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[この場に柊の氷樹は幾本あったのだろうか。
樹に背を叩きつけられた後、氷柱を振り回し、這った先は冬神から逃れようとする方向。
其れとも、逃げようとして、唯一の命と思しき場所へ戻って来たのだろうか?
うつ伏せに、まるで氷像の様に霜付き斃れ、顔だけを斜めに反らし頭上を見上げた。]
(嗚呼、この木……、)
[ぼやける視界の中、緑だけが見える。
そうだ、ここに来る前に指先をチクリ刺した、柊の木。
意識してなければ、それが柊の花の薫りとすら普段も気づかなかったろう。
白い花は見えないが、薫りすら凍り付きそうな中なのに、何故か不思議と甘い芳香が漂う。]
…き…すれば良い。
……、…………は、…から。
[好きにすれば良い。でも、望み通りにはならないから。
罅割れた唇が紡ぐ、そんな捨て台詞のような最後の言葉は冬神の耳に届かずとも。
最後まで、顎を掴んだ冬神>>175を睨みつけて、白さも消えゆく呼気を吐き出した。*]
[少女が意識落とす間際。
白さのない呼気を吐く、その刻を見計らったように。
氷華は少女の唇を、己が唇でもって塞いだ。
右手は顎に手を掛けて上向かせ、左腕を脇下から背へ回して]
[氷華の顔に相変わらず色はない。
淡々と、まさに儀式の手順をこなすが如く。
そして僅かにこじ開けた唇の隙間からは、氷の結晶が一欠、少女の口中へ押し込まれる。
反射的に呑み込んでしまう程度の勢いで]
[それは、少女の身を内より凍り付かす、隷属の呪を込めた結晶。
やがてそれは心臓に達し、心すら凍らせる楔となって打ち込まれる**]
[暗い中へ意識が落ちてゆく中、浮かぶ記憶は柔らかに暖かく、まだその時は光を帯びていた。]
『お父さん、この木は何て言うの?』
『この木は……ええと、何だっけかな。』
『もう。あ、見て。ここにお名前が書いてる。ひいらぎさんだって。』
『そうだそうだ、柊だ。こんな白い花を咲かせるんだなあ。』
[それに他にも例えばそう、掃除や料理をしている時の記憶だとか、部屋に飾ってあるぬいぐるみの事だとか。
そんな散漫なことばかりが浮かぶ……走馬灯、のようなものだったのだろうか。]
[ピキピキと音鳴らぬ音を鳴らす如く、足元から這い上がる氷の結晶。
結晶がゴツゴツとした様であれば、身動ぎは既に叶わず、氷れる中に閉ざされゆくのみ。
でなければ、氷像の如く凍結されるが侭に。]
『 ――望み通りにするのだよ。我が僕。 』
[まるで妥協を知らず、否、大自然が人間を気にも掛けない様に、冬神の言葉>>192は厳然な響きを持って、リリに降り注いだ。*]
[重い体は氷れる神の為すが侭。
抱き寄せられる其れは、抱擁ではなく体勢を良くする為が目的。
青褪めた唇に、尚冷たき透徹した氷の如き唇が重なる。
意識がはっきりとしていれば、初めての口接けだったのにと思う事もあったろうが]
――…、…、……!
[微かに開いた唇から、氷の結晶がするりと這入り込む。
呑み込める程、小粒程らしき結晶は、自らの意志あるが如く触れた箇所、その周囲問わず、内側から蒼醒めさせ霜付かせる、]
…ゃ…… だ
[内側から凍り付かせる呪は、痛みか、其れとも神経が反射を行わせているのか、リリの躰はびくり、びくりと跳ねる。]
― 凍柊の領域―
ぃ、ぎ……ッ、
[鋭い杭の様な幾つもの氷塊が内側から心臓を穿つよう生えた。
不可思議にも裂傷が出来たり、血こそ流れ無いものの、激痛が走っている事に相違ない。
ビキリ、ビキリ、と成長した氷の牙は、胸部・背側の別無く、抉る様に侵食を進め、末端は礫の様な氷の結晶となりながら全身に広がってゆく。
神経系の通っている頚椎を這い登り/這い降り、蜘蛛の巣の様に全方向へと奔ってゆく。
其れは内側から食われる如き有様でもあったか。*]
[異界の少女が思う唇を重ねることの意味、とりわけ初回が特別であるということなど、氷華が知るはずもない。
人と触れ合うことを厭う氷華にとっても、その行為は初めてのことではあったのだが]
まだ少し温かったな。
[氷の欠片を舌で送り、唇を離してからの第一声がそれ]
身が完全に凍るまで待つべきであったか――とはいえ、命を落とされでもしたら敵わぬからな。
[背を支える腕は、先は欠片を呑ませるに都合のいい姿勢を取らせるため。
今は少女の変質を観察するためにあった。
右手を軽く顎に添えつつ、僅かに空いた口の奥に、霜が広がり行くのを眺める]
――活きのいいことだ。
[凍れる内側から、冷たい息とともに微かな抵抗の声を吐きながら。
少女の躰がびくり、びくりと飛び跳ねる]
耐えよ、感覚すらも凍りついたなら、もう痛みを感じることもない。
[苦痛に喘ぐ少女を、感情の一欠片も浮かばぬ眼差しが見た。
氷神には、そもそも寒いという感覚などない。
そして痛みに対しても、血の通わぬ身であるからか、人間ほど鋭敏に感じることはなかった。
故に、それはどこか己の力が、人の身にどのような結果を齎すか観察するようでもあったか]
だが、これでは些か不格好に過ぎるか。
[氷華は顎に添えていた右手を離し、少女の鳩尾――心臓の位置する辺りに当てた。
鳩尾の中心を、強く押さえるような動作をすると同時、心臓や皮膚の内側より突き出した結晶が、呼応するかのように内へと一斉に押し込まれた。
そして、今度はゆっくりと――少女の身を、従華として相応しく飾り立てるが如く、美しき結晶が伸びる。
その頃には、少女の身から体温は消え去り、氷華と等しく氷の彫像の温度となっていた]
[まだ熱ある躰も氷の結晶が呑まれ奥へ向かうにつれ、凍えきる。
熱は無く、一切の体温も無く、凍結した。
生命と言える拍動も停まりきる。
喘ぐように、唇が微かに動く。]
――……
[冬神の言う通り、痛みは無くなっていった。
凍れる事による痛みも無く、神経まで凍って、澄みきるような綺麗な感覚が広がる。
全ての感覚が消え去る直前に感じたのは、恍惚とも…苦痛から解放され、氷雪の世界を楽園と感じる安堵の様なものか。
其れは冬神が先に告げた>>111通りのものだろう。]
[されるが侭に、鳩尾に力を加えられれば、まるでそんな玩具のように、結晶は押し込まれ、代わりに美しい蒼く透き通る氷の結晶が伸びてゆく。
翅の様な其れは、羽撃かせて浮く事の出来る代物では無いが、冬と氷雪の精霊の様な趣をリリだった少女に与えた。]
[リリは、身と心を変貌させられた。
先程、躰から四方へ生えた氷塊は姿を消し、
代わりに背中から美しい、薄くは無いが何処か翅を思わせる透き通る氷の結晶が長短問わず幾つも生えていた。
冬と氷雪の神に従う精霊の様な趣を与えている。]
はい、動けます。
[元から“そのような存在だった”と自身を疑うことも無く。
変わり果てた自分の姿に思う心も無く。
此度の王華に纏わる事は、従華となったからなのか自然理解が及んだ。
主の身護り、敵対者に容赦せぬ従華がそこにいた。*]
[主の命に従い、跪く。
ス、と細剣が鎖骨下に突き刺されば、白き花の徴が現れ肌に刻みこまれる。
無論、感じる痛みは無い。]
畏まりました。
柊の護花の名、嬉しゅう御座います。
[主に似た熱の篭もらぬ冷えた眼差しで感謝を述べる。
隷属、に纏わる四君子の考えは種々にあろう。
だが今、この時在るのは紛う事無き
我が主、貴方様のことはどうお呼びしましょう。
[呼び方は無くとも不都合では無いが、ひとつ問いを置いた。*]
『氷華』、と。
名が必要ならばそう呼ぶが良い。
[従華よりの問いに答えたは、かつての主君より受け継いだ名。
二代目個人を示す名もない訳ではないのだが>>87、それを口にすることはなかった]
/*
あ!思い出したw
本名のやり取りだ。
名乗りなさい!って凍柊を引き出せるなら引き出そうと思っていたのだったのだけど、忘れてたw
― 凍柊の領域 ―
[主の表情の変化>>231を問うことは無く。
立ち上がるよう促されれば立ち上がり、主の眼差し向ける方へと自然視線を向けた。]
はい、そのようです。
[確認の言葉>>232には肯定による応えを。]
武器を……畏まりました。
[すぅ、と掌を立てた形で両手を胸前で交差させれば、其処に現れたのは一本の
と言っても、左右対称の形をした其れは、刃部分が三箇所に分かたれた槍とも見えたか。
両側の刃部分は何処か柊の葉を連想させる。
鈍色の輝きを持つ、無銘の氷の槍斧。
長柄の半ばを片手で持ち、頭上でひとつ廻した後、柊の葉を模し尖った石突部分を雪に軽く置いた。
これで鳩尾を突かれれば痛みは如何ほどのものだろう。]
― 凍柊の領域 ―
畏まりました。
[主の命に応じ、護花の躰は雪上より浮いた。
背中に生えた氷の結晶が羽撃いた訳でも無い。
だが、宙に浮き、そして、すぅと白き空を滑空した。]
[やがて停空すれば。
地に引かれる加速も利用し墜落よりも尚速く。
瞬きの内に/矢の如く、穂先にて叩き斬る一撃を主へ向けて放つ!*]
お褒めの言葉、ありがとうございます。
[一撃を放った後は雪原に再度降り立ち、主の言葉に静かに控える。]
仰せのままに。
[返されるのは同じく短い言葉。
先をゆく冬と氷雪の主の後方に従い、共にゆく。
凍柊の領域より、戦舞台へと。*]
[戦舞台へと着けば、主と同じく蓮魔の主従の姿が先ずは目に入ったか。
主>>262の数歩後方に控えるようにして、護花は足を止める。
よって自然、主は前に出る位置関係だった。]
……。
[色の無い冷ややかな眼差し、無言で蓮魔主従>>266>>268と主の方向へ視線を向ける侭。
姓を呼ばれても反応はせず。
護花も、主である氷華と同じく冷たい空気を纏わせており、背中からは透き通る氷の結晶>>219が幾つも生えている。
手には緩く槍斧>>235を持ち石突部分を地に付け。
主に必要か否かはさておき、その様は護衛と思しきものにすら見えたろうか。*]
― 戦舞台 ―
[主>>279が護花の元の性を口にするも、当の護花もまた主と同じくそれに関心は無いに等しい。]
お初にお目に掛かります。
私は、柊の護花。
此度の王華の選で戦う
[形ばかりの冷たい微笑を蓮魔の主従に向ける。
ハルトの声>>281は聞こえてはいるだろうが、反応を返す必要は無いと判じているのか、個人へ向けた返事は無い。*]
― 戦舞台 ―
[主>>279が護花の元の性を口にするも、当の護花もまた主と同じくそれに関心は無いに等しい。]
お初にお目に掛かります。
私は、柊の護花。
此度の王華の選で戦う
[形ばかりの冷たい微笑を蓮魔の主従に向ける。
ハルトの声>>281は聞こえてはいるだろうが、反応を返す必要は無いと判じているのか、個人へ向けた返事は無い。*]
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