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そ。置いてあったから、少しだけな。読んでみた。
[ペーターへ>>71手に持った古びた表紙を振って見せ――…]
――…は。え?俺?
[伸びをすれば、突然話が振られて>>81びくりと肩を揺らした。
説明…は男も苦手なところなのだけど、さてはて。]
――…昔、とある村が人の皮を被った狼に滅ぼされたって記録さ。
どうしてこの村にあるのかは知らねえけどな。
[――…詳細は多く語らずにおいて。
後ろの方の空白のページはまだ使えそうだった、なんて別のことを話題に出してみた。
"伝言">>84を聞けば、任せろ、と見送ることにする。
視線の彷徨する様子のペーターへは]
オットーのところへ戻るなら…早めに行ったほうがいいと思うぜ。
[そう伝えて、伝言を聞く前から既にうつらうつらとする様子のゲルトの横へともう一度腰を下ろした。]
/*
ノオオオ進みすぎてもう!
んんん、これは襲撃俺がやる感じでいいんかね?オットーは。全然相談できてねえよ…ぐふう。
あかん、とりあえずこの溜まったログを…
―宿屋・少し前の談話室―
[幾らかゲルトとたわいのない話でもしていただろうか。
時折欠伸をする彼の男につられて、青年も一度二度と瞼が閉じそうになるのを読み終えた本を捲る事で堪えていた。
ねえ、何が書いてあるの?なんて聞かれたなら適当に狼の話でもしてやっただろう。
眠たげなゲルトの頭には何処まで入ったことやら。]
――…な、ゲルト。
[それは気紛れだったけれど、確信犯めいた笑みを口の端に昇らせれば、彼の人へと顔を近づけて、耳打ち。
誰かが見ていたとすれば、青年がゲルトの方へと寄りかかったようにも見えたかもしれない。
伝える言葉はたった一言で、終われば身を離してまた本をぺらりぺらりと捲っていただろう。
談話室へ誰かの姿が見えたにしても、本を読んでいる素振りで挨拶はせずに。]
―宿屋―
[――…フリをしていても、それでも。
男は自分へと声がかかるなら>>157返事を返す。]
ん…、これはな。『滅びた村の記録』…ってモンさ。
誰ぞ物好きなやつが掘り出してきたらしい。
中身は――とある村に狼がやって来て人間たちを食い殺してしまいましたなんて話だったっけなあ。
[子供相手ではあるけれど、ずけずけと内容を伝える。
何か――この、小さな少女が、自分へと向ける眼差しは何処か影を帯びているようで、遠慮呵責を嫌う男はそれが好ましくなかったものだから。常よりもややぶっきらぼうであるのはリゼットへ伝わったかもしれない。]
[少女の僅かな身の動き>>165を目にすれば、肩を竦めるのは続く言葉へと。
身じろいだ彼女の心の機微など青年にはわからなかったから。]
――…さあ?
この村の人間に化けた狼が――持ってきた、とか。
[なぜ、滅んだ村のことを克明に記した書物が残っているのか。それがここにあるのか。
青年は知らない。だから、冗談めかして答えた。]
――…世の中には、人に化けられる狼ってえのもいるらしくてな。
曰く、村の中へ紛れ込んだ狼に気付くことができなかった村人たちは全員狼の腹の中…ってさ。
[本の一節を読み上げたなら、少女の困惑したような表情は少し違ったものになったろうか。
あまり怯えているようでなければ、挿絵を見せようともしただろうけれど。]**
[挿絵を目にした少女の顔は何処か青ざめているようにも見えて。>>171
考えたのは、大人びた口調をする割に年相応なところもあるんだなあ、なんて場違いなこと。]
おい…リ――…
[しかし、声をかけるよりも速く手元へ開いていた古書が荒く閉じられれば、そちらへ目を向ける。>>175]
…はぁ?俺が無理矢理見せたわけじゃねえよ。
それに。――居もしない化物に怯えられるのは、子供の時だけの特権、だろ?
[大人になれば、不気味に思うことはあれど、
お伽噺に出てくる化物に怯えることなんて無くなるから。]
リゼットが見たいと言うなら見せてやるさ。
[窘められていたにしろ、青年は全く悪いとはおもっていないのだった。本が返ってくれば、そのままテーブルの上へと置いて。]
――…
[何処か、近くとも遠くとも取れる場所で"聲"の聞こえたような気がして、ぴくりと肩を揺らした。
僅かな間の出来事。相対する幾人かは意味を読み取れなかっただろう挙動だけれど――…さて。]
―昔のこと―
[少年が青年になり、何時か"××××"の顔も忘れ始めた頃のこと。
青年は、一定の時期を重ねるごとに、身体を蝕む「渇き」に襲われるようになっていた。
何を食べようと飲もうと、収まることを知らないそれは青年の身体に確実な衰弱を齎し、立ち上がることさえ困難になるほどに追い詰めていった。
――…死ぬ前に、喰らえ。
頭の中で響くその聲は、果たして青年のものだったのか、別の誰かのものだったのか。
それに対する、青年の答えは決まって、僕は食べないという一言だけだった。]
[それでも身体の限界も精神の限界も何時かは訪れるもので。
やがて、水すら受け付けなくなった青年の身体は、元の体と見た目のみで言うならそう変わらないながらも、落ち窪んだ眼窩と黒玉のように精彩を欠いた瞳で日々を生きていた。
頭の奥、脈動のように鳴る音は、段々と強くなり。
――…幾らの時が経ったか。
その音が止まった頃に、青年は自分を俺と呼称するようになっていた。
そうして、"食事"をすることにただの一つも抵抗を覚えなくなったのは、それから間もないこと。]*
―深夜・白い森―
[宿屋の灯りもすっかり消え、人々の寝静まる宵のこと。
建物の裏手へと広がる、樹氷の中へと男は歩を進める。
待ち合わせはそう宿屋から離れない、少しだけ開けた場所。
人の足跡の極端に少ないそこに、既に、特徴的な金髪を備えた男――ゲルトは佇んでいた。
待ち合わせは、そこで。と、伝えた通りの場所に、月を見上げている彼の人の姿を見れば、渇いた喉を湿らせるように、一度鳴らして。]
――…よお。
[片手を上げれば、振り向いたゲルトの後ろに、深く抉られた無残な樹氷が聳え立っているのが見えた。]
――…あァ、それさ。ひでえもんだろう?
[ゲルトを森の中へと呼び出すときに囁いた口実はこれであったのだ。……たった一つ、聞きたいことを聞くためだけに。]
……どう、思う?
[問いかけは、だから、ただの戯れにほかならない。
口調も常と同じく。ただ、何時の間にか男がゲルトを見る目が、人が家畜を見るもののそれに似たものに変化していたというだけ。]
『人狼は…いると思う。』
[暫く後に、返事が返ったなら口の端を吊り上げて、嗤う。
暗い闇の中、ゲルトにこちらの表情は届いたか、どうか。]
[間を置かず、振るった爪にゲルトは気付いたか、どうか。
男が噴出した温かい飛沫を全身へと浴びる頃には、その身体は何の意識も持ち得ぬ物体に変わって地面へと転がっていたから、知るすべもなかった。
死の間際、ゲルトが何を思っていたか。
そんな事はもうどうでもよくて、爪へと付いた赤い液体を舐め取れば、後は、唯。
――…喰いたい。
繰り返し繰り返し、脳髄を這う欲求に身を任せ。]
[派手な音を立てて咀嚼する。――啜る。――噛み砕く。
吐く息はやがて荒く、獣のものに。
捲れ上がる口元には白く鋭い刺が覗いていた。
ゲルトを森の中へと呼び出したのは正解だった。
宿の中で襲ったりしようものなら、きっと、久しぶりの狩りに昂ぶる気持ちを抑えていられなかっただろうから。
無心に貪っていれば、我に戻る頃には"ゲルト"は元の形を止めなくなっていただろう。
噎せ返るほどに口の中に充満する血肉の味に多幸感を感じながら、獣は、赤く濡れた腕をぺろりと舐めたのだった。]*
[誰でも良かった。
己の渇きを満たしてくれる存在ならば。誰でも。
ゲルトを選んだのは――きっと。
勝手知ったる相手、だったから…こそ。]
[それから、どれだけ過ぎた頃だろうか。
一方的にそれじゃな、と手を振るとゲルトとは別れたのだった。
裏口から静かに宿へと戻れば、もう一度寝にかかるつもり。]**
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