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─ 回想・控えの間 ─
[人間である彼らに声をかけたのは、確かに親切心では無い。
情が湧いた訳でも無いし、仲間意識なども持っていない。
断られればそれまで程度の声掛けではあったが、勇者は拍子抜けするほどあっさり受け取った。
>>236先程の援護も併せてありがとうと礼を返されたのも、警戒心は無いのかと問いたくなる笑顔と共にで]
……礼には及びません。
あなた方に戦って頂くことが最適だっただけですから。
[当人も理解はしているだろうが、私にも利があったからだと勇者に返し。
>>229勇者も含め、仲間を守るかのように立っていた王子から向けられた礼にも、息を吐いて視線を向けた]
[用が済んだのだからもう良いと、離れようとした私を王子は更に呼び止める。
そして差し出されたのは、毒々しい色をした飴。
良く効く回復薬だというそれ、見た目からは到底信じられないが]
…今のところ必要はありませんが、頂いておきます。
[少なくとも、精霊達は警戒していない以上害は無い。
味が壊滅的だとまでは知る由も無いが、それが分かる機会もあるかどうか。
受け取ると踵を返し──かけた足をふと、止めて]
一つ訂正しておきますが。
私は、配下に選ばれたわけではありません。
御領主…ヴァートル様はただ、受け入れて下さったにすぎません。
私は、自ら望んで御傍に控えているんですよ。
[抱いているものが忠義か恩か、違いはあれど。
少なくとも、私もタイガたちと同じく望んで魔王の下にいるのだと微笑んだ*]
お疲れ様。またすぐにお願いするかもしれないから、少しでも休んでね。
[戦乙女たちを翻弄した風精は、私の手元に戻り身を休める。
戻る途中、>>245道化師も風に煽られているようには見えたのだが]
……あんまり遊んでいると、足を掬われますよ。
[彼が不用意に飛ばされるとも思えない。
苦言というには柔らかな苦笑で向けた声は、道化師にどこまで汲んでもらえたか]
[そして視線を更に動かせば、魔王を護り戦う魔獣の姿も目に入る。
この玉座の在る間に足を踏み入れた時。
>>209>>210昔話と称して語られた領主の過去、>>211連なる宣。
あの全ては、タイガの中にも響く何かがあっただろうか。
私の中、領主が異質をも受け入れる理由の片鱗が見えたと感じられたように]
終わったら、改めてお話を伺いたいものですね。
[魔王たる領主は、問えば応えてくれるだろうか。
そんなことを思いながら、今は眼前に集中しようと意識を戻し]
─…っ ──,─!
[弓を手に取り、再度水精の力を矢に変じようとした目端。
>>259光球が幾つも浮かび上がったのに気付いて、紡ぎかけた術を即座に転じた。
聖魔の剣から放たれた光を集め形作った矢は、やはり戦乙女たちにも抜群の威力を発揮して]
…大したものだ。
[射抜かれただけで力を散らすそれに微かな笑みと、少なからずの畏怖を抱いた]
[私が向けた声に返されたのは、>>272私の知る道化師らしい笑み。
実際、彼が不覚を取った所を見た覚えは無い。
不覚であったとしても、それを利に返る機転が彼の武器だと私は知っている。
だから、私から再度声を返すことはなかった。
>>281タイガから飛んだ要請で、それどころではなかったというのが正しいか]
っ、──,─!
[視線を向けたのと、魔獣の疾走はほぼ同時。
声で応じる余裕もなく、紡いだ術は未だ残っていた光が応じてくれた]
[タイガの身を護るように奔った光は、彼の揮う爪牙に慈悲の加護を与えた。
魔獣の身を蝕むことが無かったのは、彼にはとうに馴染んだ私の魔力をも帯びているからだろう]
──!
[更に奔れ、と示した声に応じた光が、タイガの背後に迫った戦乙女の胸を穿ってその力を散らさせた*]
分かるかどうかなら、分かりませんよ。
光自身が照らす先を選んだりしないだけでしょう。
[>>303タイガの問いに、私が返した声は平素のそれ。
私の手元から離れると思っていたのに、剣に戻らず周囲を漂う光はタイガからも離れる事無く]
……あの人から見て、私達が皆同じ『混沌』であるように。
[視線を向けた先、玉座に座る女性を指して呟いた。
>>304彼女の持つ黄金の槍が、光を集め始めるはその矢先**]
[>>304玉座を離れぬ彼女が紡いだ静かな声は、それでも良く通るもので。
視線を向ければ、その手に在る槍に宿る光が徐々に穂先へと集っていっている様。
遠目だけでも、それが解き放たれれば只では済まないと分かる。
脳裏に過るは勇者達を出迎えたあの場、空を奔る幾筋もの黄金の光]
…あれだけは、何としても止めないと。
壊してしまえば、そう何度も使えるものでもないはずですし。
[作られた存在である以上、力は携えた分しかないのが道理だ。
どれほど多くの力が集っているかは分からないけれど、あの光が力であるならば。
あれを壊してしまえば、その力を大きく削ぐ事も出来るのではないか]
滅さなくてはいけないということは、その存在が脅威であるから。
ならば、あれに対しても混沌である者の方が優位に働くかもしれません。
[今この場にいる者は、人間とエルフ、魔族。
エルフでありながら魔族の見目持つ私が、一番混沌と称されるに近しいだろう。
その思考は、周囲にどれ程理解されただろうか]
[周りを見回すと、>>310魔王は既にその力を編み始めている。
>317空には旋回している双頭翼狼と、姿は見えないが恐らく道化師の術によってだろう戦乙女達の動きが目に見えて落ち始め。
魔獣も、私が動き出すのを待っているように見える。
ならば、次いで勇者達へ視線を巡らせれば>>319ふわり舞い拡がる銀色の煌き。
王子の方は戦乙女達に行く手を遮られているようだが、下手は打つまい。
>>285控えの間で交わした言葉、向けられた言葉。
離れる間際、羨ましいと言った彼の言葉はまだ耳に残っている]
……自ら選んだということが、私にとって大切なんですよ。
[あの時には返さなかった声を、小さく紡いだ]
[精霊達はここまでずっと動き通し。
けれど、まだ大丈夫だと力を貸してくれる。
>>276水球を渡した時にカヤから与えられた癒しの御陰だと、聞かずとも分かる。
私の懐の中、ずっと下げている首飾りの石が温もり帯びたことも。
>>271フランと離れたすぐ後だったのだ、意図は分からずも無関係な訳がない]
……本当に。
人間も、エルフも。
[紡いだ言葉は、最後まで続く事なく。
首に巻いたストールを外すと、ばさりと振って水精を纏わせて。
見目には幅広の剣と紛うそれを手に、玉座へと向き直る]
タイガ。
えぇ、お願いします。
[>>332私に向けられた瞳と仕草。
>333今一度、というその言葉に柔らかな笑みを返す。
あの時はまさかこの背に乗るなんて想定もしていなかった。
あれからまだそれ程経っていないのに、今は何の迷いもなく頷いて]
目前まで付いたら、貴方はすぐに離脱してください。
私一人なら、耐え切れるはずですから。
[言葉と共に、私の身を覆う風で。
単身で勝負をつけるつもりだと、タイガにも伝わろう*]
[タイガの背に乗る前。
>>*13聞こえてきた声に、やはり戦乙女達が動き難そうなのは彼の術か、と納得した。
が、>>*15続いた言葉に少しだけ、ぱちりと瞬き]
珍しいですね。
ローゼライトがそんなことを言うなんて。
[いつも余裕な様子しか見ていないから、使い過ぎるなんてあるのかと驚いた。
私の方もどれ程魔力を使うかは読めないから、お願いに対しては返答できぬまま*]
[>>341タイガの背に乗ると、一際高くなった視界がより戦況を知らしめる。
>>339何らかの策があるのだろう後方に下がったエルフ。
>>340色鮮やかな炎を生み出し周囲に散らす王子の剣。
そして、私達が目指す先。
黄金の槍持つ者の手を締め付けるように巻き付く炎と]
……カヤ!
[>>331その側で、必死に耐えている彼女を見つけ目を見開いた。
口の中で零した言葉は、タイガにすら聞こえない程小さくて]
……ありがとうございます。
もしもの時は、お願いしますね。
[>>342届かなければ投げてやる、というタイガの言葉に返したそれは。
もしもでなくとも、願うことになるかもと内心で呟いた後]
──, ─ ───…
──,─
[動きを鈍らせながらも追い縋ってくる戦乙女達を後目に、紡ぐ声はタイガにも聞き覚えは無いだろう。
私が普段頼る精霊たちの中に、この精霊は滅多といない。
私と馴染み深い精霊と相反するものだから。相性も合わず、扱いやすいともいえない。
でも、だからこそ。今この場で呼掛けるに相応しい]
[精霊の呼掛けも済み、「始原の秩序」にも近付いてきた。
間近、というにはまだ遠くもある距離だが]
カヤ!
後は私に任せて、術を解きなさい!
そこにいると巻き込みますよ!!
[黄金の槍持つ手を抑え続ける彼女に離脱を促したのは、彼女の術で作られた炎に私の精霊たちが馴染み終わったから。
彼女の術がなくなっても炎自体はその場に残り、私の声で動いてくれるから]
[>>347後方から聞こえてきたのは、かみさまの声。
その声が示す通り、黄金の槍が地から伸びる根に絡め捕られていく。
その根が帯びる光は、私が離れたあの地、あの樹の]
タイガ!!!
[鋭く、大きな声で名を呼べば>>355魔獣も先の申し出通り応えてくれた。
投げ飛ばされるに合わせ、ぐ、と足を踏み込めば身に纏う風も向かう先を誘導してくれる。
>>352カーペットのように奔る銀色の光が、私の持つ水の剣に煌き、宿る]
───!!!!
[視線の先、白に身を包む彼女の手に纏う炎が声に応じて黄金の槍を包みこむ。
地から絡みつく根が炎を帯びて、更に燃え盛るそれはより大きな炎となって、私を待ち受けている。
それを見て、に、と笑ったのは狙い通りにいったから。
片手に持っていた水の剣を両手に持つと、炎纏う槍に正面からぶつかるように構え]
──!
[接触の寸前、放った声に応じた剣、水が何倍にも膨れ上がった。
巨大な炎と、大量の水。それらが一気にかち合えば何が起きるかなど分かり切ったもの。
一気に蒸発する水と拡散する熱が引き起こす爆発は、宿した光ともども黄金の槍すら飲み込んで]
ぁ───!!!
[引き起こした私も、当然爆発に飲み込まれる。
想定以上の熱と蒸気は、風の防護すら弾き飛ばしてしまい。
護りを失った私の身体は、たやすく失われてしまう筈──だったのだが]
ぇ………
[何故か、私は無事だった。
防護が外れていなかったのかと思ったが、私の風は外れたまま。
びりびりに裂けて肌を曝している衣服も、私が爆風に飲み込まれたことを証明している。
何故、と思う私の周りを包む光と。
露わになった胸、なだらかなそこに揺れる赤い実が罅割れていることに気付く余裕を得るには、もう少し*]
[光に護られ、未だ残る熱と蒸気にも害されぬままの私はともかく。
私と同じく、間近で爆発を受けた始原の秩序はどうなったか。
自分の身に起きたことよりも、そちらに意識が向くは当然。
足元に落ちたストールに宿した水は既に無く、肩に羽織ると彼女の方へと顔を向け]
……まだ、続けますか?
[問答はしない、と聞いてはいたけれど。
それでも、問いかけてみたくなった*]
[>>363あの爆発を間近に受けても、彼女はその姿を保ったまま。
それでも湛える力は、見目にも随分と弱くなっていて。
まだ続けると言われれば、私もそれを拒むつもりは無いけれど]
…私は、人間が嫌いです。
エルフが嫌いです。
自分と異なるものを受け入れられない、世界が嫌いでした。
[沈黙に、今まで胸の内だけに秘めていた思いを語る]
けれど、憎むことはできなかった。
一時は、私を受け入れてくれる人もいたから。
その後裏切られても、追われても、離れるしかなくても。
秩序を反しても、私に温かさをくれる人がいたから。
そして、どんな異質であっても全てを受け入れてくれる居場所を得られたから。
色んな人が、色んな思いを抱いて生きている。
そんな混沌に救われて、私は貴女の前に居るんです。
[私の言葉は、力の塊たる彼女には届かぬもの。
そう思っていたから、一方的に話すだけだったのだけれど。
向けられた視線、ぽつり、ぽつりと落とされた言葉に驚き、その顔を見上げた]
[私の瞳に映ったのは、それまでの能面のようなそれではなく。
>>364穏やかな微笑みは、私の顔をその瞳に映した刹那、黄金の羽に隠された。
蒼穹を上り舞い散るその光は、彼女の姿模っていた全てを奪い、消えていく。
座り込んだ床を揺らすそれに気を払うことも出来ぬまま、光が消えた先を見つめたまま*]
[その振動に気付いた頃には、刻む間隔はどれ程になっていたか。
崩れる予兆、とすぐに察するまではできずとも、此処に居ては危ないとは悟れるもの。
立ち上がってすぐにも駆け出そうとした私は、身体がほとんど布に覆われていないのに気付き]
……どうしたものか。
[目のやり場に困らせるような身体ではないが、見苦しくはあるだろうと。
悩んだところで、肩に羽織っているストールに気が付いた。
大判のもので良かったと、身体を隠すように羽織り直すとようやく足を動かした]
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