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……ああ。まあこんな事を聴く理由としては。ええ。
個人的に、パメラさんと云う方に少し興味を抱いているからなのですが。
[本来の発言意図とは外れて、中々大きな地雷でシュートをオットーへ決めたかも知れない事は未だ知らぬ華だとか**]
可愛いし魅力的な女性、ですか。
なるほど、なるほど。
……そんな良い珠か甚だ疑わしいが。
[ハンカチを差し出しはしたが、何故変に慌てているのか。
からかうのが愉しそうな相手だな、と胸中で失礼な感想も浮かべて]
恐らく、僕の神経は、オットーさんには理解出来ないと思いますよ?
色々と麻痺している物が多いですので。
自分自身で云うのもおかしな話ですけれど。
[対して、自分ほどからかい甲斐の無い存在も珍しかろう。
これが、同じ人類の区分であるのだから始末に追えない]
……まあ、それは良いんですよ。
この事件について話したい事、と云うなら。
奇遇な事に、僕も貴方にお話してみたい事がありました故に。
[湯気立つカップを両手で包み込み、朗らかな笑顔と共に空にした。
唇から再び離した時、カップはもう、逆さに返しても精々水滴が一、二零れる程度で、何も残る事はなく]
オットーさん。
お互いを良く知っている。
家族の様な、或いは家族同然の人、でしたか?
…あぁ、いえいえ。
別に性質の悪い冗談を言っている訳ではありませんよ?
言葉の意味は、恐らくもう暫くすればご理解なされるはずです。
[ゲルトを亡くした時の呆然とした姿を思い起こせば、大きな問題は彼だろう。
結局、最終的な局面において必要なのは、自分以外にも、残された村人達が、人狼を本当に殺す事が出来るか、という意思が問われる。だからこそオットーを真先に尋ねた訳だが]
……ロマンスにご興味を持たれた事は?
[きりきりと、不穏な言葉で緊張の糸を締め付けておいて、あっさりと話題をその手で崩した。
問いつつ、果たしてその様な物が普及しているか、微かに疑問を感じもしたが]
本や物語を見聞きした事があれば、概要位は解るかと思います。
例えばシェイクスピアの戯曲、ロミオとジュリエット。
赦されぬ恋の物語。
紆余曲折の末に破綻して、両者自殺のバッドエンドに終わる悲しい話です。
非常に愚かな話だと思うのですよ。
血で血を洗う関係にある、両家の愛は初めから物理的に無理があるのです。
住む世界が違うのですよ。
身分違いのロマンスなども、より解り易い例題でしょうね。
変哲も無い平民の娘と、貴族の嫡男の恋。
耳障りはとても素敵な恋に思えますが、ご本人同士は勿論、他人をも巻き込む障害のお陰で、現実問題ではそう思い通りに事は運ばれません。
平民には平民の身丈があり、貴族には貴族の格式があります。
無理をして、元々合わない背丈に自分や相手を合わせ、結果大体が破綻する。
お互い、ご自身の世界に目を向ける事が、本来の正しき愛の姿なのですよ。
ロミオは、キャピュレットと言う異なる家柄、異なる世界の住人であるジュリエットに恋をすべきでなかったのです。
だからこそ悲劇は起きるのですから。
……少しお話が長くなりましたね。
[既に朝食のカップとソーサーには何も残されていない。
関係の無い話で、空気を濁すだけ濁し、そそ、とパン屋を辞す様に席を立つ]
ご馳走様でした、オットーさん。
僕はほんの少し散歩に出させて頂きますが、すぐに戻らせて戴きます。
御代は……申し訳ありません。
後程でもいいでしょうか?
すぐに戻りますので、ご安心ください。
カタリナさんか、アルビンさんがご無事でいられるか。
お二人のご無事を確かめたら、すぐに戻りますので。
[にこやかな表情を浮かべながら、彼を店の中へ取り残す様に。
足早とパン屋の扉は開かれ、宣言通り村の中へとその姿は見えなくなるだろう]
― その後 カタリナの家 ―
[村内の捜索は二択。
然し、生憎この村の地理に詳しくない上、今回は外部からも理解できる様な、扉の破壊がされている家が見付けられなかった為。
パメラの家、ゲルトの家、を除いた全部の其れらしき民家を、玄関まで、失礼して改めさせて戴く事にした]
……流石田舎村、泥棒も入り放題だな。
こんな場所にまで来る泥棒もいないのだろうが。
[微かに血の匂いが漂う家は無いだろうか。
確かあのチーズを作る羊飼いの家だと聴いていた為に、試しに牧場の様な敷地の近くに存在する民家を訪れた際。
鼻を突いた赤色の臭いに、眉を顰めた]
[亡骸は大凡、昨日ゲルトが襲われた時と、同一の人狼による物だろうと思われた。
心臓へ、恐らく爪を突きいれた]
人狼の中には、必要以上の死体損壊で愉しむ様な趣味の奴も少なくない。
この程度で、比較的安らかに済ませてるのは、あいつの心ばかりの積もりなのか。
純粋?いいや俺ならこう表現するよ。
……偽善者すぎて反吐が出る。
[床に散らされたのは、大量の薔薇の花弁が、溶けて水溜りとされた様で。
変わらず、傷ひとつ無い顔で、永久の眠りに就かされた彼女の亡骸には。
慎ましやかな薄い菫色を誇る、一輪のクレマチスの花。
眠る彼女の赤で微かに汚れた、心美しき花]
― 村内 ―
[カタリナの死を伝える為、パン屋に戻る道中。
残された人間は、自分を省き、二人。
彼らは、正しく人狼を殺す覚悟を持つ事が出来るのだろうか。
障害は、人狼のみとばかり考えていたからこその油断は見落として]
……おや、アルビンさん。
丁度よかった。
[村の中、アルビンの姿が視界に現れた事を認め、視線のみの会釈を。
彼は気付き、此方に向かい来るのか。まずはカタリナの死を伝えよう、と鷹揚に構えていた]
[現実的な問題として、フリーデルの死が尤も貢献した事は、村人達がお互いに対する疑惑の眼を向ける事よりも、他でもない、自身の生存の為である事にこそ意義を見いだせると考える。
現実、彼女の死、そして恐らく人狼は今日再び、余所者の我が身を陥れるべく昨夜を活かしたなら。
利害は一致。皮肉な事だが思惑はお互いに共通していた]
……アルビンさん。僕が人狼ですって?
随分を自信ありげなお声ですが。
根拠をお聞かせ願ってもよろしいでしょうか?
[人狼ではない。想像外の人物からの確信めいた糾弾。
何を云うのか、眉を強く顰めながらも、問い返してみせる]
――…お前、狂人だな?
これは随分と油断したな。
狩人も霊能者もいねえ様な寂れた村で、狂人だけがちゃっかりいやがるなんて。
[唇を釣り上げて、逆に確信の響きでアルビンを視線で射抜こうとした。
表向き温厚そうな神父の皮は、もう誰に隠す必要性もない。
純粋な人間は、ひとりしか存在しないのだと知らされてしまえば]
ほーぅ。飽くまで言い張るか。
狂人がフリーデル、なぁ。
正直、初対面であるなしに関わらず、あいつの行動は正気で無いかも知れなかったな。
お前なんかよりは、よっぽど良い方向の狂い方だがな。
[尤もだろう、あの時、自分達はお互い初対面である様に最期まで振る舞い続けたが。
バレるならバレるで仕方が無い、然し表情を崩さないのはお互いと云う処か]
悪魔に懸想したイカれ野郎なのか。
それとも、人間の血が混ざり過ぎた成り損ないなのか。
その辺の、お前の事情は別に知らなくても構わねえな。
どうせ人狼さえ殺してしまえば。
お前の末路は、異端の邪教徒に相応しい最期が用意されてるだろうて。
その時の最期の祈りは、是非とも俺が担当してやりたい限りだよ。
[くつくつ、と侮蔑の嘲笑すら浮かべてみせるその瞳は、笑みが無い。
冷たく、悪魔たる人狼に人間の身で手を貸す、道に背く者に対する、軽蔑と嫌悪の意識が見受けられる]
[突然見せた本性に、眉を顰めると云う表情の移ろいに、してやったりと唇が微かに笑う]
悪魔で結構。聖職者が高潔な存在だと思ったか。
汚職と私欲に塗れた俺以下のクズも一山幾ら。
その上審問会の調査では、神父が人狼の可能性は非常に高いらしいぞ?どうだ恐れ入ったか。
『聖職者はとりあえず処刑しとけ』なんて、冗談にしても恐ろしい暴論だと思わないか?
[この人狼め、そう罵られたら毅然と否定しただろう。
然し、アルビンのその糾弾は、寧ろ自ら肯定するべき言葉と受理した。
当然だろう。本職は、悪魔と疑わしき者を、喩え無実の人間を多少は巻き込んででも処分する、神から与えられし浄化の使命とやら。
そして己が保身の為に、本来救えただろう者を見殺した。これの何処をどう見れば、悪魔の所業で無いとのたまえるのだろう]
そして何より冗談みたいに哀れで滑稽なのは。
俺達の様な悪魔しかいない、閉ざされた庭でひとり何も知らずにいる、あの箱入りの様な坊ちゃんだ。
神は嘆かれておられるぞ?
真実に気付いたとて、これまで築き上げた世界をその手で跡形なく砕くハメになり。
真実に気付かなければ、自分を取り巻く何もかもに裏切られた絶望の中、人狼に喰い殺される。
どっちに転んでも壊れそうなオチが良いトコだろうあの哀れなる若者の不幸を。
神は嘆かれておられると思うぞ?
[親兄弟、親友恋人が実は人狼である、と云う絶望の中で最期まで生き残ってしまう村人と云うのは、案外良くある光景だ。
中には強く上を向き生き抜ける、精神状態の強い村人も存在するが。
中には絶望に耐え切れず、その後の余生を廃人状態で過ごす様な者も勿論いる。
さて、もしこの惨劇を打ち砕けたとしても、彼はどの様になるだろうか]
……それで、質問させて欲しいんだが。
お前が態々俺の事を探しに着てくれたと言う事は。
唯の宣戦布告のつもりか?
[眼前、二人きりの状況で、人狼めと告発しに来たアルビンの真意を図る様に、歩幅をひとつ踏み入る]
俺なら此処で、あの坊ちゃんに真相を話す前に、俺を殺して全てを有耶無耶にする選択肢を選ぶ所だが。
…通させて貰うぞ?
[最低でも、本当の人狼は何者かを伝えなければいけない。
百歩譲り、彼が真相を悟れたとしても人数比、二対二。
もし人狼を殺す前に、己か彼が殺されでもしたら、流石に昼と言えども人狼に抗えなくなる。
先程の、覚悟を覚えさせる為に、遠まわしに含めた人狼の正体。
彼が正しくそれを受け入れてくれる事を片隅で祈りながら、パン屋への道を。
何をしてくるか、予測も付かないアルビンに対して、警戒心を集中させながら**]
[だから、アルビンを避け、パン屋へ向かおうとしていた身体は転換し]
――…おおぉっ!!
[大振りのナイフを手にする、アルビンへ、素手にも関わらず猛然と飛び掛る。
狙いは…アルビンが持つナイフを奪う為]
[幾ら特殊な能力を持つ異端審問官とは言え。
己には、人狼を、妨害する狂人共々殺せる程の力はない。
だからアルビンのナイフを奪い、任せようと考えた。
誰の真実を信じて、誰の神を殺すのか。
真相と現実から瞳を背けるか、正面に向き合うのか。
先に殺されたらそこで終わり、己の信じる正答を導けなくても終わり。
最期の決断を託す為、その為に今必要な刃を奪おうとアルビンのナイフへ両腕を伸ばす]
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……知的で鬼畜な神父のはずが。
微妙に物理的な戦いが存在するゆえにか、若干熱くなってる。
後30分だけど、間に合うかな間に合うかな。
どちらに終わってもBADな予感しかしないので、パメラとアルビンが優しい場合はこのままさっくり僕が死ぬのが最も優しいENDではあると想うんだ……っ!
[神はその意思で生贄を求めた事は一度たりとも存在しない。何時の時代とて、神への奉納と生贄を差し出すことを決めたのは人自身。
ならば、そんな傲慢な贈り物を前に、神は人へ対価を恵むのだろうか?]
――ぐア、この。
観念して、そいつを……!
[真正面から心臓を狙われそうと悟り、咄嗟に庇う左腕に深い傷跡が切り刻まれた。
ぼたぼたと腕と地面を赤色が汚し、痛みに表情が蒼白とするが、断と抵抗する。
微かに気を抜けば心臓を貫くナイフを奪い取ろうと、ぐいぐいと横へ横へ奪い取る力を籠め続けている。
その危うい均衡は、外からの手が入ればすぐに崩れるだろう]
……神?
生憎だけど、俺はそんなのに願った覚えはねえよ。
[この拮抗を崩しはしない。花も嵐の中散り過ぎた、閉ざされた村で、最期の。
唇を歪める。最期の決断を待つ、均衡の狭間に置かされているのに、唇は小さく笑みを浮かべた]
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