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[アイリ・フォールデンの死。
それを聞けば、ウェルシュの肩は目に見えて揺らいだ。
自然と、目は幼馴染の顔の上へと向かう。
彼がずっと気にかけていた人の名前だ。
助けたかったのではないかと思う。その彼女が、死んだ。
皮肉にも彼と一緒に、別々の場所で。]
……そうか。兄上も戻られたのだな。
[低く呟き、頷けば軍医らが到着したのだろう。人々の声が増えた。
傍らからリヒャルトから手を放すよう声を掛けられて暫し。
もう一度、名残惜しむ風情で彼の上に視線を留めた後、寝かしつけるように丁寧に彼の体を横たえる。]
分かった。
リーゼロッテ・チェンバレン士官候補生。ご苦労。
[支えの手を断って、自ら立ち上がる。
少し離れた場所に、彼の置いていったカットラスがあった。>>3:267
それは今から、リヒャルト・ラバル殺害の凶器として軍が持ち帰り、検証が行われるだろう。血の色も生々しい刃から目を逸らして、黙祷の姿でリヒャルトの前に佇む。]
…… ありがとう。
[囁くほどの声で落としたのは、亡き人への礼。
そうして、促されるままにその場を後にした。心と身体は重く、歩みの先は泥に沈みゆくように息苦しく*思えた*]
[中庭での騒動は、既に犯人が失せていたにせよ、人の目の多い出来事であったから、王宮内には程なく第二王子暗殺未遂並びに、王子を庇ってリヒャルト・ラバル尚書官長補佐が死亡したことが伝えられただろう。
凶行に及んだのは鷹匠である、とされた。
第二王子は彼の名を知らず、彼の通り名など知る由もない
第一王子の命>>10により王宮内の警備は一段と強化された。
人の気配は多い、城門の騒動は鎮められた。それでも再び齎された死の情報に、王宮内の人々の顔にも不安の色が、打ち消せぬ薄雲のように漂っていた。]
― 第二王子私室 ―
[そうして。ウェルシュはといえば、血塗れの姿を清めようという人々によって衣服を改め、受けた血を拭き清めて自室にある。
執務室として使っている間よりも更に奥、寝台の在るその部屋は、第二王子の個人空間であった。王宮の喧騒から切り離されたようなその場所に、今は一人。
沈痛な面持ちのまま、やや放心したようにあった目が、何かの輝きを目の端に捕らえた。机の上、白い布の上に置いてあったのは銀のイトスギ、思えば差し出したこれは受け取られず地面の上に落ちたのだ。あの場で見つけた者が、凝った装飾に王子の持ち物かと思い、気を利かせて運んできたのだろう。
ウェルシュは、暫し凝然としてそれを見つめた。
手を伸ばし、銀を掴む。咄嗟に腕を振り上げた。
握りしめた銀、それを床に投げつけようとして───…]
〜〜〜〜……… っ 、
[震えた腕が、静止の後にゆるゆると落ちる。膝が崩れた。
銀のイトスギは床に投げつけられることはなく、ウェルシュはその場に蹲る形で、震える腕を、銀を握った拳を胸に抱く。]
『 …… それを事実とした時に、
ウェルの気持ちが救われるのなら。 』>>37
…………っ、 は…───
[大きく息が漏れる。するともう、止まらなかった。
みるみる間に再び溢れ出す雫に、視界があっという間に崩れていく。]
[───何故。
聞こえてしまった…聞いてしまったのだろう。
何故、彼はあんなことを言うのだ。
いっそ恨めたなら楽だった。憎めたら楽だった。
怒れれば楽だった。 …… 嫌えれば、楽になるのに。
何故、
う……、ぁ 、ぁ……っ
あ、ぁ……っ
[静かな部屋に、慟哭が響く。
銀の飾りを強く抱きしめたまま、暖かな指先も声も、そこには*なかった*]
第二王子 ウェルシュが「時間を進める」を選択しました
/*
サポセン様…手厚い…(拝む)
メモを後で貼ろうねえ。
ローレルの尻尾をどっかで掴んでおきたいよなあ。
ほんのりでいいから、外と繋がって…る…?みたいなところを。
つつきにいくかなあ。
/*
そまりいいいいい
wwwwww
wwwwwwwwほんと最終生き残り面子笑うんだけど。
吟遊詩人含めて、もれなくプロロで粉かけましたね……GJ(?
[外務長官オルブライト・フィオンと参謀アレクシス・レグザの死には不審な点が多かった。
アレクシスが何者かに害されたことは状況から見て明白であり、一方、同じく何者かに害されたか───自殺、という線もあったが───程なく、彼の遺書と遺書を否定する血文字>>3:67の存在が明らかになれば、惨劇は途端に陰謀めいた色を濃くした。
また同時に、外務長官室からは外務長官の内通を指し示す文書が見つかっている。些かお粗末にも見えるそれら>>3:66は、事実、外務長官の国への裏切りを示すものなのか、はたまた彼を陥れようとした者の陰謀か。
陰謀となれば彼を殺したのもアレクシスなのかも知れなかったが、すると彼を殺したのは誰だろう?彼も軍人、その彼を仕留めた剣の腕は明らかに軍の手を思わせた>>3:49があからさまにすぎ、果たしてそれが正しい事実なのかは分からないままだった。]
[死者は語らぬ。故に彼らの死には謎が多い。
一方で明確になりつつある現実があった。生きる者らの話だ。
外務長官と高級軍人の死、その調査は当然ながら文官と軍人の混成となった。文官、殊にオルブライトの下にあった外務官らは長官を慕い、その潔白を疑わず、軍人による文書の偽造と長官の殺害とに深い恨みと怒りとを覚えた。
一方で軍人らは、外務長官の裏切りを疑い、アレクシス参謀の不慮の死を悼んだ。参謀は裏切り者外務長官の陰謀の巻き添えになったに違いないと彼らは考えた。
共に同じ国を戴き、共に仲間の死について調べているはずの文官と軍人らは、次第に対立を深めていった。言い争いとなることも珍しいことではなく、軋みと亀裂は、このような場所においてまで深くなる一方だ。]
[そんな有様であったから、ドロシー・ブライアンの潜入も調査も容易であったろう。>>80
軍人らは同じ軍人である彼らに好意的であったし、文官といえばゾネスと聞いただけで表情を尖らせたものだが、彼らを拒むまでの権はなく、結局は部外者に容易に探索を許す形となった。
もしも、彼らが正常に機能していたなら。
外務長官室といえば国の機密をも扱う重要な部屋、許可には慎重となったであろうし、こうも容易に探索が行われることはなかったのかも知れない───*]
[騒動が一段落したのちも、暫くは兄と顔を合わせる間もなかったか。どちらにせよ、その使いが第一王子の元に辿り着いたのは、もう夜に差し掛かる頃合いだったろう。
第二王子より、お会いしたいとの言伝を伝えればどうであったか。
時の指定があればそのように、ウェルシュは兄を訪ねることになる。]
兄上、……ご無事のお戻り、何よりでした。
[顔を見ての最初の言葉は、以前>>0:252と変わらぬようで以前よりも影を帯び、それはウェルシュ自身の精神的な疲労でもあったろう、面会当初からの沈んだ様子のままに、仄かな笑みを兄へと向けた。]
兄上にばかりお任せをして、申し訳ありません。
お忙しかったでしょうに、
[実際、ウェルシュは暗殺未遂の後に暫し奥へと離されてしまっていたから、王宮内が落ち着いたのは兄と官らの手によるものだろう。
だからと謝罪を置いて、顔を上げる。
兄へ向けるヘーゼルの双眸には、悲しみの色が深い。]
………… リヒャルトが、死にました。
[ぽつ。と、落ちるのは、兄も既に承知であろう幼馴染の死。
その時を追うように瞼を落とし、眉を寄せて。]
私を、助けるために。…私を庇って。
これからも、と。
また本の話をしましょうと、
……── 笑って、いた のに。
[また涙が込み上げそうになって、掌で口を押さえる。
そのまま、少し落ち着くまで息を吐いて。]
お願いがあるのです、兄上。
このままどちらが王位継承者と定まるのだとしても、
……父上の、葬儀を。共にすることは、出来ないでしょうか。
[ほつ。と、落としたのは、今とは一見無関係な願いで。
ゆるゆると顔を上げれば、兄と視線は交わるか。
緑の瞳、見ること叶えばそれへ僅かに微笑みかけるようにして。]
リヒャルトが、そう言ったんです。
兄上と共同の主催でやってはどうだろうか、と。
…多分。兄上と私とのことを、案じて。
[それは数日前の話。>>2:174
今となれば、彼の遺言となってしまった幼馴染の最後の願い。]
兄上、私たちは、
[この国は]
…───── 大丈夫、ですよね?
[いつか問いかけたように、願うように。
あの時の言葉>>1:=14を繰り返し、大好きな兄へと向けた*]
― 第二王子自室 ―
[落ち着いてからで構わない、と使いの者には言付けた。
だからどれほど経ってからのことだったろう、彼と言葉交わしたのは。
城門前に押し寄せた800の兵、それに僅か50ばかりの手勢で対してみせた監査局長の度胸と手腕を称える声は大きい。中でも、文官らは一様に彼を称した。
或いは煙たげに眉潜めた者もあったやも知れないが、それはそれ。今はそうした声は埋もれ小さい。
城門前に押し寄せた軍勢を追い払った監査局長、そして身をもって第二王子を守りおおせた尚書官長補佐、この二人を称える声は王宮内の、殊のほか文官らの中に大きかった。それは彼ら自身の不安を打ち消そうとするかの如く、殊更に取り上げられるようでもあった。]
ヘルムート、良くやってくれたね。
怪我はないか?
[その英雄ともいうべき彼を自室に迎え、ウェルシュは目を細めた。
当のウェルシュといえば、顔に些か心労の色を濃くしているものの怪我はない。
ただ、反省するところがあったのだろう。
普段は身に着けぬはずの細身の剣が、手近に置いてあった。
身辺の警備もまた、厳重に戻されてある。]
銃口に狙われながらも、怯まずに返したと聞いた。
……貴方にそんな面があるとは知らなかったな。
軍にいた。という話は聞いたことがなかったはずだけども。
[紛らわせるように続く言葉、けれどそれもすぐ途切れる。
ふと落ちた沈黙、それへ自然と視線は下がり。]
…──── リヒャルト・ラバルが死んだ。
[先ほど、正式に軍医から死亡の報告が来た。
悲しみに沈む色のまま、ヘーゼルの双眸を伏せて。]
私の油断で、彼を死なせた。
私がもっと……もっと警戒をしていれば。
私を庇って彼を死なせることなど、なかった 、のに。
[拳を握りこむ。白く。
白くなるまで握る拳を、打ちつける先もないままに。]
──── 私の、手落ちだ。
[殴りつけたいのはただ、自分自身。]
………。ヘルムート、貴方に頼みがある。
[そうして彼の傍へと歩み寄る。
腕伸ばせば触れるまで、傍近くに歩み寄り、声を落とす。]
[囁いたのは、ただ短い言葉、何を大げさなと思われただろうか、視線交われば苦笑めいた顔を向けて。]
フィオン・オルブライト外務長官、リヒャルト・ラバル尚書長官補佐と、私は……この国は、かけがえのない人を立て続けに失ってしまった。
だからヘルムート、頼む。
貴方は居なくならないで欲しい。
これでは私が王になったとて、まるで裸の王様。
……臣なき王など、成り立つものか。
[少し気弱になっているのだろう。
彼の肩を片手でとんと叩く。微かに震えた手の、そのまま肩を掴みたくなる衝動を堪えて返し。]
────…。
たまには自宅へも戻るといい。
奥方も案じているだろう。
但し、往復には護衛を付けるよう。いいね?
[彼の夫婦仲の良さを、知る者はどれ程あるだろうか。
ウェルシュは時折、それを漏れ聞くことがあった。怜悧な監査局長に意外な面があると、微笑ましくも思っていたものだ。
言葉を切ると、ウェルシュは柔らかな笑みを彼へと*向けた*]
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