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『なーショウー ごめんってー』
[あれから拗ねてしまったショウはベッドの上で体育座りをしていた
周りから見ると凄くアレな光景だが、ただ拗ねているだけである
すると、暗い部屋の隅から、5体のバスケットボール型ディアボロス
ダムダムと跳ねる音で気がついた]
えっ……ここにも…………?
『チッ 仕方ねぇ、変身するか逃げるか選べ』
う、うーん………変身、する
『おう んじゃ、俺のジェムにデコ合わせろ』
えっと、どこ………?
『俺もデコ』
え、一緒…………!?
『おう ほら合わせろ』
………
『何赤くなってんだ ほら、ディアボロスに襲われても知らねーぞ』
[こんなチャラそうな少年があの煩いシュライだったとはどうしても想像がつかない
渋々、額と額を合わせる
溢れる、光と光
それが止めば、そこには魔女試練を受けた時のシグルド
隣には文鳥のシュライがいる――――
はずだった]
………へ?
[思わず、抜けた声が出る
隣にいるのは文鳥ではなく、金髪に真紅のマントを纏った聖騎士――シェットラントの姿
そんなシグルドに、シェットラントは呆れたように溜息を吐いた]
『そりゃお前ん中に“叫び”が戻ったからな 縛るモンが無くなりゃ元の姿に戻るわ
――お前が親父の言葉に縛られている間は、俺もお前の“叫び”に縛られるんだ』
…………
『……ま、今はこいつらに集中だ 俺の魔力でお前も魔法が使えるからな ……ただ、魔力は“共有”だ』
それも……修斗くんの魔法?
『いや、どっちかというと恩恵………いや、今の俺達にとっては“制限”だな』
制、限……
『ま、悪い事ばっかじゃあねえよ 魔力が共有できるっつーことは、俺も魔法が使えるようになるってことだ』
[嬉しそうにぱちこーん☆とウィンクするシェットラント
すると、いつの間にか手を繋いでいることに気がついた]
『あぁ、手繋いでねぇと魔力が共有できねえから つまるところ、変身はできていても一切魔力が使えねえってこと』
なるほど………
[感心していると、繋がれた手をぐい、と引っ張られた
目の前には、悪戯っぽく笑うシェットラント]
『まぁ、俺の部屋で戦闘っつーのもなんかやだし、とりあえず外に出るぞ!!』
[引きずられるように、窓から外へ飛び出す
向かう先は 3(27x1) **]
[知らない人の家の上で、バスケットボール達と戦闘を開始する
そしてふと、隣の彼の言葉を思い出す]
ねぇ、修斗くん 君、魔法使えるって言ったよね………?
『おう、使う?』
そうしてくれるとありがたいかな あと、単純に見てみたい
『うーし、んじゃあいっちょ使うか 制限もあって無属性にはなるけど、そこは許せ あと、俺の魔法も歌って出すモンだ お前も手伝えよ』
[その言葉に頷けば、繋いだ手から紡ぎ出す音が流れ込む
同時に口を開いたその時、変わる景色
見渡せばそこは樹海と化していた]
『や………やっぱ後で』
な、なんで……!?
『いや、その………俺の魔法、ここだと属性変化毎に1度しか使えね―――』
[続く言葉は、2人の顔の間をもの凄いスピードで通り抜けていったバスケットボールによって遮られた
どうやら追いつかれたようだ
飛んできた方に視線をやると、それぞれ違う動きをするバスケットボール4体が蠢いていた]
『か……顔の横を通ったのだよ………!!』
そんな事言ってないで逃げようよ……!!
『いやお前の魔法でなんとかしろ!!今は木属性、お前の属性だろ!!それに、属性変化したてで使ったら、なんか勿体無いだろ!!』
[押しに押されて、渋々杖を構える]
『俺も一緒に歌ってやるから大丈夫だって ほら、歌うぞ』
[流れ込む
それに合わせて戦慄を紡げば、青い波動が生成される
その波動は、一気に1(5x1)体をジェムに変える]
『いいんじゃねーの?お前の魔法、俺は嫌いじゃねぇ』
[そう言われれば、照れくさそうに笑った]
[しかし、倒したのは1体であった
これにはシェットラントも失笑]
『………続けようか』
……うん
[その後、なんとか荒れ狂うバスケットボールをジェムに変えることに成功したのであった**]
『お疲れ、ショウ 回復はこのジェムを直接取り込むだけだ』
ち、直接…………?
『そ、直接ぱくって』
…………
[意を決して、口に入れ、飲み込む
味は3(3x1)
1 意外といける
2 微妙な味
3 全く無かった]
………味無い
『ま、俺がジェム吸収すればいいんだけどな』
[つまり、毒見役であった
しかし、魔力が回復されたのは確かだ
彼の言っていることは間違ってはいない
ジェムを全て使い、体力魔力を回復させる
そのまま、民家の屋根に座り込んだ]
『………そういや、ショウって漢字、どう書く?』
え……?
[唐突に出てきたのは、そんな話題
シェットラントは1度目を伏せ、そしてこちらへ視線を向けた]
『お前のショウっつー漢字、何使ってる?』
えっと………水晶の晶
『……そうか』
[そう言うと、シェットラントは黙り込んだ
長い溜息を吐いた後、困ったように手を額に添える]
『……悪かったな』
[それは、あまりにも唐突すぎる謝罪]
なん、で……?
[そう漏らせば、ゆるりと顔を上げるシェットラント
その表情は申し訳なささに満ちていた]
『俺は、お前の名前すら歪めちまった 名前っつーのは、時にその人の性質を表す “叫び”と共に、お前の
僕の………性質…………
[真正面に座りなおすシェットラント
覚悟したかのような、真剣な眼差しを向けてくる
そして、紡がれるのは――]
……唱、僕の……名前
[告げられた名を、噛み締めるように呟く
自分は名前と性質がかなり密接に絡んでいたらしい
晶と唱
字体は似ても性質は似ず
繋いだ手を、ぎゅっと、握り返す]
……ありがとう 僕の名前、教えてくれて
『……けど、俺達は脱落者だ 試練が終わったら、魔女に関しての記憶すべてを失う 何かひとつ、その参加者に密接に関わるものと共に ……それは自分にとって大切なものであったり、邪魔なものであったりな』
……そう、なんだ
[つまり、この試練が終わった時、シグルドの名前は再び歪められてしまうということだ
眉を落とすシグルドに、シェットラントは笑いかける]
『お前と俺はほんっと、似てるわ 願いであったり、魔法であったり ……だからこそ、お前のこと護ってやりたかった 俺と同じようにならないように』
………ねぇ、あの日―――
[続けようとした言葉は、6体の人型ディアボロス達に阻まれる
2の方から、屋根伝いに近づいてくるそれらは今迄よりも強そうで]
『ったく、しゃーねー こいつら片付けたらゆっくり話すぞ』
[頷いて立ち上がり、それぞれの武器を構えた]
[近づいてくるのはサラリーマンと幼女と女子高生2人と男子高校生2人
間違えないで欲しいのは、全員ディアボロスであるということ
そのうちのサラリーマンが、こちらへ話しかけてくる]
「あーもうほんと辛い 今日でもう15連勤 残業終わるの朝4時半 給料も全然貰えない さっさと労基引っかかれよー 俺もうしにたい」
[要するに、社畜である]
「おにいちゃんは、どうしてそんなじしんたっぷりなの?ぜんぜんできてないのに、どこからそんなじしんでてくるの?」
「彼氏がっめたぃ。。。。まぢゃみ。。。。」
「ぅちまぢぶす、ゎら ぜんぜんもれなーぃ」
[なんだかカオスになっている空間である]
『チッ、面倒なのが来ちまったもんだ よーし唱、一気に吹き飛ばすぜ』
う、うん!!
[舞台の属性もあってか、それほど苦労はせず
気づけば、残りのディアボロスは男子高校生達を残すのみとなった
―――不意に、今迄黙ったままだった男子高校生達が話し出す]
「俺だって……レギュラー入りたかったよ……… なんで、だよ」
[はた、と、シェットラントの歌声が止む
驚いてそちらを見ようとすると、続く言葉]
「父さん、ごめんなさい………」
[そして、シグルドの歌声が止まる
それらはまるで、2人の学生時代の生き写しだった]
『なぁ、唱 俺の魔法………使ってもいいか?』
……え?
[真剣な表情
その瞳には、決意が揺らいでいた
それは自分にどうこうできるようなものではない
静かに、だが強く、肯定の言葉を伝える]
『……なら、一緒に歌ってくれよ?』
[繋いだ手から、流れる旋律
今度こそ、歌い始める]
[後ろを振り返れば、そこに作られていく光の剣
それは聖金の輝きを放ち、静かにその時を待っていた
そして、完成する6本の剣
彼は、歌い終わると、静かに紡いだ]
[それを皮切りに、勢いよく飛び出していく聖金の剣
それは神の放つ矢のように、まっすぐと
光の如きスピードで
[裁きの矢が、2体を切り裂くと同時
2人は崩れ落ちるように座り込む
制限でぐるぐる巻きにされた魔法だ
魔力の消耗も尋常ではない
一気に体力と魔力の3分の1を持ってかれたような感覚だった]
『お前に“叫び”を戻しておいてよかったぜ “叫び”はいわば、自己の表現 この歌は、それがないとかなり辛ぇ』
[つまり、それが無ければもっと消耗していたということだろう
ジェムを拾い、シェットラントの額にある虹色へと押し当てていく
同時に、繋いだ手から伝達される回復
疲れてはいるが、シェットラントの魔法を見れて少しご機嫌になっていた]
[聞こえてくる、爆音
その音の元へ向かおうとすると、繋がれた手を引っ張られる]
『無駄だ 今の俺達は精神体、試練中の奴らに関わることはできない』
………
『……助けに行きたい気持ちはわかるが、行ったところで、ただ見ているだけになんぞ そんなんでいいなら、行くか?』
う………
[改めて、脱落という二文字に頭を支配される
やはり、自分にできることなどないのだろうか……
そんな想いを受け取ってか、シェットラントが立ち上がる]
『お前の家に行くぞ 向かいだろ?そこで、ゆっくり話がしてぇ』
[その言葉に観念したように頷くと、2人で屋根から飛び降り、来島家へと入っていった**]
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