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天使長 シルキーは、御霊の声 シェイ を能力(占う)の対象に選びました。
―私室―
……よし、後はこれだけですね。
[部屋にあった仕事はそう多くもなく、いつもより集中したおかげか残すは後一つ。
天使長になりたての頃は一つの仕事を片づけるのに随分時間がかかってしまったことを思い出し、可笑しくて小さく笑みが零れ落ちた。
さあ、早く片付けてしまおう。
そう思って紙を手に取ると、それは資料が必要なものだったようで。]
あら……
[面倒な仕事が一番最後に来てしまったらしい。
放置するわけにもいかず、しばし考えた後大きな窓を開いて翼を出すと窓から飛び降りた。
少しどころか大分はしたない行動だが、昔はよくやっていたものだ。
早く終わらせてしまおうと飛んで書庫の方へと向かっていく]
―回想/過去の書庫―
[今より昔のこと、まだ自分が二対の小さな翼しか持ち得なかった頃。]
人間についての本?
[ようやく見つかった本を抱えながら、彼が調べていたという人間を思い浮かべる。
まだその頃は、彼らに慈愛を向けていた。]
…不思議な存在ですね。
私たちよりもずっと弱いのに、それでも懸命に生きて歴史を紡ぎ続けているなんて。
[その姿を素晴らしいと思っていた。
支えて行くべきだと、ひたすら真っ直ぐに。]
……まあ、能天使として?
[初めて告げられた内容に驚いたように目を見開いた後、まるで自分のことのように嬉しそうに笑い]
おめでとうございます、ウェルシュならきっと素晴らしい存在になれます。
ゲルト様の隊は常に良い評判を聞きますし、それに貴方は主にとても忠実ですもの。
[人間と悪魔、その両方と触れ合う機会の多い能天使は堕天する確率が他より高いという。
しかし彼なら大丈夫だろうと、確かな根拠はないけれどそう思えた。
最後の言葉に同意を示すように頷いた後、苦笑を浮かべて]
……でも、何だか寂しいです。
ウェルシュが、どこか遠い存在になってしまったようで。
[なんて冗談混じりに言ってみせる。
窓からは暖かな光が降り注ぎ、二人が包まれるように照らされていた*]
―現在/書庫―
[書庫の扉の前で地面に足をつけ、翼をしまう。
誰にも呼び止められなかったから、どうやら見つからなかったようだ。
きっと見つかれば窘められてしまう。安堵して扉を開き中に入って、目当ての資料を探して少し歩いた時だった]
………ウェルシュ?
[見つけたのは、自分が何の役目も持たない天使だった頃仲良くしていた彼。
本を枕にして眠る姿をしばし見つめた後、ぽかんとしながら名前を呟いた]
…いえ、急に名前を呼んだ私にも非がありましたの。
此方こそ驚かせてしまってごめんなさい。
[名前を呟いてしまったのはほぼ無意識だった。
驚いたのか、彼の背中からは白い羽が揺れる。
かつてとは違う呼び名や態度。今の自分の階級を思えば彼の態度は正しいものなのだろう。
けれど]
……敬称なんてつけなくても構いませんのに。
[昔と今が違うと知っていても、そう言わずにはいられなかった。]
……分かりました。
そう仰るなら、私も我儘は言えませんもの。
[態度は恭しいまま、表情には微かに片鱗を覗かせた>>76のを見て大人しく引き下がる。
彼を困らせたい訳ではない。
それに、彼の言っていることは正しいから。]
ええ。
今までの会議の記録を纏めた資料が必要になりましたの。
手伝い、ですか? ……では、お願いします。
[人類についての会議や、それ以前の会議の記録を纏めたものがどこにあるかは把握し切れていなかった。
故に申し出は有難く、甘えることにして]
…こうして話をするのも、随分久しぶりですね。
[少し間が空いた後、いつもの微笑を浮かべふとそんなことを言った]
その通りですの。
…ほとんど同じことしか話していませんけれど、ね。
[滅ぼすべきと主張する自分に、救済派のマレンマ。そして放置を説くジークムント。
人類の今後についての会議と言ってもこの三人が持論をぶつけ合うだけというのがほとんどだが、一応資料は見なければならない。
…彼の考えは、今も変わらないままなのだろうか。
机の上に置かれた議事録を見てお礼を言うと、懐かしそうに語る彼>>79を見つめ]
貴方が能天使として仕えることを知ったのもここでしたね。
立場も何も関係なく話せたのは、あれが最後だったでしょうか。
[そして、同じ思想を持って話をしたのも。
その一言は発されることなく、彼女の胸の奥へと沈んでいく。]
…そうですね、他の二人も譲れないのでしょう。
天命――……
[他の天使は会議場に居れども、基本的に発言することはない。それはウェルシュも同じだった。
ジークムントが能天使を率いる最高位であることから、意思表明は能天使以外の者に行われる。
彼が天命と言ったのを聞き>>83、恐らく聞こえないだろう小さな声で反芻して]
…どうでしょうか。
案外、見えているものが狭くなってしまっただけかもしれませんね。
[非難の声色がないことに安堵しながら、目を伏せてそう返す。
人間というものを目の当たりにしてなお昔と同じように思える者の方が、見えているものが広い気がしていた]
でも、ウェルシュはあまり変わりがないようで私嬉しいんですの。
[天使長になったことで変わったものは数え切れない。
その中で、友人だった彼は態度こそ変わってしまえど人間を嫌っていないように見えていた。]
……そろそろ戻りますね、懐かしくてつい話し込んでしまいそうですから。
お手伝いありがとうございました。
[資料を手に持って彼に小さく会釈をすると、踵を返していつものように緩やかに歩き出した。]
…少し、休みましょうか。
[あの頃に戻りたい。そんなことをふと思ってしまうような気分の中で仕事をしても、きっとミスをしてしまう。
そう考えてアテもなく歩いていると、いつの間にか雲で出来た階段のところまで来ていた。
――天使長になるために、自分には試験があった。
1人で人間界に行き、数日間留まって人間のことをより深く知ること。
一見すれば試験とは呼べない簡単なものかもしれないが、何せシルキーは無垢であり、そして無知だった。
無知故に理想しか持てなかった者がたった1人、欲望や穢さに塗れる世界に降りればどうなるか。
――人間の欲望の餌食になるだけだ。]
あら、……シグルド?
[聞こえてくるのは主の御業を喜ぶ歌のハミング。
吸い寄せられるように近付き、そこで何やら編み物をしている彼を見つけて名前を呼んだ]
―丘の上―
[丘から見渡せるのは、綺麗な緑と空の青。
光の反射で時折きらきら輝く美しいそこは、彼女が昔から気に入っている場所だった]
――昔は、落ち込んだときここに来てよく歌ったものです。
優しい風に包まれると、神を身近に感じられる気もして。
[友人であるウェルシュを時折連れて来たこともあったか。]
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