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―回想:精霊節前・風組と―
いいえ、どう致しまして。
[>>2:352>>19セイジ達はそれぞれに笑顔で差し入れを受け取ってくれた。
ウェルシュカーディの口ぶりには思わず声を立てて笑ってしまい、恥じ入って口元を領巾で隠す。
少女は友人が少ないので同世代に何かを渡す機会は貴重なもの。
だから差し入れをこうして喜んで貰えるのは少女にとってとても嬉しい事だった。
そうして二人は自分の問い掛けを受けて思案し始める。
少女は少し緊張した面持ちで彼らが口を開くのを待っていた。]
[ウェルシュカーディとは波長が合う、とセイジは言う。
そう言われた相手の嬉しげな様子はとても微笑ましい。
それは何か身体から発せられているものなのだろうか、と箱入り生活が長くそういった事に疎い少女は考える。
けれど、そうしたものはレオと少女の間には感じられない。
――であれば、自分とレオは合っていないのだろうか。
短時間の思考で何だか泣きたくなって、少女はぐっと感情の高ぶりを堪えた。]
[>>2:353やがて紡がれた言葉。
難しく考えなくていいと言われ、少女ははたと目を瞬かせる。]
……そんなもの、ですか?
[そうしてレオとの相性は悪くなさそうとの言葉に、少女は顔を輝かせ]
そう見えているのなら嬉しいですわ。
レオとは同じ力を宿しておりますし、何より相棒ですもの。
[そうしてはにかんだように笑った。
出会ったばかりの相手だけれど、仲良くしたい、心を合わせる事が出来たらと思うのだ。]
[>>20続くウェルシュカーディの答えもセイジに似たもので。
彼もセイジと特別な事をしているわけではなく、互いに考えが似ているのだという。
けれど正反対の相手とも友達やパートナーになれる。
自分達は友達になれているのだから、パートナーとしても上手くいく、と彼は言ってくれた。]
…はい、そう出来たらと思っておりますわ。
[世界は危機に瀕している。
この生活の先に、レオも、自分も想像出来ないような激しい戦いがあると分かっている。
けれどそんな状況であっても彼女を隣で支えていきたいと心から思う。]
話を聞いて頂いて、どうもありがとうございました。
お二人の風のお力でしょうか、心の霧が晴れた気が致します。
――共に頑張りましょうね。
[前向きな風の少年達に肩を押して貰えたような心地がして。
二人と風の精霊に向かって少女は花の笑顔を浮かべ、感謝の言葉を告げると頭を下げた。**]
[>>178咄嗟に目を閉じてしまったので、レオが歪んだ表情を浮かべたのには気付かずに。
痛む身体を叱咤し、身を起こそうとした瞬間に追い縋って来た相棒の体重がかかり、]
…あっ…!!
[少女は慌てて逃れようとレオの身体の下で身を捩る。
相棒とは体格差があるが、起き上がる前だったので簡単には振り解けずに]
[喉元に突きつけられた槍の石突。
謝って怪我をしないようにと配慮しているのだろうか。
優しい子だ。]
――…。
降参は、致しません。
[きっぱりとそう言いながら、少女は黒い籠手の先から出る指先を動かす。
幾何かの時間が経ったからか、無茶をすれば一度だけ魔法が使えそうだ。]
[レオの呼吸が荒い。
魔法を喰らった事で消耗しているのだろう。
少女は口を引き結んだ後に]
…っ、清漣なる蒼き魂よ
我の求めに応え給え
疾く――疾く
[少女は素早く短縮呪文を紡ぐ。
――使う魔力は今の自分に出せる最大値。
精霊の血を引く者の、守護者の矜持を、魔力に託す。]
レオ、呪文が使える相手に口を動かす余地を与えてはいけませんわ。
[呪文を唱えながら、自分を抑え込む相棒に優しく語り掛ける聲。]
魔力がある限り、この口が動く限り。
私は絶対に諦めたり致しません――
この魔法に私の全てを賭けましょう。
私に勝つ心算なら、乗り越えて下さいませ。
[レオは少女にとって「相棒」であって「敵」ではない。
それ故に呪文は「者」になっていた事に彼女は気付いていただろうか。]
‘全て’を射抜け!
ヴァッサー・クーゲル!!
[二人の上空に生じた空色の水珠は、12(4x4)個。
組み伏せられてしまった今、逃げる事は出来ない。
否、自分に当たっても構わない。
――そんな捨て身の攻撃魔法を発動させた。*]
/*
強引にごめんなさいね。
あ、愛故に…。
セルフでダメージ(衰弱)を増やします。
メレディスさんにお世話になるよ。
って、ふぁー!!
出目荒ぶり過ぎ!2桁行けばいいかなくらいだったのに。
これは気絶するんじゃなかろうか?
[玲緒を打ち倒す為の呪文を紡ぎながらも、優しく諭す聲に応える]
……そうだよね。
本気で戦ってって、お願いしたのは私の方。
だから、私が終わらせないといけないんだ。
ありがとう。――いくよ。
――…ッ!
[>>211精霊の領域だからだろうか。
今までにこれほど多くの水珠を発現させたことはなく、少女の瞳は揺れる。
対するレオは叫び声と共に獲物を中心に水の魔力を集わせる。
幾重もの魔方陣が出現するのを見て少女は瞠目した。]
あ…ッ!
[頭に感じた衝撃に少女は呻き声を上げて、意識を途切れさせる。
解放された魔力は今まさに二人に襲い掛かろうとしていた水珠の魔法を打ち砕いた。*]
強く、なりましたのね。本当に。
[眩しそうに相棒の姿を見つめた。
守ってあげなければ、と思っていた相棒は自分の全力を乗り越える程の強さを備えていた。]
本気で戦って下さってどうもありがとうございました。
嬉しかったです。
本当に――
[その後に、精霊の領域に響くのは二人を慈しむような女性の声。
レオに加護を与えた精霊の声だと分かるだろう。]
『これにて試練は終了じゃ。流水の子らよ。
最初は揃って殻も取れぬ雛であったのに、どうしてなかなか…
無論、結果は合格じゃよ。よく頑張ったの。』
[癒しの力が二人を包み込む。
完全ではないが、動けるようにはなるだろう。
幼い水精が流水の勇者の周りで歌い、踊る。
指先に熱が宿り、目が眩む程の瑠璃色の光が生じ]
『これは証じゃ。大切に使うのじゃぞ。』
[二人の右の人差し指に嵌ったのは、中央に台座に藍晶石が嵌った、流水紋を意匠にした指輪。
藍晶石には水の加護と魔力に満ちている事が分かるだろう。]
―閑話:証について―
[御魂達の住まう世界の、異国の言葉で‘青色’を意味する名を持つ藍晶石は、
依存心や甘えをなくし、独立心や探究心を強める力を秘めている。
また直観力を強めて潜在能力を開花させ、
進むべき道へ強い意志を持って進む事が出来るように後押しをする、とも。
それは彼女らを‘子’と言った女精霊からの祝福であり、
様々な
―世界樹:待機場―
[碧色の渦を越えて、待機所へと向かう。
頬には切り傷、最後に使った魔法が響いて足許はおぼつかず。
服は汚れ、特に腕を纏っていた領巾は破れてぼろぼろになってしまっていた。
常の少女では在り得ない姿で、それでもすっきりとした顔で少女の口元は綻んでいる。]
レントナー様、申し訳ありません。
かなり消耗してしまいまして…回復をお願い致しますわ。
[申し訳なさそうに笑いつつ、メレディスに回復魔法を頼む。
物理的ダメージが大きいレオを先に、と言う心算。*]
皆様、お疲れ様でした。
[その場にいた者には笑みを向け、無事を喜んだ。
そうして怪我も癒えて落ち着いた頃合に、>>234神官長の声が響く。
声色からは差し迫った雰囲気が感じられて少女は無意識に息を呑む。
続けられた言葉には顎を引いて頷き]
…ありがとうございます。ヴェルトラオム様。
[時間を稼ぐ、という言葉は気になったが、戦いに赴くのに英気を養うのは必須。
彼の心遣いは無駄にしまいと誓う。]
アイルリート様、宜しくお願い致しますね。
[自分達よりも先に試練を終え、同じ場所へと向かう彼に笑い掛けた。]
…レオ、頑張りましょうね。
[出立前、少女は相棒に歩み寄り、話し掛ける。
相棒と離れるのは寂しい。
けれど、大樹の根ではステファンやセイジ達が今も役目を果たさんとしているのだ。
我が儘は言わない。]
離れていても、心はきっと繋がっておりますわ。
[示すのは揃いの指輪。
>>245精霊の領域でお揃いだと笑いあった、二人で試練を乗り越えた証だ。]
[そうして他の勇者たちの方へと視線を移し]
皆様のご武運を祈っておりますわ。
――いる場所は違えど、共に頑張りましょう。
[一礼すると、用意された道、白い渦の中へ身を投じる。*]
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