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[ ふ、と、カスパルの唇に笑みが乗る ]
それに、腕の確かな剣士も居る。
[ 西の跳ね橋と、キサン、その両方に、頼みに出来る者達が確かに居る。確かな信を胸に抱いて、カスパルは、己の動くべき時を待つ* ]
[ ふ、と、カスパルの唇に笑みが乗る ]
それに、腕の確かな剣士も居る。
[ 西の跳ね橋と、キサン、その両方に、頼みに出来る者達が居る。確かな信を胸に抱いて、カスパルは、己の動くべき時を待つ* ]
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はっ!サシャからお返事来てた。ありがとう!
フランツも視線くれて嬉しいよ。後で、ちゃんと共闘とか出来るといいなあ。
[ 全速力で馬を走らせてきた伝令がこちらの姿を見つけるや、手にした槍の先に括った赤い布を、大きく振り回すのが見えた。
作戦が成功し、ベルガマスコが西側に現れたという合図だ ]
行くぞ!
[ その色を見るや否や、カスパルは馬に鞭を当て、壁際を西へと駆け出す。
キサンへと向かった遊撃隊の隠密行動とは違い、磨き込まれた騎士の鎧が日の光を反射しながら土煙を上げて急ぐ様子は、知らぬ相手が見れば、思わぬ敵の攻勢に慌てて駆けつけている、という様子に見えただろう ]
敵を見つけても無闇に突っ込むな!西の跳ね橋とキサンの間に、まとめて追い込む、我等はそのための網の一部だ!
[ 外壁の西側まで駆けると、西の跳ね橋の向こうで敵を迎え討つイェンスやフランツの姿が目に入る。昨日より苦戦しているように見えるのは、どうやら相手の硬さが妖術で増しているからのようだ ]
矢を持つ者は、敵の目を狙え!!
[ 西側に集まる兵と若者達に響き渡るように、カスパルは声を張り上げる。
いかに硬い相手でも、効果的な狙いどころはある。
そうと教えられた者達は、的確に狙いを変え、無駄撃ちとなる矢は格段に減った ]
ベルガマスコ!!
お前の悪行も今日までと知れっ!!
[ 思わぬ挟撃に慌てるベルガマスコを>>80更に追い立てるように、カスパルは、声を上げる。
士気を鼓舞する狙いがひとつ、もう一つはベルガマスコの目を少しでも、己に惹き付けること。
しかし、突出をする気はない。
クレステッドの勇姿も、直接対峙したことのあるチャールズやイェンスの腕前も、彼の邪術師にとっては脅威だろう。
逆にフランツ達、意気軒昂な若者の義勇兵は、彼等の存在によって更に勢いづくはずだ ]
はあっ!!
[ 弓持ちに教えたことの手本とでも言うように、レイピアが目前を阻もうとした二足歩行のがま蛙の目を貫いた** ]
『ぐぬううう!おのれ、身の程知らず共!ワシの力をこの程度と思うな!』
[ 迫る騎士と義勇兵の勇敢な戦いぶりに、強固なはずの護りも、徐々にその一画を崩し、更に挟撃によって、追い詰められた妖術師は、憤怒の形相も露わに、手にした杖で、大地を苛立たしげに打ち据える。
すると、びしりと地面がひび割れて、そこからぼこぼこと真っ黒な泥水が沸き出し、ぬらぬらと黒い皮膚に覆われ、血の色の腹をした大人の男の三倍はあろうという大きさの、巨大なイモリに似た化け物が這い出してきた。
その手には、まだら模様の浮かぶ刺のついた鞭に似た武器が握られている ]
[ びゅん、と振り回された鞭の端に、逃げ切れなかった騎士の一人が腕を引っ掛けられた直後...「ぐあああっ!」突然苦悶の声と共に、脂汗を流して苦しみ始めた ]
「あの模様!毒オコゼの刺だ!」
[ 漁師でもある義勇兵の一人が叫び、近付くな!気をつけろ!という声が飛び交う ]
『ふははははっ!偉大なる魔術師たるワシに、手をかけようなどとは100年早いわ!そらそら、逆らう者は残らず、毒に苦しみもがいて死ぬがいい!』
[ 邪術師の哄笑が辺りに谺する ]
毒か...厄介だな。
だが...あれ程の大物を呼び出したからには、ベルガマスコの魔力もさすがに消耗しているはず。
矢を射かけろ!
手を緩めるな!
[ 化け物から武器を奪う事が出来れば、恐らく一気に流れは傾き、勝負は決まる。
いざとなれば、自らその懐に飛び込んでくれようと、隙を伺いながら、カスパルは遠隔からの弓の攻撃を強めるよう、激を飛ばした* ]
/*
なんか、チャールズ殿に背中押されてr(
ふむ、サシャは術を破る方向か。じゃあ、思いっ切りピンチになっても大丈夫だな(待て
チャールズ殿...盾とは......?
[ それらしきものを持たない彼の様子に、疑問を口にしかけ、その表情を見つめて、意図を汲み取ると、息を呑むようにして目を見張った ]
......民の盾となるのは、我等守護騎士の役目です。
[ じっとチャールズの顔を見つめたまま、そう言葉を紡ぎ、次いで、ふと、その頬を緩める ]
ですが、貴殿の心も力も騎士となんら変わりない。お願いします。
[ 己が異形の足元まで近づけるよう、手助けを、と、カスパルは、素直な願いを口にした* ]
[ 狙いの一は、異形の撹乱と武器の奪取、一人では為せずとも、イェンス達が必ずその隙を生かしてくれる筈と信じている。
それが為せれば後は、クレステッドを補助して、邪術師ベルガマスコを真っすぐに討ち果たすのみ** ]
[ 引き受けた、任せろという、チャールズの言葉は、どこか心の深い場所から想いを滲ませているように、カスパルには聞こえた。>>108
決然として異形の前へと躍り出るその背は、まさに雄々しき鉄壁そのもの ]
はっ!
[ チャールズと異形の激しい攻防を視界に収めながら、カスパルは馬の腹を蹴り、唸る鞭を搔い潜って、その足元へと疾駆する。
毒の鞭持つ右腕はチャールズによって、封じられたが、異形の左腕と両足はまだ自由だ ]
[ 近づく人馬を嫌い、払いのけようと左腕が大きく振られたが、絶妙のタイミングでチャールズが鞭を搦め捕った戦槌を強く引く。
狙いの狂った腕の一撃を、カスパルは身を低くして躱し、そのまま異形の両足の間へと疾駆して、潜り抜けざま、異形の右足の付け根に向かってダガーを投じる。
その刃が、狙い通りに化け物の足元を乱せたかどうか、更に追撃があるかは確かめもせず、振り向く事も無く、前へと駆けた ]
エンバー殿っ!
[ 煌めくナイフの輝きが>>114導くように邪術師の顔を照らし出す。
「今だ」という声に、頷きひとつ返して、カスパルはレイピアを抜き放ち、陽光に目を焼かれたかのように、顔を覆って呻くベルガマスコの目前で馬上から身を躍らせる ]
覚悟 !
[ 突き出す切っ先は、殺気を感じて後ずさるベルガマスコの喉を貫かんとする、が ]
カン...!
[ 硬い音と共にその切っ先は、弾かれた...かに見えた ]
「く、はは、何度来ようと、大悪魔様の加護は......!?」
[ 嘲笑おうとしたベルガマスコの喉元がぴしりとひび割れたような音を立てたのはその時 ]
「な...術が...破れた、だとォッ?!馬鹿なっ!!」
[ 邪術師の絶叫するような声と、ピシピシとひび割れる音が重なり合う。サシャが祭壇を壊した為に>>103悪魔の力による防御が崩れ、先にクレステッドが与えた打撃の分までも、ベルガマスコの身に返っているのだ、とは、カスパルの知らぬ事だったが ]
貴様の悪運も尽きたな、邪術師!
[ これこそ決着の時、と、更にレイピアをベルガマスコの胸へと突き入れる ]
「ぬおおお!許さん、許さんぞおおお!!」
[ 今度は、阻まれる事無く、真っすぐに心臓を貫いた刀身を、ベルガマスコが、がしりと掴み、咆哮のごとき声をあげた ]
何...?!
[ 同時、赤い血の噴き出すべき邪術師の左胸から、黒いタールのような粘液質の液体が噴き出し、カスパルの身体に降り掛かる ]
く......うっ!
[ 液体の触れた部分から灼熱の痛みが広がり、カスパルは苦悶の表情と共に身を捩る。しかし、レイピアを握る手は離さず、膝をつく事も己に許しはしなかった* ]
/*
(どうしてもピンチに陥りたかったんですね?)
いやだって、最後、ラスボスの悪あがきで大ピンチとか、熱血展開の王道だと思って...
(単なる負傷好きなんじゃ?)
......(返事が無い、ただの......)
[ クレステッドが名を呼ぶ声が>>135どこか遠く響く。
次の瞬間、駆けつけたクレステッドの揮った戦斧によって、ベルガマスコが地に転がり、レイピアから、その重みが消えた ]
...く...。
[ バランスを崩しかけた身体を、クレステッドの腕が力強く支える ]
エンバー...殿、触れては...
[ 今も激しい痛みを与え続ける黒い粘液に、クレステッドが触れないように、と、声をあげるが、全く頓着せぬ様子で馬上へと押し上げられた ]
......はい...。
[ 見届けを、という言葉にも、頷くのが精一杯の有様だったが、騎士の矜持を慮ってのクレステッドの心遣いには、深い感謝の念を抱く ]
[ ベルガマスコが、討ち取られると、辺りにいた魔物達は次々と、元の魚や蛙の姿に戻っていく。
カスパルの浴びた黒い粘液もやがて、ただの水となって、流れ落ちていった。
その後には裂傷のような紅い傷が、幾つも残っていたが、それほど深いものではない ]
この男は......すでに人間とは言えなかったのかもしれませんね。
[ 馬上から見下ろす邪術師の身体は、やはり赤い血を流してはいない。その顔は怒りか恐怖にか、元の面相が判らぬほどに歪み、肌も黒ずんで乾涸びてでもいるかのように見えた。
或いは、人としての血も魂と共に地獄の悪魔に持ち去られたのかもしれない ]
[ やがて、すっかり黒雲も晴れた空に、ベルガマスコの最後を伝令された聖殿の清らかな鐘の音が、勝利の歌さながらに、響き渡った** ]
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