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―少し前―
[>>~37謝るなという幼馴染の声に、涙がまた零れた。]
…っ…、でも俺は…!
[お前を救いたかったのだと。――生きて共にいたかったのだと。
そうする事は許されないと考えながらも、そんな未来に焦がれていた。]
[>>~38逃げろという警告がなされた時には、男は既に血親を危険から遠ざけようと行動を取っていた。
――死なせて堪るか。
自分が生きている内には、そんな未来は起こさせない。
幼馴染を手に掛けてしまったからこそ、その気持ちは強かった。]
リ エ、
[幼馴染の身体はこの世に存在しなくなってしまう。
名を呼んだ男の声は爆発の音に紛れて消えた。]
[そもそも魂というものの存在をしったのは、実験を受けてからだ。
それゆえに死すればどうなるのかというものを魔ならぬ身であってもなんとなく理解していた]
……ここは?
[周囲に何もない。空洞。広く深く先の見えない闇。
いや、空洞のように見えるだけのなにかかもしれない。
城の全容を知らないために、その中にあるものなのか、ないものなのか。未発見なのかさえわからないもの―――現に生きぬものにとっては、既にそんなことどうでもよいことだ]
[あの後、どうなったのだろうか。そもそも今はどれぐらい時間が経ったのか。それすらわからない。
あいつは――生きているだろうか。茨の城に来てから共鳴していた念の意識も眠っているのか生きていない。生死を別ったからつながらなくなった。というならば幸いである。
今わかるのは唯一つ。自分にとって、ここ数年間一切離れることのなかった改造を受けて浸食をしようとする魔の存在が――]
どうやら、俺は余程しつこいやつに好かれちまったらしいな。
もてるならもっと別のものがよかったな
[実験より、力を与え同時に魂をけがそうとしていた魔が一つに固まって凝縮していくのをみながら。自身が様変わりしているのにも気づく。両腕には黒い鱗のようなガントレット。そこからはおよそ地上の金属で作ったものとは思えない刃が生えていた]
[いくつか植えられてかえられていたとしても、あの"幼馴染と刃を交わした自分"は記憶の中の"今の自分"を模倣とした存在だ。]
矛盾してんな…ま、矛盾するのが人…ってやつかもな。
[同様にこいつもまた忌避すべき存在でありながら、己とともに在ったもの。
見据えた影は徐々に黒い体。山羊の角。コウモリの翼。絵に描いたような悪魔が形つくられる]
どうせ、明日なんてもの二度と来ない。
時が戻ることもない。
こうして一生――自分を見つめ、罪を贖いつづけろってことか?
― 空洞 ―
ん?
[ゆっくりと見上げれば、光が見えた。
命の光が今もまだ戦を行っている。思ったより時間は経っていないと思えばよいのだろう。]
長居はしたくはないものだ。
[あの光に惹かれてしまう。生きたい。とともに願ったものと友に在りたくなってしまう]
[だが]
もっと…高くて広いとこに立って、美味い空気でも吸って一緒にいてみたかったな。
[魔に対して、吸血鬼に対しての憎しみをもっていたオズワルド
闘争こそが全てとでもいうクレステッド。
教会の教えに忠実に準じているバルタザール
貴族の責務を全うしようとその型の中で生きるソマリ。
聖女として生きる以外の道を作られなかったユーリエ。
暗幕に包まれたまま神の子として育てられていたアデル。
どいつもこいつも、一つのことに縛られていた低く狭い場所にいた。]
[こんな出会いではなければどうなったのだろうな。
己の仲間だったものたちも。
仲間がいるのを羨ましいといった吸血鬼や、血子を駒と称したら表情をゆがめていたあの女吸血鬼も。
幼馴染ではなく、想像するしかない存在との関係をうまく言葉として言い表すことはできそうにない]
[同時に距離を詰める悪魔の像のような形をする影。振り下ろす拳を半身を反らして避けた。]
はは…馬鹿力だな
[伸ばされた腕に刃を突き立てる。それを軸にして逸らした半身を今度は逆にして捻りながら、顔面めがけてガントレットから生える刃できりあげる]
[斬り、突き。裂いて。
それをするほどに、飢えが満たされていくのを覚える。なくしていたものを取り戻す。
死して活力を覚えるという不可思議さを覚えながら]
[幾重にも突き立て斬り重ねた刃は、影を浸食しつくす。]
どうせもう終わりなんだ。最後ぐらいは仲良く……なんて柄じゃないな。
是も非もなく。滅しろ
[横薙ぎに振るった刃は、首を斬り落とし、振り上げた刃で胴体を真っ二つにする。
祈りではない十字をきって――自身に絡みついていた因縁を中に入れ込んだ]
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