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オズワルド、すごいね。
[武器を付けての、大振りの一撃が致命傷になっていない事。
それは純粋に凄い事だと思い、くちびるから零れた音はどこか楽しげな響きを帯びていた。]
――うん。
[面白い。その一点においては同意するように呟くと、再び滑空してくる姿に、今度は立ち止まらず動く。
視線はオズワルドを捉えたまま、場所を変えるように横へと逃げた。
場所を変えようとも追ってくるオズワルドの一撃を受けるべく、翼は前面を守ろうと構え伸びる。
同じ軌道に、同じ攻撃を警戒するように片方の羽はやや後方を、もう片方は前方を守るべく揺れ。
下段からの一撃は、その片翼が受け止める。]
[だが多方に警戒した翼が受ける一撃は浅く、振りぬかれた刃は上から降りてくる。
前後を守っていた翼は、咄嗟に空いていた肩を守り抜けず。]
――― っ く
[体をずらしはしたが、ざくりと左肩に浅い一撃が入り鮮血が散った。
肩から激しい痛みが伝わるものの、表情の変化は薄く、眉間に皺が寄る程度だった。
軽くよろめき、手で肩口をおさえながら、後方に伸びていた翼が、移動した先にあったベンチを掴み取り。
オズワルドに向けて全力で投げ飛ばした**]
[オズワルドの予想は半分だけ当たっている。
心を鈍く、痛みに鈍く。
それは己に鈍いと同意義で。
つまるところ娘は、自分含めた何に対しても興味を持つことが出来なかった。
作りかえられてから今初めて、他人や物に興味を持ち、与えられた力を使い、音が鳴るまで動き抗い、血を流している。]
…ぁ は
[息を吐き出すと口の端が少しだけ上がり、小さな笑みになった。
――欲しい物は、翼でもない。]
[空中で何をしているのだろうかと、娘は地から半裸のオズワルドを見上げる。
やはり空に飛ばれると、こちらからは手が出せない。]
…。
[どうしよう。その胸中に応えるように、翼に持つ武器はじんわりとぬるい熱を持っていた。]
[びり、と肌がざわつくような感覚に目を丸くしながら頭上を見上げる。
オズワルドの頭上で輝くのは、おそらくカードだろうなどと思いながら、目に入れた半身の形が、整った筋肉は力強く隆起し変わってゆくのを見届けた。]
オズ…
[体が一回り大きくなったように見え、空の輝きがその羽に写ったように煌めいて。
名を呼ぶ音は途中で消えて、その王が持つ威厳に本能が震える。]
[羨望の混ざった音を胸中に落とすと、ふっと武器の熱量は一度消えて。]
来るなら、来ればいい。
貴方の全力を、受け止めることが出来たら、
私は ……
[欲しいと渇望する物を想い描きながら、翼はぎしぎしと大きく、その羽をまるで受け入れるように無防備に広げた。]
/*
戦闘ロルの回数多くないけど…サシのバトルで買ったの1回しかないからなぁ。
多分負けるだろうとは思ってたけどやっぱり負けたのでした。
剛形 パメラは、 剛形 パメラ を投票先に選びました。
― 公園 ―
[まともな人間ならば、強激を真っ向から受けることはしないだろう。が、娘はまともな人間でもなかった。
鈍感な痛みが判断を鈍らせる。]
ぐ!
[脇腹への一撃に、灰の空気が一気に抜ける。
初めて唇から悲鳴のような声を洩らしながらも、オズワルトを絡め取ろうと、包み抱きしめるように広げた翼を閉じた。]
つか ま えた
[伸ばした羽の先に握った爪が、硬くなった体を掻き不快な音を軋ませる。
囁きながら、剛力をもってオズワルドを絞めにかかった。
そのままでいられれば、意識を落とさせる事も可能、のはずだった。]
[だが。]
……… ぁ
[一度締め付けんと軋んだ羽は、すぐに緩まりだらんと地に落ちる。]
…あ れ
[振るえない力に、驚いたように目を開いたまま、娘の世界はくらりと反転し、背中から地に倒れ落ちた。
意識を失っていないのは、開かれたままの瞳から解るだろうが、四肢も翼も倒れ込んだまま起き上がる事すら出来なかった。
まともに受けた一撃、肩の傷、無理な動作、それらが集まり娘の限界はとうに越えていたのだった*]
…負けたんだ、私。
[その事実を口にすると同時、両翼が持っていた武器が粒子となって消えて、代わりに傍らには戦車のカードが落ちた。
ちらとそれを視界の端に入れた後、差し出された右手を見て、暫く無言でいたのは意図を読むのに時間がかかったから。]
くやしい。
…でも、少し、嬉しい。
私は、悔しいって思えるんだって、解ったから。
[ぽつりと落とし、視線はスカートの方へ一度向く。]
ポケット。
[一枚はすぐ傍に在ったが、もう一枚はそこだというように告げる。]
手も羽も動かないから、持っていって。
[あんまり触りたくない、というもう一つの意図は胸の中*]
― 公園 ―
くすぐったい。
[相手の胸中は知らないが、布ずれには素直な感想を落として、立ち上がるオズワルドの動きを視線で追うと、少しだけ頷いた。
そのまま空を背にした人を眩し気に目を細めて見上げて。]
私…
私は…わたしを、取り戻したかった。
私、誰にも、何にも、
自分にも、興味が持てなかった。
私が死んでも、きっと何とも思わない。
そうか、って思うだけで。
[渇望したのは空でも翼でもない、失ってしまった人としての心、想い、感情や痛みの全て。
だけど、と薄ら満足そうに笑んで。]
楽しかったし、悔しかった。
誰かの事をじっと見るのも、考えるのも久しぶり。
できれば、空も飛んでみたかったけど…
欲しい物、少し、手に入ったからもう、いいや。
オズワルド、相手をしてくれて、ありがとう。
[そうして沢山喋ってつかれたと告げ、ゆっくり目を閉じると同時に姿は薄れて消えてゆく**]
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