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ちょっと採掘場を見に行こうかと思ってな。
そっちは?
[ステファンに行き先を問われればこう返して、
ごく軽い問いを彼へと向ける。
ゆったりとした口調と同じ歩調で歩み寄るのは青毛の馬、
ナハトと名付いたその名の通りの漆黒の馬に鞍を置く。
とん。と、馬の首筋を一度手で軽く*叩いた*]
― 回想・入学したての頃 ―
[多分当時から、秀でていたのは器用さだった。
入学したばかりの少年の頃。
初めての実技の授業で教官が模擬刀の振りを示した。
これまで触れてきたものとは違う、実戦へと向けた授業。
ディークは、その振りをじっと見ていた。
剣の重さ、角度、反動、自分の力との釣り合い。
そんなことを思いながら、視線だけじいっと剣へ向けていた]
『じゃ、真っ先に素振りをしてみたい奴、手をあげろ!』
[教官の声が響く。
それに真っ先に反応したのは、重なり合うふたつの声>>4:*48>>4:+29
その事実よりも、やたら気合の入った勢いに思わず目を向けた]
…暑苦しいな。
[真っ先に浮かんだ感想は、身も蓋もないものだ。
けれど続く二人の素振りは面白かった。
教官よりももっと、体格の近い少年らの振りは参考になったから。
実際に手にした剣は面白く、
次第に練武場へと通いつめるきっかけとなる。
競えば負けたくない気は起こったけど、
それより何より自分の技術を磨き高めるのが面白かった。
八年前、今は遠い春の出来事である───**]
― とある朝:練武場>>*49 ―
ったく、仕方ねえなあ。
…ま、この時期はいつもこんなもんだけどさ。
[常の長期休暇とは異なり、もっとも開放感に溢れる時期だ。
だから後輩の言い分を>>*49そのままに受け取って、
常よりも静かな練武場へと目を向けた]
おう、
[盾を使うというのに頷いて、少し考える風を見せる。
まったくこんな時に、即座に手にする得物を決めかねるのも厄介だ。
得手といえば銃になろうが、
これのみを近接で使うには試合の形にするのが聊か厄介でもある]
んじゃ、俺はこのまま…いや。
[だからと木剣のみを手にしかけ、
けれどカレルの真っ直ぐな眼差しに、気を変えた。
木剣を構えかけた両手を外し、ひょいと銃を片手に取る。
そうして無造作に、腰のベルトへと差し込んだ。
手には剣、腰には銃の変則型ということになる]
いいか?
[一応の確認を彼へと向けて、笑み返す。
当然模擬銃なのだから、防具越しの衝撃はさしたることがない。
ただ素手や足にでも当たればそこそこ痛いし、何より、]
最後だもんな。
[だから、と。己のもっとも得意で対することを選んだ。
カレルもきっとそうなのだろうと、盾の構えを見て思う。
彼が盾の扱いを熱心に覚えるようになったこと>>4:*120
その心を、未だ知りはしなかった*けど*]
― 西寮 ―
トール、
[うららかな春の日差しが、廊下へと差し込んでいる。
試験後の開放的な空気が満ちるその中、]
暇か?
[ディークは、友を呼び止めていた]
[思えばこうして何度こうして誘い誘われたろう。
ちょっとした気晴らしだったり、所用だったり。
一番多かったのは、ただ友と過ごしたいというだけだった気もするけれど]
お前と遠乗りに出かけたいと思ってさ。
[けれどもうじき、それも終いだ]
[人の多い寮内で共にするお茶ではなく、
遠乗りに誘うのは大体二人で時間を過ごしたいと思う時。
言わずとも通じるだろう誘いを投げて目顔で促す。
春の日差しが柔らかい。
今日は水の流れも綺麗だろうと、窓の外へと目を*向けた*]
― 採掘場近く、花畑を臨む道 ―
………。
[必要ないとは言い張ったが。
右肩の付け根は未だ痛むし、盾越しに強打された左腕は未だ余り使い物にはなっていない。
ゆえに片手のみで手綱を扱う都合上、
馬を行かせる速度は常よりもゆったりとしたものになった。
それを感じるゆえだろう。
案ずるような言葉はなく、時折速度は緩められる>>157
その背へ軽く笑みを零した。
まったく、素直ならざるルームメイトだ]
?あれは…、
[先を行くベリアンが馬を止めるに、同じく視線を巡らせた。
遠く、幾人かの姿が見える。
ちらちらと動く金の頭はフレデリカか。
ウェルシュの頭がこちらを確認するように動くを見れば、
右の腕が挨拶するように軽く挙げられた>>209]
花の季節、か。
[緑の草原に、小さな花々が彩りを添えている。
琥珀の瞳が、春の光に細められた。
馬を寄せて一行の様子を詳しく見たならば、ジェフロイの手の怪我に気づいたかも知れないし、何より花冠という、ウサギ毛以上に珍しいものをくっつけた彼の姿を見られたのかもしれない。
そうすれば寝ている彼>>+107を起こす勢いで大笑いしたには間違いがなく、となれば実技試験前日が再現されたのかも知れなかった。
しかしそれらは全て可能性の話であり、
近寄らなかったのは、平和のためにとっての幸いであろう]
ピクニックにはいい季節だな。
今度来てみるのもいいんじゃないか?
例のキマイラ戦の仲間とか…さっきのステファンとか。
[そう、傍らのルームメイトへと水を向けてみる。
自分の名がないのは、じきに居なくなるためであり]
……違いを知っておくのも悪くはないだろ。
[何かへの返事のように、言葉を付け加えた]
― シュヴァルベ北部採掘場 ―
[やがて馬を進めれば、程なく採掘場も見えてくる。
近づくにつれて分かるその綺麗さと賑わい>>4:77に、
聊か拍子抜けして同行者を見た]
なんだ…観光地か?
[とはいえ、ここで鉱石が見つかった>>3:#1のにも違いない。
何よりもせっかくここまで出てきたのだ。
簡単に引き返すもの癪ではないか]
…ま、進んでみるか……。
[気の抜けたような気分で馬を降り、歩き始めた。
土産物屋の元気な売り声を聞きながら歩く]
― シュヴァルベ北部採掘場 ―
[土産物屋を抜け、公開されている採掘場へと歩み入る。
ごつごつとした岩がむき出しで、
それなりにそれらしい雰囲気を醸し出している場所である。
それにしても…見学者が、多い]
これ……石が出ても分かるのか。
ああ、ちょっとは道も外れられんのか……
[用意された資料は一瞥したのみで懐に入れ、
あとは自分の目が頼りだとばかりに辺りを見渡しながら歩く]
― シュヴァルベ北部採掘場 ―
?あれはノトカー・ラムスドルフと…
[その道行き。
鉱石よりも先に、士官学校生の顔を見つけた>>230
まず最初に目に付いたのは緑の髪、更にその先には色素の薄い…]
ルートヴィヒ・ヴァイスか?
[まず最初に口をついたのは、西寮の生徒の名であった。
フレデリカと同室のヴィンセントの顔は、かの実技試験のあと見たとはいえ、やはり馴染みは同寮の生徒の方がよほど深い]
― 西寮 ―
んじゃ、行こうぜ。
[軽く誘いに乗る友>>*84に、返す言葉もまた気安い。
幾度も繰り返されてきた遣り取り。
恐らく互いに分かっていることは音にしないまま、
常の調子で、友へいつもの笑顔を向けた]
― 別れの泉 ―
[橋を渡り、草原に馬を駆けさせる。
途中競争めいたこともして、存分に風を切る。
そうして、いつもの目印の木を過ぎて速度を弱める。
ほぼ同時に木を行き過ぎて、互いに視線を見交わした。
に。と萌黄が笑うのに、同じ色の笑みを返す]
あーー。走った走った……
[やがて別れの泉の程近く、
木陰なす水辺で二人、草の上に並んで寝転がった。
馬たちは、冷たい水を飲んでいる。
花の香りを含んだ涼やかな春風が渡る。
小鳥の囀りを聞きながら、草原の上で空を見上げた]
……、早い、よなあ。
[何がとは言わず。ぽつりと、呟きが風の間に落ちた*]
/*
>>*124
ここにきてwwwwまたしもwwww
またしも!!!www
金髪ミスをまた拾われるとかあああああ!
― シュヴァルベ北部採掘場 ―
ん、ああ。悪い。ヴィンセント・ヴァイスの方か。
この間は…フレデリカを引っ張り出して悪かった。
[折り目正しい礼>>252に、こちらも軽く目礼を向ける。
続いて口にしたのは、彼のルームメイトの名を引いたもの。
別段謝るようなことではないし、彼が保護者というわけでもないのだろうが、試合後駆け寄ってきたシェットラントと彼の様子>>3:276に、まず気になっていた事柄が口をついた]
― 回想・6年前のこと ―
[ディークが練武場に通いつめていたのは、
半ば以上楽しみや趣味のためであったと言って良いだろう。
無論、本来の目的は鍛錬である。
けれどその目的と趣味が一致したとき、
ここはディークの遊び場にも等しくなった。
上級生や同級生と、時には後輩らと手を合わせ切磋琢磨する。
やればやるだけ、結果が出るのも面白かった。
技と技をぶつけあい、そして終いには笑顔を交わす。
実戦ではこうはいかないだろう。
けれど───…いや。だからこそ、これが良かった。
これで良いのだと、年若い気性のままに思っていた]
[いつからだったろう、視線を感じるようになったのは。
リエヴルが向けてくる、不躾なまでの観察ではない。
何か武術への観察というわけでも、どうやらない。
何となく気になって振り返る>>*65]
………?
[じっと眺め来るアイスブルーと視線が合えば、
随分不審げな表情を浮かべても見せただろう。
それでも視線が外されることはなかった。
寮への帰り道に声を掛けられたのは>>*68、
こちらから聞いてみようと決意した矢先のことだった]
……えっ!?
[突然の大声>>*68に返した反応は、割と間抜けだったかと思う。
当時、まだ16歳。驚けば流石に動きも軽く止まった。
けれどあげた瞳に浮かぶ色は、真剣そのものであったから、
良し分かったと請合った、こちらも同じく真剣だった。
それならばと、まずは練武場で鍛え始めたのは余談である]
───お疲れさん。
[ある日。ぐったりと疲れきった様子のソマリに声を掛けた。
並んで座り、手にした一本の飲み物を彼へと渡す。
もう一本は自分で口にして、喉を潤した。
彼が同じく息をつくのを見計らい、口を開く]
お前も体力ついたよなあ。
最初の頃はどうなるかと思ったけど。
[くく。と小さく肩を揺らした。
最初の頃、彼はすぐにへばっていたように思う>>*69
それでもここまでついて来て、力をつけた。
それは彼自身の努力の賜物だと、彼へと笑う]
けど…。……なんか。
[気がかりがある。
彼が見習いたいといったのは、武術に関してだけじゃない。
立ち居振る舞いを盗みたいと、彼は言った>>*68
そこが気がかりだった。
”弟子”に、自分は何が出来ているのだろう。
真剣に引き受けた頼まれごとを、
あの当時は、若い生真面目さで真剣に受け取って考えていた]
立ち居振るまいってさ、どうしてんのかなあと思って。
…ああ、ソマリが出来てないとかどうとかじゃなくってさ。
[誤解のないようにと、一言添えて]
弟子を取れるほどかなあって、俺が思うわけ。自分にな。
だから指導してやれてんのかも分からんねえし。
ま…、努力してくしかないんだろうけど。
[けど分からないよなあ。と、小さく苦笑して告げる。
それは、情けない弱音と映ったかどうか。
壁に背を預け、天井を仰ぎ瞳に映した。
少しの間だけそうしていて、やがて深く息をつく]
でも──…嬉しいんだ。だから頑張ろうと思う。
お前さ、何かあったら言えよ。いつでも話聞く。
だからお互い、
… 頑張ろうな。
[少し照れたように言って、えいと勢い良く立ち上がった。
そのまま振り返らずに、練武場へと戻っていった。
もう、何年も前の話である──**]
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