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王国軍軍団長 ナイジェルは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
― 野営地 ―
『団長、兵糧の現地調達分の件ですが、ハルト士長が請け負うとのことです。』
そうか、馬の飼料もだな?
『むしろそっちを優先するって言ってましたよ。』
だろうな。それなら問題ない。資金はなんとかするから下手に値切るなと伝えておけ。
『了解です。しかし、間に合いますかね?開戦前に届かなきゃ面倒ですが...』
他国の領土での戦だ、ティルカン側も即時開戦は考えていないだろう。
[ 副官に答えながら、男は川向こうに視線を向けた。馬上から見渡せるのは緑の牧草地帯だ。 ]
[ のどかな光景は、この先降りかかるであろう戦火も知らぬげだが、本来放牧されているはずの家畜の姿が皆無であるところを見ると、農民達も身を潜め、災禍を避けようとしているのだろう。 ]
出来るなら、あまり国土を荒らすことなく決着してくれればいいがな。
『華冑公婿殿を頂いてでは、平穏無事ってのは無理じゃないですか?』
馬鹿を言え。司令官殿は蛮勇の徒ではない。
[ 冗談めかした副官の言葉に、男は眉を顰め、思わず鋭い声をあげた。 ]
私は、以前にも戦場を共にしたから知っている。
世間の言う華やかな戦果は、司令官殿の本当の強さの表面にしか過ぎん。
[ この戦に、兄達ではなく、ナイジェルが駆り出されたのは、単に国境警備の騎士団に所属していたからという理由だけではない。
恐らくは、マルール王国が保護した王妃に、僅かながらでも縁があると言う事実を、この軍事介入の正当性の補強として利用する目的があるのだろう。 ]
(あの方が国を追われたという事実は、確かに看過出来ないが...)
[ それでも、彼...タイガ・メイズリーク・ユリハルシラが司令官として抜擢されたのだと聞かなければ、軍団長までも引き受ける決心はつかなかったかもしれない。 ]
司令官殿の下で戦うのであれば、我々は国を追われた王妃殿下と幼子を守るという騎士としての意義を失うことは最後までない。
[ 例え、王国の内部に、どんな思惑があろうとも。 ]
少なくとも、私は、そう信じている。
[ 柔らかく微笑んだ蜂蜜色の瞳には、優しげな表情を裏切る、強い光が潜んでいる。** ]
/*
ふかふかしたなまもの惨状(キリ)
ほんと毎度遅くて申し訳次第もありません。
それにしても、今回はさすがに中の人、ほぼ全裸だなあ...(
― 野営地 ―
[ リンザール領主が、手勢を連れて到着したとの伝令は、司令官への報告>>51から少し遅れて齎された。
遅れた理由は、ナイジェルが野営地を一回りして兵の様子や設営の進捗を確かめていたせいだから、伝令を責めるわけにはいかない。 ]
そうか、ノーラが来たか。
[ 若き領主の愛称が口をついて出たのは、遠き日の思い出故だ。 ]
― 十数年前 ―
[ 父に連れられて、リンザール領を訪ねたのは、まだ10歳を少し過ぎたばかりの頃、何かの祝い事があったのだろう、領内は祭りのような雰囲気だった。
そんな中、父と同席してリンザールの騎士達が武芸を披露する競技会を見学した折の事だ ]
...凄い!
[ 大人の騎兵に混じって、自分と幾らも違わぬ年に見える少年が、馬上から次々と的を射抜いて行く様に目を瞠った。
多分、ぽかんと口も開いていたと思う。 ]
あのっ!私に、弓を教えて下さい!
[ 催しの後、領主の子息同士として引き合わされたレオノラに、どう話しかけていいか逡巡した挙句、口にしたのがそんな唐突な申し出だったのは、偏に同じ年頃の子供との付き合いが皆無に近かった弊害だったと、今なら判る。
本当は、素直に友達になってくれ、と、言えば良かったのだ。* ]
― 野営地 ―
[ 懐かしい名に、思いを馳せたのは僅かな時間。いずれ軍議の席ででも顔を合わせる機会もあろうと、実務に頭を切り替える。
その視線の先、凛と背筋を伸ばした司令官が近づく姿が見えた。>>120 ]
司令官殿。
[ 流れるような動作で騎士の礼を贈り、さて現状報告でも求められるか、と副官に視線を投げようとして ]
余裕、ですか?
それはもちろん...
[ 今、余裕を無くす程では戦どころではないだろう、と、向けられた笑みと言葉に、軽く首を傾げてから、ナイジェルは目を細めた。
この物言いには覚えがある。そんな表情だ。 ]
確かに川向こうには良い風が吹いていそうですが。
[ 続いた言葉に、やはりと言わぬばかりの苦笑が浮かぶ。
普通は、風に当たりに行けと命ずるのがあなたの役目です、と、口にするのは簡単だったが、言っても詮無いだろう。
彼が自分の目で確かめようとする先には彼にしか見えぬ道が拓けていくのだから。 ]
了解しました。
退屈している暇も、させている暇もありませんから御心配には及びません。
[ 浮かんだ苦笑は、すぐに引っ込め、唐突に投げられたと見える役割にも、驚きも戸惑いも見せる事なく、すんなりと請け負う。
軍団長の中でも、ナイジェルは最年少であったが、ここまでの行軍の途中、他の軍団長とは十分に意思を通じ合っているという自負がある。
タイガが留守を任せると、自分を選んだのであれば、全軍がその意に一分の隙なく従う筈だ。 ]
リンザール卿が御一緒であれば安心とは思いますが、くれぐれも、お気をつけて。
[ 静かな笑みと共に告げる声音に、ひそりと滲む同行者への信頼の色は、タイガにも伝わっただろうか。* ]
/*
ノーラさんには、毎度タスク増やして、すまないねえ、と、言っておくね!
だって、ここばっかりは、現場で投げつけた方が楽しいんだもの。
色々捏造してるけど、外れちゃいないだろうと信じてる。そして更に捏造する気も満々だ!
/*
>>175
あ、レト殿は知ってていいんですね、そこどうしようかと思ってた。さすがの気配り助かります(拝)
[ 練り練り中 ]
しかしこのメンバーだと、赤と緑がとても楽しみですよね。(にこにこ)
― 三年前 ―
[ ナイジェルは、三年前、一度だけブリュノーの王都アマンドを訪れた事がある。
その日はブリュノーの建国祭で、王都は観光客と祭りに浮かれる住人で溢れかえっていた。 ]
[ 建国祭の祝賀行事の一つに、王家の人々が王城のテラスに打ち揃って国民に手を振るという一幕がある。
多くの人々がその得難い機会を逃すまいと王城の前にひしめきあっていたが、その一角から、甲高い女性の悲鳴が響いた ]
『いやっ!返してーっ!』
[ 思わず視線を向けた先、数歩も離れていない場所に、地に倒れ、泣きながら手を伸ばす若い娘と、娘から奪ったらしい荷物を抱え、後も見ず駆け去ろうとする男の姿を見つけると、ナイジェルは迷う事なく駆け出した。 ]
待てっ!
[ 待てと言われて止まる引ったくりは、当然居ない。しかし声をあげた効果は意外な所で発揮された。男の背を追って走ったその先で、横合いから男に体当たりを仕掛けた者が居たのだ。 ]
― 三年前 ―
[ ナイジェルは、三年前、一度だけブリュノーの王都アマンドを訪れた事がある。
その日はブリュノーの建国祭で、王都は観光客と祭りに浮かれる住人で溢れかえっていた。 ]
[ 建国祭の祝賀行事の一つに、王家の人々が王城のテラスに打ち揃って国民に手を振るという一幕がある。
多くの人々がその得難い機会を逃すまいと王城の前にひしめきあっていたが、その一角から、甲高い女性の悲鳴が響いた ]
『いやっ!返してーっ!』
[ 思わず視線を向けた先、数歩も離れていない場所に、地に倒れ、泣きながら手を伸ばす若い娘と、娘から奪ったらしい荷物を抱え、後も見ず駆け去ろうとする男の姿を見つけると、ナイジェルは迷う事なく駆け出した。 ]
待てっ!
[ 待てと言われて止まる引ったくりは、当然居ない。しかし声をあげた効果は意外な所で発揮された。男の背を追って走ったその先で、横合いから男に体当たりを仕掛けた者が居たのだ。 ]
観念しろ!!
[ 体当たりした青年に抑え込まれようとしながらも、尚暴れる引ったくり男を、追いついたナイジェルも共に押さえつけて荷物を取り戻した。 ]
[ やがて後から駆けつけた警備兵に引ったくりを引き渡し、名を尋ねられて、協力してくれた相手がティルカン連邦の騎士クリフ・ルヴェリエだと知った。 ]
では、こうしましょう。
報奨金は、荷を奪われ、怪我をされた娘さんへの私たちからの見舞い金とする。
いかがです?
[ 報奨金が出ると言われたが、互いに譲り合って話が進まず、最後にナイジェルが折衷案として持ち出した、その提案に、一も二も無くクリフも賛同した。
互いにブリュノーを挟んで睨み合う二つの国に属してはいても、人として、そして騎士としての誠に変わりはない。
クリフの人柄から、そう感じた事は、今でも、はっきりと覚えている* ]
― 野営地 ―
[ ティルカン陣営に伝言があるかと問われて>>175思い出したのは彼の騎士の曇りない瞳の色 ]
出来ましたら、クリフ・ルヴェリエ殿に、ナイジェル・ソン・ベルクが再会を楽しみにしている、とお伝えを。
[ ティルカン連邦軍の中に彼が加わっている事は確実だろうとナイジェルは思っている。あの日のように、奪い合うのではない解決が出来れば、と、望む想いは、今は伝える事も出来ないが...それが例え戦場で刃を交える再会であっても、楽しみに思う気持ちもまた、真実だった ]
それにしても、もうティルカン陣営にそれほど近いのですか?
相変わらず、ですね。
[ 相変わらず見事な手腕だと、レトと
― 野営地 ―
レト殿の魂こそが音楽で出来ているのだと言われれば、納得するしかありませんね。
[ 無二の絆持つ弟の事を、音楽に例えるタイガの声音と瞳こそ>>220いっそ甘やかと呼べるほどの色を乗せている。
彼が見せる、そんな表情も、それを一身に受ける自由奔放な青年の事も、ナイジェルは嫌いではなかった。
二人の間に交わされる言の葉に仮初にも割り込まぬよう、本名を知った後にも、レトという呼び方を変えない程には。 ]
ありがとうございます。
レト殿にも御無事の帰還をお待ちしていると。
働き者のお猿さん達が、汗を流す用意もしておきましょう。
[ 伝言への感謝と型通りの挨拶の最後、付け加えた言葉には、猿という名を揶揄するようでありながら、まるで家族の帰りを待つかのような、暖かな響きが籠もっていた。** ]
― 野営地 ―
[ 司令官自らが偵察に出発した後の野営地には、僅かながら緩んだ空気が漂い始める。
それは、すぐには戦闘が始まる事はないだろう、という予測のせいでもあり、単純にトップが不在であるという緊張感の緩みでもあった。 ]
騎馬兵は各隊持ち回りで周辺の警戒にあたり、必ず休息を交代で取るように徹底しろ。
歩兵隊には食料を優先的に回して食事を先に済ますように。いざ戦闘という時に腹がこなれていない、では、話にならない。
工兵隊の進捗状況は?
投石器の組み上げは急がせておけ。
アレは、王都からも威力が見えるように運用してこそ意味がある。
[ そんな中、ナイジェルはタイガの言葉通り、残された兵達が退屈を感じる暇を与えぬように、指示を飛ばす。
攻城兵器ともなる投石器の存在は、ティルカン連邦軍のみならず、籠城を続ける王都アマンドの守備隊にも誇示するべきとの考えだ。 ]
浴場の方は設置出来たか?
[ 続いた問いには副官が設置済みです、と答えて笑う ]
『将官用の方は、司令官殿が戻るまでお預けだというんで、一般兵用の方を一緒に使う隊長や士長が結構多いですよ。あの蒸気風呂は、確かに疲れを取るには最適ですからね』
[ 率いてきた兵員全体を賄う温浴場はさすがに作れなかったが、小さな小屋の中で焼いた石に水をかければ汗を流せる蒸気風呂は、タイガに同行してきた職人達>>43の指導のもと、十分な数を設置する事が出来て居た。
熱い蒸気で汗を出してから、目の前の川から引いた冷たい水の流れに飛び込めば、体も頭もすっきりするという寸法だ。
将官用には小規模ながら温浴も可能な浴槽も別に用意されている。 ]
どこの隊にどの程度の数、一般兵と一緒に蒸気風呂を使った将官がいるか記録しておけ。姓名まではいらない。隊ごとの割合だけを知りたい。
[ 規律を守り、将官用に用意された浴場が使えるのを待つのも、立場に拘らず、旗下の兵達と共に浴場を使うのも、それぞれの性格であり、どちらが正しいとも決められるものではない。
だが、兵を率いる将官の性格は、そのまま、その隊の運用に関わってくる。
タイガの求心力により、概ね問題なく纏まっているマルール軍だったが、個々の隊の傾向を把握しておける機会は逃さずにおこうとするのが、ナイジェルの性格だった。 ]
『御指示の通り、少し離れた場所に大きめの温浴槽も設置しましたが。』
ああ、そちらは
[ いつ戻ってくるかは、恐らくタイガが教えてくれるだろう。* ]
― 野営地 ―
何か不足は?
[ 一通りの指示を飛ばしてから、ナイジェルはリンザール領主の率いてきた兵団の元を訪れた。
領主が偵察に駆り出されていては、王国軍本隊の物資を求めるのも難しいかもしれないとの配慮故だったが、彼らは自分の面倒は自分で見られるだけの用意をすでに終わらせていた。>>31 ]
ふ...
[ 暇つぶしなのか、訓練なのか、的を仕立てて弓射まで始めている様子に思わず笑みが零れる。 ]
貸してもらえますか?
[ ふと、思い立って、兵の一人から弓矢を借り受け、馬上から的を狙う ]
おっと...!
[ 風を切って放たれた矢は、的の中心から少しずれた場所に当たり、ナイジェルは苦笑を浮かべた。 ]
やれやれ、少しは進歩したところを師匠に見せたいと思いましたが、これでは、笑われそうですね。
[ あの日、我流でいいなら>>246、と、弓を教えてくれたノーラとは、彼の気さくな性格のおかげですぐに打ち解けて、色々な話もした。
最後には話す方に夢中になって、弓の腕は結局、あまりモノにはならなかったのだが、代わりに弓騎兵の特性は体感出来たから、実りはあったと言えるだろう ]
ノーラは、いつか旅に出るんだね。
羨ましいな。
[ 聞かされたノーラの将来計画は、ナイジェルには思いも寄らぬもので、けれどその自由な生活は、とても魅力的に思えて、思わず、そんな言葉が口をついた ]
私は、まだ先の事が決められないんだ。兄上達のように騎士を目指すのが正しいんだろうけど。
弓だけじゃなく、剣も、あまり得意じゃなくて。
でも、他に何が出来るかも分からない。
[ 情けないよね、と、どこか気弱に笑った少年が、今はランスを振り回し、軍団団長まで拝命しているのだから、人生は分からない。 ]
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