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こいつは、フェイツウェ、俺の相棒にして半身たる嵐龍だ。
一先ず、ここにいる間はよろしくな。
[柔らかな鬣を梳いてやりながらの紹介に応じるように翡翠はるぅぅ、と鳴く。
真紅の瞳にあるのは穏やかないろと、一欠片の好奇心。
尻尾がやや落ち着きなく振れているのは、どうやらこの空間に対する違和感のためらしい。*]
[騎竜師と騎竜の在り方に理解を示すクレステッドに、満足げな表情で一つ、頷く。>>*51
ここを真っ直ぐに理解されるのは、龍を半身と見なすものには素直に嬉しいと言える事だから]
宝石みたい、か……ま、名は体を表す、って言えばいいかね。
こいつの名前は、ユウレンの古い言葉で、『翡翠』を意味してるからな。
生まれたての時は、翡翠細工がちたぱたしてるみたいだったんだぜ。
[はるか遠い日々を懐かしむように言う刹那、表情はぐっと穏やかなものになる。
それでも、翡翠とクレステッドが挨拶を交わし終えればその表情は引き締まり]
さて、それじゃ改めて行くとするか。
……竜の気配は、幾つか感じるが……取りあえず、近場に向けて行ってみるか?
[複数感じる気配の内、一つは僅かに異なる感触がある。
恐らくは、白狼児の連れている龍王の眷属だろう、というのは察しがついたから。
向かうとすればもう一つ──穏やかな光をも感じる方になりそうだが。*]
[生まれた時の翡翠の様子は、語り出したらきっと切りがない。
何せ毎日が文字通りの生存競争の子育てサバイバルだったのだから。
なので、翡翠の龍の思い出話は、そこで切り上げて]
竜同士は、共鳴するんだよ。
例え属性や生まれが違っても……なんていうかな、存在が響き合うとか、そういう感じでな。
[それが戦場では索敵に使われる、なんて世知辛い話は置いておいて。
一つずつ確かめましょう、というクレステッド>>*68に頷き、気配を辿って歩き出す]
[先に進むにつれて感じ取るのは、柔らかい陽の力。
この空間に近しい……とは言い難い感触に、僅かに眉が寄る]
……この感じ……光に属する竜、か?
[だとしたら、求めるものとは異なるか、と。
そう、思いながら、クレステッドの方を見やり]
俺以外にも、騎竜師がいる……んだよな、確か。
それって、もしかしなくても光の属持ちか?
[確かめるように問うのと、翡翠の嵐龍が同族>>*56を見つけてるぅ、と鳴くのはどちらが先か。*]
竜のあれこれは、騎竜師やそれに近しい立場でもないと体感できん事が多いからなぁ。
[初めて知った、というクレステッド>>*76に、傍らをふわふわとついて来る翡翠を見やりつつ返す。
ぽつりと漏らされた感想には、ひとつ、ふたつと瞬いて]
不思議……か。
確かに、そうだな。
人よりも強くて、精霊に慈しまれて。
人と関わらなくても、個として十分に生きていけるのに。
それでも人を思って、共にあろうとする。
……共に、この世界で生きようとしているものたち。
俺も、フェイツウェと絆結んで大分たつが……今でも、色々と驚かされる事がある。
[今の在り方に転じてからの長い時間の中、新たな龍族と接する機会は少なからずあり、その度に驚きを得られている。
それに基づく想いを零した後、小さく息を吐いて]
[問いに返るクレステッドの話>>*77を聞きつつ、霧の向こうに捉えた姿に目を細める]
なるほど……確かに、騎竜師の乗り方じゃねぇ、な。
[陽竜の背にある姿に、漏らすのはこんな呟き。
見るとこそこなの、とでも言いたげに翡翠がるぅ、と鳴くのは流しておいて]
取りあえず、あちらと合流しておくか。
情報交換もできるようなら、やっといた方がいいだろうし。
[クレステッドに告げた後、おーい、と陽竜に向けて手を振る。
向こうが気づけば、以降の呼びかけは面識的な点からクレステッドに任せる心算でいた。**]
そうか……場所によっては、関わりがない事もあるのか。
[身近にもいなかった、という言葉>>*87にほんの少し目を瞠る。
竜の存在が身近なユウレンやナハティガルの在り方に慣れていた身としては、竜や精霊との関わりの薄い国の在り方は、逆に想像もつかぬものだった]
最初に接した……というか。
ナハティガルの建国王たる、始まりの騎竜師にとっちゃ、相方は『兄弟』だった、って言うぜ?
[『兄弟』という言葉が何を意味するかは、はきとは伝わっていない。
だが、そこには境界線を越えて触れ合い、信を築けるだけの何かがあった、というのは確かだった]
ああ……想い同じく重なれば、種の違いなんかは容易く超えられる……その、象徴みたいなもんだからな。
[竜と騎竜師の在り方を羨ましい、と感じる内心は知る由ないまま。
『想いが同じなら、細かい違いなんか関係ねぇ』を文字通り生涯貫き通した男は、妙にしみじみとした口調で言って頷いた]
[合流した後のやり取りは、主にクレステッドに任せる。
陽竜に抱き着く─ように傍からは見えた─姿に、竜好きなんだなー、と間違った感想を抱きつつ]
ああ、俺は……嵐激の騎竜師カーク・ヒッツェシュライアー。
……って事にしといてくれ、一応。
こいつは、半身たる嵐龍、フェイツウェ。
[名を問われれば、返すのはこんな名乗り。
翼持つ嵐龍を連れ、『嵐激』の号を名乗る騎竜師など一人しかいないから、自ずと正体は知れようが。
また、同じ竜族である陽竜であれば、嵐龍の存在に違和を感じるやも知れない。
竜族だが、しかし、何か違う──精霊的な存在に近しくなっている事に。*]
/*
しかし、自分でいうのもなんだが。
……ほんとにそこ、徹底して貫いとるよな、俺の人生。
[嫁さんとか子供とか]
[後、乳兄弟の抱える半妖っこたちとか]
[妖との共存政策もそうですよね]
[工業の発展した地域での、人と竜の距離の開きの話。>>*99
思い起こすのは、いつか、ナハティガルの王と重ねた協議の事。
遠き約束が損なわれるのではないか、という懸念に、どう返したんだったか、などと考えたのは刹那。
その思考はすぐさま振り払い。
告げられる経緯は口を挟む事無く、静かに聞いた]
そう、か。
……色々だな、在り方、ってのは。
[短く口にするのは否定でも肯定でもない言葉。
先の時に生きる自分は、そこに口を差し挟むべきではない、と知るが故に]
そも、それまでは境界線を引いていたはずなのに、それだけの結びつきが築かれたんだから、何かしら特別だったんだろうな。
[自分取っては当たり前の、騎竜師の在り方。
それは、対する彼には本当に未知の領域なのか、と返る言葉から改めて思う。
同時に過るのは、踏み込み過ぎに注意だな、という自戒。
とはいえ、返る反応がこうも素直だとついつい構いたくなってしまうのだが]
[それもあって、合流後は余り口を出す事はなく。
ただ、翡翠を見て不思議そうに鳴く陽竜>>*93に、苦笑めいた表情を向けるのみ。
翡翠は、内緒だよ? とでも言わんばかりの響きでるるぅ、と鳴いていたりしたのだが。*]
[知らぬ事に触れてそれを受け入れる姿、というのは懐かしさを感じるもの。>>*109
思えば、飛び出したばかりの頃の自分もそんな感じで。
知らぬを求めて舞い降りた先で、今の在り方へと繋がる出会いを得た──なんて、記憶の綴りは断ち切って]
ああ。
こちらこそ、よろしく頼む。
[向けられる礼と名乗り>>*115に、こちらも礼をもって返す]
ま、あんまり畏まらなくて構わんぜ。
こんな場所だし、な。
[礼を受け取る時こそ真面目だったが、直後に崩れるのはいつもの事。
あわせるように、翡翠もるぅ、と鳴いた]
[二人が情報を交換する間、僅かに目を細めて霧の奥を見る。
翡翠も真紅の瞳を同じ方へと向けて、るぅ、と鳴いた]
さて、最初の読みは外れたわけだが……竜の感覚二つ揃えとくのは、ちょいと勿体ねぇし。
俺は俺で、別方向探ってみるわ。
[二人の話が一段落した辺りで、さらりとこう告げる。
竜が固まる、は口実、実際には踏み込み自重のためなのだが。
そんな様子は、おくびにも出さずに。*]
ああ。
[一人で、という問い>>*123に、ごくあっさりと頷いた]
元々、俺は別口から迷い込んじまった訳だし。
一緒にいると、そっちが戻る時に引っかかっちまったりするかも知れんだろ?
……俺の事は心配いらん。
そっちはそっちで、自分の最善を尽くしてくれ。
[引っかかる云々も半分は口実なのだが、懸念自体がないわけではないのも事実。
だから、告げる声音は真面目なもので]
ともあれ、そっちも気をつけてな。
……誰一人、欠ける事無く先へ。
それが、お前らの帰りを待つ全員の願いなのは、間違いない。
[彼ら開拓船団に託したのは、東方沿海州の夢の一端。
事業の成功は元より、無事の帰還を願わぬ者などいないから、と。
穏やかな口調でそう告げた後]
んじゃ、またな。
[ひらり、手を振り歩き出す。
翡翠もるぅぅ、と鳴いた後ぺこり、と頭を下げて、ふわふわとそれに続いた。*]
……はっきり言うねぇ、お前さん。
[心配はあんまりしていない、と告げるクレステッド>>*126に、漏らすのは楽し気な声]
ま、場数に関しちゃ、恐らくここにいる中で一番踏んでるのは間違いねぇしな。
[場数に関してはその通りなので、素直に肯定しておいて]
ああ。
こんな場所だが……良き風の護りの在らん事を。
[お気をつけてという言葉>>*127に短い祈りを返した後、その姿は霧の向こうへと消えた。**]
[クレステッドたちと別れ、霧の奥へと踏み込む。
賑やかさが遠のき、立ち込める霧の存在もあって、自分の居場所その物がどこかわからなくなるような、そんな感覚を覚えていた]
……ん?
[そんな状況に変化が訪れたのは、響いた風の音。
現実の風ではない──と感じたのは、未だ途切れぬ風の精霊の寵、それ故か]
一体何が……っと!
[とっさ、手を伸ばすのは傍らの半身。
翡翠も長い尾を巻き付けるように身を寄せてくる。
直後、一際強い風が吹き抜けて──]
……え?
[風が吹き抜けた後、見えた光景。
それに、惚けた声が上がったのは已む無しか]
ここ……って……。
[夕焼けのいろに染まる、街道。
遠いいつかに辿った道]
どう、なってんだ……?
[零れ落ちる声には、戸惑いが色濃く滲む。
傍らの翡翠がるぅぅ、と鳴いた。*]
/*
なやんだ。
すげぇ、なやんだ……!
どっち行っても美味しいんだが、この時間軸の俺だと、純妖とか超越者以外の関係者は一人除いて存在しとらん……! てのがあるからなあ。
となると、やっぱこっちのが当たり障りないよな、うん。
[夕暮れ時の街道。
そこを通ったのはどれだけ前だったか……正直、考えるのはやめて久しい。
けれど]
……こうやって見ると。
素直に、懐かしい、って思えるもんなんだな。
[呟きつつ、握り締めるのは揺れる翡翠の勾玉。
傍らの翡翠がるぅ、と鳴く]
[佇むそこは、未だ少年の頃に通った場所。
後に唯一無二となった存在と出会った後に辿った道]
…………。
[風に乗り、声が聞こえる。
振り返れば多分、『あの頃の自分たち』が見えるんだろうな、というのは予測がついた。
運命の楔は既に魂に打ち込まれていたけれど、でも、一番自由だった頃。
先にある過酷な未来の存在も知らず。
選んだ道の険しさも知る由なく。
子供らしい無邪気さと無謀さに溢れていた頃]
……この頃、が。
一番……幸せだったのかも知れんな、俺は。
[勿論、その後に進んだ道の先にはそれ故の幸せがあって。
それらは全て、掛け替えのないものとして残っている──振り返り、思い返す事は殆どないけれど]
世界は狭くて、だから、広くて。
風が呼んで、空が続いてて。
……ほんと、どこまでも行けちまうような……そんな気がしてたっけ。
[小さく小さく紡いだ後。は、と大きく息を吐いた]
……ったぁく。
今んなって、こんな心境になるたぁ、な……。
[今の在り方は悔いてはいない。
魂に楔打ち込まれた時の選択──幼い決意もまた、悔いるものではない。
ただ、思わぬ形で触れた光景にほんの少しだけ、痛みと、温かさを感じて]
…………。
[軽く振り返った先、街道の真ん中で行く先を決めるべく広げた地図を覗き込む少年と少女、そして少し幼い龍の姿に。
浮かんだ表情は、苦笑いだった。*]
[遠いとおい日々の光景に目を細めていたのは僅かな時間。
そちらに背を向け、目の前に続く道へと踏み出す。
しばらく進むと夕焼けのいろは掻き消え、再び霧が周囲を包んだ。
ただ、その霧は先ほどよりも薄く淡く、周囲も明るくなっているような、そんな心地がして]
……文字通りの、過去の夢……とでも言えばいいか。
[そんな呟きを漏らした直後。
翡翠がるぅ、と鳴いて上を見た]
どうした、フェイツウェ……っ!
[その声に上を見やれば、視界に入るのは琥珀の体躯と、黄昏思わす翼]
……竜……あれが、夢幻竜か?
[初めて目の当たりにするその色から、推測が立つのは早い]
追うぞ、半身!
[短い声に応じて身を低くした翡翠に飛び乗る。
翡翠は真白の翼を広げると、琥珀が飛んだ霧の先へと滑るように飛び始めた。*]
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