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――そなたは、正しい者が強いと思うか?
[作法に反し、質問に質問を返す。
返答は如何なるものであったか、それを聞くだけの間を置いて、氷華は語りを続けた]
この世の王となる者は強者。弱者が影響を及ぼすことなど出来ぬ。
もしも正しくない者が王たらんとするならば、その者の勝利を阻み続けるか――
それが叶わぬならば、如何なる者が王であろうと、耐え凌ぐだけの力を身に着けるしかあるまい。
[かつて千年の冬にさらされ、枯れた花を知る蓮魔はその言葉をどのように聞いていたか]
[返答はやや、蓮魔の疑問>>52とずれてはいたか。
その言葉を聞き、思案するように瞑目して、フン、と息を漏らす]
かつての氷華は、それを体現した。
いや、真意が何処にあったのかは、私も確かには聞いていないが。
勝利した以上は容赦はしない。あの方はそういう王であった。
[自らを凍りに閉ざせ、という蓮魔。
確かに、そうする道はあったろう――力を継ぐ際、先代も示唆してはいたが。
だが、氷華は氷雪と同時に、苛烈なる冬の神でもあった]
あの方は言っていたよ。
王華の全力を持ってしても、この世は滅びはしなかった、と。
[『氷華』を継いだ者は、薄い笑みすら帯びて、語る]
雪に閉ざされた世を詰まらぬと評する者もいたが、そうではない。
雪の中にあっても身を寄せ合い、必死に抗おうとする様は、この上なく美しいものであった。
[雪ではなく、雪の中の常緑――
それを得るために出した犠牲は、計り知れないものであろうが。
『氷華』を名乗る氷神は、それを否定することはなかった*]
妙な?
儀式はしたが、妙なことをした覚えはないな。
[ハルトの詰問には平然と答える。
が、護花の呟き>>+20により真実は知れてしまったか]
……ふん。ようやく目を覚ましたか。
[ハルト君、と名を呼んだ辺り、やはり記憶や精神に掛けた縛りは緩んでしまっているようだ。
今はまだ惚けているようだが、意識がはっきりすれば面倒なことになろう。
肩を竦めている所に、再びハルトの詰問>>55]
確かに記憶や感情を奪いはしたが……他に何かあるのかね?
特に娘だから特別なことをした訳でもないぞ。
[性別は関係ないだろう。
現に男同士の主従でも似たようなことはしているようだし]
[ハルトが脱いだ上着を護花へ投げる。
視線を向ければ、何か言い掛ける護花>>+21と目が合った]
――こうなるから嫌だったのだ。
[ハルトの上着を受け止めた護花。
しかし何故か彼女はこちらの外套を使うらしい]
何を言っている?
私としては、疾く着衣を直して返して欲しいのだがな。
[不機嫌に言ったが、果たして意識取り戻した従華は従うだろうか*]
[護花から返って来たのは、はっきりとした拒絶>>+31。
眉をひくりと動かすも、強引に奪い取ることはせず]
勝手にするがいい。
[どうやらハルトを気遣っての言葉だったらしい。
それに加えて意趣返しか。
特に反論するでもなく、ただ一枚薄着になったことで余計に目立つ焼け焦げに嫌そうな視線を向けた]
[ハルトと会話しつつ、護花に向けられる極低温の視線>>+32。
直接何か言われるでなければ、それに反応することはせず*]
[「強い者が正しい」。
そう口にする蓮魔>>59に一瞥を向ける]
ほう。
ならば、強い者が何をしても、それを正しいと受け入れる、と?
[それは純粋な疑問。
『氷華』の名を継いだ者は、先代への強い反発もまた感じていたが故に]
[先代の意志はひとまず伝わったらしい>>60が、ならば当代はと問いを向けられる>>62]
……半分は、その通りであるな。
[特に否定的な様子のないその声へ、やや間を置いて答える。
美しさ、強さ、そうしたものを、過酷な冬を齎すことで確かめる。
『譲葉』では神の在り方も多種多様であるが、氷華はそうした役目の神として、自らを定めていた]
もう半分は――……
[躊躇いの時間は長かった]
――ふん、これを聞くからには、次の対戦も必ず勝つのだぞ?
[蓮魔が此度の選で王華となれば、少なくとも四君子として再び当たることはない。
この真意を知った上での対戦は絶対に避けたかったが故に、そう前置きして]
間違った者があるなら止めよ。
正しき者が力を付けて上に立て。
単にそう示したかっただけよ。
[『間違った者』を放置せず倒す意志がある者ならば、少なくとも幾らかは『正しい者』に近くはあるだろう。
つまりそうした者を四君子の位置まで持ち上げるか、もしくは四君子にそうした意志を持たせるため。
つまり王華を目指すという言葉の、半分は
――もっとも、そう気を回さずとも、氷華を倒すという意味では既に満場一致しているようだがな。
蓮魔め……。
[護花>>+35の内心までは読めなかったが、意志が戻った途端にこれかと眉間に皺を寄せる。
その仕草も同様の意見を彼女に抱かせたかもしれないが]
いや、いい。
この傷程度はすぐ直る。そのまま持っておけ。
[神の着衣なのだから、半分に切り裂いた所でいずれ修復は出来ようが。
傷をさらすより不格好な印象を与えることは間違いないだろう*]
/*
いやー書いてて思ったけどさ。
結局強い奴って、こんなの関係なく勝手にやるよね?
まあ割と、先代止めなかった闇桜が狙い撃ち的な批判ではある。
(遊びとか戦闘そのものを目的にするからそういう奴が勝つんだよ、と)
/*
いや、そもそも「先代がわからせているはず」だから、私がそれをやる意味がなくなっちゃってるのか。
先代が考えてたこと抜きにすると、後はこいつが究極のどマゾって結論しか残らないんだよなぁ。
(つまり、先代の贖罪のために、おんなじことやるよって喧伝して嫌われてる)
それは絶対に口にしない、というかかっこつけようとした結果かっこ悪くなってる感ある。
なんだその表現は。
[石頭、氷頭との揶揄には平然としていたものだが、そこ>>63には反応する辺り、思うことでもあったか]
外、とは……何を言って……。
[異界という意味でない外なら、氷華も散々見てきた。
しかし――他者を拒絶し、決して互いを理解しないままでは、真に"見た"と言えるのか。
そんな氷華に、蓮魔が示したのは眼下の戦い]
……まあよい。他に見るべきものもない故な。
[不服そうではあるが、一応は蓮魔の意に従う心算らしい]
[蓮魔との会話に、護花は何を思ったか。
横から掛けられる言葉>>+42に]
何を、そなたに口出されなければならぬのだ。
[数千年単位で年齢の違う娘にすら、そう言われるらしい。
そこに忸怩たるものはあったが、むしろ意識に引っ掛かったのはその先の言葉]
私は――……
[否定される覚悟は幾重にもして来たのだが、そうではない言葉に二の句が継げず]
ふん。妙な時に目覚めよって。
[話を全て聞かれた今となっては、強引に否定に持っていくことも出来ない。
ある意味、拒絶以上に恐れていた状況であった]
それも、結局は強者の……
――まあ、良い。
今は否定を重ねるのも無駄であろう。
[結局の所、千年前に影響を受けたであろう花神がこの反応では、拒絶を前提とした戦いなど無意味だったということになる。
怒られる方が余程いい、とはこのことか]
…………。
[蓮魔が護花――紺野へ呼び掛ける声>>65は聞こえていたが、何も言えないまま、不機嫌な眼差しを眼下の戦舞台へ向ける。
ご褒美という発想に、冬神と花神の差を見せつけられつつ**]
[眼下で繰り広げられるのは、高揚を隠さず>>*55、本性を晒し>>*57、自らの血を流し>>*65、命のやり取りすら思わせる>>*69ほどの戦い。
勝利してもまだ一戦が残されているというのに、出し惜しみする様子は微塵もない。
感情も露わに向き合う様は、真意を黙した氷華と、感情を封じた護花の戦いぶりとは、まったく対照的でもあった]
[そうして戦舞台を眺めている中、隣に近付く気配があった。>>68
ハルトが次戦への準備を進めつつも、時折こちらの会話へ意識を傾けているのは感じていた。
何か思う所ある風の表情が居心地悪くはあったが、肩に乗せられる手を払うことはなく]
理解などはどうでもいいが……
――こうとなっては、他に責の取りようもなかろうからな。
[つまり了承を示しているのだが、やはり素直な一言で受け止めることは出来ぬ性分らしい]
咎ならば幾らでも引き受けたというに……。
[続けたのは誰に聞かせるでもないぼやき。
この氷華にとって、自ら歩み寄ることは、相手に何をされるよりよほど堪えるようであった]
……そうかも知れぬな。
[先のやり取りを経たからか、護花>>+46の言葉には存外素直な答えが返る]
精霊の頃から、氷雪と共にある……そのような場から出たことがない故。
[生命の輝きへの密かな焦がれ。
その原点ははきとは思い出せぬが、ひとつだけ象徴的な記憶があった]
[極寒の中、温もりを求める生命は互いに身を寄せ合う。
しかし体温を持たず、寒さすら感じることのない氷精霊は、そのような行為を必要としない。
何か感情を得た訳ではなく、ただ自分はそうした存在なのだと、その光景を遠くに認め悟った]
[護花が蓮魔へ向ける表情>>+47は、氷華へのそれとは真逆。
それ自体は当然と流したが、次なる行動は予想外のものだった]
は?
いや、私は食物は、だな……。
[熱持たぬ元精霊には不要のものと、一度は拒んだものの、少女の目的がただの栄養補給でないことは明白であった。
手を取り乗せられた蜜飴、その形は、丸ごとか半分か]
良いのか? 私にはやれる褒美などないぞ?
それにだな――
[それは甘いだけでなく、神の癒しの力籠められた一品]
これは、そなたにこそ必要なのではないか?
[傷の修復はしたものの、万全かどうかはわからぬ。
それでも彼女は、蜜飴をこちらへ差し出した。
それを、理解出来ぬと。
氷華の眼に、微かな狼狽が浮かんだ*]
[にべもない護花の反応>>+54にふん、と鼻を鳴らしつつ]
……それは、そうだが。
[手足の修復は、あくまで
それを口に出すことまではしなかったが。
そこで指を触れられたのは、右肩の傷。
常ならば一瞬にして塞がれるそれだが、従華の力であったことと相性の悪い炎だったためか、回復の速度は鈍い]
まあ、良い。
[どうやら甘味のみで効果はないらしく。
それでも割られた内の半分を掌に握らされれば>>+55、いつまでも持ち続けている訳にもいかず]
……ふむ。
[半球を口の中に入れ、舌で転がす。
体温の低い身では飴はなかなか溶けず、氷華の感覚は生あるものに比してかなり鈍い。
しかし、『何かを食した』という経験すらない氷神にとってそれは――]
な、なんだ……!?
これは、物凄く……
[甘い、とか、美味だ、とか。
そうした陳腐な感想すら、味わうこと自体初めての者には表現出来ない。
ただ、それは心地よさではあった。
拒絶ではなく、長く味わっていたいと、
それは、自ら生み出せる低温環境以上に、欲求とも呼べる感情を引き出していた]
[それっきり言葉を発することはなく、ただ口の中の飴を転がし続ける。
幸い、溶けにくい分だけ、その時間は長く続いた*]
…………。
[美味しい。
単語は知っていても、自身と結びつかなかった感覚。
物を食する必要のない身では、口にすることはないと思っていたが>>+59]
美味しい。
ふむ、そうだな。そう認めても良かろう。
[そして蕩けるような、沁みるような感覚は甘いというもの、らしい]
未知なるもの、か……。
[異文化のなんとか、と護花は言っていた>>+55。
初めに触れたものがその感覚であったのは、僥倖であったか]
でも、私には、何も……。
返すことは出来ぬ。
[それでも、何処かそれを手にすることを心苦しく思い遠ざけるように。
氷華は届くか届かぬかの声で呟いた*]
……ふん。
[含めるような言葉>>+62を口には出さず、ただ確かに聞いたと答えるように呼気の音を漏らす。
そこに掛けられる、主君としての名を呼ぶ声>>+63]
急に何を言い出すのだ。
[急にと言っても、自身の呟き>>+61を受けての語りというのは聞いていく内に知れたか]
そなたの世界にも、雪はあったか。
[しかも語られるそれは、氷華が思うような、全てを凍らせる苛烈な冬ではなかった。
綺麗だと語られるそれは、少女自身が区別したように、穏やかに降り積もるようなものであっただろう]
冬は耐え忍び……通り過ぎるのを待つだけの季節。
そうしたものだと思っていたがな。
[厳冬司る神として、敢えて明確にしてきた意味づけ。
しかしそれとは異なる一面に、少女は意味を見出しているらしい]
[好きだ、と、少女の口から紡がれる言葉>>+64。
仕方ない、や、必要だ、のような消極的な肯定でなく]
[そして少女は、胸の前へ持ち上げた両手の間に、小さな結晶を生み出した。
自然現象としての六花でなく、そこに生まれたのは歪な四花]
もはやそのような力は、残っていないと思っていたがな……。
[蜜飴の力か否か、既に右肩の傷は塞がり腕は自由となっていた。
その両手を、少女の両手の上へ翳すように差し出す]
それは、このようにして生み出すのだ……リリ。
[呼び掛けと共に、少女の手の上にはらりと落ちる、氷の柊花*]
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