んだ血を、指先で拭って口に運んだ。]
そんなに素直だと、罰をどうしようか悩んでしまうね。
[は、と吐息を胸に落とし、牙を立てたのは自分の腕。]
[目を閉じた彼女の顎を掴み、唇を合わせて舌先で歯を抉じ開ける。
流し込むのは赤い毒。甘く芳醇な麻薬。
口腔内を舌で味わい尽くし、彼女がしっかり飲み込んでしまってから、口を塞いでいた唇と手を離した。]
君から奪ってばかりでは私も気が引ける。
しばらくそれで楽しむといいよ。
君の感覚は、ずっと鋭くなる。
視覚も、嗅覚も、もちろん触覚も。
針が落ちたほどの刺激さえ、とてもよく感じられるだろう。
[彼女が間違いなく理解するよう、得々と説明する。]
[目を閉じた彼女の顎を掴み、唇を合わせて舌先で歯を抉じ開ける。
流し込むのは赤い毒。甘い恩寵の麻薬。
口腔内を舌で味わい尽くし、彼女がしっかり飲み込んでしまってから、口を塞いでいた唇と手を離した。]
君から奪ってばかりでは私も気が引ける。
褒美の代わりに、私の力を少し分けてあげよう。
君の感覚は、ずっと鋭くなる。
視覚も、嗅覚も、もちろん触覚も。
針が落ちたほどの刺激でも、とてもよく感じるはずだよ。
[あらゆる感覚を鋭敏にする力。
痛覚や、もっと淫靡な感覚までも、とは説明しなかったけれど。]
さあ。部屋を出て、その力を堪能しておいで。
もし、他の元老に会ったら気を付けるといい。
彼らならその気になれば、私が上げた力を吸い出せるからね。
[忠告を模して云い、彼女の背をそっと押す。
僅かな接触の間に仕掛けたのは、ごく些細な悪戯。
この部屋を出た時から、罪の印はほんの少し覚醒するだろう。
普段なら気にならない程度に、ごくごく僅かに。]*
可愛いおまえ。
おまえが、私以外のことを思い煩うのならば、
いっそ、私の手で壊してしまおうか。
私のことだけを考え、
私が欲しいと素直に鳴くような、
可愛らしいお人形に変えてしまおうか。
[陶然として夢想を数え上げる。
稚い仔を腕の中に囲い込み、未来永劫に縛ってしまおう。
甘く綴った幻想を、吐息ひとつで覆す。]
ああ、でも駄目だな。
私は、おまえの秘めたる想いをこそ、得難く美しく感じているのだから。
そつなく、柵もなく、軽やかにふるまうおまえの心の底で、熱く重く澱んでいく欲望と鬱屈を、私は愛おしく思う。
[だから。
声は音として捉えられる域を超え、ただ振動として身体を揺らす。]
おまえは自由に遊ぶといい。
私の元を離れて、望むままに生きるといい。
大切なものをいくつも作って、それを喪って、
それでも涼しい顔をしてなんでもないと嘯いているといい。
そうしておまえの心の中の澱みが膨らんで、もうどうにもならなくなって弾けてしまったら、私のところへ帰っておいで。
私が、すべて治してあげよう。
私がいいと言うまで、壊れては駄目だよ。
[掛けられるのは
肉体と精神を
掛けられた端から見えなくなっていく、秘された
そうだね。
このゲームで勝ったら、考えてあげよう。
私の、一つだけの、特別なおまえに、
一つだけの名前を。
[口に出された望みを受け入れ、捧げられた供物に唇をつけ、
"自分だけの特別な場所"に、深く深く痕を残した。]*
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