情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新
特務曹長 ウルズ は 特務曹長 ウルズ に投票した。
― カムチャツカ半島 ヴィリュチンスク市 ―
[アバチャ湾を一望できる崖の上の立つ人型。
この地の主要戦力であった自走対空戦車とジンロボの混成防空部隊は早々にスクラップとなり戦闘は早々に掃討戦へ移行した。
湾口部を塞ぐように沈んでいく警備艇を一瞥した後、旧世紀の遺物である岩盤を繰り抜いた潜水艦基地へメインカメラを向ける。
軽く地面を蹴れば、ブースターの光を煌めかせ潜水艦基地へ滑りこんでゆく**]
意外と容易かったな。
『何いってるんだよ。俺の実力が際立ってるって事だってば
どれだけヤバイ電子防壁が走ってたと思うのさ。』
[ADHI Slot17 ユーヌスは軽い調子で言葉を返すが取り合わず
背部ミサイルランチャーを再装備して潜水艦基地から滑りだしてくる機体は、ライフルを潜水艦基地入口へ向ける。
3秒の照射で鈍い音と共に連鎖爆発が起こり、地獄の竈の如く轟々と火を噴く基地。]
― カムチャツカ半島上空 ―
『腕前はわかっているが暫く黙っていろユーヌス』
『りょーかい、少佐殿。そんじゃ大尉?』
『曹長。プランは実質2種だ。このまま北上し北極圏から一気に南下するルート。
または、シベリアを経由し中央アジアを西進するルート。』
『北極圏ルートは北米連合や連合軍の猛烈な抵抗が予想される。』
『中央アジアルートは天使と遭遇戦が発生するだろう。』
……中央アジアだ。
北米連合防空圏内で一々戦闘していてはキリがない。
『俺、天山山脈みたかったのにな。
せめてレナ川でも見に行かない?』
[圧縮言語で行われる作戦会議は1ナノ秒で終了し
機首を西へ向ければ、蒼い尾を引くようにして飛翔を開始する。]
『曹長。少佐と私が超音速巡行中の機体制御を代行しよう。
30分程度は仮眠が取れるだろう。 』
了解した大尉。
[返答と当時に手首に繋がる管から薬剤が投与され、女は短時間の休息に入る。微睡みの中に見るのは――……。]
― メンタルコンディション急速悪化 ―
― メモリに介入。限定削除を行う ―
― 少佐?! 人格に影響を与える可能性が…… ―
― 12年だ……もう十分だ。ユーヌスやれ―
― ……りょーかい ―
― タリム盆地 タクラマカン砂漠上空 ―
[朝焼けに染まるポベーダ山。
西空へ落ちてゆく星々。
フィルタリングされたブースターの轟音は耳に届かず
荒涼とした無音の世界が眼下に広がる。]
I have control.
[情報の共有は睡眠時に完了しており
機体制御権を受け取れば、何時もと何も変わらず操縦を続ける。]
―――?
[それを警告音が静寂を破り
上空へ視点をオートフォーカスさせる。
超高高度を行く流星――。
蒼い尾を引くそれに画像補正が瞬時に入り
所属を示すコードが表示される。]
AIU
An-Najm 09AIUAn-Najm 09
AEDR
Ash-Shams 01
[アラブ・エジプト民主共和国所属と補正される
自機に酷似したフォルムに長大なブースターを装備する機体。]
-沈み行く星にかけて誓う-
ABHI Slot1 Ali DisConnected.
ABHI Slot2 Sinan DisConnected.
ABHI Slot17 Yunus DisConnected.
[朗々とした男声に
ABHI各スロットとの接続が強制的に解除されて行く。]
――貴様。
何故、それに乗っている。
[異状振動と共に追従性が落ちた機体を制御しながら
回線を開き、怒りの滲む声をかつての戦友へ向けた]
『答えが必要なんですかね曹長?』
[何時もと変わらぬ調子で返される言葉。
ロックオンアラートが脳内に鳴り響く**]
――ッ。
[降り注ぐミサイル。3基を低出力ビームガンで撃ち落とす間に敵機は追加ブースターをパージ。後方へ流れ行くブースターは空中で分解しながら地表に流れ落ちてゆく。
パワーダイブを行う敵機が視界に入り意図が読めずに眉間が寄る。
射撃機の戦いで高度差を捨てようとするのは余りに無思慮すぎる。
何かしらの意図があるのか――。]
[敵機はミサイルで回避機動を限定しながら偏差射撃での撃墜を意図するように見えたが基本的な攻撃で落とされてしまう程女は素人では無い。大出力ブースターの強引な機動で敵の回避機動予測を覆しつつ、ビームガンを打ち返しゆく。
双方ともに射撃が命中する気配は無く空を滑り舞うような機動の合間に、二人を繋ぐように光が走ってゆく。]
――カシム。何故裏切った。
AIUの庇護がなくなれば、我々は連合の二等市民として生きざるをえなくなる。そんな事がお前の望みなのか。
『んな王族のプロパガンダをマトモに信じているんですかい?
彼らは――連合は旧世紀の二の舞いは冒しませんよ。
むしろAIU首脳部の無能さがイスラムコミュニティには害悪だ。
そして、そんな王族に迎合し、私怨を晴らすことしか頭にない貴女も――。』
『どちらにしてもAEDRとAIUではまともな戦争になりはしない。
貴様はどうしようもないクズ札に己の運命を託す程に馬鹿だとは思っていなかったがな。』
[双方の距離は1km未満となり、至近距離といっても良い距離でのハイリスクの撃ち合いになるかと思われた。
しかし、敵機の腕先が紅く煌き始める。
それが、自機にない近接武器と理解した時には既に遅く――]
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 エピローグ 終了 / 最新