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― 城館・ホール ― >>343
必要なものがあれば、城館の使用人に言え。
用意できるなら出てくる。
[囁く相手へ特に答えることはなく、
要求へも短く返す。]
[視線を追ってもう一度真祖を見やれば、
ちょうど、連れてきたものに血を与えているところ。]
おまえ、血は飲んだか?
[そういえば、とレトに確認した。]
― 城館・ホール ― >>357
[血という言葉に反応するレトの様子に、眉を顰める。
人を血子にしたあと、目覚めた雛にまず血を与えるのが血親の役目だと思っていたが、やはりというかなんというかバランはそんな手間を掛けなかったらしい。]
最初の糧無しに、あれだけ動いたのだな。
じきに身体がもたなくなる。
渇きの衝動が来るまえに飲んでおけ。
[やめろという言葉は聞かずに一方的に言い、近くの従者を呼びつけた。]
― 回想 ―
[気まぐれな純血種と任務を共にしたのはいつだったか。
任務上の必要以上に、恣意を感じる人選だった。
ちょうど、自分と相手との噂が煩くなってきた頃合いのこと。]
ロー。
[名を問われての返答は、これ以上ない簡潔さだった。
本来の名は捨て、血親に与えられた名だけで過ごしているが、不自由を感じたことは無い。
───という反論も口に出す必要を覚えなかったが、直後に続いた真祖の言葉は、あまりにも予想外だった。]
は…… …。
[思わず吐き出した息を呑みこんで、黙って受ける。
礼もなにも、言葉にはしなかった。
ただその日以降、名乗りはロー・シェンに変わったのは事実。]
は…… …。
[思わず吐き出した息を呑みこんで、黙って受ける。
礼もなにも、言葉にはしなかった。
ただその日以降、名乗りがロー・シェンに変わったのは事実。]
[名づけの現場にいたものはごく僅かで、
真相を知るものはなお少ない。
それでも噂は千里を走り、ますます煩さを増した。
結局それが血親の元を離れた一因となり、
マスターへの昇格を満たす要素ともなり、
評議会の敵を狩る任を積極的に受ける契機ともなった。
機会があれば、いずれ狩ってやる。
───とは、ひどく複雑な感情の賜物。
無論、口に出したことは一度もない。]
― 城館・ホール ― >>373>>374
[若者は、自身の運命を改めて思い知ったらしい。
その苦悶に同調することはない。
自分にとってその感情は過去のものだ。
同じ苦悩を抱いたかどうかも覚えていない。
しかし、彼がこのままでいれば確実に苛まれるだろう狂おしい飢餓は、理解していた。]
……必要ならば呼べ。
城館から出ない限りは、おまえの自由だ。
[一度、経験させるのも一つの手かと思い直す。
抵抗するとの宣言に、小さく頷きつつ。
呼べ、の言葉から、使用人か誰かをという単語が落ちているのは、相変わらずの言葉足らずだった。]
[呼んだ使用人には、レトを案内するよう言いつける。
部屋も用意されていることだろう。
口にした通り、しばらくは自由にさせておくつもりだった。
その間に、自身はバラン討伐の事後処理を片付けるつもりでいる。]
[話の途中、現れた者に気付いて視線をやる。>>370
トールという名を思い出して、一礼には目礼で答えた。
共に任務をこなすのに悪くない相手だ。
少なくとも年寄連中よりよほど好ましい。
───と、わざわざ言葉にする気はないのだが。
バランの気配が微かにするから、心臓は彼が持っているのだろうと見当をつける。
共にいる黒髪は、バランのチャイルドだろう。
先の真祖が連れ帰ってきた者といい、どこまでも見境がない奴だったと、改めて感想を胸に落とした。**]
― 城館・ホール ― >>446>>447>>448
任務の内だ。気にするな。
[感謝を口にする彼の思案に頓着はしない。
仮に何を思われているか知っても表情は変えなかったろう。
自身の功に、さして拘らない性質だった。]
また。
[ホールから出ていくレトに、ごく短い声を返す。
そのあとは、自分の仕事に取り掛かった。]
― 城館・ホール ―
[レトがいなくなった後、残る仕事を片付けにかかる。
ホールの一角を占拠して、使用人たちから話を聞いた。
確保されたチャイルドの数と簡単な特徴をまとめ、
誰が捕えて城館に連れてきたかも付記しておく。
ついでに、レトを引き取りたいという要望も添えておいた。
バランの心臓は、トールが自分で届けるだろう。
そちらをどうするかは自分の知るところではない。
評議会の然るべき誰かが処置をするのだろう。]
[仕事をおおよそ終えた頃、やってきた者がいた。>>444
"境界なき者"から手渡された書類を、ざっと眺める。]
助かる。
[礼の言葉は相変わらず短いが、実感がこもる。
普段は後方での活動を担当する彼と、直接同じ任務に従事することは珍しい。
だからこうして彼の仕事ぶりを見ることも少なかったのだが、改めて報告書を見れば仕事の確かさ細やかさに内心で舌を巻いた。]
[評議会への報告を済ませてしまえば仕事も終わる。
後始末は、自分の範疇ではない。
水でも浴びてこようかと立ち上がった。]**
― 城館・ホール ―
ロー・シェン、か。
[先ほど、レトに名乗った名を唇の内に繰り返す。
神の狼、などと御大層な名の中に潜む力。
口にするたび、未だ縛を感じるのに微かに苛立つ。
名付けの呪。それに伴う力の授受。
あの規格外の真祖が何を考えていたかなど、
知るべくもないし、知りたくもない。
ただ、それが禍と益双方をもたらしたのは事実。
自分の親が四人に増えた息苦しさもまた事実。
人としての両親と、血族としての血の親と、名づけの親。
人間の親はともかく、いつまでも越えられない相手がいるのは、実に不愉快だった。]
なにが良いものか。
[記憶に残る真祖の笑み>>459に悪態をついていたら、
物慣れぬ様子の者がホールに現れた。>>460
あれもたしかバランのチャイルドだったものだ。
所在無げにしている様子ではあったが、特に声を掛けてやるほどの気遣いはない。
と、反対側から来た娘と言葉を交わすのが見えた。
同じ血子同士の会話を聞くともなく耳に入れながら、彼らの行く末に少しばかり思いを馳せる。
どのマスターに割り当てられるのか、程度のものだったけれど。]
― ホール ―
[ホールの向こうで交わされる幼子らの会話が耳に入ってくる。
聞くつもりなど無かったのだが、すこし引っかかった。]
おまえたち。
[顔を上げ、彼らの方を向いて声を掛ける。]
自分が吸血鬼になった自覚はなかったのか?
血親から聞いていないのか?
[だとすれば、自分はなにか勘違いをしていたことになる。]
[問いを投げると同時に、向こうからも勢いよく問われていささか鼻白む。]
金髪の、小さいの?
[なんのことだと撥ね付けかけたが、生憎と心当たりがあった。
目の前の幼子を捕えたのが誰かは、もう聞いている。]
ステファン=リッシュ殿のことならば、
いずれ、ここに戻られるはずだが。
[知らないと言って捨て置かないのは、生来の気質ゆえ。]
[投げた問いへ、娘の方から返ってきたのは否定と肯定と見えた。>>512
同じ血子でも認識に差があるのかと納得する。
その差がバランの気まぐれによるものか、
あるいは当人の素質の差によるものかは、さて。]
[駆け寄ってきた男の方はといえば、>>514
理解していないというよりも、拒絶しているように思われた。
吸血鬼としての在り方と覚悟の決め方を教えるのは、今は自分の役割ではないから、それ以上は触れずにおく。]
疲れているのなら休め。
部屋の用意程度は使用人に聞けばいい。
[いつまでとの問いには答えを持たなかったから、言及しなかった。
ただ、休息を求めれば与えられることを示唆する。
もちろん食事や入浴も得られるだろう、とは当然のこととして付け加えなかった。]
じきにおまえたちへの決定が出る。
そう長くはかかるまい。
[連絡事項として添えたのは、気遣いに近いなにかだったかもしれない。]
[自分で言った通り、疲れた様子の男が礼を言って去っていく。>>523
直前、もの問いたげな視線を受けたが、斟酌することはなかった。
必要であれば、言葉に出して聞いてくるものだ。
それに、問うべき相手は自分ではないだろう。
新たにマスターとなるものがもろもろを教えるべきだ。
誰がその役割を担うにせよ。*]
[去りゆく男を見送ることなく仕事に戻ろうとしたところで、別の声に引き止められた。>>529
決定について改めて問われて、頷く。]
そうだ。
評議会の審議に掛けられ、経験と相性等で振り分けられる。
[養い親の決定に関する答えは、普段より多少丁寧だった。
今自分がまとめている報告もその資料となることは疑いない。]
[話している最中、わけもなくぞくりとした。
まさか名付け親が不穏な言葉を放ったせいだとは気づかず>>525
うなじの毛が逆立つのを覚えて、首筋に手をやる。]
[娘と話しているうち、ホールに現れたのは、
雛たちに比して深く涼やかな気配。>>540]
エレオノーレ殿。
[何用だろうか、と視線を向けるが、フードの揺れるさまにわずかに視線が逸れた。]
いや、 問題ない。
[いくらか言いよどんだのは、自分でも理解できていなかったから。]
[子を引き取った後はどうするのか。>>544
娘の問いには、何かを思いやる心が潜むように思う。]
眷属の一員としてふさわしく養育する。
そのあとは、親次第だ。
手駒として鍛えることもあれば、
恋人然として扱うものもいる。
[普段と比べれば、倍ほども口数は多い。
相手が何も知らぬ幼子だと理解してのこと。]
[娘が何をどう結論付けたかに興味はなかった。>>559
恋人の意味はずいぶんと広いが、それは説明するまでもないこと。
手駒という言葉に対する嫌悪感はわからないでもない。
だが自分にとっては、子供はどこまでも手駒だ。
部下、と言い換えてもいいが。]
[問いが途切れれば、それ以上を説明することはない。
作業に戻りかけたところで、ソファに座る同族をちらりと見る。
用があるならば、と聞く体勢を暫しとった。
そういえば、エレオノーレが連れてきたのはこの娘だったか。
記憶の鍵がひとつ頭の中で噛み合った。]
構わない。
[エレオノーレからの労いには短く答える。>>565
これも仕事の内だ、と顔に書いてあるのが読めるだろう。
問いにも頷いた。]
保障はできない。
だが要望は添えておく。
─── おそらく、そのための場だろう。
[マスター相手への言葉は、普段通りの端的さに戻る。
普段、吸血鬼が人の子の間から血子候補を選ぶのと同じく、戦場にてマスターを幼子らと出会わせ、選ばせる目的があったのだろう、との意がいろいろ省略されていた。]
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