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10人目、紅玉髄の氷女 ユーリエ が参加しました。
紅玉髄の氷女 ユーリエは、村人 を希望しました(他の人には見えません)。
[少女が紡ぐ詩は、一族の中で長く継がれる言い伝え。
雪と氷に覆われた地に住むその一族の天命石は、その身を反映してか白や透明のものが主だ。
石に色を持つ者は珍しく、その殆どが男性で総じて能力の高い者が多い。
中でも赤色系の天命石はその代に1、2人存在するかどうか。
もう起源すら辿ることも出来ない程に古いこの言い伝えは、裏を返せばそれ程に当該する者が産まれなかったという事だ。
だが、幸か不幸か今代において当事者が産まれ。
詩紡ぐこの少女こそ、その当事者に他ならなかった]
…あぁ、もう。
やっぱり慣れないなぁ、コレ。
[ごぅ、と強い風が雪を舞い上げ、少女の髪を乱す。
視界を邪魔する髪に眉を顰めるその表情は、少女というにはどこか粗野だ。
ほんの数年前──5年前までは少年の様に短く─というか、自分自身が少年だと思い込んでいたから。
こんなひらひらした服も、長い髪もただただ煩わしい。
それもこれも、全部あの日から]
…朝起きたら、手の中に握り込んでるんだもんなぁ…
[何時の間には手の内にあった乳白色のそれを父に見せると、変化は即座に起きた。
長老の元に連れていかれ、言い伝えを聞かされて。
お前がその氷女とやらだと言われた時には、自分は男だと答えたものだ。
だが、実際は──お前はそもそも女だと告げられ。
産まれた時に手に持っていた天命石を見た両親や他の者達が、言い伝えの身を捧げるという一文を警戒して男として育てるに至ったと聞かされ。
手にしたものは恐らく絆石であり、おそらく言い伝えの身を捧げるということは次代の柱に選ばれるということだろう。
故にもう偽装は必要無いと言われたが、ずっと自身を男だと思っていたのに実は女だったと言われて即座に受け入れられる訳がない。
暫くは、この石のせいで男で居られなくなった、と絆石を疎ましく思っていた]
[最も、絆石が現れなくとも性差の違いが出始めれば何時までも男と言い張る事も出来なかっただろうと悟ってからは、まだ馴染みやすい頃合いに絆石を手に出来て良かったと思う様にはなったけれど]
どうせ何時かは女だって解んだから、最初っから女として育ててくれれば良かったのに。
[零す愚痴は、自然と両親達へ向けてのものとなった]
[幼い頃から共に過ごしてきた友人達は当然ながら男ばかり。
絆石を手にしてからは女として育てられることになった自分は、彼らの輪の中に入ることが出来なくなった。
かといって男として育てられてきた以上、改めて女の中に入ることも難しく。
受け入れられていない訳ではないが、微妙な壁を感じるのは常のこと。
そもそも、未だに自身が女だと思うことの違和が強い為にこちらが壁を作っている部分もあるだろう]
………何で男に生まれなかったんだろうなぁ、俺。
[小さな小さな呟きを誰の耳にも止める事無く風が掻き消し。
代わり、少女の耳へと>>5声を届けた**]
─ 氷人族の郷 ─
…っし、止め止め。
ガス抜きはこれでおしまいにしとこう。
誰かに聞かれたらまた煩いこと言われるし。
[>>52胸の内から零れた呟きは、一族の皆に聞かれる訳にはいかないものだ。
次代の柱に選ばれるは誉れ高きことと沸く大人達には特にだが、同年以下の者達にも妙な憧れを抱かれていると肌で感じている。
元より赤色の天命石を持って生まれるが珍しい事で、更に女だとなれば流石にもう他と同じに扱われる訳がない。
言い伝えの氷女として、誰に見られても恥ずかしくない振る舞いを望まれて、少しでも粗野な部分を見せれば非難される様にもなった。
そして何時しか、生来の話し方すらも人前では出来なくなって。
少年だった己のみを知る人も、ほとんど居なくなってしまった]
― 氷人族の郷 ―
……そういや、あの人が来たのって今位の時期だったっけ。
俺がこうなるちょっと前だったから…もう五年前、か?
[土地柄故に、この郷まで訪れる者は少なく数え上げられる程。
物思いで連想された人との記憶を辿ると、少しだけ笑みが浮かんだ]
─ 回想/5年前 ─
[それはまだ、自分の天命を知らなかった頃の話。
俺はその日もいつものように、ガキ大将よろしく郷の少年達と遊んでいた。
隠れ鬼だったか、陣取りだったか、郷の中を駆け回っていたら>>46郷では見た事のない人を見つけて。
駆け寄って話を聞いてみたら、中々珍しい人だと分かって目を丸くした]
町で話聞いたから来たって…麓の方の郷の方のが近かったろ。
あっちなら俺達以外の種族も住んでるし此処より寒くもないらしいし宿もあるって聞いてるよ。
此処は俺達一族の血が濃いヤツばっかり住んでるからくっそ寒いし客は滅多に来ないんだ。
行商とかで来る人はいるけどさ、兄ちゃんみたいな理由で此処まで来た人初めてだぜ?
なら俺んちに来れば良いよ。
部屋は余ってるし、どの道外から来た人はまず父様のとこ案内しろって言われてるし。
それに兄ちゃん、町から来たなら結構雪ん中歩いたろ。
うちの父様に会ってる間に準備しとくから、うちの風呂入ってきなよ。
まぁ温まるだけならサウナでもいいけどさ、この郷ん中では風呂ってうちにしか無いんだぜ。
[手を差し出し、行こうと誘うこちらに青年は何と答えたか。
滞在を望んでいたのだから、否は返らなかっただろう。
共に来る意思が見えると、にっと笑って]
んじゃ案内するな。
あ、そういやまだ名前言ってなかったな。
俺はユー=リエっていうんだ。
皆からはユウって呼ばれてるからユウで良いよ。
兄ちゃんは何て呼んだら良いんだ?
[名前を聞いた後、一族の長である父の元へと連れて行って。
長との相見も滞りなく済んだ青年は、どれ程の期間滞在していっただろうか。
5年も前のことだから明確には覚えていないけれど、郷から出たことの無い自分には見知りする事の出来ない体験をしてきた青年への憧れは、忘れ様もない。
それまで彼が訪れてきた旅の話を、彼が話せる限りで良いからと聞いて自身の冒険心を満たしたりもした。
最も、こちらが彼の話を聞くばかりではなく。
この郷に来たのだから、氷人族に興味が無い訳ではないだろうと自分の知る限りを彼に話した]
でさ、俺も父様と同じ赤色の天命石を持ってるんだ。
赤色自体珍しいらしいんだけど、親子揃ってってのは本当に珍しいらしくて一族中で騒ぎにもなりかねないんだってさ。
だから、俺の天命石はあんまり一族のヤツに見せるなって言われてるんだ。
うちに風呂があるのも、その為なんだって。
[自身の天命石は肌身離さず、普段は服の下に隠れる様に首から提げてある。
誰の目にも触れぬ様、他者に肌を晒したことが無く、また自分以外の身体を見たことも無い。
それが本来の性を知らせぬ為でもあるとは、この時はまだ知らず]
今はまだ子供だから、大したこと出来ないけど。
…何時か大人になったら。
俺も、父様みたいな立派な長になるんだ。
一族の皆を、皆が住むこの郷を、…大事な人を護れる、強い男になるっていうのが、俺の夢なんだ。
………天命石のこともだけど。
夢のことも、郷の誰にも言ったこと、ないからさ。
兄ちゃん、誰にも言わないでくれな?
― 氷人族の郷 ―
[言葉にするのが恥ずかしくて胸の内にずっと秘めてきた夢を話したのは、青年に抱いた憧れから。
何時か大人になったらというこの夢が無かったら、青年の様に旅をして回ってみたい、そんな気持ちが打ち明け話の理由とは伝わったかどうか。
そういえば、この時の答えもどうだったか覚えていないな、なんて物思いに耽る耳に、>>5それは届いた]
……、この、声…
[懐かしい記憶を辿る思考は、その静かな呼びかけに現へと戻された。
絆石を手にしてからずっと、何時か来ると解っていた時は来たのだとその声に教えられ。
出立の準備の為、族長である父の元へ向かった**]
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