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[しかし、そんな微笑みはある言葉で消える。
操舵室へと向かう途中、後ろから聞こえるヴィクトリアの心痛な声。]
―――……え、
[冗談だと思った。何かの戯れと、聞き流したかった。
けれども、>>186 辛そうに語られる声音が、紛れもない真実と謳っていた。]
― 巡洋艦ヴァイスメーヴェ:操舵室 ―
[窓を広く取り、見通しが良い部屋。
昼間は太陽の光がそのまま部屋を明るく染めるのだけれども。
>>97 然し、今その窓から見える空はやや少し翳っていた。
先程まで燦々と輝いていた太陽はその身を隠し、雲が少しずつ青い空を埋めている。
それに呼応するように、海もコバルトブルーから濃い青へと色味を暗くしている。]
………天気が、少し悪くなってきたね。
[思ったより暗い室内を見て、ウェルシュは眉尻を下げた。
然し、まだ航海するには充分問題ない天気。雨もまだ降っていない。
ウェルシュは操舵室に鎮座する雄大な舵を、軽く掌で指示しながら、]
握ってみて。
それで先ずは、ヴァイと同じような感じで操縦してみて。
[彼女に舵を持つよう、促した。
彼女は舵をどのように扱っただろうか、程なくして、ヴァイスメーヴェが大きく左右に蛇行することになる。]
う、わ……っ!
なかなか豪快なんだね……
あはは、あははっ!
[軽く身をよろけさせながらも、ウェルシュは大きく笑う。
その笑顔は些か、過剰にも聞こえただろうか。
そして、うんうん、と頷きながら改めてヴァイスメーヴェの説明をする。]
そうなんだよね、
ヴァイに比べるとこの船は小回りが利かないんだ。
だからカーブはどうしても大回りになってしまう。
コツは、速めに舵を切ること。
あとは複雑な地形に入り込むのを極力避けること。
[それだけを聞けば豪快な彼女は「ヴァイの方が良かった」と苦情を言っただろうか。
でもね、と人差し指を出して、]
確かに繊細な運転が必要とされる分、大変なんだけれど……
その代わり、
[丁度そのとき、足元の振動が大きく揺れる。
ボイラー室が温まったのだろう、カモメが飛び立つ準備が整ったようだ。]
駿足だけは、負けないから。
この海を走るの―――……凄く気持ちいいと思うよ。
[だから楽しい航海になるだろうと。
―――少なくとも戦いの地に行くまでは。]
/*
下書き
――……今、話しかけて良いかな?
[薄暗くなってきた空を見つめながら、ウェルシュは呟く。
ヴィクトリアの気を散らさぬよう、小さめな声で。]
さっきの話なんだけど……
[>>186 さっきの話というのは、何を指すか想像に容易いだろう。
若し戦火が直ぐ傍にまで迫っていると悟れば、口を閉ざすし。
そうでなくとも、彼女が操舵に集中しているようならば、それ以上語ることはないだろう。]
―戦場の前―
――……今、話しかけて良いかな?
[薄暗くなってきた空を見つめながら、ウェルシュは呟く。
ヴィクトリアの気を散らさぬよう、小さめな声で。]
さっきの話なんだけど……
[>>186 さっきの話というのは、何を指すか想像に容易いだろう。
若し戦火が直ぐ傍にまで迫っていると悟れば、口を閉ざすし。
そうでなくとも、彼女が操舵に集中しているようならば、それ以上語ることはないだろう。
然し、もしヴィクトリアがこちらに意識を移してくれるならば、]
……。そうだね、色々言いたいことはあるけれど。
[正直なことを言うならば、もっと早くに言って欲しかったとか。
何故、姉は自分に手紙は寄越さず、ヴィクトリアだけに連絡をとっていたのか。
(これは若しかしたら、彼女ではなく母の所為かもしれないが。)
色々な想いが、言葉にならない言葉として喉元を駆け巡ったが、]
―戦場の前―
そうか…… 貴女は、強い人だ。
[>>236 ヴィクトリアの言葉に唇を噛む。
僅かに口内に鉄の味が広がり、喉元を落ちる。]
僕は、
[目を凝らす。
この視界に広がる何処かの海に、姉が居るなんて。
見えもしないのに、思わず単眼鏡を掴み、海を睨みつける。]
避けられるならば、避けて欲しい。
―――……姉さんの居る船を、この手で沈めたくないよ。
[それは無理だ、とヴィクトリアは言っただろうか。
ウェルシュも理屈では分かるのだ。
たった一人の私情のために、 乗組員全員を危険に曝すわけにはいかないのだ。
然し、感情がそれを許さない。]
― 会戦海域南/巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
[>>238
既に肉眼でも充分に輪郭を捉えられるほどに、近くに戦艦が迫っている。
嗚呼、これが戦場か。僅かな高揚感、そしてそれ以上に押し潰されそうな程の緊張感。
然し、まだ距離があるせいか、それとも実際に攻撃を受けていないせいか。どこかまだ、現実的なものとして受け入れられていない気分もあった。]
あれが帝国の戦艦か……!
[単眼鏡をヘーゼルに押し当て、その船を視認する。
ウルケルのとはまた造りが違っている。
遠目でもウェルシュならば、大体の造りは把握してしまうのが常だが、それでもやはり自分たちの港で生まれた船とは勝手が違う。]
大きいなぁ……
[中にはウェルシュが見たこともない位に、絢爛な造りの戦艦もある。
あれが旗艦だろうか。若しかしたら、あの船に皇帝が居るのだろうか。
改めて、ウェルシュは自分たちがいかに井戸のなかの蛙なのかを思い知らされる。
流石、世界を統一せんとする帝国だ。その技術力は、侮れないものである。
それでも、]
――――……僕の船も、負けてないけれどね。
[我々だって、井戸の中ばかりを見つめて安穏と生きてきた訳でもない。
父の代、そして自分の代へと。歴史が重ねられる度に、その技術を少しずつ積み重ねてきたのだ。
>>238 ヴィクトリアは流石、操舵手としてその腕を振るわせていただけはある。不慣れとは言えど、この短い時間の間で、操縦の要領を掴んでいた。
彼女の楽しそうな声には、緊張した表情で頷いて、]
分かった。
[操舵室と甲板を繋ぐ、扉の傍に手をついた。**]
⤹セ
セ
セAセ
ス ス
ジジジ
↓
巡 ↑
巡 戦
旗
ス
2
2
⤷
↑
新
洋 洋
洋 洋
洋 小
― 戦場前/巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
分かっているよ……
[>>277 少し拗ねたような口調でウェルシュは言った。
空は暗く、白い雲は墨を吸い込んだかのように薄いグレーへと色を変化させている。
低い空は、まるで自分の心を現しているかのようで。]
それでもどうか―――……
姉さんには無事でいて欲しいんだ。
[間もなく、開戦の合図が下りようとしていた。
ぽつ、と窓に小さな水滴が落ちる。
薄暗い空を眺め、答えの出ぬ問いに表情を歪めて、少し。
隣から、ふ、と小さい息を吐く声が聞こえる。
>>278 視線だけ横にやると、彼女が唇の端を弧に描く。]
………そう、だね。
― 開戦/巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
[さて、合図はあっただろうか。>>308 水柱を皮切りに、ヴィクトリアが大きく舵を取る。]
う、わぁぁっ―――……!
波が高いからッ、気を付けてっ!
[強かに背中を壁にぶつけてしまった。
ヴィクトリアに慌てて忠告を寄越すが、その声が震える。
然し、ヴィクトリアの航海の腕は惚れ惚れとする。
まるで黒い雲の合間を駆け抜ける、カモメだ。
悪路を物ともせず、白い閃光は戦場へと舞い降りた。]
………は、ぁ。
[帝国軍の船を目前に控えると、ウェルシュは息を飲んだ。
―――大きい。
見るからに堅牢そうな帝国の戦艦は、まるで海に現れた巨人だ。
この巨躯から撃たれる拳は果たして如何程か。]
[しかし、それでも鴎は空を舞う。]
……っ、凄いやっ、
このまま走ろう、…行こう!
[>>309 ヴァイスメーヴェとヴァイ。
二羽の鴎は巨人の後ろをすり抜けていく。
先程まで視界を埋め尽くすほどの鉄の塊はぐんぐんと距離を引き離される。
第二艦隊への砲撃はされただろうか。
例えしたとしても、このスピードで放たれた砲弾は、当たったとしても大した致命傷にはならなかっただろう。++]
見えたっ!
[やがて、目標となる敵本隊が見える。
丁度、その頃、目指すべき艦隊はその陣形を変えていた。
>>324 ウルケルの序盤の防御陣形を真似たような輪形陣から、旗艦と護衛巡洋艦1隻が鎧を脱ぎ捨てるように離脱していく。]
―――……減速、している…?
[一際絢爛で堅牢な造りの船が、そのスクリューの回転を遅めていた。
単眼鏡で確認するが、その意図は読めない。
然し、やがて、カンテラ灯が見えただろうか。
ウェルシュには海軍の作戦は分からない。戦いのいろはも知らない。
カンテラ灯は、何かの意図を持ってしているとは察することができても、それを解読するだけの知識は持ち合わせていなかった。]
………。
あの大きさだ……
あと造りから、戦艦であることは間違いないと思うんだけれど……。装甲艦だろうか……。
それにしても―――……なんて大きさだ。
[あの巨人の懐に飛び込むというのだろうか。]
どこに、隙があるんだ。
[不安そうな面持ちで操縦手を見つめ。
そして単眼鏡を覗き込んだが、果たして。//]
[ウルケル]
・旗:ゲオルグ
・巡:シロウ
・新:ヴィクトリア、ウェルシュ
・小:タクマ
[帝国]
・A:アレクトール
・2:ルートヴィヒ
・右上画面外:ローシェン(水雷艇母艦)
・右上画面外:ウルズ(巡洋艦)
― 東より北西へ向けて/巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
[>>351 もう充分に荒れているよ!
ロデオスターに思わずそう言い返したくなったけれども、それは視線だけで伝えることにして。
必死で船にしがみつつも、今度は頭を強かに打つ。]
あはは…… うん、大丈夫。
このまま続けて。
カモメが嵐に飛んでいく姿、僕に見せてよ。
[蛇行の所為でなかなか気が付きにくいが、まだヴァイスメーヴェの駿足は出されていない。
この荒れた天気の中でどこまで通用出来るかが問題だけれども―――]
ボイラー室、もっと石炭多くして。
……今直ぐ!
[不可能を可能にするのが、自分たちの役目だ。
こんな素晴らしい操舵手には、最大のパフォーマンスを提供せねば。]
……?
何かの信号かな。
ヴィクトリアさん、分かる?
[>>353 やがて見えるカンテラの灯りに、彼女の双眸は細められる。
そして続く言葉には険しい表情で頷いて、]
分かってる。
―――……あちらはあの戦艦に比べると小規模だ。
でも、その分、足が速いと思う。
……巡洋艦かな。
僕らの船とそう変わりない造りに思える。
うーん、何かの改造をしているかもしれない。
……気を付けて。
[>>2:143 まさか自分の名を冠しているとは、知らないまま。*]
― 会戦海域北東/巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
会見かぁ……
[>>377 ヴィクトリアの言葉に、ふぅんと不思議そうな声を上げて首を傾げる。]
確かに、この天気じゃそう長くは戦いは出来無さそうだ。
却って、波に足元を掬われてしまうからね。
[空は以前として晴れる気配はなく、雨脚は少しずつ強くなっていく。
皇帝の意図は知らないが、もしかしたらあまり長くこの海に居続ける気はないのかもしれない。
或いは、暴風雨を活かした作戦を取ってくるのかもしれないが。
そこから先は、ウェルシュには専門外の話である。]
……いよいよか。
[>>378 どうやら此方が先手を打つらしい。
ヴィクトリアのカウントとともに、少しずつ足元の振動が激しくなっていく。
上下に揺られながら、その巡洋艦との距離が詰められる。]
[1、]
[ウェルシュは船の隙を見つけようと、単眼鏡に目を当てた。
やはり、>>2:142 その巡洋艦は改造を施しているように思えた。
色素が薄めのブラウンがかった色は、ヘーゼル。
心のどこかになにか、引っ掛かりを覚える。]
[2、]
[何故それが見えたのだろうか。
距離が詰まったとはいえ、見えるはずもないのに。
運命の悪戯か、この悪天候のなかでも、不思議と彼女だけにピントが合ってしまったのだ。]
――――……ッ、?!
[単眼鏡の向こう、淡い紫色が見えた気がした。
よく日に焼けた健康的な肌の色、菫の双眸。
幼い頃からよく顔に炭を付けていた自分。
そのまま抱きつこうとしたら姉は呆れていただろうか。
でもいつも、「ウェル」と優しい声で迎え入れてくれていた、]
[3、]
姉さんっ!
[気が付いたら、ウェルシュは操舵室から飛び出ていった。
霧雨のような雨が、ヘーゼルの髪を湿らせ。
充分に湿気を含んだ、淀んだ風が領主の足を絡め取る。
突然甲板へと出て行ったウェルシュを、乗組員の誰かが引き留めただろうか。
それでも青年は届くはずもないのに、喉を枯らして、姉を呼ぶ。]
姉さんっ!!!
[しかしその声は、>>380 轟音に掻き消されてしまっただろう。]
[ねぇ、ゲオルグおじさん。
>>1:316 貴方の言う通り、僕は今。
僕の造った船で、姉さんを迎えに行くことができました。
僕も少しは立派になれたでしょうか。
けれども、]
待って!
お願いっ、撃たないでくれ……!!
[こんな形で、逢いたくなかったよ。**]
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