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[ざわり、と風が木々を揺らし。]
威勢のいい女は好きだよ。
まあ、だからこそ残念っちゃそうなんだけどな。
[本心を包み隠し、笑顔すら見せながら軽口を叩いてみせる。
そうでもしないと決心が鈍りそうで。
相手がこちらを覚えていないのならそれでいい。
こちらも相手の事は覚えていない、相手はただの敵。
そうでなければならない、だから名前も呼ばない――否、呼べない。]
来るなら来い、今度は逃げずに全力でな!!
[まずは牽制の一撃とばかりに槍を横へと一閃。
風が刃となってキアラへと向かって襲った。]
―― まだ霧の晴れぬ中 ――
あー…敵と遭遇、ちょっと逃げらんねぇわ。
これは俺が止める。
一人だけだしそっちに行くこたねぇと思うけど一応警戒しといてな。
[会いたくなかった相手に遭遇した動揺は隠し、軽く伝えた。]
―― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ――
[霧の中、距離が離れていようとも風が霧を吹き飛ばし相手の様子はしっかりと見て取れる。
予想通り風の刃を避ける様子に槍を構え。]
おっと、やるね。
[鋭く斬りつけてきた刃(>>85)を槍の柄で受け止め、間近にあるその顔を見つめる。]
―― 回想:コインを拾った日 ――
[小さな泉でコインを拾った日の事だ。]
ねーとうさーん!! 見て見て、これ!!
[無邪気な笑顔で見せたのはこの一帯では流通していない二枚のコイン。
見せられた養い親である猟師はそれを指で挟み、太陽に翳すように眺め。]
『こりゃ珍しいもん拾ったな、で、これをどこで拾った?』
へへ、珍しいだろー!森の泉の中だよ。
『……この馬鹿!!子供だけで行ったらダメだって何度言えば分かる!!』
[怒鳴られながらも拾えた嬉しさに笑みは隠しきれず。
首を竦めながらもくすくすと笑っていれば、養い親は呆れたように溜息をついて苦笑いを浮かべた。]
『全く、てめぇを拾ってから俺の白髪がどんだけ増えたと思ってんだか。』
…しらが……?
[養い親の頭部はつるりと光を反射していて、白髪など見当たらない。
きょとん、と見上げるコンラートの様子に養い親は再度苦笑いを浮かべ。]
『これ、キアラにやるんだろ?どれ、俺が穴あけてやろうか。』
んーん、俺が自分でやるんだ。俺もうおっきいからさ、そんくらい自分でやる。
[そう言ってコインを取り返してぎゅっと握り締めた。]
[この後、悪戦苦闘しながらなんとかコインに穴を開けてお揃いの紐を通し。]
はい、これ。
俺とキアラだけの宝物な!
[穴を開ける際に指はぼろぼろになって、それでも満面の笑みでキアラへと渡したのだった*]
―― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ――
[幼い日に渡した想い出のコインは投げ捨てた。
優しかった想い出も同時に捨てたつもりだったが。
刃先が触れ合う程の距離、視線が合うのは必然。
戦場で敵から視線を逸らすなど、殺して下さいと言うようなものだろう。
だがそれでも、視線が絡み合えば早鐘のように心臓は鼓動を刻み、痛む。]
――――風よ
[風を呼び起こし二人の間に割り込ませ、その勢いを借りて一度後退し。
辺りを取り巻く風を槍へと纏わりつかせ。
まだ見ぬ氷竜の攻撃を警戒しながら槍を相手へと突きつける。
じり、と緊張感が漂う中キアラの持つコインは見えただろうか**]
/*
そういえば今回のイメソンは東方の風神少女-Long ver-
そのまんま風のイメージ。
前半の明るい曲調もいいし、後半からのピアノアレンジもよい。
―― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ――
[風の力を借りて後ろへと下がっても、間近で見た顔が焼き付いて離れない。
幼い頃のまま変わらない瞳の色が、まざまざと過去を突きつけるようで。
思考が千々に乱れている中での攻撃はしっかりと受け止められて(>>138)
反射的に槍をそのまま横へと薙ぎ払おうとして、それが目に入った。]
(―――――くそっ、)
[少女の胸元で揺れる二枚のコイン。
自分が捨てたはずの想い出がそこに揺れていて一瞬の動揺を誘い、その表情は苦しげに歪む。]
……ネージュ!
[故に反応が遅れた。
少女の声が耳に飛び込んだとほぼ同時に氷竜の腕が
コンラートの声と、白竜自身の危険回避の本能とで身体を引くが完全に避ける事は出来ず横腹へと一撃を受けた。
白い鱗は硬く、傷を受け血が流れるなんて事はなかったが。
その内部へと打撃ダメージはしっかりと受けてしまった。]
[ネージュの痛みに呻く声が聞こえる。
それでも大丈夫だと、健気な声も聞こえる。
自分の不甲斐なさが
想い出は捨てると決めた。
目の前にいるのは敵、可愛くて、妹のように大事にしていた幼馴染なんかではなくて。
ただの――――敵だ。]
[すぅ、と目を細め表情が消える。
槍を構えなおし、風がぴたりと止まってその場は凪いだ。
白竜の傷は心配ではあっても、止まるわけにはいかない。]
ネージュ、行くぞ。
[静かに呼びかける声に白竜が弾丸のように氷竜へと向かって突進し。
槍を前へと突く動作を見せ、相手が避ける素振りを見せた瞬間槍をくるりと反転させ。
柄で少女の身体を殴ろうと思い切り横へと振り払った**]
―― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ――
[槍を持つ手に確かな手応えを感じた(>>186)
無表情の下に隠した感情は揺さぶられ、傷つけたはずの自分が切り刻まれるような感覚に襲われる。
気持ち悪い、目の前が揺らぐような気持ちをぐっと抑え。
強く少女を睨みつけた。
長槍は素早く何度も攻撃するのに向いていない、どうしたってその長さのせいで遅れが生じる事がある。
目の前にいる少女がこの一撃で落ちるなんて甘い予想は当然捨てていた。
追撃が来る事も分かっていた。
だが避けるには間に合わない、ならば。]
―――耐えろ!!
[コンラートの強い言葉に白竜の身体にぐっと力が入る。
回避はせず真っ向から氷竜の攻撃を受けた。]
―――くっ、…ま、だ…いける!!
[氷竜の攻撃は白竜の脇腹を強く打ち付け。
その勢いは落ちていたとは言えコンラートの左腕をも打ち付けた。
しかし耐えたおかげで距離は空いておらず、間近に少女はいる。
痛みを堪え槍を素早く少女へと向けて振り抜こうとした。
瞬間、痛みに低く呻き眉が寄る。
僅かに鈍る動きと精度、それでも最後まで手を緩める事なく切っ先は少女を目指して振り抜かれた。]
―― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ――
[振り抜いた槍に手応えはなく、しかし多少は相手を掠ったようだ(>>218)
即座に体制を整え反撃に出ようとして、氷竜の羽が起こした風に動きが鈍る。
常ならばそんなものは蹴散らすのだが。
白竜自身が受けた傷と、纏わりつかせているはずの風を沈めているせいで上手く出来ず。]
…いい加減に…―――ネージュ!!
[氷竜の動きに警鐘が頭の中で鳴り響く。
騎竜の特性――ブレスでの攻撃。
まともに食らえばただでは済まない。
相手が加減をするかどうかなんてこの状況で判断出来るはずもなく。]
―――
[白竜が言葉を受けて翼を大きく開き。]
[風が無数の刃となって少女へと向かう。
コンラートが風刃と称される所以がそこには存在した。]
―――……キアラ!! 避けろ………っ!!
[呼ばないと決めた名前を喉から振り絞り。
悲痛な叫びは風に紛れて霧散した。]
/*
正直墓下落ちてもいいなぁとも考えてて。
俺が落ちたらアリーセに火が着くかなぁとか、着かない可能性もあるけど。
マリーは分かれてから、ウェルシュは最初っからほとんど絡めてないから墓下で回想とかできゃっきゃうふふ色々話を深めるのもいいなって。
でも生き残ったら全力で頑張るよ。
―― 霧がまだ晴れぬ中・上空 ――
[風に阻まれ氷の結晶は散って、消えていく。
それでもいくつかはこちらまで届き、露出した肌を削り取っていき。]
キアラ!!
[霧の中、僅かな光を反射して煌く氷結と。
少女から舞い散る朱の雫が軌跡を描き、下方へと落ちていく。
自分の受けた傷も、痛みも忘れて落ちる少女へと手を伸ばし。]
――――間に合えっ、
[もう敵であるとか、白竜の受けた傷の大きさだとかそんな事は頭から追い払って。
全力の風を身に纏い少女を追う。]
――――風よ!!
[少女を襲った無数の刃ではなく、柔らかで、しかし力強い風が落ちる少女と氷竜を包み。
それを見届けると、白竜も力を失ったかのように緩やかに落下を始める。]
ごめん…ごめん、ネージュ。
[無茶をさせた。
優しくて、頼もしい白き相棒は自分以外に懐く事は滅多にない。
それでも誰かを傷つけるのをよしとしているわけではなく。
コンラートの嘆きを、心の内を流れる傷を直視しながらも。
健気にこちらの命令を聞いて、そして自らの心を傷つけてくれる。]
[縋り付くように白竜の首へと腕を回し、きつく目を閉じた。
思い浮かぶのはしっかりしているのに、どこか危うげなラートリー。
飄々として掴み所はないが頼りになる傭兵ロー・シェン。
優しくて儚げな少女マリエッタ。
どこか浮世離れした雰囲気のウェルシュ。
そして―――――――。]
……アリーセ、会いたい……な。
[護りたくて、誰よりも愛しい少女の姿。
皆がいるから耐えられる。
一人だったらきっと、耐え切れずに号泣してその心が壊れていたかもしれない。
大事な妹をこの手で傷つけた行為に。]
―― 霧がまだ晴れぬ中 ――
[地面に到着すれば白竜はくたり、とその身体を休めるように地面へと伏せる。
その身体を摩ってやりながら、視線は離れた位置にいる少女と氷竜(>>261)へと向けた。]
―――――…生きてる。
[少女もまた地面へと身体を伏せてはいたが、僅かに動く様子が見て取れた。
ほっと息をつくと同時に、止めを刺しきれない自分に歯噛みする。
その事実から目を逸らしたいとばかりに少女から視線を外せば。
離れた位置に曲刀が転がっているのが目に入った。]
[痛む身体に鞭打つように立ち上がり、軋む身体に表情は歪むがそれでも歩きだして落ちていた剣を拾い。
少女の元へと近寄ろうとすればぴくり、と白竜が動き小さく鳴いた。]
…大丈夫、これで最後にするから。
[ちらりと視線を白竜へと向けて笑みを見せて。
そのまま少女の元へと歩み寄り、その身体の近くに曲刀を突き立てた。]
もし、次があるなら殺す。
俺には待ってるヤツがいるから、例えお前でも容赦はしねぇ。
[それは自分へと言い聞かせる言葉。
険しい表情でそう言い切ると、ふと表情を緩め。]
でも、こんなくだらない戦いが終わったらその時は…。
[また名前を呼んで、兄と呼ばれて。
以前の二人へと戻れるだろうか。]
甘い夢だと笑うか?
記憶がないんだっけか、なら意味が分かんねぇのかな。
でもそれでも俺はそう思ってるって、そう言っておかないとダメだって思ってさ。
じゃあな、また会おう―――それまでさよなら、キアラ。
[ひらりと手を振るとその場を立ち去り。
白竜へと跨り空へと舞い上がるだろう*]
―― 霧の中・友軍の元へ ――
[全身が痛い、気絶しないのが不思議なくらいだ。
それでもこんな所で休めるわけがなく、友軍の待つ拠点へと戻るべく空を翔ける。]
…ネージュ、もちょい頑張ってな。
[きゅ、と白竜は鳴いて答えた。
健気な様子に首を優しく撫でてやり、そして通信具を取り出して部隊の皆へと報告をする。]
…一応相手はどうにかした、けどまだ生きてる。
騎竜師なら仕留めておかねぇとダメなんだろうけど、悪いな。
―――…俺の…、力不足だ。
[力というよりも精神のあり方の甘さ故。
止めを刺す機会はあったのだ、曲刀を地面へと突き立てずに少女の柔らかい肉体へと突き刺せば簡単に殺せただろう。
声には苦々しい気持ちが滲んでいただろうか。]
[通信を終えて、ふと空を見上げる。
あれだけ霧が深かったのに、光が差していた。]
…そろそろ、晴れるか。
[晴れればまた戦闘は激しく、両軍でぶつかり合うだろう。
休む間もない、と溜息をついて。
拠点へと戻るべく速度をあげた**]
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