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[表情豊かに獣は話す。オットーの声で。
逃げなきゃ、よりも、伝えなきゃ
伝えなきゃ、みんなに……でも
でも、伝えなきゃ、よりもそれよりも。]
逃げて
[なにもかもすべてが止まる前に、叫んだつもりだった。
思わず浮かせた右手が降り上がり、天を向いた。]
[ビジネスなんて、そんな馬鹿なこと。
――100億積まれたって願い下げだ!
伝説なんてこれ以上重ねてなるものか。
今すぐに。終わってくれ。
これ以上“誰も”、傷つく必要なんてないんだから。
怒りを込めて、全身全霊で、オットーをにらみつける。
真っ暗闇に染まっていく視界の端に、映る白い影は、
月の色を透かして輝いて見えた。**]
二人とも、もう十分ですよ
[死体を掘り起こすヤコブとディーター。
その体がこれ以上冷えてしまうのは申し訳なく感じた。]
もしかしたら、私は死ねない体なのかなあ
なんて思っていたんです
母は魔女でしたし、父は、異教に傾倒した悪魔でしたからね
[生きていた頃の両親を思い出して、懐かしむように、唇が弧を描く。]
少し安心したんです
フリーデルさんの結果は真実だった
私は悪魔の子ではなく、なんの力もないただの人間だ
[しゃがみこんで作業をしばらく見守った。
手伝おうかと伸ばした手は雪をすり抜けて、
むなしく空を掻くだけだった。**]
れ、レジーナ、さ……
[その姿を見た途端、すべての糸が切れたように、膝を折りたくなった。]
すみません、レジーナさん
私は、あなたの大切な人を傷つけてしまった
[直接手をかけてなくても、アルビンが、自身の意思で、
彼の(彼女の)名前を紙に記したのは事実。
それだけで、
……狼の名を二人とも、ご存知だったんですね
[二匹目の人狼……>>+17
それを聞いて、アルビンの表情が色をなくす。
最初は、その後に名前の出たシモンが、と思ったが。
確かめるべく食堂へ向かう。もう人がそちらに集まり出している頃だろうから。*]
― アルビンという名の男 ―
[世を流れ歩く商人の名はアルビン。
彼が生まれ持ったものではない、借り物の名。
母と父を殺した男の名前だ。
―― 正確に言えば、殺したのは処刑人達で、
彼は、他国へと亡命しようとした家族三人を追いつめ、
裁判所へと追いやったというのが事実だ。]
[炎にあぶられていく母を、白銀の槍で串刺しにされた父を、
無表情のまま見ていた16歳の少年に、“アルビン”は言った。]
―― 金持ちになりなさい
―― そうすれば君はきっとまた笑顔になれる
―― 地位も名誉も、人の命さえも
金で買えないものなど何一つありません
[傲慢と欲にまみれていたけれど、
上に立つもの特有の―― 哀れみと嘲りを含んだ、
優しさなのだと感じた。
一人だけ処刑を免れた16歳の少年。
その命を救ったのは村で頂点に立つその男だった。
実際は、裁判によってかさんだ費用、処刑費、その他諸々の借金を、少年以外に返せる身内が存在しなかったから。
それだけのことかも、しれないけれど。]
[肩に乗った“アルビン”の手のひら。
その親指にはめられた金の指輪。
あたたかくて、輝いて見えて、少年は信じた。
言葉の通り、金がすべてであると。
自由になれると港で笑った母の顔を、凍りつかせた男の言葉は真実であると。
なぜなら、故郷で迫害された少年の家族は、
村で一番貧乏だったからだ。**]
お金がすべてではありません
そう強く思ったのは、今回が二度目です
[誰の胸中とも知れず、商人はつぶやいて、笑った。
ひとり密かに。うそぶくように。**]
/*
イヤーッヨアヒムさん触れないで後生ですから(´∩ω∩`)
緑コンビもそうだけど、パメラさんとヨアヒムさんは茶色コンビだーて密かに思ってた
[“ご愁傷様”の応えには、]
お互い様ですね
[疲れたような笑みを浮かべ、うっすら消えかけた左手で、首元をさする。ピリピリと痛むような感覚は、拭っても取れることはなかった。]
ヨアヒムさんも、その……ご覧になったんですよね?
[白い獣を、と付け加えて、遠慮がちに問いかける。
問いかけてから気づく。
(あれ、そういえばヨアヒムさんの傷は胸元にあったんだっけ)
食堂までの短い道中、おぼろげな記憶をたどる。**]
一気飲み、してくれてもいいのに
[食堂の隅っこの隅っこで、壁に埋まりそうになりながらつぶやく。]
―― どちらが勝つでしょうか
賭け事もお酒も、実は好きなんです
温泉でね、月を見ながら飲んだら楽しそうなのになあ
て、思ってたりもしましたよ
まあ、私は臆病なので片足しか浸かれませんでしたが
[ひっそりと会話に横やりを入れてみる。
想像して思わず吹き出して、]
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