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旅の作家 ローレル は 学生 コンスタンツェ に投票した
[窓から差し込む光の下、横たわる妹を眺めながらベッドに腰かける。ここまで運んだ時には未だその機能を残していた全身の諸関節も次第に硬くなり、動かない]
……ごめんね。
[考えることはそればかり。あのとき追いかけていればという後悔の念、そして、その償いのこと]
だから、あともう一回だけ待ってて。
あなたから離れるのはもうこれっきりにするから。
[返事が帰ってこなくとも、呟きかけて立ち上がる。手に持つマスケットには既に火薬と弾丸を詰め、挟んだ火縄にも火をつけた]
あなたを殺した"人狼"を退治してくるから。
[廊下に出たのは、アルビンが起きるよりも前のことで。フランツの部屋の異常には気付きもせずに、ジェフロイ――人狼の部屋に向かう]
[部屋に入れば、彼は壁に背を任せるようにして眠っているようだった。その姿はまるで昔のままで、とても妹を殺して――私が居ない間にジェフロイになり替わった人狼のものであるようには見えないけれど。
こいつはジェフロイじゃない。きっと彼が村に居ない間に殺して、なりすましているんだ。
彼そっくりの人狼に銃口を突きつければ、口を開いて]
聞きたいことが、あるの。
旅の作家 ローレルは、ならず者 ジェフロイ を投票先に選びました。
[目を覚まして瞼を開ける姿も、私に続きを促す声も、どれをとってもそれは紛れもなくジェフロイのものにしか見えなくて。自室で妹に告げた決心は早くも揺らいでいて。
こいつは人狼だ。妹と、そしてジェフロイ自身の仇なんだ。そう自分に言い聞かせながらも、銃を持つその手は小刻みに震えていた]
あなたは人狼、ですよね。
[それは質問ではなく、確認であったのかもしれない。
これから殺そうとする人物が、本当に人ではないという名文を求めての行動。
……本当の人狼であっても本当のことを言うはずが無いということにすら辿りつけないほどに、私の心は固まってしまっていた]
そんなはず無い!
[否定の言葉を返されれば、思わず声を荒げてしまう。
苦笑の浮かぶ彼の顔を正面から睨みつければ、言葉を続けた]
おまえがジェフロイだったら、なんで、なんで……
なんで妹を、コンスタンツェを殺したの!
[息も荒いまま、火蓋を切って引き金に手をかける。彼の返答次第ではいつでも鉛玉を発射できるように]
答えて!
[ああ――どうしてこんなことになってしまったのだろう。
予定では今頃、両親にまた惜しまれながらも旅に出て、新しい物語でも書いているはずだったのに。
こんな、昔からの知り合いに銃を向けているなんて――どうして]**
え、じゃあそれ、って
事故って、こと
[私の座っていた所からでは、コンスタンツェに隠れてジェフロイの動きは見えなかった。彼の言った事が真実であっても辻褄は、合う。
違う違う!こいつは人狼なんだ!
さっきも、自分が人間だなんて嘘を吐いたじゃないか!
混乱する思考では、密かに動く右手の動きを追うことは出来ず]
うぅっ……!
[不意な彼の動きに対応出来ずに、呆気なく寝台に押し倒されてしまう。銃口を向けようとマスケットを動かしても長い銃身が虚しく横腹に当たるばかり]
放して! 何のつもり!?
[体重を掛けられているのか、起き上がる事は出来ない。だというのに、人狼であるはずの彼はその兆候も見せず、首に力を掛けることすらしなかった。
意図が分からずに全身を闇雲に動かしてもその身体を持ち上げる事は出来なくて、ただその顔を睨みつける]
……
[私を押さえつけたまま漏らす彼の言葉は、どれを取っても人の言葉であるとしか思えない。
はじめ細めていた目も、いつの間に開いてしまっていた]
放して。
[そう言ったのが先か、彼が手を放したのが先か。立ち上がり背を向ける彼に向けた視線は、もう先までのそれではない]
ごめん。
やっぱり、あなたは人狼なんかじゃなかった。
[目の前の彼は、昔憧れたままのジェフロイだ]
だから、謝るよ。
[そう、彼は人であって――]
[例え事故であっても、妹の仇だ]
本当にごめんね、ジェフロイ。
それと、
[言葉と共に、引き金を引く]
ずっと前から、好きでした。
[私に旅の扉を開いてくれた彼のことが、私は好きだったんだ。
それが今、ようやくわかった]
[扉の前で崩れ落ちるジェフロイの姿を見れば自然と瞳から涙が流れ落ち、そのまま腰が抜けるようにして座り込む。
足に力が入らず、這うようにして彼の傍まで行くと、その顔を覗きこんだ]
ごめんなさい、ジェフロイ。
[初めて彼と話した時は、いつだったか。
それまで知らなかった村の外の話に心を躍らせ、毎日のように彼の元に通い詰めたものだった。
彼の旅に憧れた私はいつの間にか、彼自身に憧れていたのだ]
ねえ、教えて欲しい。
[この騒動で妹も、恋した人も失った。悲しむことは、これが終わるまで取っておく。
いまは、ただ――]
人狼って、誰なのかな。
[彼がこの部屋を出ようとするとき、そこには迷いが無いように見えた。きっと誰が人狼なのかの目星がついていて、そこに行こうとしたんだ。
人狼を殺すことが、二人への唯一の弔いだ]
オットー、か。
[当たり前だが、彼もまた昔からの知り合いだ。当然、思い出も沢山ある。
それでももう、止まる訳にはいかないんだ。ひとまず部屋にナイフを取りに戻ろうと立ち上がった、その時]
あ……
[そこには、今まさに向かおうとしていた人物がいた]
[呼びかける声に振り返ると、小さく光る銀色の何かがこちらに飛んでくる。手を伸ばそうとするも、それに刃が付いているということに気付き、手をひっこめた。ナイフは、足元に落ちる]
これ、は……。
[彼が持っている所を何度か見たことがある。けれど、一度も話してくれたことは無かった。
きっと、大切なものなのだろう]
ありがとう。大切に使うから。
[そうしてナイフを拾おうと屈みこみ、オットーには背中を向けることになった]
少なくとも、今のあなたよりは信頼できると思うけど!
[駆け寄る音が聞こえれば、振り返って対応しようとする。振り下ろされるナイフの軌道を避けようとした、そのとき]
ジェフロイ!?
[腕の落ちる音に、一瞬気を取られる。
気付いた時には、胸元にナイフが刺さっていた]
しまっ、た……。
[横向きになろうとする身体を知覚した時には、すでに全身の感覚が失われていて。それでも、ジェフロイの持つナイフだけは手放さないようにしながら倒れこむ]
[場所が悪かったのか傷痕からは血が勢いよく流れだし、それと共に急速に意識も遠のいていく。
よく話に聞く"走馬灯"という物も、私には見せてくれないらしい。
それでも、そのわずかな意識を集めて言葉を紡ぐ]
そ、う。大事、な、……
あな、た、には、、人狼には、分か、らない、でしょう、ね。
[そして、こちらから視線をそらす彼の背中を確認すれば。その無防備な所に、銀色のナイフを投げる。
ほとんど力も込められていないから、当たったところで致命傷には成り得ないだろうけれど。少しは――残された者が対抗するのには――意味があると信じて。
……ナイフが当たるかどうかを確認することも叶わず、意識は黒く塗りつぶされた]**
(帰れなくて、ごめんなさい。
護れなくて、ごめんなさい。
殺してしまって、ごめんなさい。
最後に頭をよぎるのは、そんな思い――)**
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