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天使長 シルキー は、天使 ウェルシュ を占った。
―回想/天界にて―
[オクタヴィアが倒れたのを見ると、流石に冷静さは欠けてしまった。
しかしこの部下達の前で慌てることは出来ない。
天使長の座に就きたがり、自分を密かに厭っていたことを知っていたから。]
誰か、早く彼女を―――きゃぁっ!?
[そしてフェリクスも伏してしまった直後、意識が二人に向いていたせいか誰かに容易く背中を押された。
予想もしていなかった事態に抗えず、体は地上の方へと落下していく。
翼を出そうにも空気の抵抗を受けてしまい、上手く動くことも出来なかった。]
………っ!
[目をぎゅっと閉じて、来るであろう衝撃に身構える。
地に落ちる直前辛うじて翼を出すことは出来たが、タイミングが悪すぎて翼をクッション代わりにしてしまう形で地面に体を叩きつけられた。]
―現在/人間界の森―
[痛む体を起こして、ここが何処かを確認するべく一度翼をしまおうとした。
途端に鋭く走る痛み。
後ろを見れば、六枚の翼のうち二枚が傷つき折れてしまっている。
飛んで帰ることは出来そうになかった。]
……どうしましょう…。
[彼女の癒しの力は強い。
しかしその代わりなのか、力を自分に使うことは出来なかった。
故に回復という手段も絶たれ、痛みを我慢して何とか翼をしまうことは出来たもののそれで痛みが治まるわけではない。]
人間界まで落ちてしまいましたのね……
……ジークムント、マレンマ!
[通信を試みるも、やはり返答はなく。]
―大木の下―
……これは……天使の気配、ですね。
[感じる淡く薄い気配>>+5に誘われるように歩み寄り、そう呟く。
自分以外にも天使がいたのか。
しかし普段地上に降りるのは能天使だ。その者達が残した気配してはあまりに淡い。
周囲を探そうと足を踏み出した刹那、何かを踏んだ。]
――アクアマリン……?
[どうしてこんなところに、透き通った綺麗な青い宝石が幾つも落ちているのだろう――そこまで考えて、もしや天使のものかと思い至った。
僅かに人間達の痕跡も感じられる。
一つの可能性を考え付いた時には、既に体は淡い天使の気配を辿るように走り出していた。
人間界は欲に塗れた世界。それは身をもって知っているし、天使がいいように利用されることも多い。
慌てたように、今だけは痛みも忘れてアクアマリンを握りしめ小屋の方へと*]
―盗賊の小屋―
っ、はぁ………ここ…ですね……。
[普段飛んでいるせいか、走っただけで大分息が切れてしまう。
目の前に建つ小屋を見据えた。
…天界のように清浄な気は存在せず、そこにあるのは穢く重い空気のみ。]
―――失礼しますわ!
[昔の光景が思い起こされて足が竦む。
それを拭い去るように勢いよく扉を開き、中へ堂々と威圧感を放ちながら入って。
床に転がる、ここでは異質ともいえる天使の気配放つ存在を見て予想が当たったことに顔を顰め―]
……貴方は…?
[数度見かけたことがある、ような。
思わずぽつりと呟く彼女の頭には、盗賊のことなど欠片もなかった。]
素直に従ってくださいませんか?
私、穏やかなことが好きなのですけど。
[にこり、場にそぐわない微笑を浮かべた。
シェイを安心させる目的でそうしたのだが、彼らにはどう映るのだろう。]
/*
部下に突き落とされるとか、今考えてみるとちょっとしたトラウマですわね。
人間界に二度降りて、二度とも翼を折るとかシルキー運悪すぎですの。
…殺される?
[震えながらも、必死に顔を上げて言葉を紡ぐ男>>+18を見やった。
殺されたくないから、誰かを捕える。
やはり人間は利己的だ。澱んだ気分の悪いこんなところに、利己的でない人間なんているとは思わないが。
自分の肩を掴むのは、下卑た嗤い声を上げるもう一人の人間。
それを阻止するように男の手首をつかみ、微笑みを消し去り]
その穢らわしい手で私に触れることを許可した覚えはありませんわ。
[唱えるのは護りの奇跡。範囲の調節をしたためか、光はせいぜい小屋の中を照らす程度。
穢れた魂の人間はこれに弾かれるのが常だが、果たして。]
送る思念は弱く途絶えがちではあったけれど
はっきりしたヴィジョンを届ける
天界の景色
そこに立つ、小さな翼をもった若い天使
シルキーが名もなき一天使だった頃
ひらりと漂う薄緑色の光 淡い翅を揺らして
彼女へ祝福を送ったのは何時のことだったか
思念は請うように余韻を置く
──帰らなければ
[天使から送られてくる思念は今にも途絶えてしまいそうなくらい弱いものだった。
けれど、その映像は鮮明ではっきりと。
視えるのは天界の景色。
そしてそこに立つのは、天使長になるよりもずっと前。
まだ小さく弱い翼しか持ち得なかった頃の自分。]
……あなた、は、
[いつだったか。
薄緑色の光を漂わせ、淡く薄い翅を揺らし自分に祝福を送ってくれた者がいた。
映像として流れ込んでくるその存在は、目の前の天使によく似ていて。]
[そして余韻を置き、請うような言葉を聞く。
それに頷くことで応えるけれど。]
(……私の翼が回復しない限りは――)
[何もできない自分が情けなくて、憂うように溜息を一つ零した。]
神の代弁者でありながら口を開かぬ 無為の天使
役目を果たさぬその存在は、いつしか忘れ去られたもの
この天使の旧い記憶の内に自らの存在を見つけ
少しばかり嬉しそうにしたのは、
淡い感情の発露
[小屋を出て少しした頃、忘れていた体の痛みが再び現れる。
背中が痛いのは折れた翼のせいだろう。
打ちつけられた個所も痛む。
自分の隣にいる天使の存在はどこか淡い。一刻も早く天界へ戻したいところだが――]
…貴方、1人で帰れますか?
[少し不安そうな顔で、そう問いかけた。]
[自分の背に、天使の掌が柔らかく押し当てられる。
気遣ってくれたのだろうか。
癒しの力はなくとも、その行動が何だか暖かくて口元を緩ませた。]
ありがとうございます、……ええと。
[名前は何と言うのだろう。
声を一度も聞いたことはないが、もしかして喋れないのかもしれない。
そう思うと、尋ねるのは憚られた。]
[天使の背後には薄い緑色の光が灯る。
瞳を閉じ、指を組みながらの光景はどこか幻想的にも見えて。
自分たちのような純白の翼とは違う美しさがあった。
しかし翅は、現れてすぐに消えてしまう。
眉尻を下げ首を振るのを見れば、その意味を悟って頭をふわりと撫でる。]
本当は、私が天界に連れて帰るのが一番いいのですけど――翼が傷ついて今は飛べませんの。
…ごめんなさい。
[とりあえず、飛ぶ以外に帰れる方法を探そう。
天界の者達が気付いてくれるのが一番早いのだが、霧の混乱の中ではどうなるか分からない。]
…シェイベットと…申しますの?
では、シェイとお呼びしても?
[シェイベットと、空中で指を滑らせながら描かれた文字を理解して。>>+33
首をすくめたのを見ると嫌だったかと思うも、楽しげな笑みに変わればほっとしたようにまた笑う。]
……貴方は、とても優しいのですね。
[ああ、気遣わせてしまっている。
頭を撫でられ>>+34、自分自身へ気付かれないよう一瞬だけ苦笑を浮かべた。
街はいけない。人間が多すぎて、シェイにどんな影響が及ぶか想像が出来ないから。
万が一悪い方向に事態が進んでしまっても、今の自分にどうにかする術はなく。]
――困りましたね。
せめて誰か、他の天使がいれば……。
[一番マシなのは教会だろうが、どこにあるか分からないのではどうしようもない。]
……神よ、どうかお守りください。
[遠くから敬愛を捧げるだけになってしまった父なる存在へ、祈りを。
いつまでも森にいるというわけにもいかず。
シェイの様子を見ながら、森を抜ける道を歩んで行く]
―名もなき草原―
……っ、あら?
[てっきり抜けた先に人がいると思っていたのだが。
広がる草原に目を瞬かせ、零れ落ちたのはどこか気の抜けた声。]
…私、こんなところに出ようとは思っていなかったのですけれど。
迷子……いえ、考えるのは止めましょう。
[誰もいないようなこんなところで、事態を進める鍵が見つかるとは思えない。
浮かんだ可能性をすぐに打ち消すと、とりあえず探ってみようかと真っ直ぐに歩んで行く。]
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