情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
ルナちゃん...?
[ 伝えたコエに、返事がない。いや、それ以前に、いままで感じていた何かが、ふいに途切れた感覚 ]
[ 珍しく表情を強張らせた占い師の様子に、どうしたんだ?と、隣の店の店主が問いかけてくる ]
あ、うん...なんでもない。大丈夫だよ...
[ 答えて返す笑みは、やはり、いつもとは少し違うもの** ]
......ナーくん?
[ 聞こえなくなったコエの代わりに、別のコエが届く。一瞬、ゆらりと赤い靄が目の前に揺れて消えた ]
ナーくんだよね?そっちで、何かあった?
[ いきなりのコエに、相手が驚くかもというのは、今は頭から飛んでいた** ]
ルナちゃんが...やっぱり。
[ ヴェルナーの答えを聞けば浮かぶのは驚きではなく、納得の感情だ。眠ってしまったから、彼女とは繋がりが断たれてしまったのだ、と ]
ああ、うん、僕は店にいる。
なんだかわからないんだけど、突然、こんな感じでルナちゃんとも声に出さずに会話できるようになってたんだ。
便利だけど、やっぱり変だよねえ。
[ ここに至って、病とこの異変が無関係ではないのではないかという疑いが漸く浮かんでくる ]
やっぱり、ミルさんに相談してみようかな。病のことも何か調べがついたかもしれないし。
[ そのファミルも眠ってしまったことを、まだ知らない占い師は、吐息交じりに、そんな言葉を落とした* ]
え?ミルさんもなの?
[ 齎された情報は、今度こそ占い師を驚かせた ]
そうか...ていうか、ナーくん、ミルさんが眠った時も運んだってこと?
あ、だから3人、か。
[ ついでに最初に聞こえた言葉の意味も理解して苦笑する ]
お疲れ様って、言うべきかな。
今、どこにいるの?ララちゃんはまだ一緒?*
[ しばらく、考え込むように動きを止めていた占い師は、突然、露台に広げたお守りや占いの道具を片付け始めた ]
『なんだい、結局おまえさんも店仕舞いか?』
[ 隣で同じように片付けを始めていた店主がからかうように声をかけてくるのには、まあね、と、曖昧な笑みを返す ]
ちょっと、心配な友達のことを思い出しちゃってさ。
[ 商売道具一式は、纏めれば大きな鞄に全て収まる量だ。その鞄を斜めがけにして、隣の店主に、小さな紫水晶のついたブレスレットを手渡す ]
これ店番のお礼。君も気をつけて。
『あ、ああ、ありがとな』
[ 常に無い占い師の真摯な口調に、わずかに面食らったらしい店主は、それでも、自分の瞳と同じ色のお守りを、どこか嬉しそうに受け取った ]
じゃあね。
[ 最後ににこりと、いつも通りの笑みを残して、占い師は大通りを後にする。取り敢えず目指すのは、エルナの家の方角だ* ]
そっか、ナーくんの事だから、ララちゃんも送っていくつもりだと思うんだけど、僕も、そっちに行くから、出来たらちょっと待ってて。
ララちゃんが、早く家に帰りたいって言うなら、僕もララちゃんの家の方に向かうけど。
[ 自分の目的を果たすには、どちらでも問題はない。ちなみに、クララの家を把握してるのは一応お得意様だから、だ* ]
そっか、わかった。
じゃあ、僕は...一度ルナちゃんの様子見てから、追いつくよ。
[ どちらにせよ、一度はエルナの顔を見てからいくつもりだと告げる ]
ララちゃんを頼むよ。あと、ナーくんも無理しないでね。
[ 昼から3人も立て続けに眠ってしまった花精を運んで、ついでに女性たちのトラブルにも巻き込まれたのだ、体力的にはともかく、ヴェルナーも精神的には結構疲れているのじゃないかと、そんな声をかけた* ]
ナーくんの大丈夫は、いまいち信用できない。
[ どういう根拠からか、返す言葉はきっぱりしていた ]
自分は丈夫だからなんて、過信しちゃダメだよ。病の原因だって不明だし...ナーくんが倒れたりしたら、泣く人一杯いるんだからね。
[ 次いで投げたのは、前にファミルにも伝えたのと同じような台詞。つまりは占い師の中で、自己評価の低い人気者、に、ヴェルナーも分類されているというわけだ* ]
― エルナ宅 ―
[ 占い師がエルナの家に到着したのは、ヴェルナーとクララが家を出てしばらくしてからのこと ]
ルナちゃん。
[ 迷いなく扉を開けて、眠るエルナに歩み寄ると、そっと声をかける ]
これ、もう遅いかもだけど。
[ 眠るエルナの指に、金のチェーンを絡めるようにして、月と太陽の意匠のペンダントを置く ]
せめて目が覚めるまでの間、この月と太陽がルナちゃんを少しでも守ってくれますように。*
むう、ナーくん、漢前すぎて...なんかむかつく。
[ うっかりなんか零れた...のは、この会話が心の声であるせいか。
自分より強い男を目の前にすると、誰しも時にはむかつくものだ...現在、我が身の力の無さに、少々落ち込み気味のせいでもあるが ]
僕は別に、普段通りにしてるだけだもの。
ナーくんの前で倒れるのだけは避けたいって、一応思ってるけどね。
[ この辺りもけっこう本音だ* ]
[ エルナの様子を確かめるのが目的の訪問だったから、ペンダントを置いてしまうと、すぐに家を出た。次に目指すのは ]
ララちゃんの家って、確か森の方だったよね。
[ 占いついでに、そんな話もしたことがある。大体の位置の検討はついていたから、迷わず歩き出した** ]
ナーくんは、普段から頑張りす...まあいいや。
[ これは、ツッコミ続けると延々押し問答になる、と、漸く気づいて、そこは終わりにしておいた、が ]
抱えるのも、背負うのも、担ぐのも遠慮しとくからねっ!
[ こちらは突っ込まずにはいられなかった男心だ ]
......だから、ナーくんの前では倒れないって。
[ 続いた言葉に、やっぱり結構堪えてるんじゃん、と、思ったのは少し柔らかくなった口調に滲んでいたか** ]
[ 幸いにして、途中で眠りこむこともなく、無事にクララの家へと辿り着いた ]
ララちゃん、ナーくん、無事かい?
[ 玄関の扉をノックして、まず問いかけるのが、こんな言葉なのは、状況的に致し方ないところだろう ]
良かった、二人とも倒れちゃってたらどうしようかと思ったよ。
[ 二人の無事を確かめれば、そんな風に笑いながら口にする。
冗談めかした口調はいつもと変わらないが、瞳には、本物の安堵の色が浮かんでいた* ]
[ 返されたヴェルナーの念押しめいた言葉に、返事はしなかった。すぐにクララの家に着いて、直接顔を合わせたから、不自然ではなかったろうと思う ]
リアは、寝るのと遊ぶのがお仕事だもんね。
[ 仔猫を撫でるヴェルナーに、くすと笑って、自分もぽふりと、リアの頭を撫で ]
あ、そうだ、ナーくんにもついでに渡しとくよ。
[ カバンから取り出したのは、黒水晶を彫刻した人差し指程の長さの、ミニサイズのペーパーナイフ ]
黒水晶は魔除けになるっていうからね。病も病魔っていうくらいだから、気休めくらいにはなるでしょ?
あ、お代は今度、釣った魚を分けてくれればいいから。
[ 女の子じゃないから、無料サービスはしないよ、と、にやりと笑った* ]
[ ざわざわと、窓の外の木々を風が揺らす ]
今日は、ちょっと風が強いね。
[ 香草茶のカップを手に、視線を窓の外へと投げた占い師の胸元には、瑠璃と透明のリング......瑠璃色が少し薄くなったようにも見えることには、持ち主自身、気付いてはいない* ]
/*
赤い靄も、石の色も、気のせいかもしれないけどな!...という余地は残しておくのです。
病の顛末が分からんからなあ...
狼勝ちで終わっちゃうと、枯れたくなってしまうので(待ちなさい)吊ってもらうのが一番平和なんだよなー
へえ、この辺りではいい香草が摘めるんだね、今度僕も探してみよう。
[ クララと談笑したり、草のボールにじゃれる仔猫に和んだり、ひとときの休息を楽しんだ後 ]
ごちそうさまでした。
じゃあ、僕はそろそろ失礼するね。
[ 空になったカップを置いて立ち上がる ]
ララちゃん、ナーくんも、あと、リアもありがとう。楽しかったよ。*
あのね、ナーくん、もし...赤い靄みたいなのが見えたら、気をつけて。
[ 立ち去る間際、躊躇うようなコエが、落ちる *]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新