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───習わしのことは私も承知している。
[認めるように目前のゾネス総督、そして周囲を見渡せば人々は顔を見合わせるか。軍人らは表情を明るくしただろう。だが、言葉は続く。]
無論、習わしのことは承知の上。
更には我が軍人としての資質の兄よりも劣ることは周知であろう。
ゆえにフォールデン総督、そなたの申し状も分かる。
… が、
それでは何故、父は兄上をそのまま王太子になされなかったのだ?
第一王子であり、軍を束ね貴殿らの信も篤い。
本来であれば、このように兄弟を候補者として並び立てることはなく、このような形で後継者を発表する必要すらなかったのではないか?
父上は常日頃、外交の重要性と内政の充実を口にされていた。
私は、それをお傍で支え学んできたのだ。
…兄上。お言葉ですが、私もまた、執務に同席していたのです。
兄上が国におられない間も、ずっと。
外交使節との謁見にも同席をしておりました。
恐らく父上は我らを共に、重要な場に伴われていたのです。
将来、どちらも王たり得るようにと。
[言葉の後半は兄>>81へ向け。
愁いを含んで一瞬、切ない微笑みにも似た視線を送り、再び群衆へと向き直る。相変わらず顔の色は白いまま、ただ凛とした意志を双眸には滲ませて。]
文書の真偽をいかにして改めるというのか。
見たところ、亡き陛下の筆跡には違いなく、尚書官長らの立ち合いも既にこの場に証言されている。これ以上、どう調べられるというのだ?
真偽を確かめる術もなく、悪戯に騒ぎを引き延ばしては国の礎も揺るがそう。
──── 王の文書は勅命である。
従わねば王の命に反するものとなろう。
文書に私の名が記されていたとあれば、即ちそれは先王の意向。
先王がご深慮により、私を王位継承者にとなされたのであろう。
[リヒャルトが進み出る>>82
重ねて文書の正当性を証言する、その後に…あれはなんだろう?
無言のうちに交わされたらしき何かの意思。それがウェルシュに知れることはなかったけど。]
……、相分かった。
ラバル候、ウェルシュ・フォン・ラメールは貴方の忠誠を嬉しく思う。これからも力を貸して欲しい。
[口にすれば、ばらばらと我も遅れじと膝をつく者らがある。貴族たちだ。]
文書を偽と疑われるならば、真偽をただす手段を示して頂かねばなりません。それが出来ぬなら、王の遺志に従われるより他にない。
………違いますか ?
[兄と対するように立ちながら、対照的に静かな声が*落ちた*]
― 王の間 ―
……いかにも。
[真っ向から対峙するかのような、兄の言葉>>118
意志揺るがせぬその響きは、常であればどんなに誇らしく聞いただろう。このような場でなければ。
事実、ウェルシュ自身は王になりたかったかと問われれば否定するだろう。王の座を積極的に望んだことは、これまでにない。
ただ。王の血に連なる者としての覚悟があった。ことこの期に及んでは、ウェルシュ自身の望みなどどうでもいいのだ。
ただ国のため、民の安寧の為に最善を尽くさねばならぬ。それが誰かの涙や血を欲するにせよ。
……己自身の、痛みを欲するにせよ。]
無論、承知しております。
ゆえにこそ、兄上の仰る習わしも父上のお振舞いも、兄上が指名される根拠足り得ぬものとなるのです。
私が指名される根拠とはなり得ぬと───また、同じく。
[冷静な口調で返したヘーゼルの瞳が、真っすぐに兄を見据える。
それは、これまで兄には滅多に見せてこなかった顔だろう。政を司る、男の顔は。]
[けれど]
………、……軍に知らせがなかった、と……?
[兄から明かされた事実>>121
それはウェルシュにとって初耳だった。僅かに目を見開き、視線をリヒャルトらへと流す。どういうことかと問う視線は、今この場で音にされることはなかったけど。]
そう、ですか。ならば真偽をただすべき必要はあるでしょう。
軍に知らせず、文書が偽りとしてつくられたか。
もしくは、
──── 軍に知らせることが出来なかったか。
[その言葉の真の意味を知る者は、この場にあっても少数だろう。
王の死因は病死ではない。何者かの射撃によるものだ。>>130
流石にその事実は秘匿され、限られた者にしか知らされてはいない筈だが。
……仮に下手人が軍部であれば。
法を枉げてでも文書が作られた理由は説明がつく。
むしろ、状況はそれほどまでに切羽詰まっていたとも言えるだろうか。]
[兄を見据え口にしたが、ウェルシュは兄を疑ってはいない。兄が父を手に掛ける、或いはその命を下したなどとは思ってもいなかった。
けれど、彼の下につく者らはどうか。
それは分からぬものと、既に先ほどの騒ぎですら知れた。だからこそ容易には譲れない。軍の意のままには出来ぬと、頭を上げて立ち。]
……。相分かった。
それでは、シュナウザー監査局長。
並びにレグザ参謀に、文書を改める任を与える。
調査は必ず複数で行い、全て文書として記録すること。
また、調査の報告は遺漏なく私と兄上双方に伝えるように。
良いな?
[兄の提案>>123もある。このままでは埒が明かないのも事実。
ゆえにと文官武官、丁度良く名乗りを上げた者らに文書調査の任を与えて。]
────が、時も無限というわけにはいかぬ。
兄上。この場ではありますが、父王の葬儀を一週間後と定めたく思いますが、いかがでしょう?
調査の期限はそれより二日前、即ち本日より五日後に。
葬儀には各国からの客人もあり、これ以上引き伸ばすことは困難でしょう。調査の後には速やかに次期王位継承者を定め、葬儀の後に間を置かず戴冠とする。これで国内外の動揺を最小に抑えられると考えますが、いかがか?
[兄への提案の形をとるが、これはその場の者らへも向けた言葉。
そうして、早々に踵を返す外務長官>>150へと声を放つ。]
フィオン・オルブライト外務長官。
[呼びかけたのは、未だ年若い外務長官。
外交の話をする折に、彼とはたびたび言葉交わしたことがある。
怜悧な人物だと思っていた。興味失せたかのように、立ち去らんとする彼を呼び止め視線を向ける。]
聞いての通りだ。
どう決着するにせよ、これより諸外国の人間も多く我が国を訪れよう。委細遺漏なきよう、対応をするように。
何ごとかあれば、私と兄上に報告を。相談をしてくれても構わない。
[自分にするように。とは言わない。
文書の公正さが確保されぬ限り、…皆が納得をせぬ限り、兄と自分は同列なのだ。]
諸外国の中には、これを機に我が国を窺うものもあろう。
……付け込まれてはならぬ。
よろしく、対応をするように。
[それだけ言えば、彼が下がるというのに呼び止めることはしない。
そうして三々四五、人々が王の間より退出するならば最早呼び止めることもしない。
人々の中、一人立つウェルシュは玉座を見上げた。
そこにこれまであった、確かなる存在はいない。
音にならぬ、深い息が零れた*]
/*
おおおおお
>>144
アイリくっそ可愛くない!????
かわいい、かわいいwww
いーいねえ。かわいいw
めっちゃ悲劇への仕込みだけれど(
[何が、真実なのかは分からない。
確かなことは父が何者かに弑されて、その遺言ともいうべき文書に疑念が付き纏っているということだけだ。
本来なら。王の死はもっと隠されてあるはずだった。
朝になり、常に一声かけて起床を促す傍仕えの者が、王の応えのないことを不審に思い王の寝所を改め、そこで事が発覚した。
事が事であり、ましてや死因は暗殺である。
速やかに口止めが為されて、王宮は厳重に封じられた。
両王子に知らせが齎されたのち、軍の限られた者たちと監査局の上層のみが呼ばれ、事に当たった。
凶器はすぐに見つけられた。
異国より齎されたクロスボウ>>130
それのみ見れば異国の者の仕業ではあろうが、それのみにて犯人に繋がるような証拠とてなく、王の死は暫し隠されたまま、下手人は密やかに捜索される…はずであった。
噂が、まことしやかに囁かれはじめる、その時までは>>148]
[噂は野火の如く広がり、人々の不審は瞬く間に抑えがたいものとなった。そうして、人々に王の崩御が正式に知らされることとなる。
………けど。噂には続きがあった。
” 現国王は暗殺された ”>>148
果たしてそれは真なりや。
誰が噂を広めたのだろうかと、ウェルシュは思う。
誰が、何の目的で。…ちりりと胸の裡を焼く、不穏な胸騒ぎと共に*]
/*
スルーしようか迷いましたが、誤爆を、見たような気がします…!(多分フィオンさん宛です、ね??)
秘話送り直すか、メモなど貼られてもよろしいのかと。いち、おう。誤爆気付いてらっしゃらなかったら勿体ないのでお返しをしておきますね……
返信不要です!!
― 回想/或る午後の話 ―
リヒャルト、これなんかどうだろう?
結構面白いんだ。著者の考え方が独特でね…
あーっと…。それとも、もっと気軽な方がいいかい?
これも面白いよ。旅行記だ。
深読みすれば中々に有意義なものだけど、単純に作品としても面白い。傑作だと思うよ。
[リヒャルト、と。気軽に名を呼んで、ウェルシュは年上の青年を振り返った。ウェルシュの私室の一角は、まるで小さな図書館だ。>>0:37
そこに彼を招き入れて、今、二人は本を手にしている。
彼にお勧めの本はないかと相談を受けたのだ。>>102
それにウェルシュは喜んで応じた。
何故ならば彼はリヒャルト・ラバル。
もう一人の兄のように近しく、親しく育った幼馴染だ。]
迷うなら、全部持って行っても構いやしない。
貴方にそれを読むだけの時間があるのか、分からないけど。
返すはいつでもいいよ。内容はもう覚えているから。
[今、この部屋にいるのは二人きり。
室内に漂うのは紅茶と紙の匂いばかりで、城内の物音も遠い。
ゆったりと流れる時の中で、ウェルシュの言葉も表情も柔らかかった。]
……感謝、しているんだ。
貴方が私に、剣ではなく書の道を示してくれたからこそ。
今の私があるのだから。
[ぽつ。と懐かし気に本の表紙を眺めながら落としたのは、遠い昔を辿る言葉。淡い微笑みを浮かべながら本の表紙を撫で、それを書棚に戻して。]
覚えているだろう?あの頃のこと。
随分世話を掛けたからなあ……
良く、見限らないでいてくれたものだと思うよ。
[そうして椅子に腰かければ、苦笑めいた表情を浮かべ彼を見遣る。語るのは随分遠い昔のこと、共に10にも満たない頃の話で。
あの頃、ウェルシュは良く泣いていた。
兄のように剣も振るえず、馬に乗れば周囲をハラハラとさせていた。
そんな光景を覚えている人も、もう少ない。チェンバレン中佐は故人となったし、今いる主だった面子としては兄とリヒャルトの他には、剣を教えてくれたアレクシス・レグザくらいか。>>0:288]
あの頃、君が無理をしなくても良いと言ってくれたから。
私には私なりの道があると言ってくれたから。
私は、剣ではなく知識を武器にしようと思えたんだ。
それが少しでも、
……役に立っているといいんだけど。
[何にと言わぬウェルシュの顔には、柔和な笑みが浮かんでいる。
国の為に、父の為に…──兄の為に。
国の民と人々の為に、この力を役立てられているのだろうか。
これからも、役に立てるだろうか。]
もし気に入ったら、また感想を聞かせて欲しい。
貴方と本の話をするのは、いつだって楽しいから。
[話の終いに、ウェルシュは微笑んでこんなことを言った。
穏やかな紅茶の香りが漂う。優しい午後の日の*話だった*]
― 先刻/王の間 ―
[リヒャルトがフォールデンに言及する>>168には頷きを返し。
そうして人々が散る中、ウェルシュがその場を立ち去ったのは人も随分と疎らになってからのことだった。
遠くからの視線>>179に気付くことはない。
兄が此方に目を向けずに立ち去ること>>255、それを痛いほどに感じながら、ウェルシュもまた兄に目を向けることはしなかった。
顔色は未だやや白く、だが頭は毅然として上げている。
大丈夫だ。信じている。
一度、何かをなぞるかのように自らの手を肩に重ねた*]
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