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― 空 ―
[宇宙船には下級天使の追手がついていたが、重要拠点への接近は流石に阻まれたか、正確な着陸場所まではわかっていない。
それらを探るのは影の者>>93が得意とする所だろう]
さて……飛び上がれば即座に撃ち落としてやるものを。
[黙示天使の軍勢は、隠れることをしない。
輝く翼持つ天使らを率いていてはどだい無理ということもあるが、人間の側もまた、高空にある者に奇襲をかけるのは不可能と判断していたからだ]
あとは、告死殿の動き次第ではあるか。
[影に潜む者からの報告によっては、新たな動きが加わるだろうが。
黙示天使は人間らを迎え撃たんと、空高くを舞う*]
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そういえば、いつのまにやら上級天使が色付きと言われてるけど、皆さんのなかで下級天使はどんなイメージなんでしょう。
私は金髪白衣の人間型、目は閉じてるか虚ろな感じです。
明言はしてないけどアデルは下級天使の成り上がりっぽいので、祝福で髪や目の色が変化したのかしら。
[地上を見守る"目"となっている天使から、移動中の宇宙船と思しき影を見掛けた>>159と報告が入った。
星を征く船がそれほど多数存在するかという部分には疑念が呈されたものの、どのような形であれ天に至る可能性がある飛行物体ならば、無視できるはずもない。
各地で交戦がなされたものの、相手の逃げ足は速く、正体が割れるまでにはそれなりの時間がかかったことだろう]
[金緑髪の黙示天使の姿は、その中にはない。
目標は既に定められ、それ以外の行動で戦力を浪費することを良しとはしなかったからだ。
しかし、本来なら加勢に充てられるはずの天使の戦力が、大分削られることになったのは確かだった]
― 箱舟上空 ―
[黙示天使が姿を見せた時、その場は如何なる状況となっていただろうか。
黒の帆船の姿を見たならば、黙示天使は300を超える軍勢を背後に睥睨する]
恥知らずにも戻って来たようだな、人の子よ。
奇蹟の顕現を前に、この地で何をするつもりか?
[黙示天使は問いを投げるが、それへの返答はあっただろうか。
仮に銃口が向けられたなら、黙示天使はそれを返答と見做すだろう*]
悔い改める気はないようだな。
神妙にしていれば、祈りを捧げる時間くらいはくれてやったものを。
[しかし
飛空艦が箱舟を射程に収めるように動けば、黙示天使は表情を険しくした]
この船の中には、無辜の民らも乗っていたはずだが?
――まあ、よい。
既に貴様らが、死をもって贖うべき罪を犯したことに変わりはない。
[黙示天使は聖杖を横に鋭く振る。
背後に控える天使らの虚ろな瞳が、まるで開眼したかの如く、一斉に黒の船を見た]
――神の鉄槌は、光によりてくだされる
怒りとは本来、形無きものなれば
[天使らの紡ぐ光は円筒を織り成し、特に底面の円形が眩い輝きを放つだろう。
そして点や線ではなく面の打撃が、《シャドウ・バレス》の舳先へ向け放たれる。
それは破壊というよりは、狙いを乱す衝撃と振動を齎す攻撃となるか*]
[飛空艦の長の真意>>169を知ることはなかったが、結果として箱舟に砲弾が放たれることはなかった]
はっ。さすがの貴様らも、奇蹟に手を触れるのを恐れたか?
[光の鉄槌は船を揺らしたが、致命的な損害を与えてはいないだろう。
先のトラオムング襲撃で決定打を与えられなかった黙示天使は、破壊の手順をしばし算段する]
――艦橋に狙いを。
不逞の輩を率いる者に、二度目の慈悲はいらぬ。
[迂闊にも一度は取り逃がした相手へ、黙示天使は視線を定める]
裁きの槍を!
[船体を揺らしたのは、極大の槍を生み出すための時間稼ぎでもあった。
だが――]
――加勢だと?
[竜騎士が一斉に飛び立ち、戦闘機隊もまた攻撃を開始する>>170。
別々の行路より現れたそれらは明らかに、一つの目的のために協調していた>>171]
ちっ!
[黙示天使の間近にいた十数体が初撃に晒され、一瞬で光へ分解された。
あからさまに威力の減じた槍を、黙示天使は憤激と共に投げ付ける。
体制を立て直さんとするも、前進しようとする下級天使は、集中的に攻撃され都度落とされていく]
くっ……前には出るな。その場で身を守るを優先せよ!
[指示を飛ばしはするが、そも下級天使らはそれを耳で聞いて判断しているわけではない。
光の術は強力だが、一度に攻撃出来るのは一方向だけだ。
あらゆる方向を飛び回り撒き散らされる火炎と、上空より連射される機銃により、下級天使の群れは徐々に人間側の望む方向へと追い立てられていった*]
[投じた槍は過たず艦橋を貫いたが、混戦の中にあった黙示天使は、戦艦の主が既にそこを去っていたこと>>183を知らなかった]
[次にその居場所を知らせたのは、見張り台より掛けられた声>>184]
どこまでも私を愚弄する気のようだな……。
[マスト付近が翼あるものにとって不利であることは、遠目にも見て取れた]
悪いが、私は猿の真似をする気はないのでな。
[今は異なる地へ赴いている影翼なら、或いはそのような状況を得意とするのかもしれないが。
黙示天使は誘いには乗らぬとでもいうように、ダーフィトのいる辺りへ光の槍を落とす]
さて、そなたを刺し貫くが早いか、船が壊れるのが早いか。
[己が得意とする領域からでも、船を墜とすことは出来ると自負を見せる*]
[ダーフィトとの戦闘の最中。
迎撃に向かう下級天使の動きで、敵の新たな部隊が到着したと気付く。
単なる飛行船であれば、対処法は変わらずだったが――それは巨大な四角い箱を、箱舟の繭へ向けて投下した>>206]
なっ、あれは――
[一瞬意識が削がれたのは、ダーフィトに見咎められただろうか。
黙示天使の視界は、脚の付いた機関砲が繭の上部へ降りていくのを捉えた。
見慣れぬ兵器であったことが、黙示天使の警戒を高める]
動ける者は、箱舟へ降りよ!
あの機械どもを、箱舟へ居座らせてはならぬ!
[それは飛行部隊や飛竜部隊への対処より、繭の防御を優先せよというもの。
即時の判断が出来ぬ下級天使にとって、そのような移動をさせることは大きな隙となる。
祝福を受けた黙示天使の手勢は、目に見えて数を減らしていく*]
あの……男……
生命の、力を……!
[天の響きを紡ぐ余裕はない。
ただ、間近に見た相手の切り札への脅威が漏れ聞こえる]
[視界を掠め飛び去る複葉機は、見知った形状をしていた]
"天使憑き"……よくも――
[しかし、そちらへ意識を割く余裕は与えられない]
…………!
[聖別の剥がれた杖をブレードが断ち割り、聖衣をも大きく切り裂いた*]
足り、ません……。
[上官の声に、苦痛に耐えながらも答えが返る]
私に、ではなく。
奇蹟を邪魔立てする者を、払うために……!
[己ではなく、箱舟に取りつかんとする不届き者に対する力をと。
懇願に近い声音で訴えるが、それは大天使にどう伝わっただろうか*]
ナタリエルさま、……大丈夫です。
[声色を変えた大天使に答える声は、どこか柔らかな、そして宥めるような雰囲気を伴っていた]
私のために、手を煩わせなくてもいい。
……そのお力は、大いなる救いのためだけに。
[その声が己の名を呼ぶのが、たまらなく嬉しく、そして哀しかった。
自分という存在は、何かを為したのではなく為さなかったがために、彼の者を動かしたのかと。
ふとそんな思いを抱いたのだ*]
謳え!
[黙示天使の言葉に応えた下級天使らは、ただ純粋なる力を紡ぐ。
共鳴したそれらは、天上の響きのような荘厳なる音を、割れんばかりの音量で響き渡らせる。
天にある者にとっては心地よき響きでも、人の子らはどうであったか]
[その力の焦点は黙示天使の胸の中心、人間であれば心臓があるはずの場所。
黙示天使もまた、己自身の存在を転化するかのように、力をその一点へ集中させる]
[それは気弾により砕かれるはずだった意志を、ほんの僅かに持たせた――黙示天使の存在そのものと引き換えに]
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