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というか、君
もしかして広場で処刑されるとこだった"吸血鬼"かい。たぶん
災難だったもんだなあ
[こっちは端っこだったし遠目にちらっとくらいしか見ていないが。
おどろおどろしい触れ込みだったのに、あれじゃ普通に普通の優男じゃないか、って思ったような。
真っ赤な目玉に尖った牙の狼が唸っている。
その鼻息にあてられながら動じないなんてわけはなく、どっちかというともう死を前に思い出振り返りモードの現実逃避めいたトーンで*]
い、いやいやいや
[なんだって?今なんて言った?
この場に相応しいこと?]
相応しさのヒントとか
[もっとこう、なにか壮大な言葉、を求めてるって話だろう。
この状況で浮かぶわけない。読書家でもない。のに。
吸血鬼は本気らしかった。こんな時なのに、やっぱり綺麗な顔した男だなモテるんだろうなとか]
[えーとなんださっきの詩?「血塗れ」と「餌」しか頭に残らなかった。
でも塔の高さから落ちるなら即死だろうし、狼に食われて死ぬよりマシかなあ]
……
[思い浮かばない。もう7つ数えるところ。
えええええええーいままよ]
しんとした夜に星がふる
ねむれいとしき子
女の胸はしろく あたたかく夜を綴じる
ねむれいとしき子
まぶたをとじ、涙にぬれ そうしてねむれ
夜に星がふる、ふる、 朝がくるまでねむれ
[諳んじたのは子守唄。
俺の母親がじゃなく、妻と二人で1節ずつ考えた昔の*]
[意外と、忘れないもんだなこういうのは。
咄嗟の苦し紛れは、さっき吸血鬼が詩を吟じたからで]
……
[最後の一節までうたって、ちらっと見上げた]
いやあ……知らんのだけど
眠らないのかい?
……怖い夢はみない?誰かと抱き合って歌いながら眠りたくなったりはしなかったかい?
[東の空が白んでくるのを、どんな気持ちで見てきたか*]
踊りながらとは言ってな──
[訂正のために開いた口から、げぇ、と変な音が漏れた]
いやいや、いやいや結構ですう
[ぶんぶん手を振りながら、逆の手で探る。何を?腰のベルトのあたり]
俺、奥さん一筋なんでちょっとそういうのは
[目の前に迫るデカい口。
唾液が糸を引いているのが光って見えて、湿った息がかかって]
……ごめん!
[縦に。
ダーツを狼の上顎と下顎の間に突っ込んだ。
反射的にか口を閉じようとする狼の動きを最後まで見ずに、跳ねるように立ち上がる。
おそらく人生で2番目くらいに機敏な動きで、狼達に背中を向けて細い路地へ逃げ出した!*]
― 路地裏 ―
[戻ってこいって言われて戻るやつがいるもんかって話。
暗いし、すっかり様変わりした路地でも、まだわかる。極力入り組んで、終われにくそうな方へと走って、走って]
は、ふ
いだぁ!
[躓いて転んだ。
膝をしたたか打ってゴロゴロ悶えて、呻きながら止まる。
また急に全力疾走なんてしたもんだから喉も脇腹も痛い]
……はあ、ひい
にげ、きった……?
[ぐったり**]
― 広場へ ―
[この一晩でもう一年分くらい走った気がする。
転んで強打した膝をさすりさすり、空を見て、道を見て、後ろを見てと警戒しながらでは探索も進まないけど仕方ない。
だんだん、仕立て屋の無事よりもよっぽど我が身の心配がメインになってるのはもうそういう状況だ、許せよクレメンス]
……と
[その先は、市民の台所。朝市の広場だ。
馬の嘶きが、と思ってそっちへ足を向けた]
[ちらり。そうーっと確認したその広場に、狼とかはいなかった。
御者にも馬丁にも忘れられた馬がいる。馬と、それと]
人間?
[……ともいいきれない!数秒後に訂正。
どう見ても戦っているようだけど。城の騎士達あんな格好だったか?暗くてよく見えない]
[もしかしてどっちか街の人なら、助けたり応援したりした方がいいのかもしれないけどもうなんの武器も持ってないしラッパも吹けないし]
……
[まあ石を拾って投げるくらいのことは出来るかもしれないけど逆効果を生む予感しかしない、って話……
なんて考えながら、なぜかその場を離れることもできなくて、眼鏡を押し上げて目を細めた*]
あれ
[戦ってる2人だけじゃなかった。
3人だ。いや、あれ2人?分身してる?]
えーと…
[邪魔にならなさそうなくらい遠くで立ち止まったけど、状況はやっぱりさっぱり読めない。いったい]
ちょっと、痛そうだけどその、君たち大丈夫かい
少し休憩してお茶でも飲むべきじゃないかね
[怪我してるじゃないか、の目*]
ああ
[気が散る、と言われて口を閉じたけども]
……
でも、だって、まだ続けるのっていうか?止めた方がいいんじゃ
痛そうだし、なんか、様子がおかしく…ないかい…?
[向こうにじゃなければいいんだ。というわけで、もう一人の方。
なのかなんなのか、目がチカチカしてきたけどそちらに、おずおずと]
あれ
[そういえば暢気すぎるな。どうしたんだろう]
ちょっとさっき緊張とか怖いのとかが振り切れちゃって
もう、一周まわって平常心?って話…?
はは
[正気を失ってるのかも知れない。まずい気はするけどどうしようもない*]
怠惰かい
そいつは……そうだなあ、強い者の物の見方だ
[すごいな。と
感心する。してしまう]
ずっと蹲ってるように見えて、それでも、そのうち立ち上がれたりすることもあるんだけどなあ……
……
[すぅん、と鼻で息を吸って、それも込みで肺から全部吐き出した。
脱力感。
いまさらだけどこの分身の人──双子?、吸血鬼だよなあやっぱり。すごい歯が尖ってるもんなあ。俺やっぱり朝日を拝める気がしないな**]
けど、戦士の決闘って
今の街の状況じゃあ
[城にはそりゃあ戦士って言えそうな男達もいただろうけど街はそうじゃない。蝙蝠の群に追い立てられたり、狼に噛みつかれるのはほとんどがただ、もともと住んでたってだけの普通の人。
どっちかっていうと、巣を暴き出してのネズミ狩りの、ネズミ側やってるみたいだって話。
今まさに、双子?と戦っていた人の方を見る。
声が聞こえないし何してるのかよくわからないけど握手かね。決闘が終わると仲直りするのかなんなのか。
若い女の子だ。今も顔の角度であまり見えないけどたぶん知らない人──知らない子だと思ったけど──?]
はあ
[語られる論理は、なんというか、やっぱり突飛だ。
ホウキでネズミを下水に叩き落としながらそんなこと言われたら、ネズミの側も納得いかないって話だろう]
んー、でも、ひとつわかった気がするな
さっき「死地に命を拾え」って言ったのは君だったのか
[気概、気概かあ。と呟いた]
戦士の人たちには悪いけども
牙も剣もないなら、逃げ隠れするくらいが生きるための精一杯の闘いだなあ
[無力すぎて手も足もぐうの音も出ないだけで、諦めたいってわけじゃない。
あわよくば朝陽を眺めてやろうって気概ならある。
そして一番いい酒で乾杯する。卵焼きもつけよう]
……さっき、この場で俺を害さないって言ったよな?
それってここにいればセーフって話?それとも──
― 道 ―
[広場を出て、歩いていた。
双子と戦っていた戦士が出て行った方、追いかけてるつもりだったけど見失ったのかな]
…あの子
[うーむむ。見覚えある顔だったと思うんだけど。それも最近じゃない、かなり昔]
ふう、うう
[すごく蝙蝠が飛んでいる。
胸のところにつけたブローチを片手で探った。きっと大丈夫、大丈夫なはず。
説明を聞く限りなんというか、夜明け前までに結局死ぬ呪いのアイテムって感じだったけど。
それでも襲われにくくなるっていうならありがたい話。
ありがとう、じゃあさようならなんて、街を襲ってる吸血鬼相手に間抜けな挨拶で逃げ出したのだった*]
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