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[たどり着いた自宅は、屋根に大穴が開いていた。あー。
けれど壁や扉は無事。
仕立て屋を背負ったまま、ガチャガチャ]
はあ、ふう
……
[これマズかったかな。
アデルムンドさんのブローチも効く相手と効かない相手がいるみたいだし。
逃げ隠れするのが気概だとか言った先からこの調子だ]
……
[とりあえず、自宅の中に入る。
作業場(大工)の隅の長椅子に背中の男をどすんと転がした*]
[甕の水は無事だった。まずはいっぱい、口をすすいでついでに飲んで。
布を持ってきたら呻いている仕立て屋の肩と頭に乗せ直す。
ちょっと怖いから手足は縛っておこうか、って縄を持ってきて、縛……しば……]
無理だあ
[噛み付かれた二の腕がジクジクする左手、動くけど力は全然入らないって話。そうして格闘しているうちにあっという間に数分経ってたんだろう]
はーい
[ノックの音に返事した。
右手で金槌を掴んでドアの方をうかがう]
開いてるよお
[そういえばあの説はどうなったんだろう、吸血鬼は招かれないと入れないっていうやつ。
まあ今招き入れてしまったけど]
……
[ぱちぱちと瞬いて、長椅子の横に立ち上がった]
さっきの君、チョビを呼んだ?
えーと
[次の言葉はこうだ。
もしかしてシルキーの娘さん?*]
ああやっぱりー
[そうだよね、だってそっくりだ]
わかるさ。だって
[ああ、と金槌を作業台に戻した]
……似てるって言われるだろ?
シルキーが大きくなってかあ。君みたいに可愛い子になったんだろうなあ
チョビの飼い主だったダルメシアン
チョビ、可愛い子だったんだ。シルキーが覚えててくれたなんて嬉しいね
いやこんな話してる場合じゃないんだけどさ
[しかしこのタイミングで街に居るなんて、ひどい災難なのかそれとも自分から来たんだか]
君は、ハンターなのかい
どこも怪我してない?強いなあ
ちょいとこのおっさんの手足縛るのを手伝ってくれるとありがたいんだけども
[急に暴れ出したことを説明して。でもなんとなく、顔面やら肩を石で殴ったことはうやむやに*]
― 自宅 ―
いやあ、想像だけどねえ
俺たちがよく遊んでたのはほんの子供の頃だけって話
[噛み付かれて袖の布がぼろぼろになってしまった上着をどうにか脱いで、別のを肩にひっかける]
でもそうだな
顔もだけど、雰囲気とか……生き写しみたい
──もしかして、心配して来てくれたのかね?
こいつなあ、クレメンスっていうんだが。急におかしくなったもんで
呪いとかなんかなら、教会に連れてけば助かるんじゃと思うんだけど
一緒に来てくれたりしないかなシルキー
[片手で拝むように頼んだ。
名前を思い切り間違えたどころかまだ聞いてもいない?気づいてない*]
[だって、悪い奴じゃないんだ。いい奴なんだよ。
ここに置いておいて死なれたら夢見が悪いって話。
とはいえ]
― しばらく後 ―
うう、
[走る。今日何度目だ。
もう一年分くらい走ったんじゃないかね?
しかも振動で腕の傷が痛い。ちょっと木材の棘が刺さったって床を転がるほど痛いのに、人間に噛まれた傷がちょっとした気合いなんかで無視できるわけない。
シルキーの娘が大荷物を背負ってくれるというのには、遠慮しつつもありがたくお願いしたけれど]
これ、当たったら痛い…んじゃないか
[握りしめた鞭を見て、上がる息をぜえ、と整えた。
大工は大工であって御者じゃないけども、振り回すだけならできるはずと受け取ったもの]
わああごめん!ごめんなあ
[鞭をぶんぶん振り回す機会は9(6x3)回くらいは訪れる。
町中がおかしなことになっているようだった。ひどい。
さっきみたいに凶暴な気持ちに自分まで引きずられないのは僥倖。
並走、というよりやや前を駆ける傭兵の彼女が、なんの迷いもなく教会の方へ正しい道を選ぶのを、横目で見ながら*]
……シルキー…
[だめだ。中には入れない、もうあすこは安全地帯じゃない]
返すよ、鞭。ありがとう
[なるべく小さな声でそう言って、鞭を手放して。
地面に降ろされた仕立て屋の腕に手をかける。
ここにはいられない。いてはいけない]
ああ、くそ
なんで
[自分より少しだけ年上で、自分より小柄な男を持ち上げられない。
仕立て屋の意識はない。
顔は痣と割れた傷だらけだし肩からも血が出てる。俺が殴ったからだ。
噛み付かれて、死ぬかもと思って、石で殴った]
なあ……
……はあ
そう、そうだよな
[背負いあげようとするのをやめて、泉の堤の裏、せめても物陰まで引っ張っていく。
それから、聖堂の方へ歩いて行った]
待って。
……待って、まってくれ
[双子と、シルキー。
ついさっきもこの組み合わせだったっけ。
でも今は決闘の途中じゃないしいいだろう]
だから
何かする前に、俺をあの中に入れてくれないかね
[はいちょっと通してね、と片手で拝んで。
吹っ飛んでしまったらしい大扉の枠の方へ*]
うん
死にたくないけど、これで死んだっていいんだ
そういう気持ち、わかんないんだろうなあ
[睨まれている気がする。首を竦めた]
ええ、笑うことかい…
うんじゃあ、入らせてもらう
[パン屋の倅のオットーは気持ちが繊細だけど勇気もある。
オクタヴィアは花屋一本で子供四人を育て上げてる。
騎士のメルヒオルは若くして街の人達に信頼されてるし、
見習いシスターのミーネは人の役に立つのが夢。
何かを成し遂げられなくても、気概くらいは見せておかないと明日の飯が不味くなるんだから]
― 聖堂 ―
みんな、ここはもうだめだあ
逃げるしかないよ
[視線が集まる。大怪我をしている人、もうすでに息がない人]
助かる方法なんてわかんないけど
とりあえずバラッバラの方向に走ってくってのはどうだい
生きるためにさ
[ここは鼠の巣だ。
いや蟻の巣か。あとは熱湯や沸いた油を流し込めばいいだけって話。
顔を見回しながら奥、吹き飛んだ扉の方へ歩いていく]
歩けない奴はいるかい
[やり遂げる!なんて自信はからきしなかった。
視線が刺さる。
『手先だ』『来ないで』『もうだめだ、おしまいだ』
『こいつ吸血鬼と話していた』
『見ろ、もう仲間になったんだ、自分だけ』
『家族が死んでから礼拝にも来ないくせに』]
[引き攣ったような祈りの声]
いやいや、今神様も他人さんも頼れないのわかるだろう
──自分の気持ちだけを信じてみたらどうだい
黙ってここにいたらもう死ぬって気がしてこないか?
俺はするねえ、じっとしてるなんて無理だねえ
[扉のところまで着く。見回した。
床に転がって苦しそうに短く息をしている少女を見つける。
来訪の聖女の従者を務めることになった、って言ってた。見習いのシスター。
転んで下敷きになって踏まれた>>142なんて知らないけど、目が合った]
立てないのかい?
手を貸すよ。おっさんのおんぶで良ければ──
[他の人のために犠牲になりたいなんて思わない。
こちとら聖人なんかじゃない。
だけど、結果として自分の代わりに誰かが生き延びられるかもしれないんなら御の字では?
だってどうせ逃げ隠れしたって、
吐きそうなほど後悔しながら、結局死にオチしそうじゃないか*]
[シスターの体はうんと軽くて、片腕で背負って歩くのも出来そうだった。
そうだ、まだほとんど子供みたいな少女だ。
少し動いただけで顔を歪めて弱い咳をする。きっと怪我が酷いんだろうと思う]
ごめんな、なるべく揺らさないけど
[そして、勝手に離れて道を作ってく人の群と、聖堂のベンチの間を抜けて行く]
もし俺が転んで動かなくなったら
痛いだろうけどさ、這っても転がってでも君だけ逃げるんだよ
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